さしたる障害も無く、10階にたどり着いたオレたち。
なんでもショウの話では、以前は白虎というやつがこの世界を支配していたとか。
しばらく立ち寄っていないため、今はどうなっているかわからないそうだ。
とりあえず近くの町に行ってみる。情報集めだ。
その町には大きな酒場があった。
情報集めの基本ってやつだ。


酒場の中に入ると、とたんに酒のニオイがしてくる。
みんなチラチラとこちらを見てくる。
すると突然、立ち上がって近づいてくる客がいた。
人間ではない。魔物だ。
「よう、久しぶりだな、ショウ。おれだよ、白虎だよ」
「久しぶりだな、ガルガル親分さんよ!
 相変わらず見た目だけは強そうだな」
「こいつが白虎?ただのトラ野郎に見えるけど」
「なんだと!‥‥ふん、減らず口が叩けるのも今のうちだ。
 いまやこの世界を支配しているのはおれではない。
 おれの上におれよりもさらに強いお方がいるのだ!ハハハハ!恐れおののくがいい!」
「あんまり自慢できることじゃないな」
ショウの言うとおりだ。他の奴の部下になったっていうのは自慢にはならない。
「それでガルガル親分からただのガルガル野郎へ格下げになったってわけか。情けないやつだ」
「てめー なめやがって!」
ショウの挑発にのって白虎が怒り狂う。
「来いよ、ガルガル野郎!」
ショウと白虎はけんかを始めた。
オレはジュースを飲みながらその様子を見物していた。
酔っ払っているせいもあるのだろう、白虎の拳はことごとく外れる。それに対してショウの拳はことごとくクリーンヒットしていく。
白虎が倒れるのは時間の問題だった。


ショウはそのまま白虎を殴り殺してしまった。相変わらず危険なやつだ。
オレもそろそろこいつから離れたほうが安全だろうか。真剣にそう思った。

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