第3話『逆転サーカス』第2回法廷(その1)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 真宵…青
綾里 春美…黄緑
狩魔 冥…水
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
マックス…赤
ミリカ…黄
トミー…紺
ベン…灰
リロ…橙
アクロ…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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12月30日 午前 9時41分
地方裁判所 被告人第5控え室

真: マックスさん、
おはようございます!
マ: やや、やあ‥‥ハニイたち。
成: なんか、元気ないですね。
マ: ほ、本番前は、いつもこうだ。
気にしないでくれたまえ。
ミ: ‥‥ふふふ。
キンチョーしちゃダメだよ
マックス。‥‥はい、牛乳。
真: み、ミリカちゃん!
マ: おー、ゴージャス!
マイ・スウィート・ハニイ!
今日は、ボクのステージを見に?
ミ: うん!
トミーさんがね。
見ておいたほうがいいから、って。
成: (トミーさんが‥‥?)
ミ: ねえ。今日はどんなステージなの?
ヤッパリ、最後は飛ぶのかなあ。
マ: ‥‥え。
いや、その‥‥
なあ、ハニイたち。
真: はい?
マ: ボクのスウィート・ハニイは
もしかして‥‥?
成: 知らないみたいですね。
‥‥ここがどういう場所なのか。
マ: ジーザス‥‥
ミ: あ。そろそろ開演時間だ。
‥‥じゃ、あとでね。
ミリカ、今日はお客さまだから。
マ: ゴ、ゴージャス!
‥‥楽しんでくれたまえ‥‥
ミ: がんばってね。マックス!
真: ミリカちゃん、
‥‥やっぱり変わってるね。
ト: ぐっもおにん!
‥‥みなさん、
おはようサンバ!
成: と‥‥トミーさん。
ト: おはようサンバ!
成: ‥‥お、おはようサンバ。
ト: そ! そ! 朝は元気よく!
”早起きは3文の得”‥‥って、
3文ぽっちかよ! なーんて。
あひゃ。あひゃひゃ! あひゃ。
ホレ、マックス。牛乳1リットル。
マ: うぐおッ!
‥‥サ、サンキュウ。
ト: どうだいニイちゃん、今日は。
成: ええ。どうやら、真犯人と
対決することになりそうですよ。
ト: アクロ‥‥なのか?
真: え! そ、そうなの‥‥
ト: ‥‥気をつけろ。
アイツはいつも、ほそいロープの
上で、イノチを張ってきた。
‥‥ドキョウは一流だぞ。
成: わたってきたロープのほそさなら、
ぼくにも自信はありますよ。
‥‥おそらく彼には、
ゆさぶりは効かないでしょう。
真: え! ど、どうするの!
成: 今日は、いつもの
心理戦を捨てるよ。
‥‥証拠品。彼を追いつめるには、
証拠のチカラしかない。
真: うう‥‥キビシイなあ‥‥。
ト: ‥‥とにかく、たのむぜ。
ミリカに見せてやってくれ。
殺人事件の”現実”を、
たっぷりとな。
真: ‥‥ミリカちゃんに?
ト: ‥‥そのために、今日は
あの子を連れてきたんだ。
マ: ど‥‥どういうコトだい?
ト: 人は、死んだって星にはならない。
時代おくれのピエロだって、
そんなの信じてない、ってコトさ。


同日 午前10時
地方裁判所 第2法廷

裁: マックス・ギャラクティカの
法廷を開廷します。
冥: 検察側、準備完了しているわ。
成: 弁護側、準備完了しています。
裁: ‥‥では、狩魔検事。
冒頭弁論をおねがいします。
冥: ‥‥検察側は、意見を
変えざるをえなくなったわ。
裁: ど‥‥どういうことですか?
冥: 新しい証人が現れた。
‥‥彼もまた、目撃しているの。
‥‥マックス・ギャラクティカが、
犯行現場から飛び去るところを。

