成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(‥‥とっさの思いつきに しては、うまくいったな‥‥) |
千: |
‥‥ザンネンながら。 彼は、そう思っていないようね。 |
御: | ‥‥礼を言わせていただこう。 |
裁: | ど‥‥どういうことですか? |
御: |
弁護側は、さらなる絶望を 望んでいるようだ。 |
成: | ‥‥! |
御: | ‥‥これを見ていただきたい。 |
裁: | それは‥‥なんですか? |
御: |
超小型のビデオカメラだ。 ‥‥その性能ゆえ、盗撮目的に 使用されることも多い。 |
裁: | と、とうさつ‥‥ |
成: |
(‥‥おかしい‥‥! あの盗撮カメラなら、 ぼくが持ってるのに‥‥) |
御: |
王都楼 真悟と被害者は、たがいに 異常なライバル意識を抱いていた。 ついには、こんなものを使って、 相手の弱みをにぎろうとしたのだ! |
裁: | つ、つまり‥‥? |
御: |
被害者の藤見野 イサオは、 私生活を監視されていた! ‥‥もちろん、 王都楼 真悟によって! |
裁: |
静粛に! 静粛にぃぃッ! コラ、弁護人ッ! |
成: | は‥‥はい。 |
裁: |
まさか、あなたは‥‥ 盗撮の事実を知っていたのですか! |
成: | え、ええ‥‥まあ。 |
裁: | ”まあ”じゃありませんッ! |
御: |
‥‥おそらくキミは、 フシギに思っていることだろう。 ”クマの目にしかけられたカメラは ぼくが持ってるのに”‥‥と。 |
成: | ‥‥! |
御: |
私の持っているこのカメラは、 それとはベツのものだ。 ‥‥ゆうべ、ちょっと思いついて 被害者の自宅を調べさせた。 ‥‥コイツを使って。 |
成: | (イトノコさんの探知機‥‥) |
御: |
ちなみに、このカメラには 被告人の指紋が残されていた。 |
裁: |
王都楼 真悟の‥‥ 指紋ですってッ! |
千: |
どうやら‥‥ カメラは、いろいろなところに しかけられていたようね。 |
成: | (なんてこった‥‥) |
御: |
‥‥これでおわかりだろう。 王都楼が遺書の情報を つかんだのは、当然のことなのだ。 ‥‥こうして、被害者を 見張っていたのだから‥‥ |
成: | (カンゼンに‥‥やられた‥‥!) |
‥‥おいおい、まだ何か 考えてるぞ、あの弁護士‥‥ | |
‥‥ママー。あのおにいちゃん、 サツジンハンなの? | |
‥‥シッ! ダメよ! 目を合わせちゃ! | |
‥‥あの冷や汗、キモチワルイ‥‥ | |
千: | なるほどくん‥‥ |
成: | は、はい! |
千: |
どうかしら。 次の手は見つかった? |
成: |
次の手‥‥! (そんなもの、あるわけが‥‥) |
千: |
たしかに、御剣検事の立証は カンペキに近いわ。 ‥‥でも。 立証を急ぐあまり、彼は1つ 重大な見落としをしているわ。 |
成: | なんですって‥‥! |
千: |
当然するべき”検査”を していない証拠品がある。 |
成: | (当然するべき”検査”‥‥?) |
千: |
‥‥まあ、その”検査”をする チャンスは存在しなかったから‥‥ 検事さんを責めるのも カワイソウだけど、ね。 |
成: | (どういうことだ‥‥?) |
裁: |
‥‥今度こそ‥‥ すべてがハッキリしました。 どうですか? 弁護人。 もう、異議はないでしょうな? |
成: |
(千尋さんの言う ”不完全な証拠品”‥‥ このぼくに 指摘できるのか‥‥?) |
成: | ‥‥異議あり。 |
御: |
‥‥フッ。 ココロなしか、声が小さいな。 |
成: |
裁判長ッ! 弁護側はまだ、 ナットクしたわけではありません! |
裁: |
‥‥なんか、ヤケになって いませんか‥‥? |
成: |
気のせいです! ‥‥御剣。きみらしくもないな。 |
御: | ‥‥? |
成: |
立証を急ぐあまり‥‥ 1つ、重大な見落としをしている。 |
千: | それ‥‥私のセリフじゃない。 |
御: |
‥‥この私が 重大な見落とし‥‥だと? |
成: |
おしかったな、御剣‥‥ 当然するべき”検査”を、きみは できなかった。‥‥この証拠品に! |
裁: |
それは‥‥ 由利恵さんの遺書、ですか‥‥ |
成: |
さあ‥‥。 それはどうでしょうか。 |
御: | ‥‥! |
成: |
たしかに、”遺書”は この中から発見されました。 そして、ついさっきまで、 このぼくが持っていた。 ということは‥‥、 その”遺書”は当然、まだ 筆跡の鑑定がされていない! |
裁: | あ‥‥ |
成: |
つまり! 由利恵さんが、本当にこれを 書いたかどうか‥‥ もっとも重要な立証が マッタク、できていない! |
裁: |
‥‥べ、弁護人! あなたはまさか‥‥ |
霧: |
成歩堂さん! あなた‥‥この遺書が ニセモノだって言うつもりなの! |
成: |
