成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
控え室前 ろうか | |
だぁかぁらぁ‥‥、 ウチは社会のマドなんや! 知るケンリがあるんやッ! | |
ダメッス! まだ捜査中ッス! なんぴとたりとも‥‥ | |
なァんやそのタイド! 明日のチョーカン、 楽しみにしときィ! ”ヒゲ刑事、スキャンダル発覚” ‥‥の見出し、オドらしたるワ! | |
春: |
‥‥なんか、すごいことに なっていますね。 |
成: |
(あのイセイのいい声、 やっぱり‥‥) |
あ。ナルホドー! | |
成: | どうも‥‥。ナツミさん。 |
ナ: |
アンタも言うたってや! ウチには、取材のケンリが‥‥ |
糸: | あ。アンタ! |
成: | どうも‥‥。イトノコ刑事さん。 |
糸: |
言ってやってほしいッス! 一般人は立入禁止ッス! コトは殺人ッスよ! ここはワレワレにまかせて‥‥ |
春: | さ‥‥さつじん! |
糸: | しまった! 口がスベったッス! |
ナ: |
ホレ、見てみィ! なーにが”胃のもたれ”やッ! もお、言いふらしたるでえ。 コロシやでー、ってなァ! |
糸: | あ、ちょっと‥‥ |
コロシやでー! ビッグスターがやられたでー! | |
糸: | うううう‥‥ッス。 |
成: |
あの、刑事さん。 ‥‥サツジン、って‥‥? |
糸: |
いや。その ‥‥マイったッスね。 |
春: |
あ、あの‥‥なるほどくん? まさか‥‥亡くなったかた、 トノサマンさんではないですよね? |
成: | どうして? |
春: |
真宵さまがおうえんされて いましたから。 |
糸: |
殺害されたのは、 トノサマンじゃないッス。 ‥‥例によってトノサマンは、 やっつけた側ッス。 |
成: | え。 |
糸: |
やられたのは、忍者ナンジャ とかいうヒーローッス。 |
成: | 忍者‥‥ナンジャ‥‥ |
春: |
あの、コゲたワタあめのような アタマをした女のかたですけど‥‥ |
成: | ああ、ナツミさん。 |
春: | あのかた、あのときもいましたね。 |
成: | あのとき? |
春: | ‥‥真宵さまが霊媒をなさって‥‥ |
成: |
ああ、この前の事件か‥‥。 彼女はね。ジャーナリストだから。 |
春: | じゃーなりすと‥‥ |
糸: |
なんか彼女、事件が起こる前から ずっと見張っていたらしいッス。 |
成: | 見張っていた‥‥? |
糸: |
現場‥‥忍者ナンジャの 控え室前に、かくれていたッス。 |
成: | ど、どうしてですか? |
糸: |
教えてくれないッス。 ”スクープのためや”って‥‥ |
成: |
(スクープ‥‥ いったい、なんの‥‥?) |
成: |
被害者ですけど‥‥ 忍者ナンジャ、ですか? |
春: | なんじゃさん‥‥ |
糸: |
<<トノサマン・丙!>>と人気を争う ヒーロー番組ッス。 |
春: | はああ。 |
糸: |
亡くなったのは藤見野(ふじみの) イサオ。アクション・スターッス。 アツくるしい芸風で大人気。 自分でも知ってるッス! |
成: |
(ぼくもカオぐらいは 知ってるな、藤見野 イサオ) |
糸: |
ま、今は王都楼 真悟の 人気に押されぎみッスけど。 アクション界の人気は今、 この2人がうばい合ってるッス。 |
成: |
(荷星さんの入りこむ スキ間はなし、か‥‥) |
春: |
オートロさん、というのは‥‥ たしか<<とのさまん・ほい>>の‥‥ |
糸: |
そッス。いや、ちがうッス。 <<トノサマン・ヘイ!>>ッス。 |
成: |
‥‥じゃあ、藤見野 イサオが 亡くなったわけですから、 人気はすべて、王都楼さんが ひとりじめ‥‥ってコトですね? |
糸: |
ところが。 ‥‥そうはいかないッス。 |
