第4話『さらば、逆転』探偵パート1日目(その1)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
綾里 春美…黄緑
御剣 怜侍…茶
狩魔 冥…水
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
堀田(自称)…黄
荷星 三郎…紺
オバチャン…灰
大沢木 ナツミ…橙
王都楼 真悟…紫
華宮 霧緒…藤
虎狼死家 左々右エ門…桃
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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さあ、お待たせしましたァッ!
‥‥いよいよ本年度、全日本
ヒーロー・オブ・ヒーロー‥‥
グランプリの発表ですッ!
去年、惜しくも敗れた
忍者ナンジャがいます!
サイパンからやってきた、
キャプテン・サイパン!
『正義学園4年2組』のみんなも
せいぞろいだッ!
ナゾのエスニック・ヒーロー、
オニャンコポンも健在です!
‥‥勝利の女神がほほえむのは
はたして、どのヒーローなのかッ!
それでは、発表しますッ!
第3回・ヒーロー・オブ・ヒーロー
グランプリは‥‥
ソレガシなりィィィィッ!
うおおおおおおッ!
突然現れた、われらがヒーロー!
今年のグランプリこそ、
この戦士!
大江戸戦士‥‥
トノサマン・丙(へい)!
忍者ナンジャ、今年も受賞を
逃しました‥‥ッ!


3月20日 午後 7時42分
ホテル・バンドー すみれの間

真: やった! やったよなるほどくん!
トノサマンが! トノサマンがぁ。
成: よかったねえ。
‥‥いやまったく。
荷: いやあ。ボクもOBとして
ハナが高いですよ。
春: あ、あの。どうやらみなさんの
ごヒイキの殿方が、
賞をおもらいになったのですね?
真: そうだよ!
はみちゃん、知らないの?
<<トノサマン・丙(へい)!>>。
春: はい。わたくし、日曜日はもっぱら
『世界こども名作劇場』を‥‥。
真: ダメだよ、はみちゃん。
ヤングはみんな、トノサマンなの!
春: なるほどくんもやはり、
トノサマンがお好きなのですか?
真: あー、ダメダメ。なるほどくん、
もうヤングじゃないから。
成: そうだな。ぼくは『世界こども名作
劇場』のほうが好きだけど。
真: うわあ。
お子さまだねー、なるほどくんは。
春: まあ! ダメです、なるほどくん!
いとしいヒトには、ムリヤリでも
シュミを合わせる。
‥‥大切なコトです。
真: も、もう!
はみちゃん、そればっかり!
荷: 今日はみなさんを招待して、
大正解でした。
よろこんでもらえたみたいで。
真: もお、ユメみたいですッ!
荷: でも、忍者ナンジャは
キノドクでしたね。
去年も、ヒメサマンに賞を
持って行かれたから、
今年こそは、と
思っていたのですが‥‥。
真: そうですねー。
あ。でも、今日の忍者ナンジャ‥‥
ちょっと、ヘンだったなあ。
春: ヘン、といいますと?
真: うん。持ってなかったの。
‥‥まっかなギター。
荷: お。そういえば。
‥‥トレードマークなのに。
成: (‥‥やれやれ。ほっとくと
いつまでも盛り上がっているぞ)
とにかく、荷星さん。今日は
ありがとうございました。
荷: きょ、恐縮です。成歩堂さんには
ホント、カンシャしてますから。
真: なるほどくん! そろそろ
ロビー行こうよ、ロビー!
受賞記念のアトラクション・ショー
があるんだよ!
荷: ショーのあとには、
記者会見もあるそうですから。
成: 記者会見?
‥‥受賞のコメントですか?
荷: いえ。‥‥なんだか、告白が
あるらしいです。トノサマンから。
成: コクハク‥‥?
また、たいそうなハナシですね。
真: もう! なるほどくん!
ぐずぐずしない!
春: ダメですよ。
ぐずぐずしては。
成: (やれやれ。ショーが始まるまで、
まだ20分もあるぞ‥‥)

(「荷星のこと」を聞く)
成: 今日は招待してくださって、
ありがとうございます。
荷: は。いや、きょ、恐縮です。
みなさん、こういうところに来る
機会は、あまりなかろうかと。
真: ね。ね。ニボサブさん!
今は何をしてるんですか?
荷: はい。先月で、ヒメサマンが
ブジ終了しまして、
今はコドモ番組で、体操の
お兄さんをやってます。
‥‥ウサギさんのマスクを
かぶって。
真: へええ。
荷: 成歩堂さん。そのせつはホント、
お世話になりました。
成: い、いえ。どういたしまして。
(この人は、荷星 三郎さん。
アクション俳優だ。
<<大江戸戦士 トノサマン>>で
人気がバクハツした。
ぼくと真宵ちゃんが
初めて弁護したヒトでもある)
真: カオに似合わず、子ども好きで
ヤサシイ人なんだよね。
荷: きょ、恐縮です。