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に、静粛に!
‥‥なんとなく、こうなる
ような気がしていました。
冥: 検察側には、被告が飛び去った
方法を説明する用意がある。
‥‥必要となれば、
のちほど提出するわ。
ウチの刑事に、
徹夜で模型を作らせたの。
成: (かわいそうなイトノコ刑事‥‥)
裁: では、さっそく証人を
入廷させてください!
成: (いよいよ、始まる!
ツナわたりの法廷が‥‥)

冥: ‥‥証人。名前と、職業を。
ア: 木下 大作。みなさんからは
”アクロ”と呼ばれています。
タチミ・サーカスで、
アクロバットをやってました。
冥: 証人。事件当夜は、どこに‥‥?
ア: はい。自分の部屋にいました。
冥: 上面図でわかるとおり、証人の
部屋は、事件の現場付近にある。
ア: オレの部屋は3階にあります。
現場は、窓の下だったんです。
裁: ふむう‥‥。
冥: 事件当夜、証人は
オドロクべきものを目撃した。
‥‥それを
証言してもらいましょう。
ア: わかりました。

(目撃したこと)
ア: 『午後10時をすぎていました。
オレ、ベッドで休んでいました。』(証言1)
『そのとき、窓の下で”ドカッ”て
大きな音がしたんです。』(証言2)
『しばらくすると‥‥窓のそとを、
人間が‥‥通りすぎていきました。』(証言3)
『マックス・ギャラクティカ‥‥
うしろ姿だけど、そう見えました。』(証言4)
『そのときは、ユメだ、って
思ってたんですけどね‥‥。』(証言5)
裁: ふむう‥‥きのうのピエロの証言と
ピッタリ一致しますね‥‥。
冥: こうなると、検察側としても
さすがにムシできないわ。
‥‥あとは、犯人が空に消えた、
その方法を説明するだけ。

(成歩堂「待った!」)
成: その前に‥‥
尋問をさせていただきます。
冥: ‥‥バカゆえに
バカを演じるバカの悲しさ‥‥。
オトコは引きギワが
カンジンよ、成歩堂 龍一。
‥‥あなたのお友だち、
御剣 怜侍のようにね。
成: ‥‥‥‥
裁: 弁護人。
今の証言に、何か問題でも?
成: きのうの検察側のコトバを、
そのまま返します。
人は、空を飛びません!
裁: ‥‥わかりました。
では、尋問をおねがいしましょう。

(「証言4」をゆさぶる)
成: 部屋の電気は
消えていたんですよね?
ア: ええ。
‥‥寝ていましたからね。
成: それなのに、その人影が
ハッキリ見えたんですか?
ア: 常夜灯の明かりに
浮かび上がっていました。
たしかに、見えたのは
リンカクだけです。
うしろ姿でしたから、
白いバラも見えませんでした。
裁: ‥‥他のシンボルは
いかがでしたか?
ア: シルクハットのかざりも、マントを
つけた体つきもハッキリ見ました。
オレが見たのは‥‥
マックスの人影でした。
裁: ‥‥ふむう‥‥
成: (ゆさぶればゆさぶるほど、
追いつめられていくな‥‥
今の発言は‥‥どうだ?)

(「ムジュンしている」を選択)
成: 今の証言には、大きな
ムジュン点があります!

(狩魔冥「異議あり!」)
冥: ムジュンがあるのなら
証拠品に語らせなさい!
裁: ‥‥ふむう‥‥そうですね。
見せていただきましょうか。
今の発言にムジュンする
証拠とは、なんですか?

(「シルクハット」を選択)
成: あなたも、見たわけですね。
トミーさんと同じモノを‥‥
ア: ‥‥どういうことですか?
成: シルクハットです。
ア: それがどうかしましたか?
成: ‥‥あなたは、窓から下を
のぞいてみるべきでしたね。
ア: オレ、今はこんなカラダ
ですからね。
窓のそとを見るのも、
けっこう大変なんですよ。
成: これは、現場にころがっていた
シルクハットです。
ア: それは‥‥
団長のもの、では‥‥?
成: どう見ても、
マックスのシルクハットです。
裁: これはいったい、
どういうことですか!
マックスさんの
シルクハットが‥‥2個!
成: シルクハットは特注で、
この世に1つしかありません。
ということは‥‥アクロさん。
あなたはどこかで、
ウソをついているのです!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に!

