王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
牙琉 霧人…紫 | |
裁判長…緑 | |
亜内検事…茶 | |
浦伏 影郎…青 | |
逆居 雅香…水 | |
成歩堂 みぬき…赤 |
ショーダウンだ。 ‥‥アンタの負けだよ。 | |
うおおおおおおおお! | |
きゃあああああああッ! | |
‥‥すまないが、 メンドウに巻き込まれたようだ。 うん。そんなところだ。 ‥‥死んじまったよ。 思い切り、殴られたみたいだ。 よしてくれ。 とにかく、これから警察が来る。 たのむぜ。 ‥‥もしものときは、な。 | |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
王: |
(うう‥‥やっぱり、 キンチョーするよ‥‥) |
?: | やあ、おはよう。 |
王: |
あ。お、おはようございます、 先生! |
霧: |
やれやれ。ずいぶんカタくなってる みたいだね。 |
王: |
そ。そんなコトないです! カンゼンに大丈夫ですから、オレ! |
霧: |
声がウラ返ってるよ‥‥ まあ。ムリもないかな。 初めての法廷が、殺人事件とは。 まさしく”オドロキ”ってヤツだね。 |
王: |
だ、大丈夫です! 今朝は5時に起きて、 発声練習をしてきましたから。 |
霧: |
そうみたいだね。 声がウラ返った上、カスれて 聞き取りにくいよ。 |
王: |
‥‥げほ。 (やりすぎたか) |
霧: |
きみも知ってのとおり、 今日の依頼人は、私の親友です。 助けてやりたいのですよ‥‥ なんとしても。 |
王: | え、ええ! わかってます! |
霧: |
事件があった晩も、 彼とはディナーをともにしました。 最後まで、見捨てるワケには 行きません。 |
王: | あ。 だ、大丈夫ですから、オレ! |
霧: |
ああ、それから。 あまり”大丈夫”を 連呼しないほうがいいですね。 いろいろ、ゴカイを生むから。 |
王: | はあ‥‥ |
霧: |
じゃあ、私は手つづきを すませてこよう。 きみは、依頼人にアイサツでも しておいてくれるかな。 |
王: |
オレの名前は王泥喜 法介 (おどろきほうすけ)。 なんというか、新米弁護士だ。 今日は、初めての法廷‥‥ ベ、ベツに、 どうというコトもないけどね。 依頼人‥‥彼の容疑は”殺人”か。 先生に言われるまでもない。 オレだって、助けたい。 だって、彼が‥‥彼が、 そんなコトをするはずがない! |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: | あ! |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: | ‥‥お。おはようございます! |
?: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ おはよう。 今日は、よろしくお願いするよ。 |
王: |
(‥‥このヒトを前にすると、 よけいにキンチョーするよな) |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (うううう‥‥気まずい‥‥) |
?: | たしか、きみは‥‥ |
王: |
あ、ハイ! オレ、大丈夫ですッ! |
?: | ああ‥‥”大丈夫くん”か。 |
王: | え。 |
?: | 変わった名前だとは覚えていた。 |
王: |
(さっそく、ゴカイされちまった) あの‥‥ホントに よかったんですか? オレで。 |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
牙琉(がりゅう)先生は、 超一流の弁護士です。 それなのに、どうして‥‥ |
?: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ いずれ、わかる。 |
王: | え。 |
?: |
きみなら、やれる。 自信を持つことだ。 |
王: |
あ。あの‥‥ こんなコトになって、 ホントに、ザンネンです。 だって、オレは‥‥ |
?: | そろそろ時間だ。‥‥行こうか。 |
王: |
