5.ヤポニスムは「最良の社会」の構成要件として十分か?

現在,世界史的に進行しているマイクロ化,情報社会化の流れの中で,日本はほぼ最先端に立ったと言われている.(ソンナニ豊カデアッタトハ!)LSI の技術等ではほとんど世界水準であり,オプトエレクトロニクス(光通信技術)ではもはや先行する国はないし,ロボットに到っては,ほぼ世界の70%が日本に集中している.*1

*1 現在,日本にはこの当時の自信に溢れた姿はどこにもない.サンフランシスコの日本人街はほとんどゴーストタウンと化している.
 

この驚異的な発展の秘密はヤポニスム(日本独特の労使関係,倫理,世界観)にあると言われている.欧米諸国に起こっているようなロボット排撃の強い動きも日本にはない*2.もしそうであるとすれば,日本は超大国アメリカ,巨人ヨーロッパを差し置いて,新時代を独自に切り開いてゆく可能性を持っているとすら言える*3

*2 このことについては,もう少し考える必要がある.ソニーが発売したロボット犬はまたたくうちに売り切れてしまったが,欧米ではその現象をかなり冷笑的に観察している.彼らは,「犬が欲しいなら,何で彼らは本物の犬を飼わないんだろう?」と考える.

*3 日本はいま,肩の荷を下ろしているのだろうか?現時点でもっとも可能性が高いのは,このままじりじりと後退を続けて,そのまま超高齢化した活性の乏しい社会に移行するというものである.10年後には中国に追いぬかれるのではないか?(少なくとも中国の学生は日本の大学生よりずっとまじめに勉強している.)
 

ヤポニスムの中に,おそらくは(必要とされている)システムの柔らかさ,清浄への愛――論理的整合性に対する高度の感覚,デリケートさ等々が含まれているかもしれない.しかし,そのような特質に還元し得ない負のファクタ(政治,経済,社会的理由による)も雑多に,あるいは根元的に混淆しているかもしれない.つまり,ヤポニスムは最良の社会を構成できる可能性を持ってはいるが,多分十分ではない.*4

*4 パワーが足りないのかもしれない.コンビニで販売している食品のサイズが限りなく小さくなっていくように見える.これが日本人の嗜好であり,生活なのだろうか?アメリカ人も,中国人も,もっと大きなお皿に山盛りの食事を取っている.