成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
藤見野 イサオの控え室 | |
春: |
‥‥もう、9時をすぎて しまいましたね。 みつるぎ検事さん‥‥真宵さまを 見つけてくださるでしょうか‥‥ |
成: |
(‥‥時間がなさすぎる。 まず、不可能だろうな) 警察は優秀だからね。 ‥‥キタイしていいと思うよ。 それに明日は、無罪判決を 勝ちとる。‥‥問題ないよ。 |
春: |
そ‥‥そうですよね。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
藤見野 イサオさんを 殺害した犯人は‥‥ |
春: |
虎狼死家 左々右エ門 ‥‥殺し屋なのですよね。 |
成: |
霧緒さんが現場で拾ったカード‥‥ それが証拠らしいね。 ‥‥でも。そうなると、 新しい問題が出てくる。 ”だれが虎狼死家に 殺害を依頼したか”‥‥? |
春: | さつがいを‥‥いらい‥‥ |
成: |
直接、手を下したワケじゃ ないけどね。 殺害を依頼したヤツだって、 リッパな殺人者だ。 |
春: | ‥‥‥‥‥‥ |
春: |
いったい、だれが‥‥ コロシヤをたのんだのでしょう? キリオさん‥‥なのでしょうか? |
成: |
(どうだろう‥‥ 仮に、彼女が 依頼人だとしたら‥‥ 自分で死体にナイフを刺して、 偽装工作なんかするだろうか?) |
春: |
もし‥‥キリオさんでは ないとしたら‥‥ ああ‥‥まさか‥‥ |
成: | (‥‥王都楼 真悟‥‥?) |
春: |
もし‥‥オートロさんが コロシヤにおねがいしたのなら‥‥ |
成: |
彼は”無実”どころじゃない。 ‥‥まちがいなく、有罪だ。 |
春: |
で、でも! お、オートロさん じゃありませんよね! ‥‥だって、 初めてお会いしたとき‥‥ |
成: |
『‥‥王都楼さん。 ひとつだけ聞きます。 あなたは、藤見野 イサオさんを 殺害しましたか?』 |
王: |
『‥‥‥‥‥‥ わかりました。 ‥‥ハッキリ答えましょう。 ボク、だれも殺してません。 もちろん、藤見野 イサオも。』 |
成: |
(たしかに、サイコ・ロックは 見えなかった‥‥ しかし‥‥何か引っかかる) |
春: |
そ、それは、なんですか? なるほどくん。 |
成: |
今日の法廷で‥‥霧緒さんが、 気になることを言ったんだ。 |
春: |
あの‥‥”気になること” というのは‥‥? |
成: |
‥‥ああ。春美ちゃんは 聞いてないよね、もちろん。 |
霧: |
『藤見野は、<<忍者ナンジャ>>に すべてを賭けていました。 ‥‥もし、今年のグランプリを 逃したら、そのときは‥‥ 王都楼自身を失脚させてやる。 ‥‥そう考えていたようです。 どうやら藤見野は‥‥ 王都楼の芸能生命を断つような ヒミツを‥‥にぎっていたのです!』 |
春: |
オートロさんの ‥‥”ヒミツ”‥‥! い、いったいそれは、 どのような‥‥? |
成: |
それは、まだわからない。 とにかくイサオさんは、その ヒミツを暴露しようとしていた。 ‥‥つまり。 オートロさんには、リッパな ”動機”があることになるんだ。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ (やっぱり、会わなければ ならないな‥‥王都楼さんに) |
控え室前 ろうか | |
春: |
すっかり遅くなって しまいましたね‥‥ |
成: |
もう、9時すぎだしね。 でも‥‥まだ、明日の準備は 終わっていないよ。 (イサオさんがにぎっていた オートロさんの”ヒミツ”‥‥ そして、霧緒さんの真意‥‥ これだけは知っておかないと!) |
春: |
でも‥‥留置所の面会時間は もう、終わっているのですよね? |
成: |
‥‥ううん‥‥ なんとかするしかないなあ。 |
ホテル・バンドー すみれの間 | |
