成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
さあ、お待たせしましたァッ! ‥‥いよいよ本年度、全日本 ヒーロー・オブ・ヒーロー‥‥ グランプリの発表ですッ! 去年、惜しくも敗れた 忍者ナンジャがいます! サイパンからやってきた、 キャプテン・サイパン! 『正義学園4年2組』のみんなも せいぞろいだッ! ナゾのエスニック・ヒーロー、 オニャンコポンも健在です! ‥‥勝利の女神がほほえむのは はたして、どのヒーローなのかッ! それでは、発表しますッ! 第3回・ヒーロー・オブ・ヒーロー グランプリは‥‥ 突然現れた、われらがヒーロー! 今年のグランプリこそ、 この戦士! 大江戸戦士‥‥ トノサマン・丙(へい)! 忍者ナンジャ、今年も受賞を 逃しました‥‥ッ! | |
ホテル・バンドー すみれの間 | |
真: |
やった! やったよなるほどくん! トノサマンが! トノサマンがぁ。 |
成: |
よかったねえ。 ‥‥いやまったく。 |
荷: |
いやあ。ボクもOBとして ハナが高いですよ。 |
春: |
あ、あの。どうやらみなさんの ごヒイキの殿方が、 賞をおもらいになったのですね? |
真: |
そうだよ! はみちゃん、知らないの? <<トノサマン・丙(へい)!>>。 |
春: |
はい。わたくし、日曜日はもっぱら 『世界こども名作劇場』を‥‥。 |
真: |
ダメだよ、はみちゃん。 ヤングはみんな、トノサマンなの! |
春: |
なるほどくんもやはり、 トノサマンがお好きなのですか? |
真: |
あー、ダメダメ。なるほどくん、 もうヤングじゃないから。 |
成: |
そうだな。ぼくは『世界こども名作 劇場』のほうが好きだけど。 |
真: |
うわあ。 お子さまだねー、なるほどくんは。 |
春: |
まあ! ダメです、なるほどくん! いとしいヒトには、ムリヤリでも シュミを合わせる。 ‥‥大切なコトです。 |
真: |
も、もう! はみちゃん、そればっかり! |
荷: |
今日はみなさんを招待して、 大正解でした。 よろこんでもらえたみたいで。 |
真: | もお、ユメみたいですッ! |
荷: |
でも、忍者ナンジャは キノドクでしたね。 去年も、ヒメサマンに賞を 持って行かれたから、 今年こそは、と 思っていたのですが‥‥。 |
真: |
そうですねー。 あ。でも、今日の忍者ナンジャ‥‥ ちょっと、ヘンだったなあ。 |
春: | ヘン、といいますと? |
真: |
うん。持ってなかったの。 ‥‥まっかなギター。 |
荷: |
お。そういえば。 ‥‥トレードマークなのに。 |
成: |
(‥‥やれやれ。ほっとくと いつまでも盛り上がっているぞ) とにかく、荷星さん。今日は ありがとうございました。 |
荷: |
きょ、恐縮です。成歩堂さんには ホント、カンシャしてますから。 |
真: |
なるほどくん! そろそろ ロビー行こうよ、ロビー! 受賞記念のアトラクション・ショー があるんだよ! |
荷: |
ショーのあとには、 記者会見もあるそうですから。 |
成: |
記者会見? ‥‥受賞のコメントですか? |
荷: |
いえ。‥‥なんだか、告白が あるらしいです。トノサマンから。 |
成: |
コクハク‥‥? また、たいそうなハナシですね。 |
真: |
もう! なるほどくん! ぐずぐずしない! |
春: |
ダメですよ。 ぐずぐずしては。 |
成: |
(やれやれ。ショーが始まるまで、 まだ20分もあるぞ‥‥) |
成: |
今日は招待してくださって、 ありがとうございます。 |
荷: |
は。いや、きょ、恐縮です。 みなさん、こういうところに来る 機会は、あまりなかろうかと。 |
真: |
ね。ね。ニボサブさん! 今は何をしてるんですか? |
荷: |
はい。先月で、ヒメサマンが ブジ終了しまして、 今はコドモ番組で、体操の お兄さんをやってます。 ‥‥ウサギさんのマスクを かぶって。 |
真: | へええ。 |
荷: |
成歩堂さん。そのせつはホント、 お世話になりました。 |
成: |
い、いえ。どういたしまして。 (この人は、荷星 三郎さん。 アクション俳優だ。 <<大江戸戦士 トノサマン>>で 人気がバクハツした。 ぼくと真宵ちゃんが 初めて弁護したヒトでもある) |
真: |
カオに似合わず、子ども好きで ヤサシイ人なんだよね。 |
荷: | きょ、恐縮です。 |
成: |
まさか映画になるとは思いません でしたよ。トノサマン。 |
真: | あたしは信じてたけどね。 |
成: |
