成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
地方裁判所 第3法廷 | |
裁: |
では、審理を再開します。 ‥‥準備はよろしいですね。 |
成: | は‥‥はあ‥‥ |
御: | う‥‥うム‥‥ |
裁: |
‥‥弁護人はともかく‥‥ なぜ、あなたまで半死半生 なのですかッ! 御剣検事! |
御: |
い、いやその。 ‥‥シ、シツレイした。 |
成: |
(どうしたんだ? 御剣のヤツ‥‥) |
千: |
‥‥想像を絶するような コトがあったみたいね。 |
裁: |
それでは、御剣検事。 まずは、遺書の筆跡鑑定‥‥ 結果を報告してください。 |
御: |
う‥‥うム。 ザンネンながら‥‥ ‥‥これは‥‥、 ホンモノの遺書ではない。 |
成: | なんだって! |
裁: | ど、どういうことですかッ! |
御: |
これは‥‥この遺書は‥‥ 偽造されたものだとわかった! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 御剣検事! いったい‥‥ ダレの筆跡だったのですか! |
御: |
さらに詳しい検査が必要だが‥‥ どうやらこれは、被害者 藤見野 イサオの筆跡らしい。 |
成: | い‥‥イサオさん‥‥? |
千: |
どうやら‥‥ 由利恵さんの遺書には、 書かれていなかったようね。 ‥‥王都楼 真悟のこと‥‥ |
御: |
‥‥しかし! たとえ、この遺書が ニセモノだったとしても‥‥ 王都楼 真悟はそれを 知らなかったにちがいない! この遺書をホンモノだと思いこみ、 奪いかえそうとしたのだ! |
裁: |
ふむう‥‥ じゅうぶん、あり得ますな。 |
成: |
(”王都楼さんは、遺書が 偽造だと知らなかった‥‥” この主張‥‥ちょっと ムジュンしてないか?) |
成: |
ただ今の主張は、これまでの検事の 立証とムジュンしています! もし、この法廷で御剣検事が 立証してきたことが事実なら‥‥ 王都楼 真悟は、遺書がニセモノで あることを知っていたはずです! |
裁: |
これは‥‥ なんでしたっけ? |
成: |
び、ビデオカメラですよ。 ‥‥超小型の。 |
裁: |
あ、そうでした。 キカイに弱いもので‥‥ |
成: |
御剣検事! キミはさっき、 こう主張していたはずだ! ”この遺書の存在を知ったのは、 被害者を監視していたからだ” |
御: | ‥‥‥! |
成: |
それならば! 当然、被害者がそれを偽造 したことも、知っているはずだ! |
御: | ぐわああッ! |
裁: |
この遺書がニセモノだった。 それを被告人が知っていた。 そうなると‥‥ とんでもないコトになります。 |
成: |
‥‥そのとおりです! 検察側の主張してきた ”殺人の動機”が‥‥ 一瞬にして、消えてしまう! |
御: |
し、しかし‥‥! 王都楼も、24時間 監視していたワケではない! 被害者は、王都楼の知らない ところで遺書を偽造したのだ! |
成: |
‥‥キミの口グセを、 そのままお返ししよう! ”被害者がどこで偽造をしたか” ‥‥証拠で示してもらおうか! |
御: | ぐはああアッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ‥‥御剣検事。 どうやら、今度はあなたが 自ら、墓穴を掘ったようですな。 |
御: | うむむむむむ‥‥やはり‥‥ |
裁: | ? ‥‥”やはり”‥‥? |
御: |
やはり‥‥こうなって しまうのか‥‥ |
裁: |
どういうコトですか? ‥‥御剣検事。 |
御: |
筆跡鑑定の結果を聞いたとき、 こうなることは予想できた。 ‥‥問題は‥‥その次だ。 |
成: | その‥‥つぎ? |
御: |
証拠による動機の証明が できなくなった以上‥‥ 検察側は、ベツの方面から 犯行を立証しなければならない。 |
裁: |
たしかに‥‥ そうなりますな。 |
御: |
裁判長。 検察側は‥‥ここで、証人を 呼びたいと思うのだが‥‥ |
裁: | お。ベツにかまいませんよ。 |
