成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
裁判長…緑 | |
裁判官…黄 | |
矢張 政志…紺 | |
天龍斎 エリス…桃 | |
毘忌尼…橙 | |
葉桜院 あやめ…藤 | |
美柳 ちなみ…紫 |
あ: |
『ツエで殴られた真宵さまは、一瞬 おヨロめきになったのですが‥‥』(証言1) 『エリスさまの攻撃をかわして、 凶器を奪いとったのです!』(証言2) 『エリスさまは、逆に追いつめられ、 灯ろうを背にして立たされました。』(証言3) 『真宵さまは、そのまま小刀で エリスさまを刺したのです!』(証言4) 『エリスさまは、小刀をふり払ったの ですが‥‥やがて、お倒れに‥‥。』(証言5) |
裁: | ‥‥いたましい事件です。 |
あ: |
親子のあいだに何があったのかは 存じあげませんが‥‥ 舞子さまが姿を消されてから、 17年の月日が流れています。 ‥‥おそらく、お互いに カオもわからなかったのでは‥‥ |
裁: |
ふむう‥‥あり得ますな。 それでは、弁護人。 尋問をおねがいします! |
成: |
‥‥今日のあなたは、どうも ようすがおかしいですね。 |
あ: | え‥‥ |
成: |
きのうまでのあなたは、軽はずみな ことを言うひとではなかった。 しかし! ‥‥今日の証言には、 あまりにムジュンが多い。 |
あ: |
そんな! いったい‥‥ どこがおかしいのですかっ! |
成: |
あなたの証言によれば、 綾里 真宵は‥‥ 『灯ろうを背にした被害者を、 小刀で刺した』‥‥そうですね? |
あ: | そ、そうですけど‥‥ |
成: |
その場合‥‥被害者は<<腹部>>を 刺されることになります。 |
裁: | ‥‥それは、そうでしょうな。 |
成: |
しかし! 解剖記録には、 こう書かれています。 <<背後より刺され、失血死>> |
あ: | あ‥‥‥! |
成: |
傷の状態から、被害者は背中から 刺されたことが判明している! あやめさん! また1つ、あなたは ムジュンを重ねたのです! |
あ: | きゃあああっ! |
裁: |
い‥‥いったい‥‥ これは、どういうことですかッ! |
ゴ: |
クッ‥‥! カンタンなコトさ。 『人間には<<裏>>と<<表>>がある』 ‥‥それだけのコト、だぜ。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ あの。それだけのコト、 なのですか? |
ゴ: |
『背に腹はかえられない』 ‥‥そう言ってもいい。 |
成: |
証人の証言を、コトワザで かたづけないでください! とにかく! 証人の証言には 不自然な点が多すぎます! 武器であるツエを捨てたこと。 争ったふたりが親子だったこと。 さらに、被害者が腹部を刺された という証言も、マチガイでした! |
裁: |
ふむう‥‥たしかに、 あやふやな点が多いですな‥‥ |
成: |
あやめさん。 ‥‥いかがですかッ! |
あ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ そ、それは、きっと‥‥ |
ゴ: |
きっと、アンタがアマすぎるん だろうぜ。まるほどう‥‥ |
成: | なんですって‥‥? |
ゴ: |
コーヒーの苦味には、253種類 あると言われている。しかし‥‥ それを味わいわけるには、全神経を 集中させなけりゃならねえ。 アンタ‥‥集中してたかい? この証人の、証言に。 |
裁: |
ゴドー検事! どういうコトですかッ! |
ゴ: |
‥‥証人は、ことあるごとに こう証言している。 <<中庭は暗くて、 よく見えなかった>>‥‥と。 |
成: | ‥‥‥! |
ゴ: |
人間が、ものを見るのに必要な ものは、たった1つ。 それは、<<光>>‥‥だぜ。 |
裁: | ‥‥ひかり‥‥ |
ゴ: |
