成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
レストラン 吐麗美庵 | |
真: |
ひゃあ‥‥ なんか、すごいね。 |
成: |
なんなんだ‥‥この、ムセかえる ほどにキツい、花のニオイは‥‥ ‥‥でも、こういうフンイキ、 女の子はスキなのかな。 |
真: |
いやあ、あたしはちょっと、 こういうのは‥‥ |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ダレも出てこないね。 おルスかな。 |
成: |
バカな。レストランだぞ。 それも、開店中の。 ごめんくださーい。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ し、信じられないけど、 ルスみたいだな。 |
真: |
とりあえず、手がかりを探そうよ! 今なら、なんでも 持ち出しほうだいだよ! |
成: | (それもそうだな‥‥) |
真: |
ファッション雑誌ばっかり。 しかも、フランス語だよ。 |
成: |
真宵ちゃんも、たまには おしゃれしてみたら? |
真: |
そうだなあ。あたし、いっつも ”装束”ばっかりだもんね。 たまにはフツーの お洋服もいいなあ。 |
成: |
‥‥? ラックの後ろ‥‥、 何か挟まってるぞ。 |
真: |
ああ。これ? ‥‥スポーツ新聞、てやつだね。 お。なんか、サインペンで ラクガキしてあるよ。 <<クリーニング・ボンバー>> いち、じゅう、ひゃく、せん‥‥ い、イッセンマン円‥‥、かな? |
成: |
な、なんのことだろう。 <<くりーにんぐ・ぼんばー>>‥‥? ! (この新聞‥‥日付が、 12月 3日‥‥) 毒殺事件が起こった日の新聞だ! |
真: | ええええええええッ! |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
(事件当日のスポーツ新聞‥‥ 手がかりになるはずだ! よく調べてみよう‥‥) |
マ: |
おッ! スポーツ新聞ッスか! どれどれ。タソガレ山は 全勝を守ったかな‥‥ |
成: |
悪いけど、この新聞‥‥1ヶ月前、 事件当日のものなんだ。 |
真: |
ちなみに、タソガレ山、 きのうハリ倒されてましたよ。 |
マ: | うううう‥‥ |
成: |
これ、吐麗美庵のマガジンラックで 見つけたんだけど。 |
マ: |
え‥‥ それは、オカシイッスね。 ウチのお店、新聞は 置いてないはずッスけど。 ‥‥店長が、キライだから。 |
真: |
じゃあ、お客さんが 忘れていったのかな。 |
成: |
見てほしいのは、 このラクガキなんだけど‥‥ |
マ: |
あああああッ! ‥‥こ、こ、これッス! <<クリーニング・ボンバー>>‥‥ あのCDに書いてあった名前ッス! |
成: | (やっぱり‥‥) |
真: |
<<くりきんとん>>じゃ なかったんだ‥‥ |
マ: |
じゃあ、1000万円というのは ヤッパリ‥‥契約金ッスかねえ。 |
真: |
1000万円もらえるんなら、 あたしだって歌っちゃうよ! <<倉院音頭>>とか<<霊媒おけさ>> とか<<マヨイ節>>とか! |
成: |
それはともかく‥‥、 ‥‥その見本版のCDは、 被害者のテーブルの上にあった。 つまり! この新聞‥‥、 被害者のものかもしれない! |
真: | あ‥‥ |
成: |
(被害者の、事件当日の 遺留品‥‥か) |
真: |
もっと、ちゃんと 調べられないかな‥‥? |
レストラン 吐麗美庵 | |
?: |
あらあ! ボンジュウル。 ‥‥いらっしゃいませえ。 |
真: | あ。どうも、こんにち‥‥は‥‥ |
成: |
(‥‥真宵ちゃん、何を こおりついてるんだ‥‥? う) |
?: |
ビアンヴニュ! よおこそ、 ワタシのレストランへ! |
真: | ‥‥ぶにゅ、だって。 |
?: | あらあらあら、アナタ。 |
真: | は、はい? あたしですか? |
?: |
なんか、人生の負けイヌみたいな カオして。つかれてるのねえ。 そおゆうときは、これよお。 ネロリとローズのアロマバスが オ・ス・ス・メ。 |