御: |
それがその‥‥ちょっと、 めずらしい証人で‥‥ |
成: |
(御剣らしくないな。 口ごもったりして‥‥) |
裁: | どんな証人ですか? |
御: |
”虎狼死家に殺害を依頼した 人物はだれだったのか?” ‥‥そのギモンに、 カンペキに答えられる証人だ。 |
成: |
バ‥‥バカな! そんなコトを証言できる 証人なんて、いるわけがない! |
裁: |
た‥‥たしかに! いったい、その証人とは‥‥ |
御: | そ‥‥それが‥‥その。 |
裁: | だれですか! |
御: |
本人だ。 ‥‥虎狼死家 左々右エ門。 |
裁: |
ほお。コロシヤさん。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんですッてェェェェェェッ! コロシヤ サザエモンンンッ! |
裁: |
あの‥‥コロシヤ‥‥というのは ‥‥殺し屋、なんですよね? |
御: | そのとおり‥‥だ。 |
裁: | 証言台に立つ、と? |
御: |
ま。そういうコトに なるのだろうか‥‥ その。特例ということで、 許可していただきたい。 |
裁: | ふむう‥‥弁護人。 |
成: | は、はい? |
裁: | いかがですか? |
成: |
(いかがもナニも‥‥ 時間をかせぐためには、 モンクを言ってる場合じゃない) あ。イイと思いますけど。 |
裁: | イイのでしょうか‥‥ |
御: |
では、とにかく証人を 入廷させてみようではないか! |
成: |
(御剣‥‥ ほとんどヤケクソだぞ‥‥) |
御: |
では、証人。 ‥‥ええと、名前と‥‥ その、職業を。 |
左: |
『かしこまりました。 名前は虎狼死家 左々右エ門。 ‥‥殺し屋、やっております。』 |
裁: |
ちょちょ、ちょ、ちょ‥‥‥ちょ。 ちょっと待ちなさい! |
御: | ‥‥なんだろうか? |
裁: |
なんだろうか、じゃありません。 なんですかこの無線機は。 |
御: |
‥‥じつは、ついさっき 私のもとへ届いたものだ。 電波の逆探知をしないという 条件で、証言をする、と。 |
成: |
(電話で呼び出されたのは、 そのコトだったのか‥‥) |
裁: |
いやいやいや。ダメですよ、 これはさすがに。 だいいち、コロシヤ本人か どうかも不明ではないですか! |
御: |
証人。あなたが虎狼死家だという 証拠を提示していただきたい。 |
左: |
『いたしかたありませんね。 ‥‥そのまま、お待ちください。』 |
裁: | ‥‥‥? |
真: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥おなか‥‥へった‥‥』 |
成: | ままま、真宵ちゃんッ! |
千: | 真宵っ! |
裁: |
い‥‥いきなり どうしましたか! 弁護人! |
成: |
い、異議なし! そのヒトを左々右エ門と認めます! |
裁: |
またまた、ややこしいコトに なってきましたな‥‥ しかたありません。 とにかく、審理をつづけましょう。 |
御: |
‥‥それでは、証人。 最初に1つだけ、 カクニンしておきたい。 |
左: | 『なんでしょうか。』 |
御: |
あなたは依頼を受けて、 藤見野 イサオを殺害したか。 |
左: |
『‥‥‥‥‥‥ おっしゃるとおりです。 私がやらせていただきました。』 |
裁: | ぐぐゥ‥‥ |
御: |
では、証言していただこう。 あなたに依頼した、人物の名前を! |
左: | 『‥‥かしこまりました。』 |
裁: |
‥‥あ‥‥悪夢です。 こ、こんなことが‥‥ |
成: |
(左々右エ門‥‥ いったい、どう出るつもりだ?) |
左: |
『最初に1つ、申し上げて おきたいことがございます。』(証言1) 『殺し屋という商売は、依頼人との 信頼関係が、最も大切なのです。』(証言2) 『だからこそ、私はこうして証言台に 立っているのでございます。』(証言3) 『‥‥名前を申し上げる前に、 それをごリカイいただけますか。』(証言4) |
裁: |
‥‥ずいぶん、 バカていねいなヒトですね。 まるで、私たちを バカにしているようです。 |
