成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
地方裁判所 被告人第5控え室 | |
マ: | ‥‥‥‥。 |
成: | おはようございます。 |
マ: | ‥‥‥‥。 |
真: | マックスさん? |
マ: | ‥‥ぎゅ‥‥牛乳。 |
真: | え? |
マ: |
ス‥‥ステージに上がる前に 牛乳を飲まないと‥‥ お、落ちつかないんだよハニイ。 |
真: |
す、すてーじ‥‥ だいじょうぶですよ。今日は 座ってるだけでいいんですから。 |
マ: | ‥‥‥‥ま、まあね。 |
真: |
なるほどくん。 マックスさん、 すごくキンチョーしてるよ。 |
成: | ‥‥ムリもないけどね。 |
マ: | なあ! ハニイたち! |
成: | な、なんですか! |
マ: | ‥‥ボク、飛ぼうか? |
成: | ハイ? |
マ: |
いや。こういうのは、最初が カンジンなんだよ。 登場したときに、客の心をまず、 ガッチリつかまないと! |
成: |
い、いやいやいや。 被告が法廷を飛び回って どうするんですか! フザけてると 思われちゃいますよ! |
真: |
だいじょうぶですよ。 なるほどくんにまかせて‥‥ |
マ: | なあ! ハニイ! |
成: | こ、今度はなんですか? |
マ: | アンタ、飛んでみないか! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
マ: |
弁護士が空から入場! これだけで、 客はハニイにクギづけになるよ! |
真: |
だ、だからマックスさん。 だいじょうぶですから‥‥。 ‥‥? なるほどくん? |
成: | (‥‥ちょっと、飛んでみたい) |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
これより‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
冥: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ふわッ! |
冥: | のっけからナニ! 裁判長! |
裁: |
い、いや。被告人の名前が ”山田 耕平”とあるもので‥‥。 |
成: | それが? |
裁: |
でも、被告はあの‥‥マックス・ ギャラクティカなワケですよね? |
成: | ‥‥まあ、一般的には。 |
裁: |
じつは、マゴが大ファンでしてね。 ‥‥みなさんも、そっちのほうが 親しみやすいでしょうから。 これよりマックス・ギャラクティカ の法廷を開廷します。 |
成: | (いいのか‥‥?) |
裁: |
狩魔検事。 冒頭弁論をおねがいします。 |
冥: |
‥‥勝ったと思わないコトね 成歩堂 龍一‥‥。 |
成: | え。 |
冥: |
霊媒による殺人なんて、 法律で認められていないわ。 あんな裁判は茶番。 いわばノーカウントよ! |
成: |
(‥‥ま、まだ前回の事件に こだわってるみたいだな‥‥) |
冥: |
私はゼッタイに負けるワケには いかない! なぜなら、狩魔の人間は常に カンペキでなければならないから! |
真: |
狩魔のニンゲンは、ホント シツコイねえ、なるほどくん。 |
冥: |
見てなさい成歩堂 龍一! 今度こそ、キサマを有罪に してみせる! |
成: |
ぼぼ、ぼくを有罪ですか‥‥? あいた! |
冥: |
‥‥それが、私の ”復讐”なのよ‥‥ |
真: |
狩魔検事のおとうさん‥‥ もう、いないのにね。 |
冥: |
‥‥以上。 冒頭弁論を終了する。 |
裁: |
では。最初の証人を 呼んでいただきましょう。 |
冥: |
イトノコギリ刑事を 入廷させなさい! |
冥: |
給料も安いのに、 今日もごくろう、刑事。 |
糸: |
トンでもないッス! 自分はヤル気マンマンッス! |
冥: |
じゃあさっそく、事件の流れを 説明しなさい。 |
糸: | オッケッス! |
裁: |
では、刑事。 証言をおねがいします。 |
糸: |
『事件当夜は、9時40分まで雪が ふって、とてもサムかったッス。』(証言1) 『あの夜は、全員がテントに集まって 演技の練習をしていたッス。』(証言2) 『練習は午後10時に終わり、 カイサンになったッス。』(証言3) 『事件は10時15分、 宿舎前の広場で起こったッス。』(証言4) 『被害者は、大きな木箱の上に 突っぷして死んでいたッス。』(証言5) 『死因は、強く殴られた際の クビの骨折ッス。』(証言6) |
裁: |
ふむう‥‥ 撲殺、というわけですか。 |
糸: | これが被害者の解剖記録ッス。 |
裁: | 受理します。 |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
”平たい”鈍器‥‥ですか。 ふむう‥‥ では、弁護人。 尋問をおねがいします。 |
成: | はい。 |
成: | 雪が‥‥? |
糸: |
まあ、事件の前までには やんでいたッスが。 |
成: | つもっていましたか? |
糸: |