は、はいッ! (‥‥そうさ。 今は、とにかく集中するんだ。 オレの‥‥王泥喜 法介の、 初めての法廷に!) |
地方裁判所 第2法廷
| |
裁: | それでは、これより開廷します。 |
亜: | 検察側、準備完了しております。 |
王: |
あ。弁護側は、その。 大丈夫です! (やれやれ。オレとしたことが、 アタマがまっ白だよ) |
裁: |
きみは‥‥王泥喜くん、でしたね。 今日が初めての法廷、とか。 |
王: |
は。はいッ! モチロン、その。大丈夫です! |
裁: |
ホントですか? 声がウラ返って、 カスれてよく聞こえませんが。 |
王: | ‥‥はあ。 |
裁: | ええと。牙琉弁護士? |
霧: | ‥‥なんでしょうか。 |
裁: |
この件は、あなたが担当するものと 聞いていましたが‥‥? |
霧: |
私もそのつもりでいました。 しかし‥‥。 弁護士は、依頼人の希望を最優先 させなければなりません。 この王泥喜くんは、依頼人の ご指名なのですよ。 |
裁: |
ふむう‥‥わかりませんな。 現在、最高の弁護士と言われる 牙琉 霧人(がりゅうきりひと)。 それをさしおいて、 こんなワカモノがねえ‥‥ |
王: |
(だ、大丈夫。発声練習の量なら、 先生にも負けないさ!) |
裁: |
‥‥では、審理を始めましょう。 被告人を入廷させてください。 |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
まことにザンネンです。 ひさしぶりの対面が、 このようなカタチになるとは。 ‥‥成歩堂 龍一 (なるほどうりゅういち)くん。 |
成: |
忘れてほしいですね、 ムカシのことは。 今のぼくは‥‥そう。 しがないピアニスト、ですから。 |
王: | (成歩堂さん‥‥) |
裁: |
‥‥多くは言いますまい。 亜内検事。事件の説明を おねがいできますかな。 |
亜: |
まさか、こんなカタチでキミに 引導を渡すことになるとはねえ‥‥ |
成: |
あいかわらず、ですね。 ‥‥亜内検事さん。 |
亜: | さて。 事件は、ロシア料理のレストラン <<ボルハチ>>で起こりました。 被告人・成歩堂 龍一が、 客である被害者を‥‥その。 殴り殺したのです。 いきなり! ポカッとこう! |
裁: |
ふむう‥‥レストランの客を‥‥。 しかし。 たしか、被告人は‥‥ええと。 |
亜: |
ピアニスト、だったようですな。 <<ボルハチ>>専属の。 |
裁: |
ぴあにすと、ねえ‥‥ あなたが。 |
亜: |
これが、被害者の命を奪った凶器。 ‥‥グレープジュースのボトルです。 彼のお気に入りで、 いつも飲んでいるようですな。 |
裁: |
‥‥その凶器のボトルを 証拠品として受理しましょう。 |
法廷記録にファイルした。 | |
霧: |
オドロキくん。 証拠品はすべて、<<法廷記録>>に ファイルされます。 いつも、 カクニンしておくといいでしょう。 |
王: |
<<法廷記録>>‥‥大丈夫です! 聞いたコト、ありますからッ! |
霧: |
<<Rボタン>>で いつでも見ることができる。 まあ‥‥ キミなら大丈夫だとは思うけどね。 |
王: |
(<<Rボタン>>‥‥ね。 チェックしたほうがいいな) |
裁: |
ところで。被害者は レストランの客でしたな。 浦伏 影郎(うらふしかげろう) さん、というのは‥‥? |
亜: | 旅行者、と思われます。 |
裁: | りょこうしゃ‥‥ですか? |
亜: |
パスポートによると、 数年、海外にいたようです。 最近、この国へ戻ったようですが、 足取りはつかめておりません。 |
裁: |
被告人と、なんらかの関係が あったのですかな? |
亜: |
‥‥今のところ、つながりは 発見されておりません。 事件の夜、<<ボルハチ>>で 初めて会ったものと思われます。 |
裁: |
では、いったいなぜ、 そのような事件が? ピアノのウデを コキ下ろされたのですかな? |
亜: |
そういうコトでは ないようです。 キッカケは、ピアノとは 別のところにあった‥‥。 ここに、現場写真があります。 事件の現場では、ゲーム‥‥ ポーカーの最中だったのです。 |
裁: |
