成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
裁判長…緑 | |
裁判官…黄 | |
矢張 政志…紺 | |
天龍斎 エリス…桃 | |
毘忌尼…橙 | |
葉桜院 あやめ…藤 | |
美柳 ちなみ…紫 |
葉桜院 本堂 | |
毘: |
‥‥で? どうだったんだい、 修験洞は! |
成: |
なんとか、ブジでした。 ‥‥でも、大きなモンダイが‥‥ (ぼくは、ビキニさんに話した。 修験洞への進入を拒む、 5つの<<錠>>のこと‥‥) |
毘: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ い‥‥いったい、だれが そんなことを‥‥ からくり錠を使えるのは、 倉院の人間だけなのに‥‥ |
成: |
<<錠>>のことは、あやめさんに おねがいしました。 ビキニさんには‥‥ お話をうかがいたいんです。 |
毘: |
ああ‥‥。さっきは 途中だったっけねえ。 |
成: |
17年間、姿を消していた 倉院流霊媒道の家元‥‥ 綾里 舞子がなぜ、 この葉桜院に姿を見せたか? |
毘: |
1週間前‥‥エリスさま、いえ。 ‥‥舞子さまが、いらっしゃった。 家元のアカシを示してから‥‥ あの方は、こうおっしゃったの。 <<倉院流霊媒道・本家の血が 絶やされようとしている。 私は、それを阻むために ここへ来た>>‥‥って。 |
成: | 本家の‥‥血‥‥? |
毘: |
倉院流の真の後継者は、一子相伝 ‥‥たったひとりきり、なの。 その血を継ぐ霊媒師‥‥ 家元と、その娘が<<本家>>よ。 それ以外の霊媒師は<<分家>>と 呼ばれ、決して頂点には立てない。 だから‥‥倉院流の歴史では、 何度もくりかえされてきたわ。 <<分家>>が<<本家>>を根絶やしに しようとする、暗殺計画が‥‥ |
成: |
‥‥‥! (そ、そんな重たいものなのか ‥‥<<家元>>って‥‥) |
毘: |
アンタも、知ってるんでしょ? 倉院流が”本物”だ、って‥‥ |
成: |
え‥‥ええ。 (真宵ちゃんと会ってから、 この3年間‥‥ ぼくは、何度も見てきた。 彼女に、死者が宿るのを‥‥ 仮面マスクの事件でも‥‥ マコちゃんの事件でも‥‥ 千尋さんは、いつでも ぼくを助けてくれた) |
毘: |
倉院流は、この世界に対して、 大きな影響力を持ってきたわ。 当然よね。死者と語らう、 本当の霊能力なんだから。 その時代の権力者たちの影に、 かならず倉院流が存在した。 その権威は、ゼッタイで‥‥ だれもが敬意を払っていたの。 |
成: |
‥‥でも‥‥ そのわりには、あまり‥‥その。 生活が豊かであるようには‥‥ |
毘: |
ビンボーくさい、って? わはは。ハッキリ言うわね。 ‥‥信用を失ったのよ。 たった一度の<<失敗>>で‥‥ |
成: | <<失敗>>‥‥? |
毘: |
今から、17年前のことよ。 倉院流の権威が、地に落ちたわ。 ある事件によって、ね。 |
成: |
(その<<事件>>って‥‥ も、もしかして‥‥?) |
毘: |
今でも、記録が残っているはずよ。 ‥‥もちろん、封印されてるけど。 <<DL6号事件>>‥‥ それが、記録に与えられた名前よ。 |
成: |
<<DL6号事件>>‥‥ (やっぱり‥‥そうだったか!) |
成: |
DL6号事件‥‥ その事件なら‥‥ よく、知っています。 今から、3年前‥‥ ぼくが扱った事件、ですから。 |
毘: |
‥‥‥! そう‥‥。あの弁護士‥‥ アンタ、だったのかい‥‥ |
成: |
(17年前に起こった、 ある殺人事件‥‥) |
毘: |
‥‥この国の警察の歴史で初めて、 霊媒師に協力が求められたの。 被害者の霊を呼び出して、 犯人の名を聞く‥‥という試みね。 |
成: |
(その霊媒師が、綾里 舞子‥‥ 真宵ちゃんのおかあさんだった) |
毘: |
‥‥舞子さまの霊媒によって、 1人の男の名が浮かび上がったわ。 捜査陣は、色めきたった。 犯人の名が、わかったのだから‥‥ |
成: |
‥‥ええ。 でも、その<<男>>は‥‥ 裁判の結果‥‥‥無罪判決が 下されてしまった。 |
毘: |
