成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
テント内 食堂 | |
真: | あっ。ベンさん! |
ベ: |
お! ‥‥えと、うグ ‥‥こんにちは‥‥ |
真: |
こんにちはー。 ここもサムいですねー。 |
ベ: | そ。そ。‥‥うで‥‥すね‥‥ |
真: | サムいって。なるほどくん。 |
成: |
(この人の話を聞いてると、 妙にチカラが入るな‥‥) |
成: | 事件のことなんですけど。 |
ベ: |
い。いえ。 ボク‥‥そんな。あの‥‥ |
真: | 何か、ご存じないですか? |
ベ: |
ごぞ、ごぞ、ごぞ、 ‥‥んじないで‥‥す‥‥ |
真: | あのー‥‥ |
ベ: | えと、し知りませェェんッ‥‥ |
成: |
もう、長いんですか? このサーカスに来てから。 |
ベ: |
そ、う‥‥ですね。 よ。よ、4年ぐらい‥‥ |
真: |
あたしも、 気に入っちゃいました‥‥ここ。 トミーさんはおもしろいし、 マックスはスゴいし、 ミリカちゃんはかわいいし‥‥。 |
ベ: |
‥‥ミリカ‥‥さん、ですか‥‥ ボ‥‥クはちょ‥‥っと‥‥ ニガ、ニガ‥‥ニガテです‥‥ |
真: |
あ、あれ。 ‥‥そうなんですか? |
成: |
(‥‥おかしいな。 アイを語ったとかなんとか、 マックスが言ってたような‥‥) |
真: |
あ、そうだ。 これ、ベンさんのですよね? |
ベ: |
うおッ! あ。お。す‥‥ スミマセン。ボ、ボクのです。 |
真: | はい、どうぞ。 |
成: |
‥‥じゃ、真宵ちゃん。 行こうか。 |
真: |
そうだね。 じゃあ、さよならベンさん。 |
ベ: | は‥‥ハイ。 |
真: |
‥‥さ。なるほどくん。 次はどこへ行こうか? |
成: |
そうだね。 もう一度、あのピエロの‥‥ |
?: | おいッ! 待てよ! |
真: | だ、だれ‥‥今の。 |
?: |
どこ見てんだよ! こっちだギザギザヤロー! なんだよテメェら。 アイサツもなしか、このヤロー。 |
真: | ベベ‥‥ベベベンベンさん‥‥? |
ベ: |
い、いえいえいえ! いえいえッ! ボ、ボクはそんな‥‥。 |
リ: |
”ベンさん”じゃねえんだよ! どこ見てんだ、こっちこっち! |
成: | き‥‥きみは、リロ‥‥。 |
リ: |
呼び捨てにすんじゃねぇよ! リロ”様”だろ! ホレ、やりなおし! |
成: |
(‥‥まま、またかい‥‥) リロ様‥‥なのか? |
リ: |
ったく、どこに目ェつけてんだ このヤロー。 |
ベ: |
だ、ダメだよリロくん、 そんなコト。 |
リ: |
テメェもテメェだ! そんなだから、ナメられるんだよ! |
ベ: | ゴメンよリロくん‥‥。 |
真: |
どど‥‥どうなってるの なるほどくん! リロ、って人形でしょ? ‥‥腹話術の |
リ: |
コラ、そこ! 呼びすてにすんな って言ってんじゃねえかよ! |
成: | 事件のことなんですけど‥‥ |
リ: |
どこ見て話してんだよ! コッチだろコッチ! |
ベ: | ダメだよリロくん‥‥ |
リ: |
うるせえ! 事件って、アレだろ? ここの団長がやられた。 |
真: | そうだけど。 |
リ: |
ケッ! さわぐほどのコトかよ! ケチなギャラでコキつかいやがって ‥‥あのタヌキ! |
ベ: |
だ、ダメだよリロくん。 そんなコト‥‥ |
リ: | うるせえ! |
真: |
‥‥すさんだコンビだね、 なるほどくん。 |
リ: |
聞いたぜ。あの、キザなヤローが パクられたってな‥‥ヒヒ! |
リ: |