成: |
”そうはいかない”? (‥‥どうしてだろ‥‥) |
糸: |
‥‥トノサマン・丙! 今夜、グランプリをとったッス。 |
成: | 真宵ちゃん、大ファンですよ。 |
糸: |
そッスか。 ‥‥それは、おキノドクッス。 |
春: | ”おきのどく”‥‥? |
糸: |
王都楼 真悟は先ほど、 緊急逮捕されたッス。 ‥‥藤見野 イサオ殺害容疑で。 |
春: | えええッ! |
成: |
ど、どうして王都楼さんが タイホされたんですか? |
糸: |
‥‥ザンネンッスが。 それはヒミツッス。 捜査もまだ、始まったばかり。 情報は流せないッス。 |
成: |
(トノサマン‥‥ また、つかまっちまったのか) |
春: |
あの、なるほどくん。 真宵さまがこれを知ったら‥‥ |
成: |
うん。きっと引き受ける コトになるだろうな‥‥弁護。 |
ホテル・バンドー ロビー | |
荷: |
‥‥あ! 成歩堂さん、どうでした? |
成: |
どうも、藤見野 イサオさんが 亡くなったみたいです。 |
荷: |
ななな、なんですって! イサオくんが! |
成: |
殺害されたそうです。 容疑者も逮捕されました。 王都楼 真悟さんが、ね。 |
荷: | ま、まさか‥‥! |
成: |
忍者ナンジャ殺害容疑で、 トノサマンが逮捕されたわけです。 |
荷: | うう‥‥またですか‥‥ |
春: | ”また”‥‥? |
成: |
‥‥1年ぐらい前にね。 似たような事件があったんだよ。 |
荷: |
そんな、まさか‥‥ オートロくんが! |
成: |
(‥‥? 荷星さん、 手に何を持ってるんだ‥‥?) |
荷: |
‥‥あ。そうだ。 コレ‥‥成歩堂さんに。 さっき、ボーイのかたから あずかったんですけど。 |
荷星さんから受けとった。 | |
成: | ‥‥これを、ぼくに‥‥? |
荷: |
ええ。弁護士の 成歩堂 龍一さんに、って。 |
荷: |
オートロくんは、今、最も イキオイがある俳優です。 今回のトノサマン役が、 彼の人気を決定づけたのですが‥‥ これがまた、イサオくんの ライバル意識に火をつけちゃって。 |
春: |
イサオさん‥‥ 忍者ナンジャのかた、ですね。 |
荷: |
あの2人、何かと ぶつかるワリには‥‥ わずかな差で、かならず オートロくんが勝っちゃうんです。 |
成: |
(あるよな‥‥そういう カンケイ、って) |
荷: |
イサオくん、”今度こそは”って、 対抗番組をぶつけたんですよ。 |
春: | それが、<<忍者ナンジャ>>‥‥ |
荷: |
スマートなトノサマンと、 アツくるしい忍者ナンジャ‥‥ とにかく、ふたりの争いは 番組をこえて、ドロヌマでしたね。 ‥‥その決着が 今夜、ついたワケです。 |
成: |
(グランプリ‥‥また、 トノサマンが勝ったわけか‥‥) |
成: |
王都楼さん、記者会見を するつもりだったんですよね? |
荷: |
そう聞いていますよ。 まあ、正確には”トノサマン”の 記者会見ですけど。 |
成: | トノサマンの‥‥? |
荷: |
ええ。着ぐるみに入ったまま、 会見をするはずだったんです。 |
成: |
着ぐるみに‥‥? なぜ、そんなことを? |
荷: |
さあ‥‥ ボクには、なんとも。 |
春: |
‥‥そういえば‥‥ おそいですね。真宵さま。 |
成: |
(言われてみれば‥‥ 電話に呼ばれたっきりだな) |
春: |
まいごになってるのかも しれません。 わたくし、ちょっと見てきます。 |
成: | わっ! |
春: |
ど、どうしました、 なるほどくん! |
成: |
え? ぼ、ぼく‥‥? (このトランシーバーが‥‥?) |
成: | は、はい。成歩堂ですけど‥‥ |
?: |
『弁護士の成歩堂 龍一さま、 でございますか?』 |
成: | あなたは‥‥? |
