成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
留置所 面会室 | |
看: |
すみません。今日はもう、 面会時間は終了しました。 |
春: | え‥‥ |
成: |
(そんな‥‥聞きたいことが いっぱいあるのに‥‥) す、すみません。ぼく、 弁護士の成歩堂といいますけど‥‥ |
看: |
ナルホドーさん‥‥? あ。そういえば、あなたに メッセージがありますよ。 |
成: | メッセージ‥‥ |
看: |
王都楼 真悟からです。 ‥‥ハイ、どうぞ。 |
春: |
な、何が書いてあるのですか! ダイジな話でしょうか‥‥? |
成: |
わからない。 ‥‥とりあえず、読んでみよう。 ”弁護士さんへ。 ダイジな話があります” (なんだろう‥‥ ムナさわぎがする‥‥) |
王: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ あ、成歩堂さん。 ‥‥じつは‥‥ おねがいがあるんですよ。 ボクの飼ってるネコ‥‥ シュウっていうんだけど。 エサ、少ししか用意してないから、 おなかをすかせてると思うんです。 ちょっと、ボクの家まで行って、 エサ、やっといてくれませんか? ボクの家、ホテルの先に ありますから』 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
た‥‥タイヘンです! すぐ行ってあげましょう! シュウちゃん、きっと おなかペコペコですよ! |
成: | そ‥‥そうだね。 |
ポケットにネジこんだ。 | |
成: |
(依頼人のたのみだ。 ‥‥行っておくか) |
ホテル・バンドー ロビー | |
春: |
さあ、なるほどくん! 手がかりを探しましょう! 真宵さまのために‥‥ |
?: | |
成: | オバチャンッ! |
オ: |
気やすく呼ぶんじゃないよ! このギザギザ男がッ! アンタのせいで、オバチャンまた、 ワルモノにされちまったョ! ヤクソクどおり、ミッちゃんにガム もらったけどサ‥‥オバチャンが ほしかったのは、そんなモンじゃ ないんだョ! アイでショアイ! もお、オバチャンの野生が目ざめ ちゃったからねェアンタのせいで うぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ |
春: | きゃあ! おばさまッ! |
オ: |
さわるんじゃないョ! ッたく、このヘルメット! 空気も入ってこないんだからネ! |
成: |
あの‥‥どうして ヘルメットを‥‥? |
オ: |
フン! オバチャン、カラに 閉じこもっちゃったんだからネ! この先に進みたかったら、 オバチャンを倒してからにしな! |
成: | (まいったな‥‥) |
成: |
(そうだ‥‥御剣からもらった こいつを‥‥) あの、オバチャン、これを‥‥ |
オ: |
なんだい! このこきたない ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥んミッちゃあん‥‥ |
成: |
(うっ‥‥ノーミツな フェロモンが‥‥) |
オ: |
‥‥なになに。 ”この青くトガった青年に、 ベンギをはかってはくれまいか。 あなたの御剣 怜侍より” |
成: | あ、”あなたの”ですか! |
オ: |
フン! 文学的コチョー ってヤツだよ。 ま。ミッちゃんのたのみじゃ しょうがないねェ。 |
オバチャンにあげた。 | |
オ: |
オバチャン、ちょっと 用を思い出しちゃったョ。 いいかい! ワルさ するんじゃないョ! |
春: |
おばさま‥‥ミツルギ検事に ムチュウなのですねえ‥‥ |
成: | まあ、なんのイミもないけどね。 |
春: |
ナニを言うのですかっ! 気持ちはかならず伝わるモノです! |
成: |
いてて‥‥ (こういうハナシになると ムキになるんだよなあ‥‥) とにかく、調査を始めようか。 |
春: | はいっ! |
カタカタカタカタ‥‥ | |
成: | わっ! な、なんですか! |
オ: |
ひとつ、言い忘れてたケド。 王都楼の控え室はネ。 今日は入っちゃダメだョ。 |