(「トノサマン丙!」を聞く)
成: まさか映画になるとは思いません
でしたよ。トノサマン。
真: あたしは信じてたけどね。
成: 大江戸戦士・トノサマン。
ネオ・エドシティを舞台に、
宿敵・怪人アクダイカーンと
死闘をくり広げるヒーローの物語。
去年から始まった新シリーズが、
<<トノサマン・丙(へい)!>>
こちらもまた、子供たちに
大人気らしい。
荷: トノサマンは、ボクにとっても
思い入れの強い番組だったので、
できれば、またボクが
やりたかったんですケド‥‥。
真: しかたないですよ。
王都楼 真悟(おうとろうしんご)
‥‥今、人気急上昇中ですから。
春: オオトロ‥‥さん、ですか。
成: (春美ちゃんは
知らないみたいだな)
真: 今年は映画で対決だったんだよ。
トノサマンと忍者ナンジャ。
成: ‥‥にんじゃなんじゃ?

(「忍者ナンジャ」を聞く)
成: ナニ? 忍者ナンジャって。
真: やっぱり、ヒーローだよ。
ハデでまっかなギターがシンボル。
成: (ハデでまっかなギターをかかえて
忍者がつとまるのか‥‥?)
真: ジマンのノドとギターを武器に、
室町のスターダムにのしあがるの。
成: ‥‥忍者が? スターダム?
真: うん。忍者が。スターダム。
荷: ずーっとライバル関係なんですよ。
英都プロのトノサマンと、
光映プロの忍者ナンジャ。
‥‥放映時間がかさなって
いるものでして。
真: なんかね。
スゴく仲がワルいんだって。
トノサマン・丙のオートロと、
忍者ナンジャ。
成: (オートロ‥‥王都楼 真悟か)
‥‥ヒーローの世界も、
なんかドロドロしてるんですね。
荷: きょ、恐縮です‥‥。

(「控え室前・ろうか」に移動する)


同日 某時刻
控え室前 ろうか

成: うわ。なんだここ。
ヘンなトコにまよいこんだな。
‥‥奥に、トイレのドアが
見えるぞ。
ショーを見に行く前に、
寄っておこうかな‥‥?

(「すみれの間」に移動する)
荷: ‥‥ああ。そろそろ時間ですね。
アトラクション・ショー。
真: わあ、たのしみだなあ!
今日は出るかな?
”トノサマン・ザ・ご乱心”。
荷: ボクはどちらかというと、
記者会見のほうが気になります。
真: ショーのあとに、トノサマンが
コクハクする、ってヤツですよね?
ニボサブさん、知らないんですか?
荷: は。いえ、ボクはもう
トノサマンじゃありませんから。
真: つまんないの。
荷: きょ、恐縮です。
あ、成歩堂さんたちも
聞きませんか? その記者会見。
真: 聞きたいッ!
荷: じゃあこれ、あげますね。
記者会見の整理券です。

<<整理券>>を法廷記録に挟んだ。
成: どうもすみません。‥‥じゃ、
とりあえずロビーに行こうか。
春: あ。こちらみたいですよ、
なるほどくん!
真: よーし。たたかうぞお!

(「ホテル・ロビー」に移動する)


同日 某時刻
ホテル・バンドー ロビー

成: うーん。ゴウカなホテルだけあって
ロビーも大げさだなあ。
春: あ。あそこでやるのですね。
アトラクション・ショー。
成: ステージはこぢんまりしてるね。
真: うう‥‥ウデが鳴るなあ。
成: (真宵ちゃん、たたかう気
マンマンだな‥‥)

ロビーにお集まりのみなさまに
お知らせします。
トノサマン・丙! 受賞記念
アトラクション・ショーは、
つごうにより
中止させていただきます。
真: うええええ。どうしてよッ!
成: いてて。つねるなって。

みなさまに、ご協力を
おねがいいたします。
その場からはなれないように
してください。
‥‥これは、警察からの要請です。
春: ‥‥‥‥!
成: け‥‥ケーサツ、
って言ったよな? 今。
荷: ちょ、ちょっと
見てきましょうか? ボク。
成: あ。それなら、ぼくも‥‥
?: 待ちなッ!
アンタたちッ!
放送が聞こえなかったのかい!
”動くな”って
言われたばっかりじゃないのサ!
真: こ、この声。
‥‥どこかで‥‥
?: まったくアレだョ。今の若い子は、
ヒトの話を聞かないネ。
この前もそうサ。コワれかけた橋の
そばに、『この橋わたるべからず』
って書いてあったワケ。それなのに
ちっこいボウズアタマのコゾウがサ
わたろうとしてんのョ。オバチャン
シンセツに”アブナイョ”って言っ
てるのに聞きゃしないんだからネ。
”ハシじゃなくて真ん中をわたれば
いいんです”とか言いやがるワケ。
ジョーダンじゃないっつーのホント
ナマイキなコト言ってんじゃないョ
オバチャンたたき落としてやったネ
まったくザマァないやネいやホント
荷: こ、このマシンガントーク‥‥
真: も、もしかして
‥‥オバチャンですか?
オ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
なんだいアンタたち。
オバチャンを知ってるのかい!
‥‥って、アンタ!
ニボシじゃないのサ!
荷: は、はあ。そのせつは‥‥
オ: アンタ、今年はノミネートも
されてないんじゃないのかい?
たしかアレだ。コドモ相手の番組で
いいヒトぶって体操してるんだろ?
荷: は、はあ。
おかげさまで‥‥
オ: いやいや笑わせるねェ。そのツラ
ぶらさげて”おニイさん”とはねェ
ああ、マスクしてるからカオは見え
ないんだっけ。しかもウサギのお面
ケッサクだネまったく。でもサ。
そうでもしなきゃテレビがホレ、
ぶっコワれちまうしネ。ホント、
アンタのまわりで体操してるコドモ
たちのほうこそいいツラのカワだっ
ての。マッタクこれがサ。
成: ‥‥あ、あの。
こんなところでナニを?
オ: 見りゃわかるでショ。
警備員ョ。
真: でも、そのカッコ‥‥
オ: うるさい子だね。撃つよ!