(狩魔冥「異議あり!」)
冥: ‥‥いつものコトながら、
考えなしにしゃべるオトコね。
真: だ、だいじょうぶ?
なるほどくん‥‥。
成: ‥‥言っちゃったからには、
攻めるしかないね。
裁: 弁護人。うかがいましょうか。
この証人がウソをつく理由は
なんですか‥‥?

(「アクロが真犯人」を選択)
成: ‥‥裁判長!
この際、弁護側は
アクロ氏を告発します!
冥: ”この際”‥‥?
裁: こ‥‥”告発”ですって!
いったい、なんの‥‥
成: モチロン、立見 七百人
殺害の真犯人として、です!

(ざわめきが起こる)
裁: ほ‥‥ホンキですか
成歩堂くん!
成: ‥‥はい。
冥: ふっふっふっ‥‥
サーカスに出入りするうち、
観客のココロをつかむ
コツをおぼえたみたいね‥‥
成: ‥‥!
冥: 裁判長。
‥‥おどろくにはあたらないわ。
傍聴人の気を引こうとする、
むなしいハッタリよ。
裁: そ‥‥
そうなのですか‥‥?
冥: その証拠に、
証人をごらんなさい。
‥‥ニクらしいほど
落ちついてるわ。
成: (うう‥‥マユひとつ、
動かさないぞ‥‥)
裁: 証人。‥‥弁護人の告発に対して、
何か言いたいことは‥‥?
ア: ‥‥何も言う必要はないでしょう?
裁: ど、どういうことですか?
ア: みなさん。オレを見てください。
ひとりじゃ、宿舎を出ることは
おろか、立つこともできない。
裁: ‥‥た‥‥たしかに。
ア: 弁護士さんが、マックスを
助けたいのはリカイできます。
でも‥‥よりによって、
このオレを犯人だなんて‥‥
冥: そのとおり!
ヒジョーシキにもほどがあるわ!

そうだ! ヒドいぞ!

ケガ人に、なんてコト言うんだ!
冥: ‥‥わかった? 成歩堂 龍一。
傍聴人を味方につけるなら、
こういうふうにやるものよ。
成: ‥‥うう。
冥: おあそびはここまでよ。
証人が立てないことについては、
医師の証明書があるわ!
それとも弁護人は、
こう主張するつもり?
”アクロ氏には共犯者がいた”
‥‥とでも!
裁: どうなんですか弁護人!
この犯行には、共犯者が‥‥?

(「もちろん、いない」を選択)
冥: さあ! 共犯者の名前を
聞かせてもらおうかしら!
成: ‥‥ムダだ、狩魔検事。
冥: な‥‥ナニッ!
成: その手にはもう、乗らない。
裁: ど‥‥どういうことですか、
成歩堂くん!
成: 共犯者などいない!
これは、アクロさん1人が計画し、
そして実行した事件なのです!

(ざわめきが起こる)
裁: せ‥‥静粛に! 静粛に!
こ、これはいったい‥‥、
その、なんというか‥‥
真: なるほどくん!
成: ‥‥ここからは、一気に
立証しなければならない。
”アクロさんがどうやって、
立見団長を殺害したか?”‥‥
真: ‥‥できるの?
そんなコト‥‥!
成: 立ち止まるワケにはいかない。
攻撃をやめたら‥‥負ける!
真: ようし‥‥
いっちょ、やるよ!
冥: 成歩堂 龍一‥‥。
この証人が犯人なら、さっきの
目撃証言はウソ、というワケね?
裁: ふむう‥‥では、弁護人。
まず、教えてください。
事件が起こったとき、
アクロさんは、どこにいたのか?