大したことはなかったッス。 うっすら3センチぐらいッスかね。 雪はそのままこおりついて、 次の日にも残っていたッス。 |
成: |
(雪‥‥か。いずれまた、 モンダイになるんだろうな‥‥) |
真: | え。どうして? なるほどくん。 |
成: | ‥‥証拠品を見てみなよ。 |
裁: |
証人。その夜、サーカスの 人たちは、何を‥‥? |
成: | ”木箱”‥‥ですか? |
糸: |
そッス。 なぜか被害者は、大きな木箱を 抱きかかえて死んでいたッス。 |
裁: | 抱きかかえて‥‥ |
糸: |
ちょっと変わった 木箱だったッス。 |
裁: | どういうことですかな? |
糸: |
見かけのワリには妙に重くて ‥‥そして、カギがかかっていて。 |
裁: | カギ、ですか‥‥。 |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
(せっかくだから、なんか 聞いてみるか‥‥) |
成: |
‥‥その箱の中には、 何が入っていたんですか? |
糸: |
ワレワレが発見したとき、 木箱にはカギがかかっていたッス。 署でぶっコワしたッスが‥‥ 中には‥‥この小さなビンが 入っていただけッス。 |
裁: |
ビン‥‥? 刑事。なんですか、それ。 |
糸: |
見たとおり‥‥ 調味料のビン、ッスね。 |
成: | ビンの中身はなんですか? |
糸: | コショウ‥‥ッス。 |
裁: |
コショウ‥‥? どうして、そんなものが? |
成: |
(あんな大きな箱に、 小さなビンが1個だけ‥‥) |
真: | なんか、イミあるのかなあ‥‥? |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
解剖記録によると、凶器は ”平たい鈍器”ということですね? |
糸: | そッスね。 |
成: |
凶器自体は 見つかってないんですか? |
冥: | 今、全力をあげて捜索中よ。 |
糸: |
おそらく、犯人が持ち去った ものと考えられるッス。 |
裁: |
そりゃそうでしょう。 現場にないんですから。 |
糸: |
いやいや。もしかしたら、 魔術で消したのかも。クックッ‥‥ |
裁: |
‥‥事件の流れは だいたいわかりました。 |
成: |
(イトノコ刑事から引き出せる 情報は、こんなものかな‥‥) |
真: |
”こんなもの”、って‥‥ コショウのビンだけだよ? |
冥: |
ではここで、次の証人を 呼びたいと思う。 |
糸: |
えっ! 自分はもう、 おしまいッスか? |
冥: |
‥‥そう。アナタはもう、 オシマイよ。 |
糸: |
‥‥なんか、今の”オシマイ”、 いやーなヒビキが‥‥ |
裁: |
‥‥イトノコ刑事。 ごくろうさまでした。 それでは狩魔検事。 次の証人を。 |
冥: |
腹話術師の木住 勉を 入廷させなさい。 |
成: | (ベンさん、てコトは‥‥) |
真: |
リロくんも出てくるのかな。 やっぱり‥‥。 |
冥: | 証人。‥‥名前と職業を。 |
リ: |
名前はリロくん。 職業はテノール歌手だ。 |
裁: |
ちょ、ちょっと待ちなさい。 証人の名前は木住 勉、 職業は腹話術師のハズでは‥‥ |
リ: |
ダレのコトだよ! 歌手だって言ってるだろうが! そうだな、1曲歌っちゃうか。 ‥‥エヘン! 裁判サンバは〜ココロもはずむ〜 ユーザイムザイか〜お楽しみぃ〜 ‥‥ってかァ! |
冥: | ‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥ |
真: | 今度はリズムがいいねえ。 |
成: |
あいかわらず 歌詞はサイアクだけどな。 |
ベ: |
ダ‥‥ダメだよリロくん。 こんなところで‥‥ |
リ: |
バカだな。こういうのはなァ、 ツカミがダイジなんだよ! 登場したら、まず1発カマす! ‥‥ったく、そんなことだから いつまでも二流芸人なんだよ! |
真: |
芸人って、みんな似たような コト、考えてるんだね。 |
裁: |
‥‥しょ‥‥証人! い、今のは‥‥? |
ベ: |
あ、アノ。あまりその、 ボクのコトは、気になさらず‥‥ |
裁: |
し、しかしそんなコト 言われましてもアナ ふひぎッ! |
冥: |
‥‥証人の事情はセンサク無用。 さっそく証言をしてもらうわ。 |
リ: |
『練習が終わって、あのピエロと テントを出たんだよ。』(証言1) 『宿舎前でアイツとわかれて、その あとは広場の入り口にいたんだ。』(証言2) 『そしたらさ。目の前をマックスが 通って、広場へ向かったんだよ。』(証言3) 『通ったのはアイツだけだぜ。 これで犯人はキマリだよな!』(証言4) 『そのうち、警察が来てさ。 それでオレも、事件を知ったワケ。』(証言5) |
冥: |
マックス・ギャラクティカが 目の前を通った。まちがいない? |
リ: |
モチロン! シルクハットにマント そしてムネの白いバラ! イヤミな3点セットをぶら下げて、 鼻先を通りすぎやがったんだ! |
裁: |
ちょ‥‥、 ちょっと待ってください! ”ピエロといっしょに” テントを出たのですよね? |
リ: | そうだぜ。 |
裁: |
