綾里 千尋…赤 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
裁判長…緑 | |
亜内検事…茶 | |
美柳 ちなみ…紫 | |
呑田 菊三…灰 |
千: |
(いよいよ‥‥ いよいよ、 この時が来たわね‥‥千尋!) はい。そのつもりです。 |
裁: |
よろしい、うかがいましょう。 ‥‥ただし! 無関係の人物を告発した場合は ペナルティを与えます。 よく考えるように! それでは‥‥あなたの考える ”真犯人”を提示してください! |
千: |
美柳 ちなみさん。 ‥‥もちろん、あなたしかいない! |
ち: |
え‥‥ そ、そんな‥‥ |
亜: | なな、何をバカなッ! |
千: |
送電線が切れてから、呑田さんが 感電死するまでの、10分間! その間、あなたは 何をしていたのですか? 助けも呼ばず、ヘッドフォンで お歌を聞きながら‥‥ ”どちらもファイト!”と 応援していたのかしらね! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥弁護人ッ! こ、これは‥‥いったいその。 どういうあの。そういうこの。 |
千: |
証人! あなたはあの日、 ふたりの言い争いを目撃した! そして、なるほどくんが被害者を つきとばして立ち去ったあと‥‥ あなた自身が、その手で 彼をつきとばし、殺害したのです! |
ち: |
‥‥きゃあああああああッ! ヒドい‥‥おばさま。 ちなみ、なんにもしてないのに‥‥ |
裁: | 弁護人ッ! これは、重大な‥‥ |
成: |
この裁判、ちょっと待ったあッ! ‥‥げほ。 |
裁: |
な、な、な、な、な‥‥ なんですか! あなたはッ! |
成: |
弁護側は‥‥今の発言を 全面的に取り消しますッ! |
千: | ば‥‥バカなコト言わないで! |
成: |
千尋さん、見そこなったよッ! ちいちゃんは‥‥ちいちゃんは、 そんなコトしないやいっ! |
裁: |
コラコラ! 勝手に被告席から 出てきちゃダメでしょう! 法廷係官! ちゃんと つかまえておくように! |
成: |
うおおえええ‥‥げほげほ。 ちいちゃんをイジめるな! げほ。 |
星: |
‥‥ヤレヤレ。 あのワカモノには、あまり 関わらんほうがよさそうぢゃの。 |
千: | ほ‥‥星影先生っ! |
星: |
なんとか間に合ったようぢゃな。 チミの新聞記事にあった事件‥‥ 警察の資料を手に入れてきたぞい! |
法廷記録にファイルした。 | |
千: |
ありがとうございます。 ‥‥この記録がほしかったんです。 |
星: |
‥‥よく目を通しておくといい。 チミが、その‥‥コイビトを 失った事件。その記録を、な。 |
裁: |
‥‥さて。弁護側から、 重大な告発がありました。 亜内検事。いかがですか。 |
亜: | こ、これはもう、その‥‥ |
ち: |
ちょっといいですか? 弁護士さん。 |
亜: |
あ。ちょっと、おじょうさん。 ここはその、私がカツンと。 |
ち: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
亜: | ‥‥ど、どうぞ。 |
ち: |
このわたしのせいで ノンちゃん、お死にになった、と? |
千: |
そうよ。 あなたは、呑田 菊三さんを 殺害したばかりか‥‥、 その罪を、恋人である被告人・ 成歩堂 龍一に着せようとした! |
亜: |
だから、そんな 言いがかりは‥‥ |
ち: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
亜: |
あ。スミマセン。 ど、どうぞ。 |
ち: |
わたし、リュウちゃんのコト お慕い申しあげておりますのよ? そのリュウちゃんに 罪をお着せするなんて‥‥ ちなみには、 お荷物が重たすぎますわっ! |
星: |
平たく言えば”動機はなんだ、 コノヤロー”というコトぢゃの。 |
千: |
(そのコタエは‥‥この資料の中に かくされているはず‥‥) 半年前、この裁判所の地下食堂で 起こった事件‥‥ そして‥‥事件と同じ日に 出会った、あるカップル‥‥ ‥‥裁判長。 弁護側は‥‥美柳 ちなみさんに 証言を要求します! |
裁: |
