成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
テント内 食堂 | |
真: | うわ。きたないなあ。 |
成: |
きのうの夕食のあとだね、こりゃ。 ゆうべの事件で、かたづける ヒマもなかったんじゃないかな。 |
真: |
そういえば、トミーさん、 なんか言ってたよね。 |
成: |
きのうの朝、ここでマックスが ベンさんのアタマを殴った、とか。 |
真: |
それに、”おもしろいモノが アル・カポネ”って。 ね。なるほどくん。 ナニ? ”ある・かぽね”って。 |
成: |
‥‥知らなくても、 なんのモンダイもないよ。 |
真: | ふうん。 |
成: |
(‥‥ん? これは、 ジュースのビン、かな?) |
真: | あーあ。あぶないなあ。 |
成: |
でも、ふつうに落としたぐらいじゃ 割れないぞ、ビンなんて。 |
真: | じゃあ、なんで割れてるの? |
成: |
‥‥”おもしろいモノが アル・カポネ”‥‥か。 |
真: | ? |
成: |
どうやらもう一度、 会う必要がありそうだな‥‥彼と。 |
真: | かれ‥‥? |
法廷記録にファイルした。 | |
留置所・面会室 | |
マ: |
おお、ボクのハニイたち! ようこそ留置所へ! |
成: |
(‥‥やれやれ。 ついにハニイにされちまった) |
マ: |
それで? どうなんだいハニイ、ボクは? |
成: |
手がかりは、 かなり集まりました。 |
マ: |
んゴオオォォージャスゴージャス! ‥‥そして、ゴージャス。 |
成: |
それで‥‥。もう一度、あなたに 会う必要が出てきたんです。 |
マ: |
な、な、なんだ、なんだなんだ。 コワいカオはやめようよ。 |
成: |
じゃあ、ゴージャスに行きますよ マックスさん! |
真: |
マックスさんのこと、サーカスで いろいろ聞いてきたんです。 |
マ: |
ああ。あの時代おくれの 芸人たちかい。 |
真: |
マックスさん、 評判ワルいですよ? |
マ: |
ハッハッハッ。ハニイ。 それは、ジェラシイというんだ。 ボクの才能に対する、 シットなのさ。 でも、わかるヒトは、 ちゃんとわかってくれるんだよ。 |
成: | わかるヒト‥‥? |
マ: |
たとえば、ボクの スウィート・ハニイさ。 |
成: |
(もしかして‥‥ ミリカちゃんのコトか?) |
マ: |
彼女とね。ケッコンする つもりなんだよ、ボクは。 |
真: | うわあ! そうなんですか! |
マ: | ああ。決まってるんだ、もう。 |
真: | へえええええ。 |
成: |
(ヘンだな‥‥。ミリカちゃん ”いっぱい悩んでる”って‥‥) |
成: |
事件のあった夜、 団長に会ったんですよね? |
マ: |
そのとおり! 10時ごろにね、 練習が終わったんだ。 それで、すぐ団長の部屋に 行ったワケさ。 |
真: |
団長さんの死体、宿舎の前の広場で 見つかったんですよね‥‥。 |
マ: |
ああ。それなんだけどね。 彼、ボクとの話を中断して、 部屋を出て行っちまったんだよ。 |
真: | ‥‥え? |
団: |
『すまん、マックス。 ちょっと、急用があるんだ。 ここで待っていてくれんか』 |
マ: | 『ソトはサムいですよ?』 |
団: |
『すぐもどる。 10分もかからんと思うよ』 |
成: | ‥‥それで? |
マ: |
待っていたさ、ボクは。 そして彼は‥‥帰ってこなかった。 |
成: |
‥‥死体が発見された 広場に行ったんでしょうか。 |
マ: |
たぶんね。雪はやんでいたけど サムかったよ。 何しに行ったんだか‥‥。 |
マ: |
ゴージャスな魔術を 生み出すにはね。 カネがかかるんだよ。 ビックリするぐらいね。 |
真: |
それで出演料を上げてほしい、って おねがいしたんですね。 |
マ: |
ゴージャス! それでゆうべ、 彼の部屋に行った、ってワケ。 |
成: |
(‥‥人間てみんな、こんな平気な カオしてウソをつくのかな?) |
成: |
きのうの夜‥‥ 団長に会ったんですよね。 ギャラの交渉をした、とか。 |
マ: |
そうさ! 半年前に契約したときの ギャラじゃ、ナットクが‥‥ |
成: | 本当にそうだったんですか? |
マ: | な‥‥なんだって! |
成: |
本当にギャラの交渉をしに 行ったのか、聞いてるんです。 |
マ: |
ぼ、ボクはウソが大キライなんだ! ‥‥それともナニかい? ボクがゆうべ、ギャラの交渉を しなかった証拠でもあるのかい? |
マ: | ‥‥そ、それは‥‥! |
成: |
団長室のテーブルにありました。 たしかに、ギャラが グンと上がってますね‥‥。 |
マ: |
な、ナニかモンダイでも あるのかい? |
成: |
書類の日付です。 ‥‥1週間前になっています。 |
マ: | ‥‥‥‥。 |
成: |
マックスさん! ギャラの交渉は1週間前、 とっくに終わっていたんです! |
マ: | ‥‥ゴ‥‥ゴージャスゥゥゥ! |
マ: |
‥‥‥‥‥‥ オーケイ。話すよ。 あの夜! 呼び出されたんだ、 団長室に。 |
成: |
呼び出された‥‥? どうしてですか? |
マ: |
それはちょっと‥‥ 個人的な話だよハニイ。 |
成: |
(団長に呼び出された‥‥ 何か問題を起こしたのか?) もしかして、マックスさん。 |
マ: |