ところで、知ってるかい? ‥‥奥の院で、修験者の 修行がある晩は‥‥ かならず、中庭の灯ろうに 火を入れるキマリがあるそうだ。 |
成: |
(たしかに‥‥中庭には、大きな 灯ろうがあったな‥‥) |
裁: |
それが本当ならば‥‥ 灯ろうの明かりで、現場は ハッキリ見えたはずでは‥‥? |
ゴ: |
‥‥そうなるハズだったのさ。 しかし。住職の証言によると‥‥ 事件当夜、灯ろうには 火をともすことはできなかった。 |
成: | ”できなかった”‥‥? |
ゴ: |
長い間、使ってなかったため、 シンがダメになっていたそうだ。 つまり‥‥あの晩、中庭は、 ほとんど闇に近かった。 修験堂からもれる、わずかな 光があっただけ、なのさ。 |
裁: | ‥‥そうだったのですか‥‥ |
ゴ: |
これで、すべてのムジュンは 解決するだろうぜ! ‥‥ツエを闇に落とせば、 見えるはずがなかった。 娘のカオが見えなかったのも、 闇の中だったせい、だ。 闇にひそむ魔物は、見えない。 ‥‥それが、人間の限界なのさ。 そうだろう、まるほどうッ! |
成: |
う‥‥‥‥ うおおおおおおおッ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! 静粛にィッ! |
ゴ: |
裁判長。‥‥その灯ろうの データをくれてやるぜ。 アンタのアタマに、真実の 灯をともしてくれるだろうさ。 |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(な、なんだ? ダマりこんで‥‥) |
ゴ: |
‥‥どうした? ジイさん。 明かりが強すぎたかい‥‥? |
裁: |
‥‥こ、この灯ろう‥‥ 何か、書いてありますッ! |
ゴ: | ‥‥‥? |
裁: |
これは‥‥ ち、血文字、ですかッ! |
成: |
(しまった‥‥! ‥‥裁判長は、まだ 知らなかったんだっけ‥‥) |
ゴ: | ‥‥血文字‥‥だと? |
あ: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
こ、これは‥‥これはッ! 逆さまに<<マヨイ>>と 書いてありますッ! |
ゴ: | な、なんだと‥‥! |
あ: |
そう‥‥、だったのですね‥‥ ‥‥真宵さまに追いつめられた エリスさまは‥‥ 刺されたあと、すぐには お倒れになりませんでした。 きっと‥‥後ろに回した手で、 その文字をお書きになった‥‥ みずからの身体から あふれ出す、‥‥血で! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。 どうやら、そのようですな‥‥ |
ゴ: |
ちょ‥‥ちょっと待ってくれ! アンタたち‥‥いったい、 なんの話をしてるんだ? |
裁: |
な‥‥”なんの話”と 言われましても‥‥ |
成: |
血文字ですよ! 灯ろうに 書かれている‥‥ |
ゴ: |
ば‥‥バカなッ! この灯ろうに‥‥ 何か書いてある、ってのか! |
成: |
(‥‥ま、まさか‥‥ ”見えない”のか‥‥? この血文字が‥‥! ‥‥そういえば、きのう‥‥) |
ゴ: |
『‥‥オレの目は、とっくに イカれちまっているのさ。 こんなデカいメガネをブラ下げて いても‥‥完全には見えねえ。』 |
成: |
(‥‥”完全には見えない” こういうことだったのか‥‥) |
裁: |
‥‥とにかく、これは 重要な手がかりです。 事件当時、現場は暗かった。 そして‥‥ 被害者は、このような文字を 書き残していた‥‥! いかがですか、ゴドー検事! |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ご‥‥ゴドー検事? |
ゴ: |
‥‥! あ、ああ‥‥ それじゃあ‥‥ 次に進むとするぜ。 |
成: |
(あのゴドー検事が、 動揺している‥‥) |
裁: |