ッたく、シケたトコだぜ。 ギャラは安い、ピエロはサムい、 あいぼうはポンコツ。 |
真: | あいぼうって‥‥ベンさん? |
リ: |
おじょうちゃん。このクズにさ、 言ってやってくれよ。 もっとシャンとしろ! ってよぉ。 こんなサイテー男、タクサンだぜ! |
真: | え‥‥え‥‥。 |
リ: |
‥‥でもよ。 こんなゴミためにもよぉ‥‥、 いたんだよなぁ。 ‥‥オレのマドンナが。 |
真: | ”オレの”‥‥ |
成: | ”まどんな”‥‥? |
リ: |
ミリカだよ、ミリカ。 あの女はイケてるぜ。なあ、ベン。 |
ベ: |
い、いや‥‥ボクはチョット、 ああいうのは‥‥。 |
リ: |
かー。コレだからなコイツ。 一生やってろ! オレはケッコンするぜ! あのマドンナとな! |
真: | けけ‥‥ケッコン! |
リ: |
ダンチョーを殴ったのは、 あのキザヤローだぜ! |
成: |
マックス・ギャラクティカ‥‥? ど、どうしてだい? |
ベ: |
ダメだよ! リロくん。 い、イイカゲンなコトを‥‥ |
リ: |
ナニ言ってんだよベン! オメエもいただろ、あそこに! |
成: | あそこ‥‥? |
リ: |
ヒヒッ! 気が向いたら 教えてやるよ! |
真: |
あの‥‥ケッコン‥‥するの? ミリカちゃんと。 |
リ: |
ああ、そうだぜ。向こうも マンザラじゃねえみたいだしな。 |
成: |
(たしかに、”悩んでる”とか 言ってたな。オソロシイことに) |
ベ: | い、いや、そ、それは‥‥ |
リ: |
悪ィかよケッコンしちゃ! オレの勝手だろ! |
ベ: | そりゃ‥‥そうだケド‥‥ |
成: | (そ、そうなのか‥‥?) |
リ: |
オレな。歌をプレゼントしたんだ! マドンナに。 |
真: | うた? |
リ: |
テノール歌手だからオレ。 いいか。おじょうちゃんにも 聞かせてやるよ。 ‥‥エヘン! お〜うるわしの〜キミの目玉に〜 チュッと〜くちづけ〜したい〜‥‥ ‥‥ってかァ! |
真: | へええ。メロディがいいなあ。 |
成: | 歌詞はサイアクだけどね。 |
リ: | いいか! オレはやるぜ! |
ベ: |
あの。えと、どうもスミマセン‥‥ リロくんがその‥‥ |
成: |
”リロくんが”って‥‥ベンさんが しゃべらせてるんじゃあ? |
リ: | オイ! このヤロー。 |
真: | わっ。 |
リ: |
明日が楽しみだなあ、 ベンゴシくん! |
成: | え‥‥ |
リ: |
オレな。あのイケスカねえ 手品師を消してやるんだ! |
真: | リ‥‥リロくん‥‥? |
リ: |
じゃ、そういうコトだ。 法廷で会おうぜ! |
成: | あ、ま、待って‥‥! |
真: |
‥‥なるほどくん。 どういうコトかな‥‥? |
成: |
証人、てことだろうね。 ‥‥明日の裁判の。 |
真: | うううう‥‥ |
タチミ・サーカス テント内 | |
真: |
はあ‥‥。 いったい、どうなってるの? ベンさんとリロくん。 |
成: |
まったくだよ。あの人形、 何を見たっていう |
?: | キーッ! |
成: |
わわわ。 こ、今度はなんだ! |
?: | キッキーッ! |
成: | ギャアアアアアアアアアアアアッ |
真: |
あっ! 気がついた? なるほどくん! |
成: |
あ、う‥‥うん。 い、いったい、あのサル‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あああっ! ぼくの弁護士バッジが! あのサルに取られちまった! |
真: | うえええええええっ! |
ミ: |
あははははは! 見ーちゃった。 ベンゴシさんの、あわてたカオ。 |
