成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
華宮 霧緒…藤 | |
矢張 政志…紺 | |
星威岳 哀牙…紫 | |
天杉 優作…灰 | |
天杉 希華…桃 | |
亜内検事…茶 | |
裁判官…黄 |
ゴ: |
1秒の時間は、コーヒーの1滴。 さっさと、おっ始めるとするぜ‥‥ |
哀: |
‥‥シッ! ダマって! ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ クックックックックッ‥‥ どうやら、見えたようですな。 |
裁: | なな、なんですか? |
哀: |
‥‥ズヴァリ! 美しきスイリが我にささやく真実。 貴方がたは、裁判長と‥‥おそらく 検事。‥‥それもコーヒー好きの! ‥‥ちがいますかな? |
裁: | そ‥‥そりゃま、そうですが。 |
ゴ: |
クッ‥‥! アンタ、 なかなかやるじゃねえか。 このゴドーの正体を見抜いたの‥‥ アンタが初めてだぜ。 |
哀: |
やあれ、検事殿。 自己紹介がおくれたようです。 我が名は星威岳 哀牙。 名探偵という名の、孤高の一番星。 |
真: |
キョーレツなのが そろっちゃったね‥‥ |
成: |
しかも‥‥ちょっと 気が合いそうだぞ、あのふたり。 |
裁: |
あなたは事件当夜、たったヒトリで 警備をしていたそうですね。 |
哀: |
‥‥さよう。 わがマナコは、イトノコギリ刑事 100人にまさる特別製なのです。 ‥‥まあ。あの刑事のマナコが 見えていれば、のハナシですが。 |
裁: | ふむう‥‥ |
成: |
(あの探偵がなぜ、たったヒトリで 警備にあたっていたか‥‥? 何か、理由があるはずだ。 ‥‥かならず!) |
裁: |
では、その特別製のマナコで 目撃したことを証言してください! |
哀: |
『あの晩‥‥日付が変わって、 1時間ほどのこと‥‥。』(証言1) 『きゃつめ‥‥宿敵たるライヴァル・ 仮面マスクが舞いおりたッ!』(証言2) 『ふり返ろうとした、そのせつな! ホコリ高きアタマに、一撃がッ!』(証言3) 『不覚! 怪人と戦うことすらできず ‥‥我が意識は、ツユと消えたッ!』(証言4) 『30分後‥‥非常電話にて 警察に通報を入れたのです!』(証言5) |
裁: |
‥‥犯人の姿そのものは ハッキリ見ていないのですか。 |
哀: |
特別製のマナコは、ナニモノも 見落としたりはしませんぞ。 ただし! 目に入らなかったモノは このかぎりにあらず。 けだし、トーゼンと言えましょう。 |
裁: |
‥‥‥‥なぜ証人がそこまでムネを 張れるのか、理解に苦しみます。 |
哀: |
まあ、ご老人。‥‥これだけは 言っておきましょう。 ヤツこそは、我が好敵手にして ライヴァルたる仮面マスクだった! 我がケイケンとカン、その他 モロモロがそう告げております。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。 では、弁護人。とにかく尋問を。 |
成: |
‥‥哀牙さん。 その特別製のマナコで、 これを見てもらえますか。 |
哀: |
これはしたり! 我が好敵手にして ライヴァルなる怪人なれば大盗人! かの、仮面マスクめのエムブレム ‥‥ですな。 |
成: |
現場の地下倉庫に落ちていました。 ‥‥なぜでしょうね? |
哀: |
フッ‥‥カンタンなコト。 ノリづけがアマかったのでしょう。 |
成: |
‥‥コイツには、衣装から 引きちぎられたアトがあります。 |
裁: | 引きちぎられた‥‥あっ! |
成: |
‥‥事件当夜、”怪人”は 何者かと格闘したものと思われる! エンブレムがムシり取られたのは、 そのときしか考えられません。 そして、犯人と格闘できたのは‥‥ たった1人で現場を見張っていた あなたしか、いないのです! |
哀: | ‥‥グッ! |
成: |
哀牙探偵! あなたは怪人と 格闘をしているハズです! なのに、なぜ‥‥ ウソの証言をするのですか? |