しょ、証言‥‥? 何について、ですかな? |
千: |
成歩堂 龍一‥‥ 被告人との出会い、について。 |
亜: |
そんなノロケ話など、 事件には関係ありませんぞ! |
千: |
”被告人に罪を着せる理由はない” ‥‥証人は、そう言いました。 弁護側には、そのコトバに対して 反証するケンリがあります! |
裁: |
いいでしょう。 弁護側の要求を認めます。 ‥‥おじょうさん。 証言をおねがいできますかな? |
ち: | も、モチロンですわ‥‥ |
千: |
(‥‥これからが勝負、ね。 美柳 ちなみさん‥‥) |
ち: |
『リュウちゃんと出会ったのは、 今から半年前のことでしたわ。』(証言1) 『運命のスポットは‥‥この裁判所の 地下にある、資料室だったんです。』(証言2) 『ひとめ見て‥‥なんだか、 キュンって来ちゃいましたの。』(証言3) 『それから、ずっと‥‥おつきあい させていただいております。』(証言4) |
成: |
(‥‥ホント、はたメイワクなほど アツアツなんです、ぼくたち!) |
裁: |
だから、被告人! ヒトの証言に口をはさまない! |
千: |
(とにかく‥‥ これで舞台はととのったわ!) |
星: |
あとは‥‥チミしだいぢゃ、 千尋クン! |
千: |
裁判所の資料室‥‥ちょっと 変わった出会いだったようですね。 |
ち: |
そんなこと、ございませんのよ。 だって、リュウちゃんは‥‥ 芸術学部の学生さまでありながら、 弁護士さまをお目指しに。 |
千: |
被告人ではなく、 あなたのことです‥‥証人。 なぜ、文学部のあなたが、 裁判所の資料室にいたのかしら? |
亜: |
そんなこと、今回の事件とは まったく関係ありません! |
裁: |
ふむう‥‥。事件と関係ない質問は 認められませんが‥‥? |
千: |
(裁判長は証人の味方。攻めかたを まちがえると、イタいわね‥‥) |
千: |
裁判長。事件との関連は、 これから証明できるハズです。 つづけて証言をおねがいします! |
裁: |
‥‥わかりました。おじょうさん、 質問に答えてもらえますか。 なぜ、あなたが、裁判所の 地下資料室にいたのか‥‥? |
ち: |
ええ。よろしいですわ、 オジサマ‥‥。 『わたし‥‥大学のレポートの資料を 探すため、裁判所に来てましたの。』(証言5) |
千: |
ちなみさん‥‥あなたは、 裁判所の資料に用はなかった。 他に、もっと重大な用事が あったんじゃないかしら‥‥? |
ち: | ‥‥! |
亜: |
なな、なんですか! その、イミありげなニコニコ顔は! |
千: |
半年前‥‥。この裁判所で、 ある事件がありました。 |
亜: | じけん‥‥? |
裁: |
”弁護士が毒を盛られた” という、アレですかな? |
ち: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
千: |
この資料に、その事件の 容疑者の名前が記されています。 ‥‥”美柳 ちなみ”‥‥と。 |
亜: | な、なんですと‥‥! |
裁: | み‥‥みやなぎ ちなみ‥‥! |
千: |
そう、みなさんの大好きな 美柳 ちなみさんです! 彼女は、半年前の事件の 最有力容疑者だったのです! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ‥‥し、信じられません。 このように、セイソでカレンな きんぽうげの花びらのような‥‥ |
亜: |
弁護人! ひ‥‥ヒキョウですぞ! 本件と無関係な中傷で、 この証人の信用をなくそうなどと |
ち: | ‥‥あの。 |
亜: |
‥‥そのようなコトは、 この亜内 武文が! ユルしませ |
ち: |
検事さん。‥‥わたしが お話ししてるんですのよ。 |
亜: |
あ。スミマセン。 ど、どうぞ。 |
ち: |
今から、半年前。 警察のみなさまは、たしかに‥‥ わたしに対して、ウタガイの おマナコでいらっしゃいました。 |
裁: |
‥‥ふむう。 ウタガイのおマナコ‥‥ |
ち: |
わたし‥‥この場で、 証言したいのですけど。 半年前の事件について、 わたしが無関係である、と‥‥ |
裁: | はあ‥‥。 |
千: |
(さあ‥‥これで2つの事件は つながったわ! あとは‥‥ 一気に攻めるだけよ、千尋!) |