ちょっと待ってください。 ”ぽーかー”といえば‥‥ いわゆる、トバク‥‥。 それ自体が犯罪ではないですかッ! |
亜: |
そのとおり。 どうやら、この被告人は‥‥ 犯罪者になり下がって しまったようですな。 |
霧: |
たしかに被告人は事件当時、 被害者とポーカーをしていました。 しかし。それは純粋なゲーム‥‥ ”勝負”だったのです。 |
亜: | しょうぶ‥‥ですと‥‥? |
霧: |
静かな情熱‥‥青い炎を 背にまとったカードだけが、 その勝負の行方を 知っていたのですよ。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ よくわかりません。 |
亜: |
現場のテーブルの上にあったのは、 たしかにウラが青のカードでした。 弁護士お得意の、シャレたコトを 言ってケムに巻く作戦でしょう。 ‥‥女の子にモテるための。 |
裁: |
どうやら、最初にうかがわなければ ならないようですな。 その”ポーカー”について。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それでは、被告人。 事件当夜の<<勝負>>について 証言をおねがいします。 |
成: | ‥‥いいでしょう。 |
王: |
(いよいよ、始まる‥‥ オレの法廷が!) |
成: |
『ピアニストということになってるが、 ‥‥ピアノはほとんど弾けない。』(証言1) 『物好きな客の相手をするのが仕事。 モチロン”ポーカー”だ。』(証言2) 『現場になった部屋は、店の名物でね。 そこでの”勝負”がウリなのさ。』(証言3) 『ルールも、かなり本格的だ。 2組のカードを使ってゲームをする。』(証言4) 『‥‥もちろん、純粋なゲームさ。 お客もマンゾクしてるよ。』(証言5) |
裁: |
‥‥ふむう。 ピアノが弾けないピアニスト ‥‥ですか。 |
亜: |
弁護ができない弁護士よりはマシ、 でしょうな。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ では、弁護人。 <<尋問>>をおねがいします。 |
王: |
は、はい! (<<尋問>>‥‥ きたぞ、ホースケ!) |
霧: |
大丈夫かい? おデコがテカテカだけど。 |
王: | え、ええ! 大丈夫です! |
霧: |
声がウラ返ってるよ。 カスれて聞こえにくいし。 |
王: |
ノーミソもウラ返って、 カスれてきたような気がします。 |
霧: |
たしか、私の尋問なら 何度か見ているハズだが‥‥ キミ自身はやったことがない。 一度、おさらいをしておこうか? |
王: |
(どうしよう。<<尋問>>のコト、 先生に聞いておくか?) |
王: |
(こんなトコでつまづいてたら 始まらないもんな!) おねがいします! イチから教えてください! |
霧: |
いいかい、オドロキくん。 ”証言”と”法廷記録”‥‥ この2つをよく見くらべて、 ムジュンを探すんだ。 そして、 ムジュンを見つけたら‥‥ その証言と食いちがう法廷記録の データを<<つきつける>>‥‥ |
王: |
でも! 今の証言、 オカシイところなんて‥‥ |
霧: |
そんなときは、 証人を<<ゆさぶる>>といい。 |
王: | <<ゆさぶる>>‥‥ |
霧: |
彼は優秀なオトコです。 ”情報”を引き出しましょう。 |
王: |
(‥‥成歩堂さん、 依頼人なんだけどな‥‥オレの) |
霧: | どうかな? できそうかい。 |
王: |
はい! さすがは、先生! なんだか、オレにも できそうな気がしてきましたよ! |
霧: |
‥‥できてくれないと 困りますけどね。 とにかく‥‥ <<証言>>の”ムジュン”や”ウソ” を見つけだして、それを立証する。 それが<<尋問>>です。 押さえておいてもらおうか。 |
王: |
(”ウソ”や”ムジュン”‥‥ あの、成歩堂さんが‥‥? あり得ないッ! そいつを、立証してやるんだ) |
裁: |
それでは、弁護人。 <<尋問>>をおねがいします。 |
王: |
ポーカーをしているだけで お金がもらえるんですか? |
成: |
そういうこと、みたいだね。 ”プロ”だから。ぼくの場合。 |
亜: |
フン、いいご身分ですなあ。 マジメに働くニンゲンには 想像もつかない世界だ。 |
