白虎を倒したことで一番喜んだのが町の人だった。
白虎は町の中でもかなりでかい顔をしていたらしい。
気を良くした町の人に、この世界を救ってくれ、とまで頼まれてしまった。
なんとなくなりゆきで、この世界を支配しているカオスという魔物を退治することになった。
「気に入らない奴を殺すのに理由がいるかい?」というのがショウの主張だ。
オレは‥‥ただ単に正義の味方になりたかっただけかもしれない。
「ふざけるなっ!おれたちに何の恨みがある!」
そのままカオスに事情を説明すると、当然のように怒られた。
「たしかにおれたちはでかい顔をしていたかもしれん。だがそれだけだ!
そこまでひどい悪事を働いた覚えはないぞ!」
なんだかこちらのほうが悪者みたいだ。
「ごちゃごちゃ言ってねーで、さっさと戦ろうや」
ショウは相変わらずだ。
「くそっ…せっかく生き返れて好き勝手できるようになったのに、なんでこんな事に……」
「やるからには容赦はせんぞ!くらえ、クエイク!」
カオスが地面に手をつくと、とたんに地面が激しく揺れ動く。
「う、うわあっ!!!」
立ち上がることさえままならない。
慣れない地震攻撃で、オレもショウもうまく行動できない。
「くっ、このままじゃあ‥‥」
「そうだ!、連続してジャンプをし続ければ‥!」
空中なら地震は届かない。名案だった。これでもう地震だって怖くない。
「そんな手が通用するか!」
カオスはあきれながらクエイクを連打してくる。
着地した瞬間に地面がゆれて、オレはあっさりとこけた。情けない。
「そんなジャンプではダメだ!」
いきなり横から声が聞こえてきた。
「誰だ!?」
「俺はデューン、君たちの味方さ!」
そう言ってデューンは連続ジャンプをする。
さっきのオレと同じようにジャンプするが、地面が揺れてもおかまいなしだ。相当ジャンプし慣れているようだ。
まるでずっと宙に浮いているようにさえ見えてくる。芸術的だ。
「そんな ばかな−!」
「あんた いったい‥」
オレもカオスも驚いている。その隙を逃さずショウが必殺の一撃を叩き込んだ。
「いまだ、全員でかかれっ!」
ショウの声に我に返ったオレは、直ちにカオスに向かって突撃した。
「うわっ…!ちょっ…!やめっ…!」
クエイクを使うスキを与えず、全員で袋叩きにする。
あわれカオスはあっさりと息をひきとった。
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