じゃあ‥‥そのピエロさんも アヤシイではないですか! |
成: | (あ。たしかに‥‥) |
冥: |
‥‥ザンネンながら‥‥ ピエロは犯人ではあり得ないわ。 |
裁: | ど、どうしてですか? |
冥: | これがその証拠よ。 |
裁: |
それは‥‥ シルクハット、ですか。 |
冥: |
殺人現場から発見されたわ。 ‥‥被告人のものよ。 |
成: | あ‥‥ |
冥: |
練習のとき、被告人はモチロン、 これをアタマに乗せていたわ。 ピエロが犯人なら、 現場に落ちているはずがない。 |
裁: |
‥‥ふ、ふむう‥‥ さすが狩魔検事‥‥ 立証はカンペキですな。 |
冥: |
‥‥当然。 じゃ、あとはよろしく。 |
成: |
ハイ‥‥ (今日もヤツのペースだな‥‥) |
成: |
”アイツ”‥‥マックスだけ、 ですか‥‥? |
リ: |
そうさ。 これでハンニンはキマリだよな! たった1人しか 通らなかったんだからな! |
裁: |
ふむう‥‥そうですねえ。 たしかに、アヤシイ‥‥。 |
成: |
(裁判長がナットクしている‥‥ ケチでもつけてみるか?) |
成: | おかしいですね‥‥。 |
リ: | ナニが! |
成: |
マックス1人しか 見なかった‥‥。 そんなハズはないんですよ。 |
裁: |
そ‥‥それならば お聞きしましょう! この証人が、被告人以外のだれを 見ているはずだと言うのですか! |
裁: | それは‥‥被害者‥‥。 |
成: |
そうです。 ずっと広場の入り口に いたのならば‥‥ 現場へ向かう 立見団長を見たはずです! あたッ! |
冥: |
‥‥立見団長は、証人より早く すでに現場に行っていた。 そうに決まってるでしょう! |
成: |
ナニを言ってるんですか! 団長は、マックスと 団長室で会っていたはずです! |
冥: |
それは、被告人の勝手な 言いぶんでしょ? ジッサイ、団長室にいるはずの マックス・ギャラクティカは‥‥ このとおり、証人に 目撃されているじゃない! |
成: | うう‥‥! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ ‥‥どうやら、今の段階で 証言をうたがう理由はありません。 決定的なムジュン、という ワケでもないようです。 |
成: | そんな‥‥ |
冥: |
そのとおり。‥‥気にせず、 証言をつづけなさい。 |
真: |
リロくん‥‥、マックスに ウラミでもあるのかな? |
成: |
恋ガタキだからね。 ミリカちゃんをめぐって。 それに、マックスに アタマもなぐられてるし。 |
真: |
え? でも、それは ベンさんのほうでしょ? |
成: |
‥‥うう‥‥ もう、ワケわかんないな。 |
成: |
警察が来たのは 何時ぐらいでしたか? |
リ: |
あれは‥‥そうだなあ‥‥。 オイ、何時だった? |
ベ: |
え! あ、あの。 10時半すぎ‥‥たぶん‥‥ |
成: |
練習が終わった10時から、ずっと 入り口のところにいたわけですか? |
ベ: | そ‥‥そうなりま‥‥すね‥‥ |
成: |
あの夜もサムかった。 何も用がなかったとは思えません! |
ベ: | う。お‥‥じ、じつは‥‥ |
リ: |
オイ、ギザギザヤロー! なんだよその言いかたは! ”用”ってなんだよ! 言ってみろよ! |
成: |
たとえば‥‥だれかを待っていた、 とか。 |
リ: | な、な、な、な、な、ななんだと! |
冥: |
成歩堂 龍一! 推測でモノを言わないで! |
成: |
しかし! この証人は 心なしか、動揺している! |
裁: |
ふむう‥‥成歩堂くん。 この証人が正門前で、だれを 待っていたというのですか? |
成: |
この証人が待つとしたら、 1人しかいない! 猛獣使いのミリカさんです! |
リ: | ウワワァァッ! |
成: |
あなたは、宿舎に帰ってくる ミリカさんを待っていた! ちがいますかッ! |
リ: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | そうなんですか? |
ベ: |
う。い。イヤ、 ‥‥ボクに聞かれても‥‥ |
リ: |
いいじゃねえかよ ダレを待とうが! カンジンなのは、オレが 何を見たか、だろうが! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ たしかにそのとおりです。 |
成: |
え‥‥ いいですか! この証人は、ちゃんとした 目的があってあそこにいたのです! ミリカさんが来るのを ずっと待っていた! ‥‥つまり‥‥。 彼女以外のだれかが目の前を 通っても、 注意を払わなかったはず なのです! |
リ: | ウワワァァッ! |
裁: |
ふむう‥‥ たしかにそのとおりで |
冥: |
ナニ言ってるの! 証人はちゃんと、被告人を 目撃しているじゃない! |
成: |
しかし! 現場に行ったはずの 被害者を目撃していない! それならば! マックス以外の人物を 見逃した可能性だってあるはず ですイテッ! |
冥: |
そもそも、証人が猛獣使いを 待っていたという証拠など、ない! |