?: |
『私のことなど、 どうでもいいではないですか。 それよりも、問題なのは‥‥』 |
真: | 『たすけてッ! なるほどくん!』 |
春: | ま‥‥真宵さま! |
成: | 真宵ちゃん‥‥? |
?: |
『問題なのは、お連れサマのイノチ。 ‥‥ちがいますか?』 |
成: |
(イノチ‥‥だって‥‥?) 真宵ちゃん! どこにいるんだ! ‥‥ブジなんだよな! |
?: |
『まあまあ‥‥。 そう、コーフンなさらずに。』 |
成: | (こ‥‥これは‥‥まさか!) |
?: |
『さて。弁護士さんに お聞きしましょう。 私はこれから、あなたに ある要求をいたします。 それと引きかえに、この”ニモツ” をお返しする。 ‥‥あなたがたのコトバでは、 これをなんと呼びますか?』 |
成: | ‥‥”営利誘拐”‥‥ |
?: |
『そのとおり。 ‥‥これは、誘拐なのですよ。』 |
春: |
きゃああああああああああああっ! 真宵さま! 真宵さまああああッ! |
成: |
(目の前が‥‥真っ暗になった。 真宵ちゃんが‥‥ 真宵ちゃんが‥‥誘拐!) |
?: |
『‥‥ますか? 成歩堂さん。聞こえますか?』 |
成: |
い‥‥いくらだ! いくらほしいんだッ! |
?: |
『さすが、弁護士さんですね。 ものわかりがよろしい。』 |
成: |
早く要求を言え! そして、彼女を‥‥ |
?: |
『私の要求は、 カネではありません。』 |
成: | ‥‥え‥‥ |
?: |
『要求は‥‥判決です。 無罪判決を、ひとつ。』 |
成: |
無罪判決だと! いったいおまえ、何を‥‥? |
?: |
『‥‥あなたが弁護するのは、 私ではありません。』 |
成: | なんだと‥‥ |
?: |
『あなたは今、ホテル・バンドーに いらっしゃる。 そこではたった今、殺人事件が 起こったはずです。』 |
成: |
‥‥藤見野 イサオが殺害された。 容疑者として、王都楼 真悟が‥‥ |
?: |
『さすが、ヤリ手の弁護士さんだ。 ‥‥話はカンタンです。 王都楼 真悟を 無罪にしていただきたい。』 |
成: | 王都楼 真悟を‥‥? |
?: |
『彼は、だれも殺していません。 それは私が保証します。ただ‥‥』 |
成: | ただ‥‥なんだ! |
?: |
『だれかが、彼をツミに 落とそうとしています。 殺人のツミを着せようとしている。 ‥‥アタマのいい、だれかが‥‥』 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ (そんなコト、”ハイそうですか” なんて、信じられるか!) |
?: |
『‥‥私を信じないのは、 あなたの自由です。 しかし、これだけは 信じざるを得ない。 あなたの大切な”ニモツ”は 今、私のところにあるのです。』 |
真: | 『うっ‥‥うう。たすけてよお‥‥』 |
成: | 真宵ちゃん‥‥! |
?: |
『タイム・リミットは2日。 おそらく今夜。そちらでは 事情聴取がおこなわれる。 審理は2日後になるでしょう。 その法廷で、無罪判決を 勝ちとっていただきたい。 チャンスは、1回きりです。』 |
成: |
1回‥‥! たった1回で、無罪判決だと! |
?: |
『‥‥そのとおり。あなたに 選択の余地は、ないのです。』 |
成: | う‥‥ッ! |
?: |
『‥‥ああ、そうそう。 せっかく誘拐をしたのですから、 やはり、このセリフは 言っておきませんとね。 ”ケイサツには知らせるな” ‥‥まあ。念のため、ですけれど。』 |
成: |
く、くそっ! いったい‥‥ いったい、 お前はだれなんだ! |
?: |
『‥‥いいでしょう。 教えてあげますよ。 私の名前は‥‥ ‥‥コロシヤ。』 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