春: | どうしてですか? |
オ: |
なんでもネ。捜査本部として 使うんだそうな。1日だけ。 |
成: | (虎狼死家の捜査‥‥か) |
オ: |
入るんじゃないよ! オバチャンが怒られるから。 |
王都楼邸 応接間 | |
成: |
(やれやれ‥‥すっかり 暗くなっちまったな‥‥) |
春: | じゃあ、電気をつけますね。 |
成: |
はあ‥‥。 さすが、スターの家だな。 |
春: |
さあ。シュウちゃんを 探しましょう。 シュウちゃあん! |
シ: | にゃあん。 |
成: | お。コイツか。 |
春: |
まあ。愛らしいネコ。 ‥‥シュウちゃん。 |
シ: | にゃあん。 |
春: | ‥‥ふふ。 |
成: | (気に入ったみたいだ) |
?: | すみません‥‥。 |
成: | ! |
?: |
シツレイですが、 あなたさまは‥‥? |
成: |
あ。あの、ぼくたちは弁護士です。 ‥‥王都楼さんの。 |
?: |
ダンナさまの‥‥。 では‥‥あなたが、成歩堂さま。 |
成: | は、はい。 |
田: |
これはお見それしました。 私、この家の執事で 田中 太郎と申します。 |
成: |
どうも‥‥ よろしくおねがいします。 |
シ: | にゃあん。 |
成: |
王都楼さんのこと‥‥ もちろん、ご存じですよね? |
田: |
まったく‥‥とんでもない ゴカイだと思います。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
田: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | あの。他には、何か? |
田: |
特にございません。 主人のことを話すのは、 使用人にふさわしくありません。 |
成: |
(ううん。”執事さん”って 感じだな‥‥) |
成: |
田中さん、 この家にはどれくらい‥‥? |
田: |
そうでございますね。 ‥‥1年ほどになりますか。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
田: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | あの。他には、何か? |
田: |
特にございません。 自分のことを話すのは、 使用人にふさわしくありません。 |
成: |
(王都楼さんには、”メイドさん” というイメージがあるな‥‥) |
成: | かわいいネコですね。 |
田: |
私が世話をしておりますよ。 主人のお気に入りです。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
田: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | あの。他には、何か? |
田: |
特にございません。 ネコのことを話すのは、 使用人にふさわしくありません。 |
成: |
(‥‥やれやれ。この紙きれ、 もう、いらないな‥‥) |
まるめて捨てた。 | |
田: |
‥‥では。 私はこのへんで シツレイさせていただきます。 |
成: | あ、ぼくたちも帰ります。 |
田: |
おワカいのに、たいしたものです。 弁護士、とは‥‥。 |
成: |
あなたのほうは、執事のカンロク じゅうぶんですね。 |
田: |
そんなことはございません。 ‥‥人は見かけによらない、 と申しますよ。 ‥‥では。 |
シ: | にゃあん。 |
ホテル・バンドー すみれの間 | |
成: | だれもいないね。 |
春: |
でも‥‥なんだか、 あわただしいですね‥‥ |
成: |
(”殺し屋”の手がかりを 追っているのかもしれないな) |
控え室前 ろうか | |
ナ: | お、ナルホドー。 |
成: |
ナツミさん‥‥ まだ、いたんですか? |
ナ: |
メチャロンやッ! カメラマンは、スクープで おまんま食べてるんやで! なんや、このホテル、 ミョーなフンイキ、しとるからナ。 なんか起こらんかいなー、って。 |
春: |
でも‥‥カメラは 持っていらっしゃるのですか? |