‥‥そのとおりよ。 そして‥‥、事件はそのまま 迷宮入りしてしまったわ。 私たちは、失敗したの。 倉院流霊媒道が、初めて 一般世間に姿を見せた事件で‥‥ マスコミ、司法当局、世論、 そして‥‥倉院の里の霊媒師たち。 あらゆるメディアが、舞子さまの チカラを”インチキ”だ、と‥‥。 そして‥‥あの方は失意のまま、 姿を消してしまった。 |
成: |
でも! ぼくは、 その真相を知っています! 綾里 舞子さんの霊媒は‥‥ インチキではなかった! |
毘: |
‥‥もちろん、そうよ。 あなたのおかげで、 事件の真相がわかってから‥‥ 倉院は、やっと‥‥ふたたび、 チカラを取り戻そうとしているの。 その<<チカラ>>を背負って立つのが ‥‥新しい家元さま、なのよ。 |
成: |
(それが‥‥‥ 真宵ちゃん‥‥なのか!) |
毘: |
倉院流の霊力は、 その血に宿っているわ。 |
成: |
(真宵ちゃんも‥‥ そう言っていたっけ) |
真: |
『あたしたち綾里家の女は、代々 霊媒師として生きてきたの。 綾里の血は、強い霊力を 宿しているから‥‥。』 |
成: |
(霊力は‥‥綾里家の女性の 血にのみ、受け継がれるらしい) |
毘: |
綾里 供子さまの血を受けた <<家元>>の娘たちの中から‥‥ 代々、たったひとり‥‥ 次の<<家元>>が決められるの。 |
成: |
選ばれなかった娘さんは、 <<分家>>になるわけですね。 |
毘: |
‥‥そうよ。それが、 いくつもの悲劇を生んできたわ。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 真宵ちゃんには、お姉さんが いたんです。千尋さん、という‥‥ |
毘: |
聞いたこと、あるわ‥‥ お姉さまのこと。 |
成: | ‥‥‥! 知ってるんですか? |
毘: |
おかあさま‥‥舞子さまの事件を 調べるため、弁護士になったとか。 |
成: |
(そして‥‥その事件を追ううちに 命を落としてしまった‥‥) |
毘: |
‥‥千尋さまは、 おっしゃっていたそうよ。 自分が弁護士になったのは、 おかあさまのためだけじゃない‥‥ 姉妹で、家元の座をめぐって 争いたくないからだ、って。 |
成: | そ‥‥そうなんですか‥‥! |
毘: |
あの方は、おかあさんの 舞子さまを見て育ったからねえ。 きっと、姉妹のミニクイ争いに イヤ気がさしていたんだろうねえ。 |
成: |
(綾里 舞子さんには‥‥ ひとり、お姉さんがいた。 舞子さんの強い霊力によって <<家元>>の座を追われた‥‥) |
毘: | ‥‥綾里 キミ子さま、だね。 |
成: |
(綾里 キミ子‥‥その名前を、 ぼくは、よく知っている。 今から1年前。真宵ちゃんの ふるさと<<倉院の里>>で‥‥ 自分の娘を家元にするため、 恐ろしい事件を起こした‥‥) |
毘: |
キミ子さまの娘さんを知っている ‥‥ということは‥‥ アンタ‥‥気づいていたのかい? ‥‥あやめのこと‥‥ |
成: |
え? あ‥‥あやめさん‥‥? (どうして、彼女の名前が‥‥) |
毘: |
あやめは‥‥あの子は‥‥‥ キミ子さまの娘なんだよ。 |
成: |
‥‥‥な‥‥‥ なんですってェェッ! あ、あやめさんが‥‥? (あの、あやめさんが‥‥ 綾里 キミ子の娘、だって!) |
成: |
あ‥‥あやめさんが、 綾里 キミ子の、娘‥‥? |
毘: |
おや。知らなかったのかい? キミ子さまのおじょうさまを 知ってるみたいだったから‥‥ |
成: |
え、ええ。たしかに知っています。 キミ子さんの娘さんなら‥‥ |
毘: | どういうコトだい? |
成: |
春美ちゃん‥‥ですよ。 あの子が、キミ子さんのヒトリ娘。 ‥‥ずっと、そう思っていました。 |
毘: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ええッ! あの子が、 キミ子さまの‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 知らなかった、わ‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥キミ子さま‥‥ キミ子さまは、今‥‥ 刑務所にいらっしゃるのよね? |
成: |
‥‥ええ。 1年前の、あの殺人事件‥‥ すべては‥‥、春美ちゃんを <<家元>>にするためだったんです。 |
毘: |
‥‥そうだったのかい。 ということは、キミ子さまには‥‥ 娘さんが3人、いたんだねえ‥‥ |