オ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | ちょ、ちょっと待ってくださいよ! |
オ: |
なんだい! アンタと関わると、ホンット ロクなコトがないョ! さっき、なんだか知らんけど ヘンなキカイわたされてサ。 こいつでホテルじゅう 調べろ、ってんだョ。 |
成: |
それ‥‥電波探知機ですね。 (イトノコ刑事、手作りの) |
オ: |
まあ、ミッちゃんのおねがいだから しかたないけどサ。 |
成: | ‥‥御剣の‥‥? |
御: |
”ウラむなら、青くとがった弁護士 をよろしく” |
オ: |
って言ってたから、 オバチャン、ウラんじゃうよォ! |
成: | (‥‥ズルいヤツ) |
オ: |
これ、ゼーッタイに ヒミツの話なんだけどサ! なんでも、プレゼントの中から 盗撮カメラが見つかったのョ! |
成: | そうみたいですね。 |
オ: |
きっとアレだ。 イサオちゃんのスキャンダルを 盗み見ようとしたんだョ! |
春: | ”スキャンダル”‥‥ですか? |
オ: |
最近、イサオちゃんたら ウワサになってるからネ。 |
成: |
ああ‥‥。 華宮 霧緒さんのコトですか。 (彼女がイサオさんに近づいたのは ‥‥目的があったんだけどな) |
オ: |
オバチャン、知ってるョ。 ‥‥盗撮カメラのハンニン! あの、ナマイキな大阪弁カメラ女。 まったく、あつかましいョ。 自分だけ、のぞこうなんてサ。 オバチャンも見たいッちゅう話ョ! |
成: |
(‥‥うわあ、トンでもないコト 言ってるぞ。この宇宙人) |
オ: | 聞こえてるョ! |
成: | (言ってないのに‥‥) |
オ: |
イサオちゃんと、 あのマネージャーだろ? ‥‥ジッサイ、何か あったらしいョ、あのふたりは。 |
成: | そうなんですか。 |
オ: |
いやー、イサオちゃん、 マネージャーにモテるネェ。 |
春: | ”マネージャー”‥‥ですか? |
オ: |
知らないのかい? イサオちゃんに ついていたマネージャー。 ‥‥自殺しちまったケド。 |
成: |
ああ。天野 由利恵さんですか? ‥‥霧緒さんの先輩の。 |
オ: |
そう、それ! そのユリエって子はネェ。 ケッコンするハズだったんだョ。 |
成: |
けけ、ケッコンって、 イサオさんと‥‥ですか? |
オ: |
はー。マッタク、最近のコは なんにも知らないネェ。 ユリエが自殺したのは、 婚約発表の3日後だったんだョ。 |
成: | (婚約発表の‥‥3日後!) |
春: |
婚約した由利恵さんが、 どうして自殺したのですか! |
オ: |
ああ。そりゃカンタンなコトさネ。 ‥‥捨てられちゃったんだョ。 イサオちゃんに。 |
成: | ええッ! |
春: |
だ、だって‥‥おふたりは ‥‥婚約したのですよね? |
オ: |
それはそれは大げさな 婚約発表だったョ。‥‥でも、 その3日後‥‥イサオちゃんは いきなり、それを取り消したんだ。 |
成: | ほ‥‥ホントですか? |
オ: | 週刊誌に書いてあったョ。 |
春: |
い、いったい、なぜですか! どうして‥‥! |
オ: | 週刊誌には書いてなかったネ。 |
成: | ‥‥はあ。 |
オ: |
その晩だョ。ユリエっていう マネージャーが自殺したのは。 |
成: | そうだったんですか‥‥。 |
春: |
いったい‥‥ 何があったんでしょう‥‥。 |
ホテル・バンドー ロビー | |
成: |
事件当夜、ここには数百人が 招待されていたはずだ。 ‥‥さすがに、事情聴取も 終わったのだろうか。 ロビーは、やっと落ちつきを 取りもどしたみたいだ。 |
警察署内 刑事課 | |
春: |
‥‥なんか、 空気がピリピリしています。 |
成: |
(ホントだ。 何かあったのかな‥‥?) |
課: |
‥‥たしかきみは、王都楼の 弁護士だったね? |
成: | は、はい。 |
課: |
ワレワレは、やっと見つけたんだ。 ‥‥決定的な証人を。 |
成: |
”決定的な”‥‥って、 オートロさんの事件ですか? |