‥‥霧緒さん。 あなたは、王都楼さんに殺人の 罪を着せようとしていた。 自分でニセの遺書を作って、 この中に入れたのかもしれない! |
霧: | な‥‥なんですって! |
御: |
弁護人はまた、証拠もナシに 証人を犯人呼ばわりしている! この証人と遺書を結びつける 証拠など、ないではないか! |
成: |
もしコイツがニセモノならば! それを作れたのは証人しかいない! |
御: | どういうことだッ! |
成: |
このアクセサリーに関する 証言を思い出してください! パズルを解くことができたのは、 被害者以外に、証人しかいない! |
霧: | あッ‥‥! |
成: |
霧緒さん! コイツは、あなたが 書いたんじゃないんですか? 王都楼さんに罪を着せるために! |
霧: |
そんな‥‥ わ‥‥私、そんなコト‥‥ やっていません! |
御: |
成歩堂! この遺書が ニセモノだというのなら‥‥ その証拠を見せてみろッ! |
成: |
御剣! この紙キレを証拠として 提出したのは、お前のほうだ! コイツがホンモノであることを 示すのは、検察側のシゴトだッ! |
御: | ‥‥グゥゥゥッ! |
裁: |
そこまでッ! ‥‥御剣検事。この遺書の 筆跡鑑定は‥‥? |
御: |
お聞きのとおりだ! できるわけがないではないか! |
裁: |
そうなると‥‥ どうやら、また判決は 下せないことになりますな。 |
御: |
な‥‥ そんなバカなッ! |
千: | ‥‥マズいわね、なるほどくん。 |
成: |
(あと1日、決着が のびてしまったら‥‥ 真宵ちゃんの身体が‥‥ もう、もたない!) |
裁: |
‥‥やむを得ませんな。 検察側、弁護側の両者とも、 もう一度、調査を‥‥ |
‥‥筆跡鑑定なんて、弁護士の 時間かせぎに決まってるよ! | |
‥‥王都楼は有罪よ! だれだってわかるじゃない! | |
千: |
‥‥もう‥‥ 限界、なのかもね‥‥ |
‥‥有罪! 有罪! 有罪!‥‥ | |
電: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | な‥‥なんですかこれは? |
成: | (‥‥イトノコさんだ‥‥!) |
電: | ‥‥ピッ‥‥ |
成: | もしもし! イトノコさん! |
糸: | 『‥‥‥‥‥‥はあ。』 |
成: |
(なな、なんだ! この、 いきなりのタメイキは!) 真宵ちゃんは! ‥‥犯人はどうなりましたか! |
糸: |
『それが、そのお‥‥ ‥‥逃げられたッス。』 |
成: | なんですって! |
糸: |
『ごめんッス! すまねッス! 合わせるカオがないッス! できるコトなら、ソーメンで クビつって、死んじまいたいッス!』 |
成: |
と、とにかく‥‥状況を! 聞かせてください、早く! |
糸: |
『たった今、アジトを見つけたッス。 でも‥‥もう、すでに 2人とも、いなかったッス‥‥』 |
千: | ‥‥サイアクの事態ね‥‥ |
糸: |
『じ、自分はまだやれるッス! もう少し、時間を‥‥』 |
成: | ‥‥で、でも‥‥ |
糸: |
『‥‥もしかして‥‥ もう、限界‥‥ッスか?』 |
‥‥有罪! 有罪! 有罪!‥‥ | |
成: |
聞こえませんか? ‥‥この、有罪コール‥‥ |
糸: |
『‥‥すまねッス‥‥。 ここまでやっておきながら‥‥ ‥‥‥‥‥‥ そッス!』 |
成: | な、なんですか! |
糸: | 『御剣検事にかわってほしいッス!』 |
成: | そそ、そんなムチャな! |
裁: |
いいかげんにしなさい、 弁護人! |
成: | は‥‥はい! |
裁: |
今、審理を終了しますから、 電話なら、そのあとで‥‥。 |
成: |
ま、待ってください! ‥‥御剣ッ! |
糸: | 『‥‥御剣検事ッスか!』 |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
糸: |
『‥‥おねがいッス! なんとか、もう少しだけ時間を!』 |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥審理中だ。 |
‥‥ピッ‥‥ | |
成: | ‥‥! |
御: | ‥‥シツレイした。 |
裁: |
弁護人! ここは法廷ですぞ! |
成: |
す、すみません! しかし‥‥! |
裁: |
私としても不本意です。 しかし‥‥ 審理は、明日まで 中断するしかありません! |
成: |
(もう‥‥ 今度こそダメだ‥‥) |
裁: |
それでは、本日の法廷は ここまでとします! |
御: | ‥‥お待ちいただきたい。 |
成: | (み‥‥御剣!) |
裁: | な、なんですか、御剣検事。 |
御: | 30分、時間をいただきたい。 |
裁: | ‥‥どういうことですか? |
御: |
その時間で、この証拠品に 必要な検査をおこなう! |
裁: |
ふむう‥‥しかし、30分で ケツロンが出るのですか? |
御: | 出してごらんに入れる。 |
裁: |
ここで閉廷して、 1日、時間をとったほうが‥‥。 |