カタカタカタカタ‥‥

(「オバチャンのこと」を聞く)
成: オバチャン、
どうしてこんなところに?
英都撮影所のほうは‥‥?
オ: ああ。英都撮影所ネ、あれから
さらにヒトが減らされてサ。
警備チームからは、オバチャンが
ホッポリだされたのョ。
真: 何かやっちゃったんですか?
オ: ナニもしてないョッ!
‥‥ただ、あったろ?
1年前の、あの事件。
オバチャンがサッソウと
証言台に立ってサ。
成: ああ‥‥。
オ: アンタ、イジめてくれたじゃない?
この、か弱いオバチャンのコト。
成: え。
オ: どうやらアレがネ。上の連中の
気にさわったみたいでサ。
‥‥そうだョ!
ゼーンブ、アンタのせいだョ!
成: ぼぼ、ぼくですか?
オ: 最初は、ぼでーがーどでも
やろうかとも思ったワケ。
真: ボディーガード?
オ: アンタのトモダチのさ。
赤くてヒラヒラのイイオトコ。
真: 御剣検事のコトかな?
オ: でもサ。
御: 『そのようなアレは、困る。』
オ: ‥‥とか言われちゃってサ。
オバチャン、セツないよッ!

カタカタカタカタ‥‥

(「何があったか?」を聞く)
真: あの‥‥。
何があったんですか?
オ: くわしいコトは知らないケド。
‥‥でもサ。なんか、
また起こったみたいだョ。事件。
荷: じ、事件‥‥ですか?
オ: あー。オバチャン、
魔性のオンナだからねェ。
オバチャンの行くところ、
血の雨がドシャ降るワケよ。
成: ‥‥警備員、やめたほうが
いいんじゃないですか?
オ: ウッサイ子だネ!

カタカタカタカタ‥‥
真: ‥‥ね。ね。なるほどくん。
成: な、なんだよ、
そのキケンなほほえみは。
真: ちょっとホラ、トイレ行くフリして
探検してこようよ!
成: だ、ダメだよ。”動くな”
って言われてるだろ?
真: えー! つまんないよー。
ロマンのないオトコなんて
モテないんだからね!
春: あ。なに? なんですか? また、
真宵さまを困らせてるんですか?
成: (うう。メンドウな子が
出てきちゃったよ‥‥)
真: 聞いて聞いて、はみちゃん。
なるほどくんったらさあ。
成: わわ、わかったよ。
ちょっと見てこよう。
真: わあい!
さすが、なるほどくん。
春: そうですとも。
なるほどくんは、真宵さまのため
なら、いつも火の中、水の中です。
成: (”たとえ”火の中、水の中
‥‥なんだけど。フツーは)
真: さ。行こ行こ。
はみちゃんもおいで。
春: はい! おともします。

(「すみれの間」に移動する)


同日 某時刻
ホテル・バンドー すみれの間

成: ‥‥特に変わったことはないね。
春: おばさまは”事件があった”って
おっしゃってましたよね?
成: ここじゃないみたいだ。
他のところ、行ってみるか。
真: よし! じゃあ、今度は‥‥
ボ: ‥‥シツレイですが。
真: きゃっ!
ボ: 綾里 真宵サマ‥‥
でございますか。
真: あ。はい‥‥
あたしですけど。
ボ: お電話が入っておりますので、
フロントへおねがいします。
真: でんわ?
‥‥倉院の里のヒトかな。
春: どうしましたか、真宵さま?
真: ううん。なんでもないよ。
‥‥先に行ってて。
春: はい。わかりました。
ボ: 綾里サマ。
こちらでございます。
春: では、なるほどくん。
他の場所を見に行ってみましょう。
成: うん、そうだね。
春: ちょっと、どきどきします‥‥。

(「控え室前・ろうか」に移動する)


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