真: | ミリカちゃん! |
成: | き、きみか! あのサルを‥‥! |
ミ: |
うーん。怒っちゃだめだよ。 ‥‥めっ! |
成: |
で、で、でも! ぼくの弁護士バッジが‥‥! |
ミ: |
ふふ。ミリカが助けてあげるから。 ‥‥ね? |
成: |
う‥‥うん。 (どうも、この子にはヨワい) |
ミ: |
ルーサー、っていうんだよ。 あのサルくん。 |
真: | る、るーさー‥‥。 |
成: |
ルーサー‥‥っていうの? あのサル。 |
ミ: | うん。 |
成: |
弁護士バッジを取られたんだ。 返してくれないか。 |
ミ: |
ルーサーにはねえ、 ミリカも困ってるんだよ。 |
成: | え。 |
ミ: |
ルーサー、ピカピカ光るモノを 持ってっちゃうの。おうちに。 |
真: | へええ。おもしろいねえ。 |
成: |
じゃあ、そのサルのうちに つれてってよ。 |
ミ: |
そうだねー。 トミーおじさんに聞くといいよ。 |
真: | え。‥‥どうして? |
ミ: |
あのねー。ルーサーは、 ミリカのお友だちじゃないから。 |
真: | えっ! |
ミ: |
だって、”猛獣”じゃないモン。 サルくんは。 |
真: | あー。そりゃそうか。 |
成: |
(トミーおじさん‥‥か。 あのピエロに、また 会わなくちゃならないのかよ) |
真: |
あの‥‥ ベンさんのことなんだけど。 |
ミ: |
ベンさん‥‥? ああ。リロくんと、 いつもいっしょにいるヒト? |
真: | いっしょに、って‥‥。 |
ミ: |
ミリカ、おつきあいを申しこまれ ちゃったの。‥‥リロくんに。 |
成: | ”リロくん”に? |
ミ: |
うん。リロくんて、 おもしろいでしょ? いなせだし、歌もじょうずだし。 ミリカ、大好き。 |
真: | あの。ベンさんは‥‥? |
ミ: |
ベンさんはカンケイないよ。 ミリカが好きなのは、リロくん。 |
成: | (アタマがいたくなってきた‥‥) |
真: |
ね。ね。ミリカちゃん、 プロポーズされちゃったんでしょ? |
ミ: |
プロポーズ? ‥‥ううん。それはまだだよ。 |
真: |
あれ、そうなの? ‥‥ヘンだね、なるほどくん。 |
成: |
マックスもリロくんも 宣言してたからなあ。 ”ケッコンするんだあ”って。 |
真: |
あ。でも、マックスは 団長さんに話しただけだから。 |
成: |
ああ。おヤクソクの ”娘さんをください”ってヤツ。 |
真: |
リロくんも、まだプロポーズは してないみたいだね。 |
ミ: |
わああ。 プロポーズしてくれるんだあ。 ミリカ、迷っちゃうよ。 ‥‥ねえ、真宵ちゃん! |
真: | え? なあに? |
ミ: |
真宵ちゃん、どっちがいいと思う? マックスと、リロくん。 |
成: |
‥‥で、でも‥‥。 人形だよ? リロくんは。 |
ミ: |
? ミリカは、そんなコト 気にしないけど。 |
成: | はあああ‥‥。 |
宿舎前 広場 | |
真: |
あれ。イトノコ刑事さん、 いなくなっちゃったね。 |
成: |
うーん。しばらく ほったらかしておいたからな。 さびしくなって 帰ったんじゃないか、警察。 |
宿舎1階 トミーの部屋 | |
ト: |
おッ! ”ヘタなシャレは、 やめなシャレ”のニイちゃん! |
成: | うッ! |
ト: |
いやー、”やめなシャレ”は よかったなあ、ニイちゃん! |
真: | よかったね、ニイちゃん! |
成: | うううううう。 |
ト: |
どした? 今度はウマいシャレでも 思いついたかい? ま、そこのナイスなイスに座って、 ゆっくり聞かせてよ。 |
真: |