大江戸戦士・トノサマン。 ネオ・エドシティを舞台に、 宿敵・怪人アクダイカーンと 死闘をくり広げるヒーローの物語。 去年から始まった新シリーズが、 <<トノサマン・丙(へい)!>> こちらもまた、子供たちに 大人気らしい。 |
荷: |
トノサマンは、ボクにとっても 思い入れの強い番組だったので、 できれば、またボクが やりたかったんですケド‥‥。 |
真: |
しかたないですよ。 王都楼 真悟(おうとろうしんご) ‥‥今、人気急上昇中ですから。 |
春: | オオトロ‥‥さん、ですか。 |
成: |
(春美ちゃんは 知らないみたいだな) |
真: |
今年は映画で対決だったんだよ。 トノサマンと忍者ナンジャ。 |
成: | ‥‥にんじゃなんじゃ? |
成: | ナニ? 忍者ナンジャって。 |
真: |
やっぱり、ヒーローだよ。 ハデでまっかなギターがシンボル。 |
成: |
(ハデでまっかなギターをかかえて 忍者がつとまるのか‥‥?) |
真: |
ジマンのノドとギターを武器に、 室町のスターダムにのしあがるの。 |
成: | ‥‥忍者が? スターダム? |
真: | うん。忍者が。スターダム。 |
荷: |
ずーっとライバル関係なんですよ。 英都プロのトノサマンと、 光映プロの忍者ナンジャ。 ‥‥放映時間がかさなって いるものでして。 |
真: |
なんかね。 スゴく仲がワルいんだって。 トノサマン・丙のオートロと、 忍者ナンジャ。 |
成: |
(オートロ‥‥王都楼 真悟か) ‥‥ヒーローの世界も、 なんかドロドロしてるんですね。 |
荷: | きょ、恐縮です‥‥。 |
控え室前 ろうか | |
成: |
うわ。なんだここ。 ヘンなトコにまよいこんだな。 ‥‥奥に、トイレのドアが 見えるぞ。 ショーを見に行く前に、 寄っておこうかな‥‥? |
荷: |
‥‥ああ。そろそろ時間ですね。 アトラクション・ショー。 |
真: |
わあ、たのしみだなあ! 今日は出るかな? ”トノサマン・ザ・ご乱心”。 |
荷: |
ボクはどちらかというと、 記者会見のほうが気になります。 |
真: |
ショーのあとに、トノサマンが コクハクする、ってヤツですよね? ニボサブさん、知らないんですか? |
荷: |
は。いえ、ボクはもう トノサマンじゃありませんから。 |
真: | つまんないの。 |
荷: |
きょ、恐縮です。 あ、成歩堂さんたちも 聞きませんか? その記者会見。 |
真: | 聞きたいッ! |
荷: |
じゃあこれ、あげますね。 記者会見の整理券です。 |
成: |
どうもすみません。‥‥じゃ、 とりあえずロビーに行こうか。 |
春: |
あ。こちらみたいですよ、 なるほどくん! |
真: | よーし。たたかうぞお! |
ホテル・バンドー ロビー | |
成: |
うーん。ゴウカなホテルだけあって ロビーも大げさだなあ。 |
春: |
あ。あそこでやるのですね。 アトラクション・ショー。 |
成: | ステージはこぢんまりしてるね。 |
真: | うう‥‥ウデが鳴るなあ。 |
成: |
(真宵ちゃん、たたかう気 マンマンだな‥‥) |
ロビーにお集まりのみなさまに お知らせします。 トノサマン・丙! 受賞記念 アトラクション・ショーは、 つごうにより 中止させていただきます。 | |
真: | うええええ。どうしてよッ! |
成: | いてて。つねるなって。 |
みなさまに、ご協力を おねがいいたします。 その場からはなれないように してください。 ‥‥これは、警察からの要請です。 | |
春: | ‥‥‥‥! |
成: |
け‥‥ケーサツ、 って言ったよな? 今。 |
荷: |
ちょ、ちょっと 見てきましょうか? ボク。 |
成: | あ。それなら、ぼくも‥‥ |
?: |
待ちなッ! アンタたちッ! 放送が聞こえなかったのかい! ”動くな”って 言われたばっかりじゃないのサ! |
真: |
こ、この声。 ‥‥どこかで‥‥ |
?: |
まったくアレだョ。今の若い子は、 ヒトの話を聞かないネ。 この前もそうサ。コワれかけた橋の そばに、『この橋わたるべからず』 って書いてあったワケ。それなのに ちっこいボウズアタマのコゾウがサ わたろうとしてんのョ。オバチャン シンセツに”アブナイョ”って言っ てるのに聞きゃしないんだからネ。 ”ハシじゃなくて真ん中をわたれば いいんです”とか言いやがるワケ。 ジョーダンじゃないっつーのホント ナマイキなコト言ってんじゃないョ オバチャンたたき落としてやったネ まったくザマァないやネいやホント |
荷: | こ、このマシンガントーク‥‥ |
真: |
も、もしかして ‥‥オバチャンですか? |
オ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんだいアンタたち。 オバチャンを知ってるのかい! ‥‥って、アンタ! ニボシじゃないのサ! |