星: |
いいぞ、千尋クン! ううう‥‥ワシのハートと シリにも、火がついたぞい! ハートと、そしてシリが‥‥ 今。ウズきだしたワイっ! |
ち: |
『弁護士さんとカフェテリアで お会いして、お話ししました。』(証言1) 『わたし、少し席をはずしました。 事件はそのとき、起こりましたの!』(証言2) 『毒薬は液体で、致死量の10ミリ リットルが検出されたそうです。』(証言3) 『しかも、犯行に使用された毒薬は かなり特殊なモノだったそうです。』(証言4) 『わたしは無実ですわ。そんな毒薬、 手に入れる方法がありませんもの!』(証言5) |
裁: |
ふむう‥‥。半年前、 そんなことがあったのですか! |
亜: |
し‥‥しかし、お聞きのとおり! この証人は、事件とは無関係です。 弁護人のヒレツなたくらみは これで‥‥ |
千: |
ザンネンね‥‥亜内検事さん。 弁護側のヒレツなたくらみは まだまだ、つづきます。 ‥‥尋問が終わるまで! |
亜: |
うぐはッ! ‥‥な、なんだか急に、 弁護人に妙なハクリョクが‥‥ |
星: |
おおお! 千尋クンに、 弁護士のオーラがッ! ちょっぴり、背が伸びた ようにみえるぞい! |
千: |
”毒薬を入手する方法はなかった” そんなイイワケは通用しないわ。 |
ち: | え‥‥‥ |
千: |
あなたは、いつでも毒薬を 手に入れることができたハズです。 ‥‥”彼”の研究室に 行きさえすれば。 |
裁: |
そ、それは‥‥ 被害者の呑田 菊三くん! |
千: |
半年前‥‥。彼女は 呑田 菊三さんとつきあっていた。 彼は‥‥勇盟大学、 薬学部の学生です。 |
亜: | ‥‥やくがく‥‥ぶ‥‥ |
千: |
研究室には、化学実験に使用する 最新の設備もあります。 逆に言えば‥‥それしか あり得ないのではないでしょうか? ‥‥犯人が”特殊な毒薬”を 手に入れたルートは! |
ち: | ‥‥‥‥! |
千: |
いかがかしら、ちなみさん? 毒薬を手に入れる方法は、あった。 ‥‥あとは、被害者のスキを見て、 カップにその毒を入れるだけ‥‥ それができたのは、いっしょの テーブルにいた、あなただけよ! |
ち: | ‥‥いやあああああああッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ま‥‥まさか! まさか‥‥ |
亜: |
こ、これは‥‥まったく コンキョのない話でありま |
ち: |
ひとつだけ、いいですか? ‥‥おばさま。 |
千: | 何かしら? ‥‥ちなみさん。 |
ち: |
おコーヒーに入れられた毒は、 10ミリリットルですよね。 それだけの量の液体を運ぶには、 いれもの‥‥容器が必要ですわ。 |
裁: | そうですな。‥‥たしかに。 |
ち: |
わたし、事件が発見されたあと、 すぐに身体検査を受けました。 |
亜: |
たしか、裁判所内もテッテー的に 捜査されたと聞いていますぞ。 |
ち: |
でも‥‥そんな”容器”は どこにもありませんでしたのよ? |
千: |
(たしかに‥‥資料にも そう書いてある‥‥!) そ、そんなモノ‥‥どうとでも 始末できるはずよ! |
ち: |
そうは行きませんわ、おばさま! わたしが”おクスリのいれものを 始末した”とおっしゃるなら、 ‥‥お証拠品を お見せになってくださいっ! |
千: |
お、”お証拠品”‥‥ッ! (は、反撃してきたわ‥‥!) |
裁: |
お証拠品で立証できないかぎり、 これ以上のギロンは認めません! |
星: |
ここはもう、お証拠品を たたきつけるしかないぞい! |
千: |
(事件発生直後、毒を入れた ”容器”が消えてしまった。 彼女自身は身体検査を受け、 裁判所内も捜査された‥‥) |
裁: |
このおじょうさんが 犯人だと言うのならば‥‥ ”毒の容器”は、どこへ消えたか? あなたの考えをうかがいましょう! |
千: |
‥‥あなたは、大急ぎで”容器”を 始末しなければならなかった。 だから‥‥それを、事件と 無関係な人物に押しつけた! ‥‥身体検査をされるはずのない、 ある人物にね。 |
裁: | い、いったい、ダレですかッ! |
千: |
成歩堂 龍一です。 ‥‥もちろん。 |