‥‥どうやら、とりあえず 犯行は立証されたようです。 <<綾里 真宵>>による、 天流斎 エリス殺害が‥‥ |
成: | (そんな‥‥バカな!) |
ゴ: |
‥‥そこで、次に登場するのが‥‥ アンタ、ってワケだ。 |
あ: | ‥‥‥はい。 |
ゴ: |
被害者が倒れたあと、アンタは ”あること”をしたらしいな。 その話をしてみな。 ‥‥聞いてやるぜ。 |
あ: |
『エリスさまが亡くなって‥‥ 私、真宵さまに声をかけました。』(証言1) 『倉院流の家元をつぐお方を、お守り しなければ‥‥そう思ったのです。』(証言2) 『だから‥‥私がひとりで、死体を 奥の院から運びだすことに‥‥。』(証言3) 『おぼろ橋の上を、死体を 引きずって、わたりました。』(証言4) 『そして、スノーモービルで 死体を葉桜院に運びこんで‥‥』(証言5) 『死体の傷をかくすため‥‥ 七支刀で、細工をしたんです。』(証言6) |
裁: | ‥‥あなたが、死体を運んだ‥‥ |
あ: |
ええ‥‥。私、葉桜院で 育てられましたので‥‥ 綾里家のみなさまに、 恩がえしをしたかったのです。 ‥‥それなのに、まさか‥‥ あのエリスさまが 綾里 舞子さまだった、なんて‥‥ 私‥‥なんということを‥‥! |
裁: |
ふむう‥‥ <<運命のイタズラ>>ですなあ。 |
成: |
(<<イタズラ>>で済む ハナシじゃないけど‥‥) |
あ: |
私、死体を始末してから 奥の院に戻るつもりでした。 でも‥‥ |
ゴ: |
あの住職に目撃された、 ってワケかい‥‥ |
あ: |
ええ。‥‥それで、戻れなく なってしまったのです。 |
裁: |
‥‥どうやら、スジは 通っているようですな。 それでは、弁護人。 ‥‥尋問を。 |
成: | ‥‥わかりました。 |
成: |
す‥‥スノーモービル? (ついに、出てきたか‥‥) |
あ: |
‥‥ええ。キーは 私が持っていましたから。 葉桜院から吊り橋まで、 それを使って来ていたのです。 |
成: |
(‥‥このへんは、前回の 審理でも問題になったらしい。 ‥‥もっと、詳しく 聞いてみるか‥‥?) |
成: |
‥‥死体をスノーモービルで 運んだのなら‥‥ 雪の上には、その<<跡>>が 残るはずですね? |
裁: | そ、それはそうでしょうな。 |
成: |
前回の法廷で提出された、 この写真‥‥ ‥‥これが、そのときの <<跡>>なのでしょうか? |
あ: | え‥‥ええ。そう、だと思います。 |
成: |
でも‥‥‥シュプールは、 1本しか残っていませんね。 |
あ: |
‥‥それは、おかしく ないと思います。 葉桜院を出たときは‥‥ 雪が降っていたはず、ですから。 |
裁: |
なるほど‥‥ 雪が‥‥降っていた。 |
あ: |
そして、事件が起こったとき‥‥ 雪はもう、やんでいたんです。 だから‥‥こんなにクッキリ、 跡が残っているのですわ。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ いかがですか、弁護人。 今の証言は‥‥ |
成: |
(‥‥事件が起こったとき、 <<雪がやんでいた>>‥‥ これは、もしかすると‥‥) ‥‥裁判長! ただ今の発言を、 証言に加えてください! |
裁: |
し、しかし‥‥ 事件との関連は、あるのですか? |
成: |
‥‥それを立証するためにも、 証言に加えることを要請します。 |
ゴ: |
クッ‥‥! おもしれえ。 アンタ。<<雪>>のこと‥‥ ハッキリさせようぜ! |
あ: |
は‥‥はい‥‥ 『‥‥事件が起こったとき、雪はもう すっかりやんでいました。』(証言7) |
成: |
‥‥事件が起こったとき、 <<すでに雪がやんでいた>>‥‥ ザンネンですが、あやめさん。 それは、あり得ません。 |
あ: | え‥‥‥ |
成: |
