成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
成歩堂法律事務所 | |
春: | おはようございますッ! |
成: | ああ、おはよう。 |
春: |
じゃ、じゃあさっそく! その、王都楼さんに面会を‥‥ |
成: |
もう少し待とう。 ‥‥面会は9時からだから。 |
春: |
そうなのですか? ああ、真宵さま ‥‥わたくしがあのとき‥‥ |
成: |
(春美ちゃん、ゆうべから ずっとこんな調子だ。 イトノコ刑事が手をまわして くれたおかげで‥‥ なんとかゆうべは 帰ってこられたけど‥‥ このようすじゃ春美ちゃん、 ゼンゼン眠ってないみたいだ) |
春: |
なるほどくん! ブジですよね‥‥真宵さまは! |
成: |
だいじょうぶ。 かならずぼくが、助けるから。 |
春: |
おねがいします。 ‥‥おねがいします‥‥ |
成: |
(春美ちゃんがこうして とりみだしているおかげで‥‥ ぼくのほうは、なんとか 冷静をたもつことができている) |
春: |
あの‥‥ひとつ、 気になることがあるんです。 |
成: | ? |
春: |
王都楼という殿方の弁護 ‥‥なさるんですよね。 |
成: |
うん。 なんとしてもね。 |
春: |
もし、そのかたが‥‥ 本当にその‥‥真犯人だったら。 ‥‥なるほどくんは、どうなさる おつもりなのですか? |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
真宵さまを助けるために、 サツジンハンを、ムザイに‥‥ |
成: |
春美ちゃん。 まずは、会ってみようよ。 王都楼さんに。 ‥‥悪い方向にばっかり 考えても、しかたないから。 |
春: |
そ‥‥そうですよね‥‥。 すみません。わたくし‥‥ 自分でも、止められなくて。 |
成: |
春美ちゃん‥‥真宵ちゃんのこと、 本当に心配してくれてるんだね。 |
春: |
だって。わたくしにはもう、 他にはだれもいませんから。 |
成: | だれも‥‥? |
春: | 家族です。 |
成: | (‥‥家族‥‥) |
春: |
おとうさまは‥‥ おかあさまをおいて、 里を出て行ってしまいました。 |
成: | そうなんだ‥‥。 |
春: |
そして‥‥おかあさまも。 わたくしのために、 あんなことに‥‥ |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
春: |
真宵さまは、わたくしのこと、 ほんとうの妹のように‥‥ ‥‥‥‥‥‥ わたくしには、 真宵さましか‥‥いないの。 |
留置所 面会室 | |
成: |
(面会が始まる時間を待ちきれず、 ぼくたちは留置所にやってきた。 忍者ナンジャ殺害の容疑を かけられた、トノサマンに‥‥) |
王: | ‥‥‥‥ |
成: |
ど、どうも ‥‥おはようございます。 |
王: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | このたびは、とんだことで‥‥ |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | あの。ぼくたちは‥‥ |
王: | あ。すみません‥‥。 |
成: | ‥‥? |
王: | ボク、もう、入ってるし‥‥。 |
成: | は、はい‥‥? |
王: |
生命保険。‥‥ボクのシゴト、 キケンはつきものだから‥‥。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥ いやいやいや。ぼく、 保険の勧誘員じゃありませんよ! |
王: |
あ。そうなんですか‥‥。 でも、ボク、今は いりませんから。 |
成: | ‥‥? |
王: |
消火器。だいいちここ、 ボクのウチじゃないし‥‥。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥ いやいやいや。消火器の 訪問販売でもないですよ! ぼくは、弁護士です。 弁護士の、成歩堂 龍一。 |
王: |
べんごし‥‥? ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ちょっと待って。マネージャーさん に聞いてみるから。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
なんか、フシギなかたですね。 ‥‥トノサマンさん。 |
