成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
リ: |
‥‥あ〜あ。 バレちゃア しょうがねえなあ。 いーよいーよ。教えてやるよ。 オレ、ミリカを待ってたんだ! |
ベ: | わがッ! |
冥: | ‥‥よけいなコトを‥‥! |
裁: |
証人。ハッキリさせましょう。 あなたは、宿舎の入り口で ミリカさんを待っていたんですか? |
リ: |
ああそうさ! プロポーズしようと思ってさぁ! |
裁: | なな‥‥ぷろぽーず‥‥! |
リ: |
なんだよ! ベツに、ヒトの勝手だろ。 |
裁: |
そ、そんな‥‥ わた、私は断じて、認めませんぞ! |
リ: | ガンコオヤジかてめえは! |
ベ: | わがッ! |
冥: |
キサマのおかげで、私の カンペキなプランがいきなりパア。 ‥‥とりあえず、そのふざけた プロポーズにケリをつけましょう。 |
リ: |
『なんでそんなにサワぐかねェ、 プロポーズぐらいのコトで。』(証言1) 『オレ、ミリカにわたすモノが あったんだよ。』(証言2) 『ここんとこ、ずっとポッケに入れて チャンスを待ってたんだぜ。』(証言3) 『当然、あの晩も持っていたわけだ。 ‥‥プレゼントをさ。』(証言4) 『ケッキョクわたせなかったから、 今もまだ持ってるケドな。』(証言5) |
裁: | ぷろぽーず‥‥あなたが‥‥ |
リ: |
クドいな! 人形だからってナメんなよな! |
裁: |
はあ‥‥。私ももう若くない、 というコトなんですかねえ‥‥。 |
リ: | そういうこった! |
成: | (裁判長が小さく見えるな‥‥) |
裁: |
じゃ、弁護人。尋問を。 ‥‥はあ。 |
真: | タメ息なんかついてるよ。 |
成: |
”わたすもの” ‥‥なんだったんですか? |
リ: |
キマってんだろ! ミリカにピッタリの、 とびきりキレイなヤツだぜ! |
冥: |
だからいったい、 それはなんだったの! |
リ: |
聞いておどろくな! ‥‥エンゲージリングさ! |
冥: | エンゲージ! |
裁: | リング! |
成: |
(2人とも、コシが抜けるほど おどろいてるな‥‥) |
冥: |
ふふ‥‥ふざけないで! もういい! こんな茶番は たくさんよ! |
成: |
(狩魔検事のムチがフキツに うねうねしている‥‥ キツい一発をカクゴしても、 ここはこだわるべきか‥‥?) |
成: |
茶番どころか、 これはレキシ的瞬間です! なにしろ、人形が人間に ケッコンを申しこむという‥‥ いてッ! |
冥: | ‥‥ギロンをスリかえないで。 |
裁: |
いや。私も弁護人の意見に サンセイです。 ‥‥証人。証言を 修正してください。 その‥‥コンヤクゆびわの くだりを。 |
リ: |
はああ‥‥。コマかい 男どもだなあマッタク! 『ミリカにさ。エンゲージ・リングを わたすつもりだったんだ、オレ。』(証言・補足) |
成: | ちょっといいですか、証人。 |
ベ: | な‥‥なんですか。 |
リ: | なんだよ! |
成: |
(うう‥‥やりにくい) こいつに見おぼえは? |
リ: |
あっ! そ、それ‥‥ オレのじゃねえか! 返せ! ドロボー! |
成: |
さきほど、あなたはこう証言した。 ”わたせなかったから、 今もまだ持っている”‥‥と。 それがなぜ、 ぼくの手にあるんですか! |
リ: | うがわわアアッ! |
裁: | どういうことですかッ! |
リ: |
‥‥そ、それは‥‥ おい、ベン! 出番だ。 |
ベ: | え! こ、困るよリロくん‥‥ |
成: |
ぼくはこいつを、ルーサーの ウチで見つけました。 |
裁: |
るーさーさん‥‥? どなたですか、そのかたは。 |
リ: |
ハッ! うすぎたねえ サルだよヤツぁ! |
裁: |
証人。‥‥ちょっと、 口が悪すぎますよ。 |
成: |
ルーサーはその‥‥ ホントにサルなんですけど。 |
裁: | あ。そ、そうなんですか。 |
成: |
ルーサーは、光るモノを 集めるクセがあるのです。 |
裁: | ひ‥‥光るもの‥‥? |
成: |
証人! このリングは、 いつ盗まれたのですか! |
ベ: |
‥‥そ‥‥それは‥‥ ‥‥あのとき‥‥ 事件があった、夜‥‥です‥‥ |
冥: | な‥‥なんですって! |
成: | もっとくわしく! |
ベ: |
‥‥マックスさんが‥‥広場に 入っていった‥‥すぐあとです‥‥ |
成: |
あなたの目の前を、被告が 通りすぎたときですか! |
ベ: |
‥‥え、あ‥‥う。ええ。 その、すぐあとに‥‥ リングをその。あの。ながめて いたら‥‥ |