こいつは、事件当夜の 気象データです。 雪がやんだのは、記録によると 午後10時50分ごろ‥‥ この時間、あなたが おぼろ橋をわたれたハズがない。 |
あ: | ど‥‥‥どうしてですか! |
成: |
雪がやむ、5分ほど前‥‥ おぼろ橋は落雷を受けて、 炎上していたからです。 |
あ: |
なんですって! あ、あの吊り橋が‥‥ 燃えていた‥‥? |
裁: |
まさか‥‥知らないわけでは ないでしょうな? その落雷によって‥‥あの橋は 燃え落ちてしまったのですから。 |
あ: |
ええええええッ! そんな‥‥ ま‥‥まさか! |
成: |
どうやら‥‥まだ、あなたには わかってないようですね。 どんなに上手にウソを ついたつもりでも‥‥ 弁護士の目を逃れることは できないんですよ! |
あ: | ‥‥いやああああァァァッ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! 静粛に! |
成: |
事件が起こったとき、 すでに橋は燃えていた! そう! すでに奥の院は、 世界から切りはなされていた! 橋をわたって、死体を運び出す ことは、不可能だったのです! |
あ: | ぐ‥‥ぐううううッ! |
裁: |
証人! ‥‥<<私のカオも 三度まで>>ですぞッ! いつわりの証言には、 法廷侮辱罪が適用されます。 何か言うことはありますかッ! |
あ: | ‥‥ううう‥‥ |
ゴ: |
法廷を侮辱しているのは むしろ、アンタのほうだぜ‥‥ なあ‥‥、ジイさんよォ! |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ え! わ、私‥‥ですか! |
ゴ: |
この証人の証言が、ウソかホントか ‥‥ちっぽけなモンダイさ。 |
成: | ちちち、ちっぽけ‥‥! |
ゴ: |
それより、重要なコトは‥‥ <<真実>>だぜ。‥‥そうだろう? |
裁: | そ‥‥それはそうですが‥‥ |
ゴ: |
雪が降ろうが、雷が落ちようが、 橋が燃えようが‥‥ ゼッタイに動かせない ジジツが2つ、ある。 天流斎 エリスの死体が、葉桜院の 境内で発見されていること。 そして、もう1つ。 あの住職は、目撃しているのさ。 この証人が、死体に 細工しているところをなァ! |
成: |
‥‥‥! (た、たしかに‥‥) |
あ: |
そ‥‥、そうですわ! 私‥‥ ウソなんて、ついていません! |
裁: | なんですって! |
あ: |
あの晩の私は‥‥ フツウではありませんでした。 ‥‥記憶が少し、 コンランしているんです! |
成: |
あなたは<<証人>>として そこに立っているのです! 今さら、”コンラン”なんて‥‥ |
ゴ: |
ウソをつくのも人間なら‥‥ カンちがいするのも、人間だ。 ‥‥それなら、まるほどう。 アンタには、説明できるのかい? |
成: | な、何をですか‥‥! |
ゴ: |
事件が起こったとき、すでに おぼろ橋は燃えていた。 しかし‥‥死体は橋をわたり、 葉桜院の境内で発見された。 その<<カラクリ>>を‥‥ カンペキに立証できるのかい! |
成: |
ぐっ‥‥! そ、それは‥‥‥ (たしかに‥‥証言はどうあれ 死体は、炎上した橋をわたった。 その方法が立証できなければ ‥‥真相は、見えない!) |
裁: |
どうやら‥‥弁護人には 説明できないようですね‥‥ |
ゴ: |
そういうことだ。 ‥‥つまり‥‥ アンタは、この証人をウソつき 呼ばわりする資格はないのさ! |
成: | ぐおおおおォォッ! |
裁: |
それでは‥‥証人。 もう一度だけ、証言してください。 |
あ: |
はい。 ‥‥なんでしょうか? |
裁: |
あなたは、死体を移動させた罪を 告白なさいました。 ただ、先ほどの証言がムジュン していたのは、ジジツです。 ‥‥最後に、その説明を おねがいしましょうか。 |
あ: | ええ。わかりましたわ。 |
成: |