裁: |
‥‥証人! 偽証は、 リッパな犯罪ですぞ! |
哀: |
あ、あいや! ‥‥あいや、待たれよ、ご老人。 |
裁: |
私をごインキョみたいに 呼ばないように! |
哀: |
クックックックックッ‥‥ 思い出しましたぞ、裁判長殿。 最近、多くの事件を抱えているので ‥‥コンランしたようです。 |
ゴ: |
デキるオトコは、サバける仕事の 数で決まる‥‥オレの哲学だぜ。 |
真: |
なるほどくん、 いつも1コだよね。シゴト。 |
成: | うるさいな。 |
裁: |
証人! つまり、あなたは‥‥ 犯人と格闘したと言うのですか? |
ゴ: |
おっと。おしゃべりは そこまでだぜ‥‥裁判長。 |
裁: | ‥‥お、おしゃべり‥‥ |
ゴ: |
ダイジなコトは、証言で聞く。 そいつが‥‥オレのルールだぜ。 |
哀: |
あいや! 了解しましたぞ。 この哀牙、燃ゆるイノチにかけて。 |
哀: |
『さよう。たしかに、この哀牙が 扉から目をはなしたのは、ジジツ。』(証言1) 『しかし‥‥、そんなコトで この名探偵をたばかるのは不可能!』(証言2) 『怪人は、かたわらの武器を手に取り ‥‥我らは、イノチのやりとりを!』(証言3) 『ゼントルメンの武器は、コブシのみ ‥‥それが、アダとなりました。』(証言4) 『ヤツめの一撃がコツンと! ‥‥それで、すべてですな。』(証言5) |
裁: |
やはり、仮面マスクを 目撃していたワケですか‥‥? |
哀: |
さよう。 ふり返りザマにやられたのは、 ヤツの3回目の犯行のときでした。 どうやら、記憶が少々 コンランしてしまったようです。 |
裁: |
ふむう‥‥まあたしかに、 よくあるコトですな。 私も、証言がどの事件のものか、 よくわからなくなりますからな。 |
成: | (‥‥そりゃマズいだろ‥‥) |
成: |
そのときのコト、もう少し 詳しく聞かせてもらえますか? |
哀: |
カタナを持っている相手と闘うは、 ハアドでメロウ、そしてヘロウ。 |
成: | (なんだ”ヘロウ”って‥‥) |
哀: |
トクイの戦法で相手しましたが‥‥ 一瞬、ヒカリに目がくらんだッ! そこを、すかさずチェックメエト! ‥‥やられたワケですな。 |
成: |
(どうする? もう少し、 聞いてみるか‥‥?) |
成: | ”トクイの戦法”というのは? |
哀: |
それこそは、探偵のシイクレット! ‥‥と言いたいところですが‥‥ よろしい。教えてしんぜよう。 みなさまも、明日から、ゼヒに。 ‥‥カベを背に闘うのです。これで 背後を取られるコトはありませぬ。 |
成: | (カベを‥‥背に?) |
裁: |
ふむう‥‥いかがですか、弁護人。 この証言は‥‥? |
成: |
もちろん、重要です! 探偵のシイクレットなワケですし。 |
裁: |
そうですな。夜道で襲われたとき、 私も参考にしましょう。 |
成: |
(裁判長‥‥なぜか、ぼくを ジッと見つめているぞ‥‥) |
裁: |
‥‥それでは、証人! 今のシイクレットを証言に 加えていただきましょう! |
哀: |
『背にカベをつけて応戦をしましたが ‥‥我がマユアイに怪人の一撃が!』(証言6) |
成: |
哀牙さん! あなたの証言は、 バラバラにしてガタガタです。 |
哀: |
さあれ、弁護士殿! これはこれは、ユカイしごく。 この哀牙に、そのような ほほえましき挑戦状‥‥ |
成: |
きのう、あなたは こう言っていたハズです。 |
哀: |
『まっこと、ヒキョウなり 仮面マスク! この好敵手の後ろアタマを、 このような危険なもので殴るとは!』 |
裁: | 後ろアタマ‥‥ |
成: |
しかし今、あなたは証言した。 ”ヒタイをコツンとやられた”‥‥ もし本当に殴られたのなら、 まちがえるコトなど、あり得ない! |
哀: |
‥‥うぐっ! どうやら‥‥ やや、ウッカリしていたようです。 |
成: |