御: |
たしかに、この証人は われわれの敵でしかない。 しかし、虎狼死家の コトバにウソはない。 彼は、今、証言したことを ずっと守ってきている。 |
裁: |
‥‥”依頼人との信頼関係”? マッタク、私たちのリカイを 超えた世界ですな。 ‥‥では、弁護人。尋問を。 |
成: | はい。 |
千: |
‥‥これからの尋問‥‥ まったく、先が読めないわね。 |
成: | ”信頼関係”‥‥? |
左: |
『私どもは、正確にシゴトを させていただきます。 そのかわり、お客さまも、 決して私どものことを口外しない。 商売がら、あまりヒトさまに 知られてはコマりますからね。』 |
裁: |
‥‥そのワリに、こうして堂々と 証言台に立っていますが? |
左: |
『依頼人に殺人容疑がかかったのは はじめてでございますから。 虎狼死家の名にかけて、 なんとかせねば、と思いまして。』 |
成: |
その”信頼関係”がウラ切られる コトはないんですか? |
左: |
『今までは、ありませんでした。 もし、そんなことがあれば‥‥』 |
成: | あ、あれば‥‥? |
左: |
『依頼人といえども ヨウシャはいたしません。 かならずや‥‥』 |
裁: | も、もうケッコウです! |
左: |
『‥‥かしこまりました。 それはともかく。』 |
成: |
‥‥それは少し、おかしいですね。 証人はこれから、依頼人の名前を 証言しようとしています。 依頼人にとっては、ものすごく メイワクだと思いますが。 |
左: |
『‥‥いたしかたありません。 このたびの依頼人は、仁義に はずれたコトをしておりますから。』 |
裁: | じじ、じんぎ‥‥? |
左: |
『自分が助かるために、 他人に罪をなすりつける‥‥ これは、とてもユルされるべき コトではありません。』 |
裁: | 殺し屋が、ナニをエラそうに‥‥! |
左: |
『今、発言した方‥‥ シツレイですが、死にたいですか?』 |
裁: |
い、いえッ! そんなッ! なんでもないですッ! |
成: | (‥‥やれやれ‥‥) |
成: | ”信頼関係”‥‥? |
左: |
『私どもは、正確にシゴトを させていただきます。 そのかわり、お客さまも、 決して私どものことを口外しない。 それが、殺し屋と依頼人の 仁義というものです。』 |
成: |
ところで‥‥証人はさっき、 こう証言しましたね。 ”今回の依頼人は、仁義にはずれた コトをした”‥‥と。 |
左: |
『自分の罪をヒトに着せる‥‥ 人間として、サイテイです。』 |
成: |
‥‥だから、あなたのほうから ウラ切るんですか? 信頼関係を。 |
左: |
『”仁義”をリカイできない依頼人 に、信頼関係などありません。』 |
成: |
(‥‥リクツっぽい 殺し屋だな、まったく‥‥) |
左: |
『‥‥いかがですか? みなさん。 私の考え、リカイされましたか?』 |
成: | (リカイできるか!) |
左: |
『できなければ、このまま 先へ進めませんが‥‥』 |
成: |
‥‥とてもよく リカイできたと思います。 |
左: |
『それならば‥‥ そろそろ、私の方も ココロの準備ができてきました。』 |
御: |
証人にとって”信頼関係”が 大切なのは、了解した。 |
左: |
『‥‥さよう。』 『では、そろそろ‥‥依頼人の名前を 証言させていただきましょうか。』(証言・補足) |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | どうしましたか? |
成: |
(うう‥‥依頼人の名前を聞く 決心がつかない‥‥) |
御: |
‥‥では、かわりに私が聞こう。 証人! 藤見野 イサオの殺害を依頼した 人物の名前を証言してもらいたい! |
左: |
『かしこまりました。 そのヒトのお名前は‥‥』 |
成: | ‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
左: | |
ええええええええええええええええ えエエエエエエエエエェェェェッ | |
