「神のカケラが全て集まったら、ぜひ私にも教えてください」
ゼロはシルクハットを片手でクルクルと回しながら言った。
ショウはその姿をうさんくさげに見ている。そんな目で見られながらゼロはどこか楽しそうにショウを見返している。
見つめ合う二人。愛でも芽生えたのかな‥?
「んなわけあるかっ!相手は男だぞ!」ショウにツッコミを入れられた。思ったことが口に出てしまったらしい。
考え直すようにゼロから目をそらすショウ。それを見てゼロはますます楽しそうに笑った。


ちいさくなーれを手に入れるため、オレたちは巨人の住居跡に来た。
「でかいな‥」
ショウがつぶやく。オレも初めて見たときはその大きさに圧倒された。
今は誰も住んでいないらしい。オレたちはその隅っこのほうをチマチマと歩いていた。
ふと上を見ると本棚があった。とても手の届く高さではなかった。
棚からボタモチでも降ってこないかなー‥‥
そう思ってもの欲しそうに上を見上げていると、突然本が落ちてきた。
残念、ボタモチではなかったか。
「バカ、避けろ!」
ショウに強烈な蹴りを入れられて、オレは3メートルほどふっとんだ。
オレの元いた場所に特大サイズの本がバラバラと落ちてきた。危ないところだった。痛いけど。すごく痛いけど。
「誰かいるぞ!」
上を改めてよく見ると、サハギンが数匹いるのが見えた。
本を落としたのはあいつらだ。
「デューン、お前のジャンプでなんとかあそこまで届かないか?」
「いくらなんでも無理だ!」
そうこうしているうちに、さらに数冊の本が落ちてきた。オレたちを押しつぶすつもりらしい。
ふと本のタイトルが目に入ってきた。なになに、『巨人族10の秘密』‥?
まずい。だんだん読みたくなってきた。しかし読み始めた瞬間後から降ってくる本に押しつぶされてしまうだろう。恐ろしい攻撃だ。
「ダン!ボーッとしてないでお前も何か手を考えろ!」
怒られた。
「こうなったら魔法で倒すしかないな……あそこまで届きそうな魔法は……
 …そうだ!」
デューンが呪文を唱え始める。
「来いっ!ムオン!」
デューンの声が届いたかのように、遠くから何かが飛んできて、家の壁に穴をあけ、サハギンたちをなぎ倒して目の前でそれは止まった。
大きな石だった。
「浮遊石を呼び寄せる呪文だよ。あまりこんな風に使う呪文ではないけど…」
打ち所が悪かったのだろう、サハギンたちはピクリとも動かなくなった。

ちいさくなーれを手に入れて、オレたちはこの世界を後にした。

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