ナ: |
メチャリマエやッ! カメラマンにとって、カメラは おまんまを盛るおちゃわんやッ! ちゃんと、ここにこうして ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥そういえば、ウチの おちゃわん、盗まれたんやったワ。 |
成: | (それを忘れるか‥‥?) |
成: | 事件当夜のことですけど。 |
ナ: |
なんや? 情報は高ォつくでえ! |
成: |
ナツミさん、控え室の前に 張りこんでいたんですよね? |
ナ: | まあナ。‥‥ただし。 |
成: | (‥‥うわあ、出た) |
ナ: |
ずっと見張っとったワケやないで。 スターさんもウロついとったし‥‥ サインもろたり、アクシュしたり、 お茶したり。 |
成: |
(とても”見張っていた”なんて 言えない状況だな‥‥) |
春: |
警備員のおばさまも、ずっと ここにいたわけではありません。 |
成: |
(控え室に出入りするのは、 だれにでもできたわけか‥‥) |
成: |
あの‥‥カメラケースに入っていた メモのことなんですけど。 |
ナ: | ああ。ウチが書いた、アレ? |
成: |
あの情報‥‥ 少しは信用できるんですか? |
ナ: |
オートロが、自分のマネージャーを 藤見野に送りつけた、ってヤツ? |
成: | ええ。 |
ナ: |
いやー、やめといたほうが エエんとちゃうかあ。 |
成: | え。 |
ナ: |
あれはホレ、ウチが気の向くまま、 テケトーに書いただけや。 |
春: | ”テケトーに”‥‥? |
ナ: |
ひらたく言えば、 デタラメ、ゆうことやな。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
春: | ‥‥‥‥‥‥ |
ナ: |
なんや、ニイちゃん。 4つぐらいフケこんだで! |
成: | はあ。 |
ナ: |
おじょーちゃんも、4センチぐらい 背ェ伸びたんちゃうかぁ。 |
春: | ううう‥‥ |
ナ: |
そう! それやッ! ウチの16万のカメラ! なんや、あの赤い検事! ”証拠や!”‥‥とか言うて、 返してくれへんねん。 |
成: | まあ‥‥そうかもしれませんね。 |
ナ: |
なあなあ、アンタ、 トモダチやろ? あの赤いのと。 うまいコト言いくるめて、 取り返してやァ、うちのカメラァ。 |
成: | む、ムチャ言わないでくださいよ! |
ナ: |
5時間もネバれば かならず返してくれるって。 |
成: | ‥‥自分でやってください。 |
ナ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ じゃあウチ、 そろそろ帰るワ。 カメラのないカメラマンなんて、 ただの”マン”や。 |
成: | ‥‥はあ。 |
ナ: |
ほな。明日のサイバン、 見に行くからナ。 |
成: | ‥‥ありがとうございます。 |
ナ: |
おじょうちゃんも、 がんばるんやで。 |
春: | はい。 |
ナ: | スキキライしちゃアカンで。 |
春: | はい。 |
ナ: |
シュクダイは、 ちゃんとやるんやで。 |
春: | はい。 |
ナ: |
それから、もしカメラ拾ったら、 すぐネーチャンのところに‥‥ |
成: | 早く帰ってください! |
藤見野 イサオの控え室 | |
?: | ‥‥う‥‥うう‥‥う‥‥うう‥‥ |
春: | ななな、なるほどくん! |
成: |
こ、この世のものとも思えない、 ブキミなうめき声だ‥‥! |
?: | ‥‥うぐ。‥‥ううううぐぐぐ‥‥ |
春: |
お‥‥オバケ、きらいです。 ‥‥ああああああん。 |
成: | いや、妖怪かもしれないぞ! |
?: | ダレが妖怪だいッ! |
春: | きゃあっ! |
成: | 出たぁ! ‥‥宇宙人だッ! |
オ: | ダレが宇宙人だいッ! |
成: |
なんだ‥‥オバチャン、 こんなところにいたんですか。 |
オ: |
なんなんだいアンタたちは! せっかくこう、イサオちゃんとの オモイデにひたってたのにサ! |
成: |
事件当夜のこと、もう一度だけ、 カクニンさせてください。 |
オ: |