成: |
(フシギすぎて ワケがわかんないぞ‥‥) |
王: |
あ。すみません‥‥。 やっぱり、 間に合ってますから。 |
成: | え! |
王: |
ベンゴシ‥‥ですよね? 今、マネージャーさんが ウデキキを探してくれてるから。 |
春: | な、なるほどくん! |
成: |
(ここで断られるワケには いかない‥‥!) |
成: |
すみません。あなたのことを 聞かせていただけますか? |
王: |
え。でも、ボク今度、自伝を 出版するから‥‥ 勝手なコト言っちゃうと、 出版社のヒトが困るし‥‥。 ちょっと待って。出版社のヒトに 聞いてみるから。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
‥‥いいですね。相談できるかたが たくさんいらっしゃって。 |
成: | (ううう‥‥) |
王: |
あ。すみません‥‥。 やっぱり、出版社のヒトも ”それは困る”って。 |
成: | (なんとかならないのか‥‥!) |
成: |
オートロさん。事件のことを 聞きたいんですけど‥‥ |
王: |
あ。それ、取材ですか? あの。あの。ボクのコメントは、 事務所を通して‥‥ |
成: |
いやいやいや。ぼくたちは そういうのじゃなくて‥‥ |
王: |
ちょっと待って。社長さんに 聞いてみるから。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
なるほどくん。 だいじょうぶでしょうか‥‥? |
成: | (正直なトコロ、ダメっぽい‥‥) |
王: |
あ。すみません‥‥。 『ボクが犯人じゃないことは、 ネオ・フジヤマが知っている!』 ‥‥社長さんが そう言っとけ、って。 |
春: |
‥‥なるほどくん。なんですか? ネオ・フジヤマって。 |
成: |
‥‥トノサマンが活躍する ネオ・エドシティにある山だよ。 |
王: | ‥‥? なんですか、それ。 |
成: |
記者会見の整理券ですよ。 グランプリを受賞したあと、 開かれるはずだったんですよね? |
王: | え。ボクがですか? |
成: |
そう。トノサマンの 着ぐるみのまま。 |
王: |
ボク、聞いてませんケド。 そういうコトは、 マネージャーさんにまかせてるし。 |
成: | (知らない‥‥? ヘンだな‥‥) |
春: |
‥‥なるほどくん。 どうするんですか? それ。 |
成: |
わからないけど、 とりあえず見せてみるよ。 |
王: |
トランシーバーですか。 あ。けっこうイイですね。 |
成: |
ある人物からプレゼント されたんです。 |
王: | へえ。そうなんですか。 |
成: |
それで‥‥あなたの弁護を 引き受けるように、って。 |
王: |
そのトランシーバーが? そう言ったんですか? |
成: | はい。 |
王: |
いけませんね。ヒトの言うことを ハイハイ聞いてるだけじゃ。 |
成: | (それはアンタのほうだよ!) |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥じゃ。もうそろそろボク、 帰りますから。 |
成: |
待ってください! ‥‥それは困ります! |
王: |
依頼人なら他にもいるでしょ? なんなら紹介しましょうか? |
春: |
おねがいです! ‥‥ベンゴ‥‥させてください! |
王: |
やれやれ。最近のベンゴシさんは、 客引きにそんな子どもまで使うの? |
成: |
あなたのベンゴを引き受けないと、 コロシヤが‥‥ッ! |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ちょっと待って。 ‥‥今、なんて言いました? |
成: | ”コロシヤ”‥‥ですけど。 |
王: | こ、コロシヤ‥‥! |
成: |
(‥‥どうしたんだ? 何か考えこんでるぞ‥‥) |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ わかりました。 あなたの言う通りにします。 |
成: | は? |
王: |
ボクのベンゴ‥‥ あなたにおねがいします。 |
春: |
や‥‥やりました! なるほどくん! |
成: |
あ、ああ‥‥。 (‥‥なんかスッキリしないぞ。 スナオによろこべない‥‥) |
王: |
なんでも聞いてください。 ボク‥‥協力しますから。 |
王: |
おかげさまで。ボクの名前も 知られるようになってきました。 |