課: |
今、調書を取り直しているんだ。 ‥‥さすが、御剣検事だねえ。 |
成: | (‥‥御剣‥‥) |
春: |
い、いったい‥‥どなたですか? 証人というのは。 |
課: |
弁護士クンも、よく知っている 人物だよ。 |
春: | な、なるほどくん‥‥ |
成: |
(誘拐犯に、オートロさん‥‥ どっちも絶体絶命、か!) |
課: |
あ、それから‥‥。 御剣検事から たのまれたコトがあるんだ。 |
成: | 御剣から‥‥? |
課: |
留置所の面会時間は とっくに終わっているけど‥‥、 トクベツに、面会を許可してやって ほしい、‥‥ってね。 |
春: | えっ! |
課: |
ワシのほうから電話を 入れておくから、 ま。好きなだけハナシを 聞くといいよ。 |
成: | ありがとうございます。 |
春: | よかったですね、なるほどくん。 |
成: |
(”好きなだけハナシを聞け” ‥‥か。 どうやら警察は、明日の審理に かなり自信があるみたいだ‥‥) |
留置所 面会室 | |
成: |
(今、この留置所には‥‥ オートロさんの他に、 霧緒さんもいるはずだ。 ‥‥さて。どちらの話を 聞かせてもらおうかな?) |
王: |
あっ、成歩堂さん! 明日こそは、ボクの 無実を証明してくれますよね! |
成: |
そ、そうですね‥‥。 (御剣は言った。 イサオさんを殺害したのは 殺し屋で、その依頼人は‥‥ この、王都楼 真悟だ、と‥‥) |
王: | どうかしましたか? |
成: |
‥‥オートロさん。 どうしても知っておきたい ことがあるんですよ。 |
王: |
‥‥なんか、弁護士さん。 いつもとちがいますね。 |
成: |
例の”記者会見”の ことですけど‥‥ |
王: |
藤見野がトノサマンを着て やろうとしていた、アレ? |
成: |
‥‥そうです。 霧緒さんが言っていました。 |
霧: |
『どうやら藤見野は‥‥ 王都楼の芸能生命を断つような ヒミツを‥‥にぎっていたのです!』 |
王: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
教えてくれませんか。 その”ヒミツ”について。 |
成: | (‥‥やっぱり‥‥) |
春: |
なるほどくん‥‥? も、もしかして‥‥ |
成: | (サイコ・ロック‥‥) |
王: |
”ヒミツ”と言われてもなあ。 心当たり、ありませんよ‥‥? |
成: |
イサオさんと霧緒さんのコト‥‥ 知ってましたか? |
王: |
‥‥まあ、週刊誌にも 書いてあったし、ね。 あ。でも、 詳しいことは知りませんよ。 何度も言うけど、藤見野なんて キョーミありませんからね。 |
成: |
霧緒さんは‥‥目的があって イサオさんに近づいたんですよ。 彼女の先輩で、イサオさんの マネージャーだった‥‥、 天野 由利恵さんの遺書を 手に入れるために。 |
王: | ユリエ‥‥ |
成: | 何か、心当たりは‥‥? |
王: |
‥‥‥‥‥‥ なんか、ハラへっちゃったな。 ピザでもたのみましょうか。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
春: |
あの、なるほどくん。 ”ぴざ”というのは‥‥? |
成: | あとで食べさせてあげるよ。 |
王: |
‥‥ピザ屋のヤツ、 断りやがった。 |
成: | そりゃそうでしょうね。 |
王: |
‥‥さ。じゃあ気分を変えて、 他のハナシをしましょうか。 |
成: |
(オートロさん‥‥ 由利恵さんの死に、何か 関係があるのか‥‥?) |
警察署内 刑事課 | |
?: |
あっ! 成歩堂さん! 助けてくださいッ! |
成: |
(この声は‥‥) に、荷星さん! |
春: |
どうされましたか? こんなところで‥‥ |
荷: |
い、いや、ボク‥‥ なんか、捕まっちゃって。 |
春: | えええッ! |
荷: |
ボク、明日の法廷で 証言することになったんですよ。 |