御: |
しょ‥‥証人ッ! さっきキサマが言った 名前と、ちがうではないかッ! |
成: | ‥‥! |
左: |
『ナニをおっしゃいます、 検事さん‥‥ 依頼人は、カミヤ キリオさま‥‥ まちがいございません。』 |
御: | なんだとおおおオオオオッ! |
御: |
ば‥‥バカな‥‥! さっきの電話では‥‥ |
成: |
い、いったい‥‥ どうなってるんでしょう? |
千: |
コロシヤが、ウラ切った ようね‥‥御剣検事を。 |
成: | 御剣を‥‥? |
千: |
たぶん、開廷前の打ち合わせでは、 ちがう名前を証言するハズだった。 ”王都楼 真悟”‥‥と。 |
成: | (やっぱり‥‥) |
御: |
こ‥‥これは、ワナだッ! この証人は‥‥大ウソを ついている! |
裁: |
し、しかし‥‥この証人を 召喚したのは、あなた自身ですぞ! |
御: |
ぐ‥‥ッ! は‥‥はかったな‥‥ 虎狼死家 左々右エ門‥‥! |
左: |
『‥‥私の証言に ウソはございません。 今、裁判にかけられている被告 ‥‥王都楼さま、でしたか。 ただちに、彼を無罪にして いただきたいと存じます。』 |
裁: |
ふ‥‥‥‥‥‥ ふむう‥‥。 |
千: |
なんだか‥‥ いきなり、勝っちゃいそうな フンイキね。 |
成: | ‥‥はあ。 |
裁: |
‥‥検察側は、被告の動機を 立証できませんでした。 この遺書が、被害者による 偽造であること‥‥そして、 そのことを、被告は知っていた 可能性があったからです。 さらに‥‥ 今、殺し屋自身の証言で ハッキリしました。 彼に殺害を依頼したのは ‥‥被告人ではなかった! |
御: | ‥‥バカな‥‥ |
裁: |
そうなれば、当然‥‥ 王都楼 真悟は <<無罪>>ということになります! |
左: |
『‥‥どうやら、やはり コンランされているようですね。 しばらく交信を切ります。 ‥‥ご相談ください。』 |
裁: |
‥‥係官! 大至急、 華宮 霧緒を連れてきなさい! |
千: |
どうするの? 今なら、 無罪判決をもらえるわ。 真宵を助けるなら‥‥もう、 最後のチャンスかもしれない。 |
成: |
え、ええ‥‥でも‥‥ 御剣はまちがっていない。 虎狼死家はウソをついています! 王都楼は‥‥ぼくの依頼人は‥‥ 有罪なんですよ! (このまま‥‥ぼくは、 勝ってしまっていいのか!) |
裁: |
まさか‥‥検察側の証人が、 被告の無実を立証しようとは! |
御: |
裁判長! 検察側は、 詳しい尋問を要求する! 虎狼死家 左々右エ門は、 ウソをついているのだ! |
裁: | ‥‥ふむう‥‥ |
霧: |
私じゃないわ! みなさん、聞いてください! これは‥‥みんな、ウソです! |
成: | き、霧緒さん‥‥ |
霧: |
遺書は‥‥ニセモノだった かもしれません。 でも‥‥! あの男は‥‥王都楼は、 由利恵さんを死に追いやった! そして、藤見野の死も‥‥ あいつが仕組んだことなんです! ウソです‥‥ こんな‥‥ヒドい話‥‥ |
御: | ‥‥‥‥ |
裁: |
しかし‥‥コロシヤ自身が 証言しているのですぞ。 依頼人はあなたである、と。 |
霧: | ‥‥ウソよ‥‥! |
裁: |
それに、あなたに関する 証拠なら、いくらでもある。 ナイフにボタン、トノサマンの 着ぐるみ‥‥ |
霧: | そ、それは‥‥ |
裁: |
‥‥動機もあります。 天野 由利恵さんは、 あなたの中で、大きな存在でした。 ‥‥彼女を死に追いやった、 男たちへの復讐‥‥ 殺意を抱く理由として、 じゅうぶんだと言えます。 |
霧: |
そ‥‥そんな‥‥ 成歩堂さん! |
成: | ‥‥! |
霧: |
あなたは‥‥あなただって、 知ってるんでしょう! ホントのことを! ‥‥真犯人が、だれなのか‥‥ ‥‥おねがいします‥‥ ‥‥助けて‥‥ |
成: |
(‥‥たしかに‥‥ ぼくは、知っている!) |
裁: | ‥‥弁護人。 |
成: | はい。 |
裁: |
審理はここにいたって、 1つの結論にたどりつきました。 ‥‥弁護側の意見を 述べていただきたい。 |