‥‥哀牙さん。オカシイのは、 今の証言だけじゃありません。 |
裁: |
それは‥‥ どういうイミですかな? |
成: |
たとえば‥‥ この予告状を、警察にかくして いたのが、すでに不自然です! まるで‥‥警察が警備にあたるのを 恐れていたかのように見えます! |
哀: |
く‥‥うむむ。 天才は、いつの世も理解されにくい ‥‥そういうコト、ですかな。 |
成: | ちがいますよ! |
ゴ: |
‥‥だれしも、まちがいはある。 人間の行動は、リクツだけじゃ ワリ切れねえのさ。 だからこそ‥‥ヒトはヒトとして、 トキめき、キラめくんだぜ‥‥ |
成: |
いやいやいや。これは、そんな キレイなハナシじゃない! |
ゴ: | じゃあ、どんなハナシだ! |
成: | ‥‥! |
ゴ: |
ギモンはトコトン追求する。 そいつが‥‥オレのルールだぜ。 |
成: |
(‥‥こいつは‥‥ 意外に早くめぐってきた、 反撃のチャンスかもしれない!) |
裁: |
‥‥成歩堂くん。あなたの 主張を聞かせてください。 |
成: |
‥‥わかりました。 弁護側の主張は‥‥! |
成: |
コタエはシンプルです! すべてのナゾがスッキリする。 この星威岳 哀牙こそが‥‥ 怪人☆仮面マスクだったのです! |
哀: | うぐほほおおッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 弁護人! どういうことですか! |
成: |
‥‥哀牙探偵には、 不自然な点が多すぎました。 犯行現場では”かくれている” ため、だれも彼の姿を見ていない。 それなのに、いつのまにか イトノコ刑事と警察を出し抜いて、 前回の事件では、怪人の盗みだした エモノを、取り戻している‥‥ |
哀: |
そ、それは‥‥ 現場の状況や怪人の犯行データから その手口をカンペキにスイリして、 警察の見落としているポイントに、 あらかじめ、先回りを‥‥ |
成: |
ちがうでしょう、哀牙探偵。 コタエは、もっとシンプルだった! あなた自身が、 怪人☆仮面マスクだったのです。 |
哀: | ぐはらあッ! |
裁: |
し‥‥しかし、弁護人! この写真には‥‥怪人の姿が! これを撮影したカメラは、 高菱屋のものです! 細工など、できないハズでは‥‥ |
成: |
細工なんて、必要ありません! 星威岳 哀牙は、”探偵”として 地下倉庫を警備するフリをして‥‥ ”怪人”として、ただ ツボを盗めばよかったのです! |
裁: |
なんと‥‥名探偵が‥‥大怪盗! そうなのですか! 証人ッ! |
哀: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ うふ‥‥‥‥ あーっはっはっはっはっはっはっ はっはっはっはっはっはっはっは! 仮面マスクの手口はまさに、天才! 名探偵・星威岳 哀牙こそがッ! ‥‥その正体に、ふさわしいのかも しれませんな、みなみなさまがた! |
裁: |
な‥‥なんですとォォ! まさか‥‥証人! 認めるのですか‥‥ッ! |
真: | な‥‥なるほどくん! |
成: |
よし‥‥このまま、 一気にキメちゃおう! 星威岳 哀牙さん! あなたを、怪人として‥‥ |
ゴ: |
ゴドー・ブレンド102号。 ‥‥オレのオゴリだぜ。 |
裁: | ご‥‥ゴドー検事ッ! |
ゴ: |
名探偵イコール、怪人‥‥ 絵空ゴトはキレイに見えるモンだ。 だけどな‥‥。現実はそんなに、 キレイじゃねえのサ。 |
裁: |
し、しかし! この弁護人の主張には、スジが‥‥ |
ゴ: |
‥‥たしかに、スジだらけで ゴリゴリしてるようだぜ。 どうやら‥‥おイタがすぎた みたいだな、弁護士さん‥‥ この探偵が、怪人。それなら‥‥ 証拠を見せてくれよ。 そのコーヒーのようにカンペキで ‥‥そして、熱いヤツをッ! |
裁: |
弁護人! いつまでも ボーゼンとしていないで‥‥ 決定的な証拠を 提示してもらえますかな! |
成: |
え! そ、そうですね‥‥ (ちょっと、急ぎすぎたか‥‥?) |