成: |
え‥‥‥! ‥‥さ、3人‥‥‥? |
毘: |
‥‥あやめには、 双子の姉がいるんだよ。 |
成: |
なんですって‥‥! ふ‥‥ふたご‥‥? |
毘: |
今から、20年前‥‥ 家元の座を妹に奪われたとき、 キミ子さまの家庭は、崩壊したわ。 ‥‥その数年後、 倉院の権威は地に落ちた。 妻が家元になれないと知った キミ子さまの夫は‥‥ おさない双子の娘たちを連れて、 倉院の里を去ったの。 |
成: | ‥‥そうだったんですか‥‥ |
毘: |
だんなさまは、宝石商だった。 やがて、再婚した際に‥‥ 双子のうちのひとりを、 この葉桜院にあずけたの。 ‥‥それが、あやめよ。 |
成: |
(あやめさんに‥‥ 双子のお姉さんが‥‥! ‥‥その、”お姉さん”‥‥ もしかして‥‥) あ、あの‥‥1つだけ 教えてください! あやめさんの‥‥ 双子のお姉さんの、名前は‥‥? |
毘: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ごめんなさい。 ‥‥おぼえてないわ。 父親が宝石商、としか‥‥ |
成: |
(宝石商、か‥‥) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ありがとうございました。 おかげで、いろいろなことが わかってきました。 ‥‥春美ちゃんに‥‥ 2人も、お姉さんがいたなんて。 |
毘: |
きっと、それは‥‥ キミ子さまの<<本家>>に 対する、執念なんだねえ‥‥ |
成: | しゅうねん‥‥? |
毘: |
双子の娘たちを、宝石商の だんなさまに奪われて‥‥ それでも、娘を<<家元>>にする 夢を、あきらめきれなかった‥‥ |
成: |
(だから‥‥春美ちゃんが 生まれたのか‥‥) |
毘: |
今度の事件も‥‥ 独房にいるキミ子さまの執念が 引き起こしたのかもしれないね‥‥ |
成: |
(‥‥あやめさんの 双子のお姉さん‥‥か。 とにかく‥‥ こんなアイマイな姿のままでは、 なんの武器にもならない! ‥‥なんとかして、もっと <<情報>>を集めるんだ‥‥!) |
葉桜院 境内 | |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(‥‥風に乗って、どこからか 陽気な鼻歌が聞こえてくる) |
糸: |
‥‥波のォォォ‥‥間に間にィィィ 証ォ拠がァ‥‥ハネりゃぁぁぁ‥‥ オレのォォォ‥‥ココロもォォォ ハネるゥのさぁぁぁ‥‥ いやー、捜査は楽しいッス。 ロクな手がかりが見つからないけど ‥‥そんなの、カンケイないッス! 自分は、そんなもののために 捜査をしてるワケじゃないッス! 捜査が好きだから。オマエが 好きだから! 捜査をするッス! ‥‥夢のォォォ‥‥間に間にィィィ 証ォ拠がァ‥‥オドりゃぁぁぁ‥‥ |
成: |
(‥‥セリフにつづいて 2番が始まったみたいだ) |
糸: |
オレのォォォ‥‥ココロもォォォ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ アンタ。 |
成: | え。ぼくですか。 |
糸: | いつから、そこにいるッス? |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 今、来たところですけど。 |
糸: | ‥‥ホッ。 |
成: |
何してるんですか? こんなところで。 |
糸: |
捜査ッスよ、捜査。 自分は、御剣検事と ヤクソクしたッス! 『かならず、本物のキョーキを 見つけだすッス』‥‥と! |
成: | (<<凶器>>‥‥か) |
糸: |
あの、ギザギザのカタナは ニセモノだったワケッスからね。 かなり、がんばってるのに 手がかりなしッス。 ワケのわからない怪文書を 拾ったッスけど‥‥ 事件にはカンケイ なさそうッスしねえ‥‥ |
成: | (かいぶんしょ‥‥?) |
成: |
それで‥‥どうなんですか? 捜査の状況は。 |
糸: |
‥‥アンタには言いにくいッス。 でも、あえて言っちまうッス。 やはり‥‥殺人現場は、 奥の院の中庭らしいッス。 捜査本部は、あの灯ろうの 血文字を重要と考えているッス。 |
成: |
! ‥‥それ、どういう イミですか‥‥? |
糸: |