あ。”ナイスなイス”って、 もしかして‥‥? |
ト: |
お。気がついた? 気がついた? もー、さすがおぢょーさん! わかってるねー。 ”笑い”のなんたるか! あひゃ。あひゃあひゃ。 あひゃひゃひゃあひゃひゃ! |
成: |
ミリカちゃん‥‥、 変わってますよね。 |
ト: |
ミリカか。‥‥イイ子だよ。 ピュアな、ね。 |
真: | ぴゅあ‥‥ですかあ。 |
ト: |
彼女、このサーカスで生まれて、 このサーカスで育ったんだ。 そとの世界を、まるで 知らないんだよ。 |
真: | はみちゃんといっしょだ‥‥ |
ト: |
彼女にとっては、サーカスという ”夢”が、そのまんま現実なんだ。 |
真: | ”夢”の世界‥‥。 |
ト: |
猛獣のダンス、空を飛ぶ魔術師、 ひょうきんなピエロ‥‥。 ‥‥それが、 彼女の現実のすべてなのさ。 |
成: |
(腹話術の人形とケッコンするのも 現実なのか‥‥?) |
ト: |
いいコトか悪いコトかなんて、 聞くなよ。 ピエロにはそんなの、 わかんないから。 |
成: | あの。ルーサーって知ってますか? |
ト: | ああ。あのサル。 |
成: |
ぼくの弁護士バッジ、 取られちゃったんですよ。 |
ト: |
あー。ヤッコさん、ピカピカ光る モノが大好きだからなあ。 あ。でもな、ゼッタイ 追いかけちゃダメだぞ。 |
成: | え。そうなんですか? |
真: |
あ! わかった! ”サルもの、追わず”ですね! |
ト: |
ピンポーン! ブラボー おぢょーさん! ブラボー! ま。それはいいとして。 あのな。ルーサーは、ミリカの ファミリーじゃないんだよ。 |
真: |
‥‥どなたの ふぁみりーなんですか? |
ト: |
‥‥そうだな。 連れてってやるよ。部屋に。 |
真: | え。これからですか? |
ト: | モチ。行くだろ? |
成: |
(他に、トミーさんに 聞いておくことはないかな?) |
宿舎3階 アクロの部屋 | |
成: | はあ、はあ‥‥。 |
ト: |
ここだ。 ‥‥どうした? ニイちゃん。 |
成: | い‥‥イキが‥‥。 |
ト: |
なさけないねー。3階まで、 階段をのぼっただけなのに。 |
成: | うう‥‥。 |
ト: |
とにかく、ここだ。 ‥‥アクロの部屋。 |
成: | アクロ‥‥? |
ト: |
アクロバットの芸人だ。 今日はちょっと、いないけどな。 |
真: |
あっ。あそこ。‥‥なんだか、 ガラクタがいっぱいあるよ! |
ト: |
ニイちゃんのガラクタも、 きっとあそこにあるよ。 ‥‥んじゃあな! |
真: | さよなら、トミーさん。 |
法廷記録にファイルした。 | |
真: |
うわあ‥‥。 フォークやらカガミやら、 光るモノがいっぱい! ヤケに安っぽいウデ時計も あるし‥‥ |
成: |
これは‥‥トロフィーか。 けっこう重いものもあるぞ。 |
真: |
あっ! なるほどくん、 あったよ! バッジ。 |
エリにもどした。 | |
成: |
ありがとう、助かったよ。 ‥‥‥ん? |
真: | どうかした? |
成: | これは‥‥。 |
真: | ゆびわ‥‥だね。 |
成: |
なにか、刻みこまれてるぞ。 ‥‥”RからMへ”か‥‥。 |
ポケットにしまった。 | |
成: |
‥‥さてと。そろそろ 調査は切り上げようか。 |
真: | 勝てる? 明日の法廷。 |
成: |
どんな証言が出てくるのか 想像がつかないからなあ。 (明日の証人は‥‥ やっぱり、トミーさんか? それとも、あの人形か‥‥) |
真: |
だいじょうぶ! こっちには 魔術師がついてるからね! |
成: | ‥‥だといいけど。 |