荷: | は、はあ。そのせつは‥‥ |
オ: |
アンタ、今年はノミネートも されてないんじゃないのかい? たしかアレだ。コドモ相手の番組で いいヒトぶって体操してるんだろ? |
荷: |
は、はあ。 おかげさまで‥‥ |
オ: |
いやいや笑わせるねェ。そのツラ ぶらさげて”おニイさん”とはねェ ああ、マスクしてるからカオは見え ないんだっけ。しかもウサギのお面 ケッサクだネまったく。でもサ。 そうでもしなきゃテレビがホレ、 ぶっコワれちまうしネ。ホント、 アンタのまわりで体操してるコドモ たちのほうこそいいツラのカワだっ ての。マッタクこれがサ。 |
成: |
‥‥あ、あの。 こんなところでナニを? |
オ: |
見りゃわかるでショ。 警備員ョ。 |
真: | でも、そのカッコ‥‥ |
オ: | うるさい子だね。撃つよ! |
カタカタカタカタ‥‥ | |
成: |
オバチャン、 どうしてこんなところに? 英都撮影所のほうは‥‥? |
オ: |
ああ。英都撮影所ネ、あれから さらにヒトが減らされてサ。 警備チームからは、オバチャンが ホッポリだされたのョ。 |
真: | 何かやっちゃったんですか? |
オ: |
ナニもしてないョッ! ‥‥ただ、あったろ? 1年前の、あの事件。 オバチャンがサッソウと 証言台に立ってサ。 |
成: | ああ‥‥。 |
オ: |
アンタ、イジめてくれたじゃない? この、か弱いオバチャンのコト。 |
成: | え。 |
オ: |
どうやらアレがネ。上の連中の 気にさわったみたいでサ。 ‥‥そうだョ! ゼーンブ、アンタのせいだョ! |
成: | ぼぼ、ぼくですか? |
オ: |
最初は、ぼでーがーどでも やろうかとも思ったワケ。 |
真: | ボディーガード? |
オ: |
アンタのトモダチのさ。 赤くてヒラヒラのイイオトコ。 |
真: | 御剣検事のコトかな? |
オ: | でもサ。 |
御: | 『そのようなアレは、困る。』 |
オ: |
‥‥とか言われちゃってサ。 オバチャン、セツないよッ! |
カタカタカタカタ‥‥ | |
真: |
あの‥‥。 何があったんですか? |
オ: |
くわしいコトは知らないケド。 ‥‥でもサ。なんか、 また起こったみたいだョ。事件。 |
荷: | じ、事件‥‥ですか? |
オ: |
あー。オバチャン、 魔性のオンナだからねェ。 オバチャンの行くところ、 血の雨がドシャ降るワケよ。 |
成: |
‥‥警備員、やめたほうが いいんじゃないですか? |
オ: | ウッサイ子だネ! |
カタカタカタカタ‥‥ | |
真: | ‥‥ね。ね。なるほどくん。 |
成: |
な、なんだよ、 そのキケンなほほえみは。 |
真: |
ちょっとホラ、トイレ行くフリして 探検してこようよ! |
成: |
だ、ダメだよ。”動くな” って言われてるだろ? |
真: |
えー! つまんないよー。 ロマンのないオトコなんて モテないんだからね! |
春: |
あ。なに? なんですか? また、 真宵さまを困らせてるんですか? |
成: |
(うう。メンドウな子が 出てきちゃったよ‥‥) |
真: |
聞いて聞いて、はみちゃん。 なるほどくんったらさあ。 |
成: |
わわ、わかったよ。 ちょっと見てこよう。 |
真: |
わあい! さすが、なるほどくん。 |
春: |
そうですとも。 なるほどくんは、真宵さまのため なら、いつも火の中、水の中です。 |
成: |
(”たとえ”火の中、水の中 ‥‥なんだけど。フツーは) |
真: |
さ。行こ行こ。 はみちゃんもおいで。 |
春: | はい! おともします。 |
ホテル・バンドー すみれの間 | |
成: | ‥‥特に変わったことはないね。 |
春: |
おばさまは”事件があった”って おっしゃってましたよね? |
成: |
ここじゃないみたいだ。 他のところ、行ってみるか。 |
真: | よし! じゃあ、今度は‥‥ |
ボ: | ‥‥シツレイですが。 |
真: | きゃっ! |
ボ: |
綾里 真宵サマ‥‥ でございますか。 |
真: |
あ。はい‥‥ あたしですけど。 |
ボ: |
お電話が入っておりますので、 フロントへおねがいします。 |
真: |
でんわ? ‥‥倉院の里のヒトかな。 |
春: | どうしましたか、真宵さま? |
真: |
ううん。なんでもないよ。 ‥‥先に行ってて。 |
春: | はい。わかりました。 |
ボ: |
綾里サマ。 こちらでございます。 |
春: |
では、なるほどくん。 他の場所を見に行ってみましょう。 |
成: | うん、そうだね。 |
春: | ちょっと、どきどきします‥‥。 |