‥‥詳しいことは わからないッス。ただ‥‥ もし、修験洞から綾里 真宵が 発見されなかった場合‥‥ サイアクの事態も考えなければ ならないッス。 |
成: |
さ、”サイアクの事態”‥‥ なな、なんですか、それはッ! |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 何も思い浮かばないッス。 自分が言ったワケじゃ ないッスからねェ‥‥。 |
成: | いったい、ダレが! |
糸: | ゴドー検事ッス。 |
成: |
ご、ゴドー検事‥‥ (どういうつもりだ‥‥?) |
成: | あの‥‥怪文書、というのは? |
糸: |
まったく! 自分が探してるのは 凶器のカタナなのに‥‥ 見つかったのは、 こんな燃えカスだけッス。 |
成: | 燃えカス‥‥ |
糸: |
奥の院の前にある、 焼却炉の中にあったッス。 |
成: |
‥‥焼却炉! (や、やっぱり‥‥ 気のせいじゃなかった! 初めて見たとき、あの焼却炉には 雪がつもっていた。 それが‥‥事件のあと、 雪はキレイにとけていた‥‥ 事件当夜‥‥あの焼却炉で、 何かが焼かれたんだ!) |
糸: |
‥‥どうしたッス? コブシをにぎりしめて‥‥ |
成: |
ちょ‥‥ちょっと それ、見せてもらえますか? |
糸: |
いやいや、あげるッスよ、 こんな紙クズ。 霊媒だの、家元だの‥‥ 事件にはカンケイないッスからね。 |
成: | (れ‥‥れいばい‥‥!) |
法廷記録にそっと挟んだ。 | |
成: |
(”霊媒”‥‥”家元”‥‥ キーワードがタダゴトじゃない。 よく目を通して‥‥ そして、考えないと!) |
糸: |
ちゃんと、ゴミ箱に 捨てておくッスよ! |
成: | ”本物の”凶器、ですか‥‥ |
糸: |
被害者に刺さっていた七支刀は、 凶器じゃなかった‥‥ それは、今日の法廷で 御剣検事が立証したッス。 |
成: | ‥‥そうらしいですね。 |
糸: |
そうなると‥‥もう1本、 別のカタナがあるはずッス。 |
成: |
それを、探してるわけですか。 ‥‥あてもなく。 |
糸: |
さすがにつかれたッス。 ‥‥でもッ! あてもなく探してた ワケじゃないッス! ‥‥これからは、科学捜査の 時代ッスからねぇ‥‥ 警視庁のほこる、最新鋭の 秘密兵器を使っているッス! |
成: | ひ、ひみつへいき‥‥? |
成: | なんですか? 秘密兵器って。 |
糸: |
いッスか? アンタもひとつ、 科学的に考えてみるッス。 |
成: | ‥‥はあ。 |
糸: |
凶器は”カタナ”ッス。 カタナは、科学的に言って いわゆる、金属ッス。 ここまでで、質問は? |
成: |
‥‥ありません。 (もう、コタエもわかったような) |
糸: |
そこで、これッス! ‥‥金属探知機。 |
成: | (やっぱり‥‥) |
糸: |
どッスか? アンタもひとつ、 科学的にやってみるッス。 |
成: |
はあ。‥‥え! ぼ、ぼくがやるんですか? |
糸: |
いやー、さっきからずうっと やってるッスから‥‥ さすがに、あきたッス。 これも、いい経験だと思うッスよ。 |
成: |
(どうする‥‥? イトノコ刑事の お手伝い‥‥やってみるか?) |
糸: |
さささ、やってみるッス。 楽しいッスよ、捜査は。 |
成: |
じゃ、じゃあ‥‥ おコトバにあまえて。 |
糸: |
なにぶん、警察の最新鋭の 科学の先っぽの装置ッスから。 イヤになるほど高性能ッス! 気にさわるほどビンカンッス! |
成: | ‥‥はあ。 |
糸: |
‥‥それでは、説明するッス。 ここには、おそらく 本当の凶器が眠っているッス。 |
成: | それを探し出すわけですね。 |
糸: |
‥‥まず、探知機の スイッチを入れるッス。 ‥‥この音は、探知機が金属に 反応して鳴っているッス。 音は金属とのキョリで変わるッス。 それに注意して探知するッス。 金属をさぐりあてると、 探知機の表示が、赤くなるッス。 そこでAボタンを押せば、 それを調べることができるッス。 目に見えないところにも 反応するッスから‥‥ アヤシイところは、 ゼンブ調べてみるッス! |
成: |
これは‥‥エリスさんの ツエ、ですよね。 |
糸: |
科学的に考えると‥‥ ツエは、木でできてるッス。 |
成: |
でも、ジッサイに 反応してるじゃないですか。 |
糸: |