真: | あろまばす? |
?: |
このオイルを、おフロに ちょっと、しのばせてみて。 アナタのココロ、 いやしちゃうわよお。 |
真: | はああ‥‥。 |
?: | それから、アナタ! |
成: | ぼ、ぼくですか。 |
?: |
死に神に見捨てられたみたいな カオして。つかれてるのねえ。 そんなときは、こっちよお。 ベルガモットのオイル。 ‥‥それに、そおねえ。 ペパーミントとクラリセージも そえて、香水にしてあげましょ。 エネルギーがあふれて、あなたの ウツクシサを引き出しちゃうから! |
成: | ぼ、ぼくのウツクシサですか! |
?: |
さ。じゃあ、席におつきになって。 ワタシのおすすめメニュウを‥‥ |
成: |
あ、あの。 ぼくたち、弁護士でして‥‥。 |
?: |
ビアン・シュール! モチロン、知ってるわあ。 たしか‥‥ ナルホドーさん、でしょお? |
成: |
え‥‥。ぼくのこと、 知ってるんですか? |
?: |
法廷で、ワタシをいぢめて くれちゃって。忘れないわよォ! |
真: |
ニセなるほどくんの 尋問を受けたみたいだね‥‥ |
成: |
事件の関係者は‥‥みんな ”ぼく”を知ってるワケか‥‥ |
真: |
どんなヤツなんだろうね。 ニセなるほどくん‥‥ |
本: |
本土坊 薫(ほんどぼうかおる)。 あらためて、よろしくネ! |
真: |
あの。あの。<<吐麗美庵>>って どういう意味なんですか? あたし、”庵”は わかるんですけど‥‥。 |
本: |
ノンノンノン。”トレ・ビアン”は フランス語なのよ。 英語なら”ベリー・グー”。 |
真: | はああ。べりー・ぐー。 |
本: |
この店はね。イキでイナセで 本格的なフランス料理を出すの。 |
成: |
(本格的‥‥って、それにしては ゼンゼン客がいないな‥‥) |
本: |
お口に合わないヒトもいるみたい。 ‥‥本格的な変化球だから。 |
成: | (変化球かよ!) |
本: |
マコちゃんがいなくなっちゃって、 さすがに人手が足りないのよねえ。 |
成: | あの。この店、おひとりで? |
本: |
今はそうね。アルバイトのコでも 来てくれないかしらねえ‥‥ |
成: |
(‥‥こっちをジロジロ ながめている‥‥) |
本: |
ワタシ、シェフで店長なの。 料理の他に、アロマテラピーも やってるのよお。 |
真: | あろま‥‥? |
本: |
アロマテラピー。お花のカオリで ココロをいやす、ステキなシュミ。 |
成: |
(さっきの、キツいニオイの ビンのことか‥‥) |
成: |
事件のこと、 聞かせてもらえますか? |
本: |
‥‥エ・ビアン。ツラいけど、 まだハッキリおぼえてるわあ。 あれからもう、1ヶ月 たっちゃったのよねえ‥‥ |
成: |
(そうか‥‥。一度、有罪判決が 下されてるんだからな‥‥) |
本: |
‥‥あれは、先月の3日、 午後1時すぎだったわ。 コーヒーを飲んだ男の人が、 急に苦しみだしたの。 |
成: |
たしか‥‥コーヒーに、 毒が入っていた、とか。 |
本: |
そうみたい。コーヒー、 マコちゃんが運んだんだけど。 ワタシ、キッチンにいて‥‥ ヒトが倒れる音を聞いたわ。 見に行ったら‥‥ もう、グッタリしてて。 |
真: | 亡くなっていたんですか‥‥ |
本: |
モン・デュ! そのとおりよ! マコちゃんも気を失っちゃって。 |
成: |
あの。亡くなった”男の人”‥‥ ひとり、だったんですか? |
本: |
‥‥ええ。 ヒトリだったわ。 マコちゃんは‥‥”2人いた” って言ってたみたいだけど。 |
真: | そうなんですか‥‥。 |
本: |
警察にも、 何度も聞かれたけどねえ。 『テーブルに、もうヒトリ いませんでしたか』って。 でも‥‥ワタシだけじゃなくて、 あのオジサンも見ていないのよ。 |
成: | お、オジサン‥‥? |
成: |
あ、あの‥‥ <<オジさん>>というのは? |
本: |
事件が起こったとき‥‥ お客さんがもう1人、いたのよ。 |
真: | そ、そうなんですか! |
本: |