成: |
そう‥‥あなたには 想像もつかないでしょう。 |
亜: | な、なんですと! |
成: |
ぼくは、あの小部屋で7年間 ポーカーをしている。 その間、一度たりとも 負けたことはない。 |
王: | え‥‥ |
成: |
当然だろう? ”一度も負けたことがない ポーカープレイヤー”‥‥ だからこそ、物好きな客が 集まってくるのさ。 ‥‥ぼくを倒すためにね。 |
王: |
で、でも! 一度も負けない、なんて‥‥ |
成: | それが”プロ”だよ。 |
王: |
(一度も負けたことがない‥‥ トランプの勝負で? そんなコト、 可能なんだろうか‥‥) |
王: |
現場写真の部屋が‥‥ ”名物”なんですか? |
成: |
そうみたいだ。 <<ボルハチ>>はムカシ‥‥ この街の暗黒街の連中が 集まる店だったらしいからね。 |
王: | あ。あんこくがい‥‥? |
成: |
もちろん、”暗黒街”なんて 今じゃあ映画の中の世界だ。 とにかく、そのころ。 ”裏取引”が行われていたのさ。 ‥‥この小部屋でね。 |
裁: |
言われてみれば。 この写真を見ていると‥‥ ”ワル”になった 気分になります! |
成: |
警察の目を逃れて、テーブルで ボスたちが密談をする。 そして、小窓から部下が ソトを見張る‥‥ そんな感じだったんだろう。 |
王: |
(たしかに‥‥見張り以外、役に 立たないような小窓があるな) |
成: |
あの部屋には、 他にもシカケがあってね。 常連客ならば、知っている者も多い。 いわくつきの小部屋に こもって、ポーカーを楽しむ‥‥ 無害なスリルを楽しめる、 という寸法さ。 |
王: | 2組のカード‥‥? |
成: |
イカサマができないように するためさ。 2組のカードを交互に使えば、 すり替えるコトもできないだろ? |
裁: |
たしかに‥‥ テーブルの上だけでなく、 床にもカードが散らばっています。 |
霧: |
そのとおり。机の上のカードと、 床のカード‥‥ それぞれ1組ぶんずつ、 のようですね。 現場は、大量の青いカード‥‥ 哀しみで彩られていた。 どこか”詩”を感じますね。 |
成: |
ちなみに、<<ボルハチ>>で 使われているカードには‥‥ <<赤>>と<<青>>の 2種類があるんだけどね。 |
裁: |
ふむう‥‥ ポーカーといえば、5枚のカードで ”役”を作って勝負するゲーム。 たしかに、イカサマが 起こりやすいのでしょう。 |
成: |
フッ‥‥ ”役”を作るゲーム、ねえ‥‥ |
王: | ‥‥? |
裁: |
あなたの言う<<勝負>>‥‥ だいたい、 わかったような気がします。 |
王: |
そ、そうですよね! やっぱり、 ”ゲーム”だったんですよね! |
裁: | それはどうでしょうか。 |
王: | え。 |
裁: |
単なるゲームで 殺人事件は起こりません。 被告人。事件が起こった瞬間、 あなたは現場の部屋にいた‥‥ それでも、事件とは 無関係と言い張るつもりですかな? |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ フシギ、ですね。 |
裁: | なにが、ですかな? |
成: |
ぼくは今、あの晩の<<勝負>>に ついて、証言しているハズだ。 したがって。事件についての 質問は、ルール違反。 当然、弁護側から ”異議”があると思ったのですが。 |
王: |
あ‥‥‥ (しまった! つい、聞きいってしまった‥‥) |
霧: | ちょっと待って、オドロキくん。 |
王: | せ。先生‥‥? |
霧: |
成歩堂。私としても ハッキリさせておきたいですね。 事件との関係について‥‥ キミのクチから。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ きみがそう言うなら、いいだろう。 |
裁: |
それでは、被告人。 証言を修正してください。 |
王: |
(これが<<ゆさぶる>>か‥‥ こうして、新しい証言が みちびき出されるんだな!) |
成: |
『事件については、黙秘する。 とにかく、凶器には触れていない。』(証言6) |
王: |
凶器‥‥このボトルには、 さわらなかった。 ‥‥そう言いましたよね? |