?: | 『キーッ!』 |
ベ: | 『ギャアアアアアアアアアアアアッ』 |
リ: |
それがなんだってんだよ! カンケーねえだろ! そんなコト、事件とはさあ! |
成: |
‥‥ところが、 そうはいかないのです。 証人! |
リ: |
オレはショーニンじゃねえ! リロくんだ! |
成: |
リングを取られたリロくんは、 どうしましたか! |
リ: |
決まってんだろ! 追いかけたさ、あのサルを! |
成: | でも、追いつけなかった‥‥? |
リ: |
このベンのヤツがさあ、 トロすぎたんだよ! 雪でコロんでモガモガやってる あいだに、逃げられちまった。 |
裁: |
それはそれは。 タイヘンでしたねえ‥‥。 |
成: |
‥‥しかしこれで、 1つ証明されたことがあります。 |
冥: |
しょ‥‥証明されたこと‥‥? な、何よそれはッ! |
成: |
この証人の証言には、 大きなムジュンがある! |
冥: | ム‥‥ムジュン! |
成: |
さっき、証人はこう証言しました! ”警察が来るまで、広場の 入り口から動かなかった”と。 しかし! 証人はサルを 追いかけていた! そのあいだ、入り口には だれもいなかったことになる! |
冥: |
なんですって! だ、だから‥‥なんだと言うの! 成歩堂 龍一ッ! |
成: |
この証人は、ずっと入り口を 見ていたわけではない‥‥ ということは、つまり! 被告人以外の人物が、 現場に行った可能性がある! |
裁: | ‥‥ふむ |
冥: |
じゃ‥‥じゃあ聞かせて! 成歩堂 龍一! この人形使いが、だれかを 見落とした証拠でも、あるの! |
成: |
ジッサイに、被害者の立見団長を 見落としてるじゃないですか! |
冥: |
しかし! ハッキリ被告人を 目撃しているジジツは変わらない! |
成: |
この証人はウソをついていた! それに、被告に悪意も抱いている! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ 弁護人の意見には一理あります。 たしかにこの証人は、マックスさん に敵意があるようですからねえ。 |
リ: |
‥‥な‥‥なんだよそれ! オレはそんなケツの穴が ちっちゃい男じゃねえぞ! 見たんだって! キザでクズな インチキヤローを! |
裁: |
念のため、目撃した人物のことを、 もう少し証言してもらいましょう。 |
リ: |
ハッ! 何度やっても 同じコトだと思うけどな! |
成: |
(そう思うのが、人形の浅はかさ ってトコだな‥‥) |
真: |
1つのウソは、 必ず次のウソを生み出す‥‥。 |
成: |
そういうことだね。 一気に追いつめてやろうぜ! |
真: | うん! |
リ: |
『ミリカのコト待ってたのは 認めてやるぜ。』(証言1) 『でも、まちがいなく ヤツは広場に入っていったんだ。』(証言2) 『あそこに行ってから、 5分ほど待ってたころだったぜ。』(証言3) 『こんばんは、ってアイサツしたのに アイツ、ムシしやがって!』(証言4) 『とにかくアイツ、あのマックス だったんだよ。まちがいねえや!』(証言5) 『キザなシンボル3点セットを、 オレはまちがいなく見たしな!』(証言6) |
裁: | ‥‥ふむう‥‥ |
冥: |
このあと、サルのルーサーが 現れた、というワケね。 |
リ: |
そうさ。アイツを見てから 1分もしなかったな。 |
成: |
そしてリングをうばわれて、 そのあとを追跡した‥‥。 |
裁: |
もどってくるまでに、 どれぐらいかかりましたか? |
リ: | さあな。どれぐらいだった? |
ベ: |
たぶん‥‥5分ぐらい、 だった‥‥と。思いますが‥‥ |
冥: |
被害者は、その5分のあいだに 現場に行ったのよ。 |
裁: |
‥‥では、弁護人。 尋問をおねがいします。 |
成: |
証人。あなたは事件当日、 マックスとケンカしましたね? |
冥: | ‥‥ケンカ? |
成: | ミリカさんをめぐって。 |
リ: |
そんな大したモンじゃねえよ。 ちょっとした口ゲンカ‥‥。 |
成: |
口ゲンカでは コイツは割れません。 |
リ: | うがわわアアッ! |
成: |
あの日の朝、コイツでマックスに 思いっきり殴られましたね? |
裁: |
な、なんですって! それは‥‥ リッパな傷害罪ですぞ! ほほろッ! |
冥: |
‥‥それ以前に、被告人は 殺人罪で裁かれているわ。 |
成: |
事件当日、被告と証人は 大ゲンカをしていた! しかも、カンタンに 仲なおりできる問題ではない! それに、この証人の性格を 考えてください! ”こんばんは”なんてアイサツ、 するワケがないッ! |