ウイ。常連さんでね。 あの日も来てたの。1人で。 そのヒトも、事件の瞬間を 目撃したんだけど‥‥ 死んだヒトのテーブルには、 他にダレもいなかった、って。 |
真: |
でも! ‥‥マコちゃんは ”2人いた”って‥‥! |
本: |
ザンネンだけど‥‥弁護士さん、 それを立証できなかったでしょ? |
成: |
その”弁護士さん”、って‥‥ やっぱり、ぼくですか? |
本: | ‥‥メ・ビアン・シュール! |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (どうやら、ちがうみたいだな) |
真: | ダメだよ! 自分をゴマかしちゃ! |
本: |
マコちゃん‥‥婦人警官 だったんですってねえ? |
成: |
‥‥ちょっと事情があって、 やめちゃったみたいですけど。 |
本: |
聞いてるわあ。サツジンの 疑いをかけられたんでしょ? |
真: | し、知ってたんですか‥‥ |
本: |
だからね。ワタシ、シアワセになる 香水をあげたワケ。 |
成: | シアワセに‥‥? |
本: |
ウイ。さっきあなたにあげた、 ベルガモットの。 |
成: |
でも‥‥彼女、またタイホされて 今度は有罪ですよ。 |
本: |
あの子の不幸のアロマのほうが キツかった、ってコトかしら。 |
成: |
(なんだよ! 効かない じゃないか、この香水!) |
本: |
まあ‥‥疑われても、 しかたないかもしれないわね。 目の前で、あんなコトが 起こっちゃったらねえ‥‥ |
真: | ”あんなコト”‥‥? |
成: | (ど、どういうコトだ‥‥!) |
真: |
もしかして‥‥ マコちゃんに‥‥”動機があった” っていうコト、かな‥‥ |
成: | く、詳しく聞いてみよう! |
成: |
マコちゃんが被害者に コーヒーを運んだとき‥‥ 何か、あったんですか? |
本: |
う‥‥ウイ。 まあ、そうかしらね‥‥ |
成: | いったい‥‥何が? |
本: |
そ、それは‥‥ベツに。 たいしたコトじゃないわ。 |
真: |
マコちゃん、被害者のこと、 見たこともないって言ってます! それなのに、殺人罪で 起訴されたってコトは‥‥ 検察側は、何か”動機”を 提示したはずです! |
本: | それは‥‥そうだケド‥‥ |
成: |
被害者との間に何かあったのなら、 それが動機と考えられたのかも‥‥ |
真: |
おねがいです! ‥‥情報をください! |
成: | (サイコ・ロック‥‥か!) |
真: |
うえええ。 どうする? なるほどくん。 |
成: |
そりゃ、解除するしか‥‥ あああああっ! |
真: | ど‥‥どうしたの? |
成: | 勾玉が‥‥ない。 |
真: | え‥‥ |
成: |
ポケットに入れておいたのに‥‥ いつのまにか、消えちまった! |
真: | えええええええええッ! |
成: |
(‥‥でも、ロックが<<見えた>> ということは‥‥ 勾玉も、この近くにある、 ということか‥‥?) あの‥‥本土坊さん。 最後に、もう一度だけ カクニンさせてください。 被害者が座っていた テーブルには‥‥ 本当に、ヒトリしか いなかったんですね‥‥? |
本: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥それなら、アナタたちが 自分で聞いてみなさいな。 |
真: | え‥‥ |
本: |
あのオジサンなら、いつも 公園にいるから。 |
成: |
こうえん‥‥ ど、どこの公園ですか! |
本: |
お店のウラにあるわ。 <<ビタミン広場>>ってトコ。 |
真: | あ、ありがとうございます! |
本: | ジュ・ヴザン・プリ! |
真: |
さっそく、行ってみようよ! ‥‥ビタミン広場。 |
ビタミン広場 | |
真: | ここがビタミン広場かあ。 |
成: |
うーん‥‥たしかに、なぜか ”ビタミン!”って感じだな。 |
真: |
あ。なるほどくん! あの人じゃないかな。 店長さんが言ってた ”オジさん”って。 |
成: |
あ、あの ガンコそうなオヤジか‥‥ |
真: | ハトにエサ、やってるよ。 |