真: | だ、大丈夫なの、なるほどくん? |
成: |
(‥‥哀牙探偵は今、 かなり弱っている‥‥ できれば、ここで勝負を キメてしまいたい。 それだけの証拠を‥‥ ぼくは、持っているのか?) 哀牙探偵こそが仮面マスクである という、決定的な証拠は‥‥! |
成: |
証拠は‥‥証拠は‥‥‥‥! ‥‥まだ、ありません。 |
ゴ: |
クッ‥‥! そうだ。 オトコは、ミジメなときでも カオを上げなきゃいけねえ。 |
成: | ‥‥うううう‥‥ |
裁: |
‥‥そうですか。 証拠さえあれば、”あるいは”と 思ったのですが‥‥ |
成: |
(‥‥ダメだ! ここで攻撃を やめてしまったら‥‥ 二度とコイツを怪人として 告発するチャンスはなくなる!) |
真: |
なるほどくん‥‥がんばって! もう一度、考えようよ! |
成: |
‥‥ダメだ‥‥ やっぱり‥‥まだ、早すぎたんだ。 |
真: |
そ、そんな‥‥! あたしたち、負けちゃうの‥‥? |
哀: |
‥‥どうやら、弁護士殿。 ツメをあやまったようですな‥‥ |
成: |
う‥‥むむむ‥‥ (い、言い返せない‥‥) |
裁: |
この証人のウタガイは、これで 晴れたようです。 それでは、ゴドー検事。 まだ他に、何か証言を‥‥ |
裁: |
あ‥‥あ‥‥あなたは‥‥ ‥‥ダレですか? |
希: |
どうでもいいでしょ、 そんなの。 |
成: |
ま、まれかさん! ‥‥どうして、ここへ! |
希: |
リューイチくん! アナタたちが探してるの‥‥ コレじゃないかな! |
裁: | それは‥‥カバン、ですか。 |
希: |
問題は、このカバンの中身よ。 ‥‥どう? |
裁: | そ‥‥それは‥‥ |
真: |
<<倉院のツボ>>だよッ! なるほどくん! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ‥‥あなた! おじょうさん! そのツボ‥‥いったい、 どこで見つけたのですかッ! |
希: |
聞いておどろかないでよ。 あのエラそうな名探偵、 星威岳 哀牙サンの事務所よっ! |
天: | (まれかちゃーん、サイコーだあ) |
データを書きなおした。 | |
成: |
‥‥さあ! いかがですか、哀牙さん! |
哀: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
今度こそ、言い逃れはできない! あなたこそが‥‥ |
ゴ: | クッ‥‥! なさけねえ‥‥ |
裁: | ご、ゴドー検事‥‥? |
ゴ: |
ムカシ、男は背中で語ったもんだ。 それが、今じゃあ‥‥ 男のコトバを受け止められるヤツは いねえ。これも時代だな‥‥ |
裁: |
ま、まさか‥‥ まだ認めないつもりですか! |
ゴ: |
モンダイは、ツボを持ってきた ネエちゃんだ。 アンタ‥‥たしか、 天杉 優作のカミさん、だったな。 |
希: | だ、だから? それがなんなの? |
ゴ: |
クッ‥‥! 泣かせるじゃねえか。 ダンナを助けるために‥‥ こんなコトまでするとはよォ! |
希: | な‥‥何よ、それ! |
ゴ: |
犯人のカミさんなら、どこからでも ツボを”発見”できる。 モチロン、 探偵の事務所からでも‥‥なァ。 |
ゴ: |
ツボは見つかった。 ‥‥だからなんだ? モンダイは‥‥ソイツがどこに あったのか‥‥だぜ。 |
希: |
このツボ‥‥アイツの事務所から 持ってきたのよ! |
ゴ: |
‥‥この街には‥‥ 悲しいウソがあふれてやがる。 もう、これ以上は必要ねえぜ。 ‥‥おネエちゃん。 |
希: |
ちがう! アタシ‥‥そんな 汚いコト、していない! |
成: | ま、まれかさん‥‥ |
希: |
助けて! リューイチくんなら ‥‥証明してくれるよね! |
成: |
(何か‥‥ 方法があるに、ちがいない! あのツボが、哀牙探偵事務所に あったことを立証するには‥‥) |
成: |