(‥‥これが‥‥ 最後の証言、か‥‥!) |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
あ: |
『橋をわたる以外に、死体を運ぶ 方法は、あり得ません。』(証言1) 『だから‥‥きっと、私‥‥ カンちがいしていたのですね。』(証言2) 『雪が降っていたか、どうか‥‥? そんなの、ささいなコトです。』(証言3) 『それとも‥‥燃え上がった橋を わたる方法が、あるとでも‥‥?』(証言4) |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。やはり カンちがい、だったのですかな。 |
ゴ: |
ここに、落雷によって燃えた おぼろ橋の写真があるぜ。 事件の翌朝、撮影されたものだ。 |
裁: |
これは‥‥ミゴトに 燃えつきていますね‥‥。 支柱がわりのワイヤーも切れて‥‥ よく、橋が落ちなかったものです。 たしかに‥‥これでは、死体を 運ぶのは不可能でしょうな。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
成: |
(この証言をくつがえすことが できなければ‥‥ 証言は”正しい”ことに なってしまう‥‥ 真宵ちゃんが、<<殺人者>>に されてしまうんだ‥‥!) |
ゴ: |
いいか、まるほどう‥‥ もう一度、言っておくぜ。 |
成: | ‥‥‥! |
ゴ: |
カンちがいするのも人間なら‥‥ ウソをつくのも、人間だ。 そして‥‥ そのウソを見破るのも‥‥ やっぱり、人間なのさ。 |
成: |
(‥‥わかったような、 わからないような‥‥) |
裁: |
それでは、弁護人! 最後の尋問をおねがいします! |
成: |
<<燃え上がる橋の上を 死者が飛び越えた>>‥‥ その可能性は‥‥ ゼロではありません。 |
裁: | な‥‥なんですって! |
ゴ: |
クッ‥‥! 可能性は、ゼロじゃねえ‥‥か。 しかし。‥‥そのコンキョはゼロ、 だろうぜ。 |
成: |
それは、どうでしょうか。 なにしろ‥‥ 目撃者がいましたからね。 |
ゴ: | ‥‥なんだとほォォォッ! |
裁: |
い、いったい‥‥その <<目撃者>>とは、ダレですか! |
成: |
(ここから先は‥‥もう、 イキオイで攻めるしかない!) ‥‥天流斎 マシス。 天才絵本作家のタマゴですッ! |
裁: | てんさい‥‥? |
ゴ: | えほんさっか‥‥? |
あ: | おたまご‥‥? |
成: |
‥‥彼の証言を 思い出してください。 彼は、あの晩‥‥現場付近の 山小屋にいました。 そして‥‥その”瞬間”を 目撃したのです! みなさんも、このスケッチは ご存じでしょう! ‥‥彼が目撃した光景を、 そのまま描いたものです! |
あ: | ‥‥‥‥‥‥ |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥あなた‥‥ホンキで 主張するつもりですか? 被害者が‥‥ <<空を飛んだ>>などとッ! この、メルヘンティックな ラクガキをコンキョにッ! |
成: |
(ううう‥‥裁判長、クチビルが ぶるぶるフルえているぞ‥‥) |
ゴ: |
クッ‥‥ ここまで来て、引っ込めるのは ナシ、だぜ‥‥ ‥‥このラクガキを使って 立証してもらおうじゃねえか。 |
成: | わ‥‥わかっています! |
ゴ: |
アンタ‥‥発想を逆転させるのが トクイなんだってなァ‥‥ |
成: | ‥‥‥! |
ゴ: |
いっそ‥‥逆転させてみるかい? このラクガキも‥‥ |
成: |
(<<逆転>>‥‥なぜ、 ゴドー検事がそれを‥‥‥) |
裁: |
‥‥それでは、弁護人の 結論をうかがいましょう! このスケッチに描かれた光景は ‥‥どうなのですかッ! |
成: |
(まちがいは、ユルされない! よく見ろ! そして、 考えるんだ‥‥!) ‥‥この、天流斎 マシスの スケッチは‥‥! |