手ざわりから何から、 どう見ても木ッスがねえ‥‥ 自分はハナっから、金属に見える ものしか、調べないッス。 |
成: |
(‥‥探知機を使うイミが ないじゃないか、それ) |
糸: |
まさか、こんなものに 反応するとは‥‥ |
成: | ちょっと、貸してくださいよ。 |
糸: |
な、ナニするッス! ここは おまわりさんにまかせて‥‥ |
成: |
‥‥あ。アタマの部分が‥‥ 取れちゃいましたよ! |
糸: |
あ、アンタ! ダイジな証拠品を へし折るなんて、なんたる‥‥ |
成: | ‥‥うわああああああッ! |
糸: | ツエの中から‥‥ |
成: | か‥‥カタナ‥‥ |
糸: | ま‥‥まさか‥‥ |
成: | こ‥‥これが‥‥ |
糸: | きょ‥‥‥‥‥‥キョーキ‥‥ッ! |
成: |
‥‥被害者のツエの中に、 カタナが‥‥ |
糸: |
<<仕込みヅエ>>というヤツッスね。 なんとまあ、美しい細工‥‥‥ これぞまさに”ビサイク”ッス! ビサイクとブサイク‥‥‥ これぞまさに、紙一重ッス! |
成: |
(‥‥妙だな‥‥ 本当の殺人現場が 奥の院の中庭なら‥‥ なぜ、凶器のカタナが 葉桜院の境内にあるんだ‥‥?) ‥‥イトノコ刑事。 このツエですけど‥‥ 中に仕込まれたカタナのことを 知っている人は‥‥? |
糸: |
それは、ダレもいないッス! たった今、自分が発見するまで、 警察の人間すら知らなかったッス。 |
成: |
(‥‥発見したの、 ぼくなんだけどな) 見たところ‥‥血痕は 残っていないようですね。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ じゃあ、凶器じゃないッスね。 コイツは。 |
成: |
いやいやいや! 犯行後に ふき取ったかもしれないでしょう! |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ そりゃ、そッス! キョーキにキマリッス! |
成: |
(長さも、七支刀と同じぐらい。 ‥‥まちがいない!) |
糸: |
じゃ、自分はひとっぱしり、 鑑識課へ行ってくるッス! たとえ血をふき取っても、 痕跡は残っているハズッスからね! ‥‥じゃっ! ‥‥雪のォォォ‥‥間に間にィィィ 探ン知機ィ‥‥サワぎゃぁぁぁ‥‥ |
成: |
‥‥ま、待ってください! イトノコ刑事! |
糸: |
なんス? 自分は今、 かなり多忙な毎日ッス。 |
成: |
その仕込みヅエを調べるの‥‥ ちょっとだけ、 待ってもらえませんか! |
糸: |
なな、ナニをバカなこと 言ってるッスか! |
成: |
おねがいします! せめて‥‥真宵ちゃんが 見つかるまで‥‥ |
糸: | 綾里 真宵‥‥ッスか‥‥? |
成: |
なぜか‥‥イヤなことを 考えてしまったんです。 |
糸: |
‥‥なんスか? ”イヤなこと”って‥‥ |
成: |
真宵ちゃんは‥‥今、修験洞に 閉じこめられています。 でも‥‥本当にブジなのか‥‥ 証人たちの話を聞けば聞くほど、 不安になってきてしまって‥‥ |
糸: |
ま、まさか‥‥ 綾里 真宵が‥‥こ、コロさ |
成: |
おねがいします、イトノコ刑事! ‥‥修験洞が開くまで‥‥ |
糸: |
‥‥アンタ‥‥ カオが、さらにビリジアンッス。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
糸: |
‥‥わかったッス。 そんなカオをしないでほしいッス。 ‥‥ただ‥‥ このツエのシカケのことは、 だれにもナイショッスよ。 知っていてダマっていたとなれば、 アンタも自分もオシマイッス。 |
成: | ‥‥わかりました。 |
糸: |
このツエは、あくまで‥‥ ”ただのツエ”ということで。 ‥‥じゃ。このツエ、 アンタにあずけておくッス。 |
成: | す、すみません‥‥ |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ きっと‥‥ブジッスよ。 |
成: | イトノコ刑事‥‥ |
糸: |
山をおりたところに、 おいしいうどん屋があるッス。 綾里 真宵が保護されたら、 連れていってあげるッス。 |
成: | ありがとうございます‥‥ |
イトノコ刑事から受け取った。 | |
成: |
(それにしても‥‥ エリス先生はなぜ、 こんなものを‥‥?) |