成: | 言ったね。 |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | どうかしましたか。弁護人。 |
亜: |
ふっふっふっふっ‥‥‥‥ どうやら、弁護側は‥‥ トボける気はないようですなあ。 |
裁: |
な。なんですかな? 亜内検事。 |
亜: |
凶器として使われた、 このボトルには‥‥ 被告人の指紋が、 ベットリついているのですよ! |
王: |
‥‥弁護側には‥‥ 異議がありますッ! |
裁: |
そんな大きな声で叫ばなくても 聞こえますッ! |
王: | ‥‥はあ。 |
霧: |
ムダな大声は、裁判長の耳を ハカイして、命取りになりますね。 |
王: |
(ううう‥‥ セッカク、発声練習したのに) と。とにかくッ! レストランで、ビンに指紋が つくのは、トーゼンのコトです! |
裁: |
まあ‥‥たしかに。 それだけで、ハンニンとは‥ |
亜: |
たしかに、当然でしょうな。 それが、ただの指紋なら‥‥ね。 |
王: | ‥‥え。 |
亜: |
凶器に付着した指紋は‥‥ ”逆手”の状態だったのですよ。 |
裁: | ”さかて”‥‥ですか‥‥ |
亜: |
ビンを”逆手”に持つ状況。 考えられるのは、ただひとつッ! ‥‥そう。 ヒトを殴るトキなのですゥゥッ! |
王: | あああああああああああ‥‥ッ! |
王: |
牙琉先生! オレ! かえって 不利になっちゃいました! |
霧: |
‥‥なあに。 大丈夫ですよ、オドロキくん。 |
王: | せ。先生‥‥ |
霧: |
‥‥大切なのは”真実”です。 そこには、かならず。 なんらかの”イミ”があるはず。 |
裁: |
被告人ッ! この、ボトルの指紋。 説明していただきたいですなッ! |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 言ったはずです。 ‥‥事件については黙秘する、と。 ‥‥今はね。 |
裁: |
ふむう‥‥ その、非協力的なタイド‥‥ モンダイがありますな。 |
亜: |
さよう。かくさなければならない ”事情”でもあるのでしょう。 |
霧: |
‥‥裁判長。 ひとつ、お忘れのようです。 |
裁: | なんでしょうか、牙琉弁護士。 |
霧: |
モンダイの夜‥‥警察に”事件”を 通報したのは、誰だったのか? |
裁: | 通報‥‥ですか? |
亜: |
それは、まあ‥‥たしかに。 被告人の成歩堂くんなのですが‥‥ |
裁: | そ‥‥そうなのですか! |
亜: |
ま。まあ、その。 記録によると、通報は‥‥ 現場付近から、被告人の携帯電話で 入ったようです。 |
王: | 現場”付近”‥‥? |
亜: |
現場の上面図を 見ていただきましょう。 被害者が殺害されたのは、 地下2階の小部屋でした。 当然、携帯電話の電波は届きません。 被告人は、この廊下の階段から地上 ‥‥レストランの店内に上がって、 そこから通報をしたようです。 |
裁: | ‥‥なるほど‥‥この電話ですか。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
霧: |
被告人は、 そのまま逃走することもできた。 しかし。市民のギムを果たして 事件を通報した。 これでも‥‥ 彼が”非協力的”だと‥‥? |
亜: | むぐ。 |
王: |
(さすが、牙琉先生‥‥ オレも、負けていられない!) |
霧: |
‥‥さて、検事さん。 ジラすのはじゅうぶんでしょう。 |
亜: | な。なんのコトですかな? |
霧: |
あなたは先ほど、こう言いました。 『事件が起こった瞬間、 被告人は現場にいた』と。 なぜ、そんなことが 断言できるのか‥‥? |
裁: |
あ、たしかに‥‥。 どうしてなのですかッ! |
霧: |
コタエは、ひとつです。 ‥‥決定的な、証人。 |
亜: |
フッフッフッ‥‥ さすがは、名高い弁護士さんだ‥‥ |
王: |
(事件の夜、あの部屋には、 もうひとりの人物がいた! 当然、事件を目撃している‥‥) |
霧: |
さあ、練習はここまでですよ、 オドロキくん。 ‥‥ジュンビはいいですね? |
裁: |
それでは。その証人を 入廷させていただきましょう! |