御: |
30分。 ‥‥おねがいしたい。 |
成: |
おねがいします! ‥‥裁判長! |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ しかたがありませんね。 |
成: | ‥‥! |
裁: |
検察側の要請により、 審理を30分間、中断します。 そして、本法廷は、 これ以上の中断は認めません。 |
成: | (た‥‥助かった‥‥のか?) |
裁: |
それでは、 最後の休憩に入ります! |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
御: |
‥‥成歩堂! どうなんだ? 真宵くんのほうは! |
成: |
‥‥虎狼死家のヤツ‥‥ また、消えちまったらしい。 30分じゃあ‥‥ とても発見はムリだ。 |
御: | う‥‥むむむ‥‥ |
電: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥ピッ‥‥ |
御: | ‥‥状況を報告したまえ! |
糸: |
『あっ! その声は、 御剣検事‥‥ッスか!』 |
御: | 時間がない。‥‥早く報告を! |
糸: |
『は‥‥はッ! ヤツらは、ワレワレと すれちがいだったらしいッス。 あわてていたらしく、遺留品が 何点か、残されていたッス。』 |
御: | 遺留品‥‥だと? |
成: |
それ‥‥もしかして、 何かの証拠にならないか? |
糸: |
『ハッハッハッ。‥‥きっと そう言うと思ったッス!』 |
成: | ‥‥? |
糸: |
『そう思って、今、遺留品を持って そっちに向かってる途中ッス!』 |
成: | ホントですか! |
御: |
‥‥妙だな。遺留品は、 まず鑑識課が調べるはず‥‥ |
糸: |
『そんなの、待ってられないッス。 ヤツらの目を盗んで、 ちょろまかしてきたッス!』 |
御: | え。 |
糸: |
『‥‥フッ。自分はもう、刑事じゃ ないッスからね‥‥ もう、ホーリツでしばられるのは ゴメンッス!』 |
成: | (そ、それはマズいのでは‥‥) |
糸: |
『このボロ車でも、あと20分あれば 裁判所につくッス! アンシンして 待っててほしいッス!』 |
御: |
ま、まあ‥‥安全運転で 来てくれたまえ。 |
糸: |
『もう、なんぴとたりとも、 自分を止めるコトはできないッス! ホレホレホレ! 赤信号なんて、ムシッス!』 |
成: |
(‥‥犯人の遺留品‥‥か。 もしかしたら‥‥決定的な 証拠があるかもしれない‥‥!) |
御: |
おいッ! どうした! イトノコギリ刑事! 応答を‥‥ |
糸: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんぴとたりとも‥‥ ‥‥自分を‥‥』 |
電: | |
成: | な‥‥なんだ? |
御: |
‥‥交通事故だ。 携帯電話もブッこわれたらしい。 |
成: |
な‥‥ナニやってんだ あのヒトは‥‥ とにかく、 早く助けを呼ばないと‥‥! |
御: |
しかし‥‥場所がわからない。 携帯電話はコワれている。 パトカーではないから無線もない。 それに‥‥ 警察の到着より早く行かなければ、 遺留品も没収されてしまう。 |
成: | そ、そんな‥‥! |
御: |
まあ‥‥彼の現在位置を 知る方法でもあればベツだが‥‥ |
成: |
(イトノコさん‥‥ミカタなのか、 それとも、最凶のテキなのか? 彼の現在位置を、カクジツに 知る方法‥‥か!) |
成: |
そうだ‥‥! 1つだけある! 方法が‥‥ |
御: | な、なんだと! |
成: |
イトノコ刑事の現在位置‥‥ コイツが教えてくれるはずだ! |
御: |
‥‥なぜ、こんなところに 狩魔 冥が‥‥ あッ! そうか‥‥ すぐに連絡をしてみよう。 ‥‥望みはうすいが‥‥。 |
成: |
(あいつ‥‥ 協力してくれるだろうか‥‥?) ‥‥御剣‥‥ |
御: | なんだ。 |
成: |
人のコト、言えないな ‥‥ぼくも。 |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
依頼人が有罪なのは、 よく知っている。 でも、ぼくが今、 やっていることと言えば‥‥ 無実の証人に罪を着せて、 敵の証拠にたよって‥‥ ‥‥‥‥‥‥ 弁護士・成歩堂 龍一も‥‥ 死ぬべきなのかもしれない。 |
御: |
‥‥成歩堂。 くだらん泣きごとに つきあう気はない。 キサマの弁護が正しかったか、 そうでなかったか‥‥ それがわかるのは、 判決が下された瞬間、だ。 |
成: | ‥‥判決‥‥ |
係: |
御剣検事は いらっしゃいますか! |
御: | ‥‥なんだ、係官。 |
係: |
お電話が入っています。 大至急とのことです。 |
御: |
‥‥筆跡の検査が終わったのかも しれない。 ‥‥では、私は行くぞ。 キサマがするべきは、何か。 ‥‥せいぜい考えることだ。 |