成: |
(決定的な証人‥‥って、 荷星さんだったのか‥‥) |
荷: |
さっきまで刑事さんとハナシを して、帰ろうと思ったら‥‥ ”被疑者、身柄をカクホー!”と イキナリ、こう来たわけですよ。 |
成: | はあ‥‥。 |
荷: |
なんか、”カオもカッコウも アヤシイ!”‥‥なんて言われて。 |
成: |
(ううん‥‥たしかにアヤシイ。 ‥‥カオもカッコウも) |
荷: |
ううう‥‥ただの 体操のおニイさんなのに。 |
成: |
”証言”って‥‥ 荷星さん、何を話すんですか? |
荷: |
イヤ、よく わからないんですけど‥‥ なんかボク、ダイジなものを 見ちゃったみたいなんですよ。 |
成: | ダイジなもの‥‥? |
荷: |
あ。でも‥‥刑事さんに 言われてるんです。 ”ゼッタイにしゃべるな。 特にあの弁護士には”って。 |
春: | ”あの弁護士”というのは‥‥ |
成: | まあ、ぼくだろうね。 |
荷: | ‥‥きょ、恐縮です。 |
春: |
なるほどくん! 世界で、わたくしと真宵さまだけは なるほどくんの味方です! |
成: | (少ないな‥‥ミカタ) |
荷: |
オートロくん‥‥きっと、 ダメージが大きいですね。 ‥‥彼、春風のような サワヤカさがウリだから。 |
成: |
ホントのところは どうなんですか? |
荷: |
そうですねえ。女性にはちょっと だらしないというか‥‥ まわりに寄ってくる方を、 その‥‥こばまないんですよ。 ”ゲームだ”って 割り切ってですね‥‥ |
春: |
まあっ! ゆる、ユルせません! |
荷: |
いてて。 ‥‥きょ、恐縮です。 ”思いどおりにならなかった オンナは1人だけだ”って‥‥ そんなコト、言ってましたね。 |
成: |
”1人だけ”‥‥。 それ、だれですか? |
荷: |
マネージャーさんですよ。 華宮 霧緒さん。 |
成: |
(荷星さん‥‥なんだか、 妙にイキイキしてきたぞ‥‥) |
荷: |
いやぁ。ボク、ウワサ話には 目がないんですよ。 なんか芸能界って、キラびやかな イメージがあるじゃないですか。 |
成: |
”あるじゃないですか”って、 荷星さんもそこにいるでしょう? |
荷: |
いや、ボクなんて。毛むくじゃらで 汗クサいキンニク野郎ですから。 ‥‥でも、いいんです。 身のまわりで、スターたちの ゴシップがナマで聞けますからね。 |
成: | まあ‥‥そうですね。 |
荷: |
あ、ホラ! 知ってますか? 霧緒さんのセンパイの自殺‥‥ |
成: | 由利恵さん、ですか? |
春: |
たしか‥‥イサオさんとの 結婚がダメになった、とか。 |
荷: |
そう、それです! ボクなりにね。考えてみたんです! あの、ナゾの死について! ね。ね。成歩堂さん! 聞いてくれますか! |
成: |
(荷星さん‥‥なんだか、 ハダがツヤツヤしてきたぞ‥‥) |
荷: |
知ってますか? 由利恵さん、遺書を のこしていたんですよ! それを、イサオさんが かくしちゃった、って‥‥ |
成: |
法廷で聞きましたよ。 (”証拠はない”って 言ってたけど‥‥) |
荷: |
ボク、思うんですよ。 遺書の中に、ツゴウの悪いコトが 書いてあったんです! ‥‥イサオさんにとって。 |
春: | ツゴウの悪いコト‥‥ |
成: |
どうして そう思うんですか? |
荷: |
由利恵さん、亡くなる前に トモダチに相談してたんですよ。 ”ワルいオトコに つかまってしまった”って‥‥ |
成: |
”ワルいオトコ”‥‥ それがイサオさんだった、と? |
荷: |
だって、他に 考えられないでしょう? ヒトの遺書をかくしちゃう 理由なんて! |
成: |
なるほど‥‥ 参考になりました。 |
荷: | きょ、恐縮です! |
成: |
(王都楼さんと霧緒さん‥‥ ふたりは今、留置所にいる。 何かまだ、ぼくが知らない ことがあるはずだ‥‥ すべて聞き出すんだ‥‥ あのふたりから‥‥!) |