成: |
エサをやってる、というより‥‥ たたきつけてるように見えるな。 |
五: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(う‥‥。強いキョゼツの オーラを感じる‥‥) |
成: | あの‥‥すみません。 |
五: | ‥‥‥‥ |
成: | ちょっといいですか? |
五: | よくないッ! |
成: | お話が聞きたいんですけど‥‥ |
五: |
見てわからんか! いそがしいんだワシは! ハトどもめッ! ワシのマメが食えんと言うかッ! |
成: |
(ハトにマメをたたきつけてる だけじゃないか‥‥) |
五: | 食らえ! この! |
成: | (まいったな‥‥) |
成: |
すみません。 マコちゃんのことですけど。 |
五: | ‥‥マコチャン? |
真: |
はい! 吐麗美庵の、ウエイトレスさん。 |
五: | フン! なげかわしいわ! |
真: | な、なげかわしい? |
五: |
うら若い婦女子が、あんな はしたないカッコウで! |
成: |
は、”はしたない”って‥‥ あの制服のコトですか? |
五: |
ま、まったく、最近の婦女子は ”恥ぢらい”というモノを知らん! ああ、ヤマトナデシコは 枯れはててしまったワイ! |
真: | ‥‥あたし、和服着てますよ? |
五: | アンタは、しとやかさが足りん! |
真: | キメつけられた‥‥。 |
成: |
吐麗美庵、 よく行くんですよね? |
五: |
ふん! なんだあの店は! そばもさしみも天ぷらも、 ひややっこすらない! |
成: |
‥‥そりゃ、 フランス料理の店ですからね。 |
五: |
なあアンタ。ここはどこだ? ロンドンか? ニッポンだろうが! それに、あの、こっぱずかしい 婦女子どもめら。 |
成: | ウエイトレスですか? |
五: |
ふとももに‥‥、むむ。 その、なんだ。 まるだしじゃないかッ! どうなんだコラッ! |
成: | す、すみませんッ! |
五: | なんなんだ、あの店はァッ! |
成: |
(このオジさん、たしか ”常連”だったよな‥‥ そんなにキライなら、 行かなきゃいいのに‥‥) |
真: |
オジさん‥‥あの店の常連さん なんですよね? |
五: | ‥‥‥‥ |
真: |
そんなにキライなら、 行かなきゃいいじゃないですか。 |
五: | ‥‥‥‥ |
成: | ‥‥オジさん? |
五: |
食らえッ! ハトども! 食らわんと言うかッ! |
真: |
オジさん‥‥ナニか かくしてるのかな? |
成: |
でも、それならば サイコ・ロックが見えるはず‥‥ あ‥‥。 (そういえば‥‥今、 勾玉がないんだっけ‥‥) |
真: |
あれ、貸してるだけだからね。 ちゃんと見つけるんだよ、 なるほどくん! |
成: | (まいったな‥‥) |
真: |
‥‥あれ。雑誌が1さつ、 ほっぽり出してあるよ。 |
成: |
アルバイトの情報誌か。 <<シゴト誌>>っていうタイトルだ。 |
五: |
はっ! ワシが捨てたモノを 拾うとは、イヤしいオトコだな! |
成: |
”捨てた”って‥‥、オジさん、 仕事、探してるんですか? |
五: |
ムグ。 ‥‥キサマにはカンケイないワ! |
成: |
とりあえず、もらっておくか。 ‥‥シゴト誌。 |
五: |
他人の手にわたると思うと もったいなくなってきた。返せ! |
成: |
(そう言われると、 返したくなくなるよな‥‥) |
五: | ワシのだ、それ! |
本: | ああら。マドモワゼル! |
真: | はは、はい。 |
本: | シゴトをお・さ・が・し? |
真: |
え! いえ、その。 あたしは‥‥ |
本: |
そうね。スタイルがちょっとアレ だけど、カオはまあまあだし‥‥ |
真: | ”ちょっとアレ”? |
本: |
フェリシタシオン! 合格よ! ウチで使ってあげましょ。 さ。さ。いらっしゃいな。 ‥‥お姉さんが、 イチから教えてあげるから! |
真: |
なな、なるほどくうん! たーすけてぇ‥‥ |
成: |
(‥‥奥のほうへ 引きずられていってしまった) |