裁判所でタップリ話したろ! あのインチキカメラマンの ラクガキにダマされちゃってサ! アホヅラぶらさげて、このへんを ウロつきまわってたんだョ! |
春: | ”アホヅラぶらさげて”‥‥と。 |
オ: |
ちょ、ちょっとアンタ! メモするんなら、もっと いいように書いてちょうだい! |
春: | あ。かしこまりました。 |
成: | (やれやれ‥‥) |
オ: |
でも、オバチャンも シゴトがあったからね。 ずっと見張っていたワケじゃ ないケド。 |
成: |
亡くなったイサオさんのこと、 聞かせてもらえますか。 |
オ: |
人気ナンバー・ワンだったね。 ‥‥特にオバチャンの中では。 |
成: |
オートロさんの人気を ねたんでいた、とか‥‥。 |
オ: |
う。ま、まあ最近はちょっと、 アレだったけどサ。 でも! ホントに これからだったんだョ! ホレ、ごらん! このプレゼントの山! みーんな、ファンのコたちの キモチなんだョ! |
成: |
たしかに‥‥ たいしたもんですね。 |
春: | ‥‥なるほどくん? |
成: | ん? どうしたの。 |
春: |
この、プレゼント。 クマさんばっかり‥‥ですね。 |
成: |
(‥‥というか、クマ以外のものは 1つもないぞ‥‥) |
成: |
ファンのプレゼントですけど ‥‥クマばっかりですね。 |
オ: |
ああ。イサオちゃんの イメージキャラクターだからね。 |
春: | クマさんが‥‥ですか。 |
オ: |
いやなに。イサオちゃん、 修業時代にクマと素手で戦ってサ。 どうしても勝負がつかなくてネ。 それ以来、親友になったんだって。 |
春: |
‥‥わあ。 ステキなおはなしですね。 |
オ: |
ホラ。青春ドラマであるだろ。 河原に寝ころんだふたりが、 ”ヘッ‥‥オマエ、やるな” ”オマエもな”っていう、アレ。 |
成: | クマとそれをやったんですか。 |
オ: | 自伝に書いてあったョ。 |
成: | (ゼッタイ、ウソだ!) |
オ: |
それ以来、ファンのプレゼントは クマになったワケ。 |
成: | クマ、ねえ‥‥。 |
8時だクマ! ボク、クマオヤジ! | |
成: | なな、なんだなんだ! |
オ: |
プレゼントの時計の時報だョ。 もう、夜の8時だからネ。 |
成: | ううう‥‥死ぬかと思った。 |
春: |
午後8時‥‥ ちょうどあの晩、授賞式が 終わったころですね。 |
成: |
(あれから まるまる2日、か‥‥) |
成: | (トランシーバーが!) |
成: | もしもし! もしもしっ! |
?: | 『‥‥これは電話ではありませんよ。』 |
成: |
真宵ちゃんは! 彼女は‥‥ブジだろうな! |
?: |
『‥‥どうやら、 要求は拒否されたようですね。』 |
成: | ‥‥! |
?: |
『ニュースを聞きました。 ‥‥私のプレゼントも 意味がありませんでしたか‥‥。』 |
春: |
‥‥い、いけません! 真宵さま! 真宵さまあああ! |
成: |
もう1日! たのむ! あと1日だけ、待ってくれ! かならず‥‥今度こそ、 無罪判決を‥‥ |
?: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ やむを得ませんね。 私としても、無罪判決が どうしても必要なのですよ。』 |
成: |
‥‥たのむ! 声を‥‥ 真宵ちゃんの声を聞かせてくれ! |
?: |
『そうザザ‥‥では‥‥ザザザ‥‥ ちょっとザザ‥‥ザザザザ‥‥』 |
成: |
(‥‥なんだ! 急に 雑音が鳴り出したぞ‥‥) もしもし! もしもし! |
?: |
『どうやらザザ‥‥のぐあ‥‥ザ‥‥ わるいザザザザ‥‥』 |
成: |
(くそっ! トランシーバーが コワれたのか‥‥?) |
?: | 『ザザ‥‥シツレイ‥‥ザザザザ‥‥』 |
春: | い、今のは‥‥? |
成: |
わからない。いきなり ガーピー言いだしたんだ。 |
春: | ああ‥‥真宵さま‥‥真宵さま! |
成: |
(どうしていきなり コワれちまったんだ‥‥? だれか‥‥キカイに詳しそうな 人に、相談したほうがいいな。 ‥‥それも、なるべく早く!) |