From: michael
To: chao
Subject: お怒りは解けたのでしょうか?
Date: Sun, 28 Nov 1999 21:03:57

ちゃお☆ 様

こんばんは.
メールありがとう.とても,うれしい.
お怒りを解いて下さったのですね...

※ 以下3行削除

あなたが,意地悪な気分になっているというのは,よ〜く
分かりましたよ.いじわる〜!ってのは女性用語なので,
ちょっと使えませんが...(とても)辛かったですね...

「今日はこれ以上何も考えずに、さっさと寝てしまおう…。」
というコメントに同調して,椅子でフトンを被って....
午前6時頃目が覚めたら,吹っ切れていました.多分,
「あなたが,解放してくれた」のだと思っています.
(あなたは独占欲もかなり強いはず...違うかな?)

少し的の外れたコメントを(メールで)付けましたが,
「何かが違うと私の心が言ってるわ」というのは,あなたを
理解するキーワードでした.それは,あなたが強調している,
「感覚的に思っていることを、インスピレーション的に言葉に
する」という方法の好例です.つまり,あなたはまったく正確に
自分自身を測定しています.

あなたは,私が50年かかってようやく身につけたことを,その
年齢?で会得しているようです.私は,自分を「本能で数学する
男」と呼んでいるのですが,あるいは,あなたの方法にやや類似
しているかもしれません.

もっとも肝心な点は,自分自身に忠実であるということである
として,そのためには,忠実であろうとしている自己の正当性に
対するなんらかの保証が必要です.自分自身でそれを正当化する
というのはあまり,意味がありませんが,他者の意見,ないし
評価に従うというわけにもいきません.

私の場合,それを時間との同期によって測っています.つまり,
自分の言動が「時間」と調和していれば,それは(おそらく)
「正しい」と推定します.時間と同期しているという状態を
ことばで説明するのは,ちょっと難しいのですが,「恩寵」と
いうことばの意味するものに少し近いかもしれません.

(何かがうまくゆく,ということとほとんど同じなので,特別
難しいことを言っているわけでもありません.結局,限られた
時間の中で何を優先するかということに関わってくるので,
自分の価値観についての客観的な評価の指標です...)

「聡明ということばはあなたのためにあるみたいね」と誰かが
言っていましたが,あなたの魅力は,単に回転が速いとか,
切れ味がよい,とかいうことではなく,あなたが「感覚」と
呼んでいる,正確でかつダイナミックな時間との関わり方にある
のではないかと思います.

(正確というと冷たく感じるかもしれませんが,その反対が
ずさんであることを考えれば,ほとんど倫理的かつ美的な内質を
持つものであることは了解されるでしょう.)

私は小学6年生の頃,前のメールで書いたFという女の子から
「Nクンのことばには棘があるから,刺さると痛い」と公開の場
で言われたことがあります.私はそれを聞いて,泣きました.
(あなたにも,似たような経験があることを読んでいます.)

私はそれから,人にずけずけ言うことがほとんどできなくなり
ました.ずけずけした物言いをするということは,活発な会話
の重要な要素ですから,結果的に,私は「非社交的」な人間に
なってしまったかもしれません.私は,それはそれでよいと
思っていますが...(ないものねだりしても仕方ないことで)

あなたのおすすめサイトの「彼」のところに寄って見ました.
「日本語の乱れ」ということについて書きたいのですが,ここ
では略すことにして,確かに彼のテキストはおもしろいと思う
し,頭がよいというのも確かでしょう.

私はあなたに話したいことが沢山ありますが,あなたが私に
話したいことは,あったとしても少ないだろうというのが,彼の
サイトを見た私の感想です.これはやむを得ないでしょうね.
時間差を埋めることは,相互的に不可能です.

あなたのサイトで「ネット恋愛」についての議論がありましたが,
私はもちろん「あり」だと思います.人間同士のコミュニケーション
というのは,明らかに時空を超えています.私の書棚にはわずかな
本しかありませんが,どうでもいいという本はほとんどないような
気がします.めったに本屋にゆくことはありませんが,竹取翁が
竹藪の中で光っている竹を見つけたように,「自分を呼んでいる本」
はその背表紙を見ただけで分かります.

小学生のころ,最初にお金を出して買った本では何度かしくじり
ました.家に持ち帰ってから「あ〜ぁ,これじゃないよ」と
がっかりしたものです.

ホームページを開設して,まだ3ヶ月.初めて本を自分で買った
ころと状況は似ていますが,ようやく,いくらか勝手が分かって
きました.国内のサイトと海外,特に米国のサイトではかなり
様相が異なっているようですが,国内では,あなたのやっている
「ネット日記」がどうもおもしろそうですね.

確かに,この状況は「平安朝の日記文学」の再来を思わせるもの
があります.彼女らは,十二単衣を着て,すずりで墨をすり,人の
書いたものを回し読みしたり,書き写したりしていたわけですが,
それが,キーボードでタイプし,送信ボタン一発で公開されると
いう状況にまで変わったわけです.

「ネット日記」が商業ベースに乗るようなことがあるのかどうか
は分かりませんが,それはまったくどうでもよいことのようにも
思われます.少なくとも紫式部の長編は市販を目的として書かれた
ものではありませんが,読み継がれています.

最初から,あなたに向き合うのは辛いという感覚がありました.
「ごめんなさい」ということばがまっさきに口に登ってきます.
ようやく...あなたに「正直に話せる」ようになったかな?
という気がしてきました.

(いつか)気が向いたら,私のページをあなたの正式リンクに
加えてください.私からすると,それは「親子の契り」のような
いささか厳粛なものを意味するかもしれませんが,あなたは
そんなことを意識しないだろうし,その必要も毛頭ありません.
(片務的なもの,つまり片思いでしょうか?)

mch. 99/11/28