そのツボが、どこにあったか‥‥ 立証することは、可能です。 ‥‥ツボに残った ”指紋”によって! |
裁: | 指紋‥‥ですか‥‥ |
哀: |
あいやッ! あいや、弁護士殿。これぞ笑止! よりによって、指紋とは! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
哀: |
よいですかな? ツボに、この哀牙の指紋が残って いるのは、しごくトーゼンですぞ。 なにしろ、ツボを警備していた のは、この哀牙なのです! そもそも、我はこうして、 手袋をハメておる。 ザンネンながら、我が指紋は、 証拠にはなりますまい。 |
裁: |
‥‥いかがですかな? この証人の 指紋は、イミがないようですが。 |
真: |
ど‥‥どうするの? なるほどくん! |
成: |
(ここまで来て‥‥ あとには引けない! 哀牙探偵が、あのツボを事務所に 持ちこんだのは、きのう‥‥ そこで指紋をつけた人物が ひとり、いるじゃないか‥‥!) ツボには‥‥この人物の指紋が 残っているはずです! |
哀: |
‥‥どういうコト‥‥ですかな? 貴方の指紋、というのは‥‥ |
成: |
哀牙さん‥‥。 きのうのこと、覚えてますよね? |
真: |
『ほらほら、なるほどくん。 出番だよ。』 |
成: |
『え! マズいだろ 勝手にさわっちゃ!』 |
真: |
『いいって、いいって。 さっさと調査する。 どう? 何が入ってる?』 |
成: |
『ちょ、ちょっと待てよ。 今、取り出すから‥‥ (どうやら‥‥何か、つるつるで カタいもの‥‥みたいだな‥‥)』 |
哀: | 『‥‥あいや、しばらくッ!』 |
成: |
あのとき‥‥たしかにぼくは、 バッグの中は見なかった。 でも‥‥ その中のモノに、 さわっていたんですよ。 |
哀: |
‥‥な、なんと! さ、”さわった”‥‥? |
成: |
キオクに残っていますからね。 ”つるつるでカタいものだった” |
哀: |
あ‥‥あいや‥‥ それは、しばらく‥‥ |
成: |
裁判長! そのツボの 指紋を調べてください! もし、ぼくの指紋が ついていれば‥‥ あのツボは、哀牙探偵の 事務所にあったことになります! |
ゴ: |
ツボに指紋が残っていたとして‥‥ それが”いつ”付着したものか、 立証できるのかい? |
成: | ‥‥もちろんです。 |
ゴ: | な、なんだと‥‥ |
成: |
秘宝展のセキニンシャ・華宮 霧緒 さんは、こう言っています。 |
霧: |
『でも‥‥私、いっしょうけんめい ピカピカにみがいて、 少しでも高そうに見えるように がんばったんですよ!』 |
成: |
ツボはピカピカにみがかれて、 すべての指紋が消されていました。 ぼくが、ツボに指紋を つけられるチャンスは‥‥ きのう! 哀牙探偵事務所しか なかったんですよ! |
ゴ: |
クッ‥‥! この、 ゴドー・ブレンド107号‥‥ ちょっとばかり‥‥ 苦味がすぎたようだぜ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 弁護人の要請を受け入れます! 係官! 至急、このツボを‥‥ |
哀: |
あいやッ! 待たれよ、ご老人。 ‥‥その必要はございませぬぞ。 |
裁: | しょ‥‥証人‥‥? |
哀: |
さよう‥‥そのツボには、 弁護士殿の指紋が残っている‥‥ |
裁: | な‥‥なんですって! |
成: | (ついに‥‥打ち崩した!) |
哀: |
あーっはっはっはっはっはっは! はっはっはっはっはっはっ! ‥‥さあさあみなさん、 ごらんくださあい‥‥! 天才にふさわしき好敵手を求めて、 ついに自ら犯罪に手を染めた‥‥ あわれなピエロでござあい‥‥ |
真: |
‥‥なんかモーレツに アブないよ、あのヒト‥‥ |
哀: |
やあれ! この我こそが、 かの仮面マスクだった! さよう! みなさん、 楽しんでいただけましたかな‥‥! あーっはっはっはっはっはっは! はっはっはっはっはっはっ! |