リ: | ぐはあああっ! |
冥: |
じゃあ、この証人が ウソをついているというの! 罪を着せるために ”被告を見た”と証言したと! |
リ: |
オ‥‥オレ、ウソなんか ついていねえぞ! だって‥‥ |
裁: |
そこまで! ‥‥成歩堂くん。 |
成: | はい。 |
裁: |
では、うかがいましょう。 この証人の”被告を見た”という 証言を、どう考えますか? |
成: |
たしかに証人は、 だれかを見たのでしょう。 だから”こんばんは”と アイサツしたのです。 |
冥: | ‥‥考えるまでもない! |
成: |
ただし。 証人はその人物を、 マックスだとは思わなかった。 |
冥: | な‥‥なんですって! |
成: |
マックスに会ったのなら、 アイサツをするわけがない。 ‥‥とすれば、答えは1つ。 証人が見たのは マックスではなかった。 だから、リロくんは その人物にアイサツをしたのです。 ”こんばんは”‥‥とね。 |
リ: | う‥‥ |
冥: | いったい‥‥それは‥‥ |
裁: |
証人が”アイサツ”した人物‥‥ それは、だれだったのですか? |
成: |
性格のワルい証人が、わざわざ アイサツする人物は、ただ1人。 |
裁: |
もちろん、 ミリカさんですね! |
成: |
い‥‥いえ、ちがいます。 もしそうなら、ゆびわを プレゼントしていたはずですから。 |
裁: | あ。それもそうですね‥‥。 |
冥: |
‥‥立見 七百人。 被害者自身、というわけ? |
成: | もちろん、そのとおり! |
リ: | ‥‥‥‥! |
成: |
あなたが見た人物は、 被害者の団長だった! だからあなたはアイサツした。 ‥‥そうですね! |
リ: | ‥‥‥‥ぐ。 |
成: | どうなんですか、リロくん! |
リ: | うああああああああッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥どういうことですか、これは! |
リ: |
ま、待ってくれよ! たしかに、最初は オヤジかと思ったんだ! でも! でも! よく見たら、 やっぱりマックスだったんだッ! |
裁: |
ここで一度、 問題を整理してみましょう。 証人は、現場である広場の入り口で 1人の人物を目撃しています。 問題は、それはいったい だれだったのか? マックス・ギャラクティカか? 団長の立見 七百人だったのか? |
冥: |
検察側は、被告人だったと 主張するわ! ジッサイに証人は、被告の シンボルを3つ、目撃している! |
成: | シンボルを3つ‥‥? |
リ: |
まだおぼえてねえのかよ! しかたねえなあ、 みなさん、ごいっしょに‥‥ わははあッ! |
冥: |
‥‥シルクハット、マント、 そしてムネの白いバラ‥‥。 |
成: |
シルクハットにマント? そんなモノ、ぼくだって着られる! |
冥: | な‥‥なんですって‥‥! |
成: |
証人は、さっきから3点セットの コトばかりくりかえしています。 つまり、それ以外のものは 見ていないのです! それならば、証人の見た 人影の正体はただ1つ! それは、マックスの衣装を着た 立見 七百人だった! |
冥: | ‥‥ぐぐ‥‥うッ! |
裁: | 狩魔検事。 |
冥: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
証人が見た人物が被告だったという ハッキリした証拠はありますか? |
冥: | そ、それは‥‥ |
裁: |
‥‥それならば、現時点で 判決は下せません。 |
成: |
(よし! なんとか 切りぬけたぞ‥‥!) |
冥: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥それはザンネンね。 |
成: | ? |
冥: |
帰りじたくをするのは早いわ。 ‥‥成歩堂 龍一。 |
成: | ‥‥どういうことだ? |
冥: |
この証人から聞きたかったのは、 たった1つだけ。 ”事件の夜、1人の人物が広場に 向かうのを見た” ‥‥その答えは出たわ。 となれば‥‥ |
裁: | となれば? |
冥: | 次の証人を呼ぶまで。 |
成: | な‥‥なにッ! |
冥: |
裁判長! 検察側の立証は、 次こそが本番よ! だれもがナットクする 答えを提示するわ! マックス・ギャラクティカ以外、 この犯行は不可能だった、と! |
裁: |
‥‥了解しました。 ここで一度、10分間の 休憩をとりたいと思います。 検察側は、証人の準備を しておいてください。 ‥‥では、休憩に入ります! |