な、なるほどくん! まよい‥‥真宵さまは! |
成: | ‥‥誘拐された。 |
春: |
わ‥‥わたくしのせい ‥‥わたくしのせいです! あのとき、真宵さまと いっしょに行っていれば‥‥! |
成: |
‥‥春美ちゃんの せいじゃないよ。 |
春: |
わたくしのせいです! 真宵さまああ! ええええええん! |
荷: |
成歩堂さん‥‥やっぱり、 警察に知らせたほうが‥‥! |
成: |
(ダメだ! 知らせたら、 真宵ちゃんのイノチは‥‥) |
春: |
なるほどくん! さっきの刑事さんなら‥‥? |
成: |
(‥‥イトノコ刑事‥‥!) そうだね! ちょっと、行ってくる! |
荷: |
春美さんのことは まかせてください! |
糸: |
なんスとおおおおおおおおおッ! ユーカイッスうううううううッ! |
成: |
こ、声が高いですよ! ‥‥要求は、王都楼 真悟の 無罪判決です。 |
糸: |
交換条件が”無罪判決”‥‥? ということはモチロン、 王都楼は真犯人というコトッスな! |
成: |
でも、そいつが言うには、 王都楼さんは無実だ、って‥‥ |
糸: |
誘拐犯の言うコトなんて、 信じちゃダメッス! |
成: |
(たしかに‥‥ホントに無実なら、 誘拐なんてする必要がない) |
糸: |
それに、ジッサイ、彼に対する 不利な証拠がザクザク出てるッス。 |
成: | え‥‥ |
糸: |
鑑識の連中がカンパイしてたッス。 ”今夜は大漁だ”って。 |
成: | うううう‥‥ |
糸: |
‥‥あんまり証拠がありすぎて、 逆にアヤシイ気がするッス。 |
成: |
証拠が‥‥ありすぎる? (そういえば、言ってたな。 ”ツミを着せようとしている”と) |
糸: |
とにかく、今夜はこの会場から 出すことはできないッス。 おとなしく取り調べを受けて、 明日。行動を開始するッス。 |
成: |
‥‥わ、わかりました‥‥。 (やむを得ないのか‥‥) |
糸: |
犯人をシゲキすることだけは しちゃダメッス。 |
成: | ‥‥わかりました。 |
???????????? | |
真: |
うー、アタマいたい‥‥ (こ‥‥ここ、どこ! あのホテル、なのかな‥‥ あ、あたし ‥‥どうなっちゃったの‥‥?) なるほどくーん‥‥ はみちゃあん! ‥‥‥‥‥‥‥‥ (や、やめてよ‥‥冗談は‥‥) |
?: | 目がさめましたか。 |
真: |
きゃあああああっ! だだだだ、ダレですかッ! |
?: |
私ですか? ‥‥私は、コロシヤです。 |
真: |
こ‥‥こ‥‥こ‥‥ころしや‥‥ (あたし‥‥殺されちゃうの!) |
?: |
‥‥ご安心なさい。 私のエモノは、あなたではない。 ‥‥今は、まだ。 |
真: |
う、うわああああああああああん! なるほどくん! なるほどくうん! ‥‥たすけてよぉぉ‥‥ |
?: |
そう。あなたを助けられるのは ‥‥成歩堂 龍一だけ、でしょう。 |
真: |
‥‥え‥‥な。な、 なるほどくんが‥‥? |
?: |
おとなしくしていなさい。 これは、ビジネスなのです。 |
真: | び‥‥びじねす? |
?: |
これから、彼に連絡をとります。 あなたも、出演を よろしくおねがいします。 |
真: |
‥‥なるほどくん‥‥ あたし、どうなっちゃったの‥‥ なるほどくん‥‥ はみちゃん‥‥ ‥‥おねえちゃあん‥‥ |
?: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 弁護士の成歩堂 龍一さま、 でございますか? ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥私のことなど、 どうでもいいではないですか。 それよりも、問題なのは‥‥ |