成: | 今や、国民的ヒーローですね。 |
春: |
わたくし、 非国民なのでしょうか‥‥ |
王: |
‥‥やっぱり、トノサマンが よかったですね。 最近は、人気のハバも 広がってきたし。 |
成: |
(たしかに‥‥ 今や<<トノサマン・丙!>>は 高校生やOLにも大人気だ。 このオートロさん、女性に ミョーに人気あるんだよな‥‥) |
王: |
ボクのキャッチフレーズ、 知ってますか? ”春風のようにサワヤカなアイツ” ‥‥っていうんですけど。 |
春: | はるかぜ‥‥ |
王: |
だからね。‥‥こういう スキャンダル、困るんですよ。 明日にでも、こんなところからは オサラバしないと。 |
成: |
(‥‥みんな、 ムリを言うよな‥‥) |
成: |
きのうのことを 聞かせてもらえますか? |
王: |
賞をもらったあとは‥‥ 控え室で休んでいましたよ。 受賞記念のアトラクション・ ショーがありましたから。 トノサマンの衣装を着たままで。 |
成: | ずっと、ひとりだったんですか? |
王: |
マネージャーさんも いそがしそうだったから。 |
成: |
ショーのあとに、記者会見も あったはずですけど? |
王: | だから、知りませんよ。ボク。 |
成: |
(おかしいな‥‥。トノサマンが 何か告白する、って‥‥) |
王: |
とにかく、控え室を出たら、 なんかさわがしくて‥‥ |
成: |
そのときはもう、 イサオさんは‥‥? |
王: |
死んでいたみたいです。 マネージャーさんが言ってました。 |
成: |
(さっきから、何かといえば ”マネージャーさん”だな‥‥) |
王: |
そこに、コートの刑事が 現れたんですよ。 身体検査されて‥‥いつのまにか、 タイホされちゃったんです。 |
成: |
亡くなった藤見野 イサオさん とは、どんな‥‥? |
王: |
ベツに、関係ありませんよ。 あのカオでボクと同い年なんて、 笑っちゃうよね。 ムリヤリ<<忍者ナンジャ>>を 映画化したみたいだけど‥‥ |
成: |
結果はトノサマンの勝ち、 といったところですね。 |
王: |
‥‥そう。 グランプリはいただいたから。 だから、ボクがアイツを 殺す理由なんて、ないんですよ。 向こうがこっちをねらうなら ともかく、ね。 |
成: |
あの‥‥。どうして タイホされたんですか? |
王: |
どうも、身体検査が よくなかったみたいですね。 |
成: | 何か、見つかったんですか? |
王: |
‥‥忍者ナンジャの衣装に ついていた、ボタン。 |
成: | ボタン‥‥? |
王: |
‥‥なぜか知らないけど、ぼくの 衣装のハカマに挟まってたんです。 |
春: | きゃあっ! |
王: |
冗談じゃないですよ。 だれかが挟んだに決まってます。 |
成: |
(ホントにそうなのか‥‥?) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (‥‥引き出せる情報は まあ、こんなもんかな‥‥) |
春: | なるほどくん。 |
成: | ‥‥ん? |
春: |
最後に1つ、たしかめて おきましょう。 この殿方が、 本当に無実なのかどうか‥‥? |
成: |
そ、そんなこと、 できるわけが‥‥ |
春: |
できます。 ‥‥これを使えば。 |
成: | (真宵ちゃんの‥‥勾玉!) |
春: |
なるほどくんに、ヒミツを かくすことはできません。 ‥‥ゼッタイに。 |
成: |
(そうか‥‥!) ‥‥王都楼さん。 ひとつだけ聞きます。 ‥‥正直に答えてください。 |
王: | なんでしょうか? |
成: |
あなたは、藤見野 イサオさんを 殺害しましたか? |
王: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
答えてください、王都楼さん‥‥ 電話で相談するのは、ナシです。 |
王: |
わかりました。 ‥‥ハッキリ答えましょう。 ボク、だれも殺してません。 もちろん、藤見野 イサオも。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
春: | どうですか? なるほどくん。 |
成: | サイコ・ロックは‥‥現れない。 |
春: |
ということは‥‥ 信用して、いいと思います。 |
成: |
(‥‥やれやれ。 とりあえず依頼人が無実と わかっただけ、少し安心したな) |
王: |
あの‥‥。審理は 明日みたいですから‥‥、 よろしくおねがいします。 |