(「アクロの部屋」を選択)
成: ‥‥もちろん、ここです。
裁: そこは‥‥
あ、アクロさんの部屋‥‥?
成: ‥‥カンタンなことです。
アクロさんは、ひとりでは
宿舎から出られなかった。
‥‥それならば、コタエは1つ。
アクロさんは部屋から出ることなく
立見団長を殺害したのです!
冥: ナニをバカなッ!
裁: 証人! いかがですかッ!
ア: ‥‥‥‥‥‥‥‥
おもしろいですね。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
あの。それだけですか。
ア: だって‥‥そんなこと、
ムリですからね。

(ざわめきが起こる)
裁: ふむう‥‥。成歩堂くん。
成: はい。
裁: 証人が言うとおり‥‥
あなたの主張にはムリがあります。
車イスに座ったまま、現場にも
行かずに、犯行をなしとげた‥‥。
成: ええ‥‥そうなります。
冥: 忘れているようね‥‥
成歩堂 龍一。
現場では、被告のすがたが
ハッキリ目撃されているのよ。
真: そ、そうだよ!
トミーさんも、言ってたじゃない!
マックスが‥‥
成: ‥‥でも、真宵ちゃん。
人間は空を飛ばないよ。
ア: ‥‥1つ、聞いていいですか?
成: なんでしょう。
ア: ”オレが、団長を‥‥”
それはわかりました。
‥‥でも。
いったい、どうやって?
部屋から出られず、もちろん
マックスの衣装も着られない‥‥
成: (そう‥‥”どうやって?”
それが、次のポイントだ‥‥)
真: だいじょうぶ?
ここでまちがったら‥‥
成: (たしかに‥‥
よく考えなければ!
アクロさんは、自分の部屋に
いながらにして‥‥
‥‥立見団長を殺害した!
それはマチガイない‥‥)
裁: では、アクロ氏の犯行の方法を
示してください!

(「証拠品を提出する」を選択)
成: ‥‥わかりました。
では、証拠品をお見せします!
裁: アクロ氏は、何を使って
被害者を殺害したのですか?

(「マックスの胸像」を選択)
裁: なんですか、それ。
写真、ですか‥‥?
成: ‥‥もちろん、問題は
これに写っているシロモノです。
裁: 胸像‥‥ですか。
成: 等身大のね。
‥‥かなりの重量があります。
冥: ‥‥重量‥‥?
成: まちがいなく死ぬでしょうね。
‥‥3階の窓から、
こんなのが落ちてきたら。
冥: ‥‥ああああッ!
ア: ‥‥‥‥‥‥
成: そう! アクロさんは、
コイツで団長を殺害したんです!
マックスの胸像と、
そして‥‥重力で!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に!
胸像を‥‥
”落とした”ですってェ!
成: ‥‥シンプルな犯行です。
これならば、車イスに
座っていても‥‥

(狩魔冥「異議あり!」)
冥: そんな大きなものを持って、
車イスの操作など不可能よ!

(成歩堂「異議あり!」)
成: アクロさんは
アクロバットの芸人です!
これぐらいの像をはこぶのは、
たやすいでしょう!
裁: 証人! アクロさん!
‥‥い、いかがですか‥‥?
ア: ‥‥そうですね‥‥
真: アクロさんが‥‥
コトバに詰まったよ!
成: (そりゃそうだろう‥‥
ズバリ、核心だからな!)
さあ、アクロさん!
もう、今度こそ逃げられ
いててッ!
冥: ‥‥そうは行かないわ、
成歩堂 龍一‥‥!
成: な‥‥なんだと!
冥: 裁判長! 証人の身体能力は、
重要なポイントよ。
本人の口から、セイカクに
証言させることを要求するわ。
裁: ‥‥ふむう‥‥
証言、ですか‥‥。
成: (狩魔のヤツ‥‥
”証言”というカタチをとって、
時間をかせぐつもりだな!)

(成歩堂「異議あり!」)
成: その必要はありません!

(狩魔冥「異議あり!」)
冥: 弁護側が犯行方法を提示した!
検察側には反証するケンリがある!
裁: ‥‥弁護側の異議を却下します。
成: (しまった‥‥!)
裁: 証人。申しわけありませんが、
身体状況を証言してください。
ギモンがある場合は、医師の
出廷を求めることになります。
冥: ‥‥証人。アセることはない。
ゆっくり証言するといいわ。
ア: ‥‥ありがとうございます。
成: (くそッ! 追いつめる
チャンスだったのに‥‥)


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