亜: |
被告人が‥‥この証人の 共犯だった、と‥‥? |
千: |
とんでもありません。 毒薬は‥‥そう。彼女からの プレゼントだったのです。 |
ち: |
あ‥‥! そ、それは‥‥ッ! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ キレイなペンダントですな。 これは‥‥ガラスの小ビン、 ですか。ヒジョーに愛らしい。 で‥‥これが どうかしましたかな? 弁護人。 |
千: |
証人が、成歩堂 龍一と 運命の出会いを果たしたのは‥‥ 半年前の、8月27日。 ‥‥事件があった日でした。 そのとき彼女は、彼に これを”プレゼント”したのです。 ‥‥決定的な証拠を ”かくしてしまう”ために! |
裁: |
な‥‥なんですってええッ! まさか、この中に‥‥モードクが! |
千: |
小ビンの中には‥‥もう、 毒薬は残っていません。 ‥‥しかし! 薬学部で分析すれば‥‥ かならず痕跡が見つかるはずです! |
ち: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ きゃああああああああああああ ああああああああああああああッ! |
裁: |
せ、静粛に! 静粛にいいッ! ‥‥ええと、その‥‥ |
成: |
ちいちゃんのかわりに 異議ありッ! |
亜: | なな、なんですか被告人ッ! |
成: |
ユルさないぞお! ち、ちいちゃんをイジめると‥‥! |
裁: |
こ、コラコラ! だから、 勝手に出てこないように! |
千: |
‥‥なるほどくん。 どうして‥‥そこまでして、 この証人をかばおうとするの? |
成: |
え‥‥っ! だ、だって! ぼく‥‥ 彼女に、クビったけだから! |
裁: |
ふむう‥‥。 ひさしぶりに聞きましたな。 ”クビったけ”‥‥ |
千: |
なるほどくん‥‥あなたは、 考えたことがあるかしら。 美柳 ちなみが、”なぜ” あなたとつきあっているか? |
成: |
そ、それは‥‥モチロン、 ボクにクビったけ‥‥ |
千: |
(なるほどくん‥‥おねがい! もう、目をさまして‥‥) ‥‥審理がここまで来れば、 だれでもわかることなのよ。 美柳 ちなみが、 あなたに近づいた理由は‥‥! |
千: |
美柳 ちなみは‥‥あなたに クビったけだったワケじゃない。 ねらいは‥‥クビに下がっていた ペンダントだけだったのよ。 |
成: | ぺんだんと‥‥? |
千: |
さっき、控え室で あなたは言っていたわ。 |
成: |
『彼女、テレ屋さんだから‥‥ 会うたびに、ボクに言うんですよ。 ”やっぱりそれ、返して”って。』 |
星: |
『ヘンな女ぢゃの。一度あげたモノを 返せ、とは‥‥』 |
千: |
このペンダントは、彼女にとって 致命的な証拠品だった。 だから‥‥なんとしても、 彼女は回収したかったのよ。 |
成: | う、ウソだ‥‥! |
千: |
でも、あなたは返さなかった。 その上、会うヒトに、いちいち うれしそうに見せびらかしていた。 ‥‥だから、彼女は‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥そんなの‥‥そんなの‥‥ ウソだわわああああああああんっ! |
千: | きゃあっ! |
?: |
(ち、千尋クン! しっかりするんぢゃアッ!) |
(ひ、被告人が‥‥ 逃げ出したぞおッ!) | |
?: |
(係官ッ! すぐ‥‥ すぐ、追うのです! 早くッ!) |
星: | ‥‥大丈夫かッ! 千尋クン! |
千: | は‥‥はい。‥‥なんとか。 |
星: |
あのボウヤ‥‥ トンデモないのお、まったく! |
千: |
‥‥あの。 なるほどくんは‥‥? |
星: |
係官たちが捕まえたそうぢゃ。 じき、戻ってくるぢゃろ。 |
千: |
よかった‥‥。 ‥‥‥‥‥‥ああああっ! |
星: | ここ、今度はなんぢゃ? |
千: |
しょ、証拠品が‥‥あの、 ペンダントが‥‥ なくなっていますっ! |
星: | な‥‥‥‥、ナニぃぃぃぃッ! |
千: |
さっき、ぶつかってきたとき ‥‥取られちゃいました! |
星: |
バカな‥‥バカなボウヤぢゃ。 たった1つの証拠品を‥‥ どうするつもりぢゃあああァァッ! |