うう‥‥できれば そのハナシはしたくないなあ‥‥。 |
成: |
団長に呼び出されたのは、 この件じゃないですか? |
マ: | ベ、ベン‥‥か‥‥。 |
成: |
彼と、何かあったんじゃ ないですか? |
マ: |
ベ、ベツにそんな。 してないさ、ケンカなんて! |
成: |
ははあ‥‥やっぱりケンカを していたわけですね? |
マ: |
なな、なんだよ、その目は! ダレもそんなこと言ってないぞ! ボクたちがスゴいケンカをした という証拠でもあるのかい? |
成: | ‥‥これが証拠ですよ。 |
マ: | ど‥‥どこでそれを? |
成: |
食堂に決まってるじゃないですか。 ‥‥マックスさん。 これで殴ったんですね? ベンさんのアタマを。 |
マ: | ‥‥‥‥! |
成: |
だから、ビンは割れた。そして あなたは、団長に呼び出された! |
マ: |
んゴオオォォージャスゴージャス! ‥‥さらに、ゴージャス! |
マ: |
じつは‥‥昨日の朝メシのとき、 アイツとトラブルがあってさ。 |
成: | 腹話術師のベンさんですか? |
マ: | うーん‥‥まあ、そうだな。 |
真: |
どうしてケンカなんか? ベンさん、おとなしそうなのに。 |
マ: |
スウィート・ハニイのコト だったからね。 |
真: | ‥‥ミリカちゃん‥‥? |
マ: |
あんなガラの悪いヤロウが、 ボクのハニイにアイを語るなんて! ユルされてたまるかッ! |
真: |
”ガラの悪い”‥‥! ‥‥あの、ベンさんが? |
成: |
”アイを語る”‥‥! ‥‥あの、ベンさんが? |
マ: |
ま。カッとなっちまってね。 ちょっとコツンとやったわけだ。 それで、団長に呼ばれたんだけど、 ねがってもないチャンスだったね! |
成: | チャンス? |
マ: |
彼の部屋に行ってさあ。 言ってやったよ! ”ハニイをください”って。 |
真: | ええっ! |
マ: |
団長は言ったよ。 ”ああ、いいとも”ってね。 だから! スウィート・ハニイは ボクのモンなんだ! ダレがわたすかッ! |
成: | は、はあ‥‥。 |
マ: |
メンドウだから、アイツを ダマらせてやったよ! |
成: | (‥‥ダマらせた‥‥?) |
真: |
あの‥‥ ”ダマらせた”‥‥というのは? |
マ: |
ハニイたちは知らないんだっけ。 リロはね。ベンがいないと しゃべれないんだ。 |
真: | ‥‥リロ? |
マ: | 人形だよ。腹話術の。 |
成: |
そりゃあ‥‥ 人形はしゃべらないでしょう。 |
マ: |
だからさ。ちょいと、 かくしてやったんだよ。 ケーサツの連中に 連れてこられる前に、ね。 ‥‥つまらんコトを しゃべられたら困るからさ。 |
真: |
かくした‥‥ 腹話術の人形を、ですか? |
マ: | ああ。いいキミだね。 |
真: |
あの‥‥。 どこにかくしたんですか? |
マ: |
おや? ハニイ。 まさか、アイツの味方を するつもりなのかい? |
真: |
だって‥‥ベンさん、 ちょっとサビしそうにしてたから。 |
マ: |
ゴージャス! これでヤツも 思い知ったろう。 ‥‥オーケイ。リロは団長室に かくしておいた。 あいつに返してやっといて くれないか、ハニイたち。 |
真: |
はい! ありがとう、マックスさん! |
マ: |
フッ。困ってるヒトを見ると、 ほっとけないタチでね‥‥。 |
成: |
(じゃあ、はじめっから かくすなよ、人形‥‥) |
タチミ・サーカス 正門前 | |
真: |
あれ。‥‥いなくなっちゃったね、 ベンさん。 |
成: |
うーん。聞きたいこと、 あったのに‥‥。 |
真: |
サムいからね。テントの中に 入っちゃったのかも。 |
タチミ・サーカス テント内 | |
真: |
どうなのかな、なるほどくん。 あたしたち、ちょっとは 前に進んでるのかな。 |
成: |
オソロシイこと言うなよ。 進んでるだろ? そりゃ。 |
真: |
でもさ。団長さん、みんなから 好かれていたみたいだし、 現場の写真には ハンニンの足跡がないし‥‥ ‥‥ナゾだらけだよ。 |
成: | たしかになあ。 |
真: |
それに、ミリカちゃんも いなくなっちゃったし。 |
成: | それはカンケーないだろ。 |
テント内 団長室 | |
真: |
‥‥あいかわらず、 ゴチャゴチャしてるねー。 これだったら、もう1枚ぐらい ポスターがなくなっても‥‥。 |
成: | いやいやいや。やめておきなよ。 |
真: |
冗談だよ。マックスのポスターは もう、もらっちゃったし。 |
成: | やれやれ‥‥。 |
真: |
そういえばマックスさん、 言ってたよね。 この部屋にリロをかくした、って。 |
成: |
(リロ‥‥ ああ、腹話術の人形ね‥‥) |
真: |
わあ。かわいいトロフィーが いっぱいあるよ。 |
成: |
すごいね。いろんな賞を とってるんだ、このサーカス。 |
真: |
なになに。 ”町内クイズ王” ”団長杯ゴルフコンペ” ”大食い選手権優勝” ”ペット自慢グランプリ” ‥‥こぢんまりした ヒトだったんだね。 |
成: |
お‥‥。タナの下に 何か押しこまれてるぞ! ‥‥これは‥‥ |
真: |
それ、リロじゃない? ベンさんの人形! |
成: |
そうみたいだ。 あとで、返しておこうか。 |
真: | なんであたしが持つの! |