オレたちは第6世界にたどり着いた。
ここはビーナスが支配していた世界だ。
‥‥やっぱり復活してるのかな?
「醜いものはこの街に入ることは許さん!出て行ってもらおう!」
街についた瞬間門番のメカにそう言われて、街に入ることはできなかった。
「なんだと!おれのどこが醜いっていうんだ!」
ショウが食ってかかる。
「訂正しろ!少なくともおれは醜くないぞ!」
そう言うとショウは道を塞いでいるメカに殴りかかった。
「侵入者は排除する!」
メカは戦闘準備に入った。ショウに逆らうとはバカな奴だ。
ショウの拳が風をうならせながら飛び交う。
メカはほんの十数秒でパーツの塊になってしまった。
「おれを怒らせた報いだ‥‥ん?」
よくみると、奥のほうから数十体のメカが迫ってきていた。
「侵入者有り!侵入者有り!」
「排除!排除!」
口々にそういっている。
「‥‥逃げるか。」
冷静な判断だった。オレたちは町の外へと逃げ出した。
町の外をぐるりと回ってみると、入り口以外からは進入できないようになっていた。
メカが大量に並んで壁を作っていたのだ。
「なんだろう、このメカの行列は?」
よく見るとサイボーグも一体混ざっていた。
「ディオール!?ディオールじゃないか!?」
デューンが叫ぶ。
「ああ、もしかしてデューンさん!?」
ディオールと呼ばれたサイボーグは嬉しそうに返事をした。
「どうしたんだ、ディオール!パーツでも食べたのか?」
「ちがいます、ドクターに改造されて……デューンさんこそどうしてそんな姿に?」
「俺は肉を食べてしまって…」
サイボーグと獣人が仲良く談笑している。
こうして見てみるとなかなかシュールな絵だ。
「なあ、ディオール、一緒に来てくれないか?」
「すみません……この機械の体では、ビーナスに逆らえないんです。」
「どういうことだ?」
「はい…ビーナスはただ復活しただけでなく、機械を操れる電波を発生させられるようになったんです…」
そのせいで、おれはここから動けないんです。」
「なるほど…じゃあビーナスを倒せば仲間になってくれるか?」
「はい!」
オレたちはディオールと別れて壁の外の小さな村へと足を進めた。
「アントニー!オリビア!久しぶり!」
足が不自由な男の人がアントニーで、額に傷のついた女の人がオリビアだ。
以前ちょっとした事で知り合いになった。
「アントニー、足は大丈夫?」
「はは‥‥相変わらずだよ。
それより、ビーナスが突然復活したんだ。
でも美意識がなんだか狂っていて‥‥
今じゃビーナスの大都会の中は機械でいっぱいさ」
メカおたくにでもなっちゃったのかな?
「ビーナスか‥気に入らないな。
おれを醜い者よばわりするとは‥」
ショウはまだ根に持っているようだ。
「どうする?わざわざ戦う必要は無いと思うけど」
実際のところ、戦ってもあまり利益はなさそうだ。
ビーナスも街の外にまでは迷惑をかけていないし、あまり気が進まない。
「殺ろうぜ」
ショウは乗り気だ。
「人を差別するのは許せないけど、だからってわざわざ倒すのはなあ…
でもディオールのこともあるし…うーん…」
デューンは迷っている。
そんなとき‥‥
外から誰かがすごい勢いで飛び込んできた。
「大変です!ビーナスが‥」
「どうした!」
「壁の外の世界を一掃してきれいにすると言い始めました!」
「ええっ!?」
「もうすぐ核爆弾を放り込んで汚い世界をきれいさっぱり消し去ると‥」
「なんだって!」
さすがにそれはまずい。こうしちゃいられない。
でもオレたちだけなら天の柱を使って逃げられるんだよなあ‥‥
「今、オレには関係ないって顔してなかったか?」
デューンがつっこむ。スルドイ。
結局オレたちはビーナスを倒しにいくことに決まった。
オレたちは下水道を通って街の中へ潜入することにした。
途中で色々な魔物が出てくる。
「オリビア!危ない!」
アントニーのドロップキックが炸裂する。
「アントニー!あなた、足が‥!」
「うっ‥!こ、これくらい大丈夫さ、君のためなら‥!」
「アントニー!」
二人は抱き合う。なんか無性に腹が立つのはなんでだろう。
ショウは二人に嫉妬しているように見える。
ショウの口から「幸せを破壊してやりたい‥‥」とか聞こえる気がするんだけど、気のせいかな‥。
「危ない、オリビア!」
アントニーのコブラツイストが炸裂する。
「オリビアに手は触れさせないぞ!」
アントニーのまんじがためが見事に決まる。
‥‥本当に足が不自由なのか?
オレの些細な疑問は、二人の愛の前では無力だった。
何かあるたびに二人は抱き合う。なんなんだこの二人は。
ショウを見ると頭の血管が切れそうになっている。
デューンの方はというと平然と余裕の表情をしているように見えた。
「オリビアはここで待っていてくれ」
街の中へ潜入に成功したオレたちは、オリビアを置いてビーナスの所へ向かった。
ビーナスは街の中心の大きな建物にいるはずだ。オレたちは静かにその建物へと向かった。
「まあ!お前達のような醜いものがなぜ街の中にいるのです!」
ぷちっ。
醜いと言われた瞬間、ショウの血管が切れた音がした。
ストレスがたまり過ぎて完全にオーバーヒートしてる状態だ。
「こここ殺す殺す殺す」
ああ、ダメだ、完全に壊れてる。
ショウは奇妙な唸り声を上げながらビーナスにとびかかった。
隣にいるデューンより魔物っぽく見える。
キン、キィン!
ダメージがない!
‥‥なんでビーナスの身体から金属音がするんだ???
「お前達のような醜い者には死を与えます!
集え 我が忠実なるしもべたちよ!」
ビーナスが言うと、メカたちが大量に部屋の中へと入ってきた。
数はおよそ百くらいだろうか。
いくらなんでもこれは勝ち目が無い。
「くっ…」
ん?よく見るとメカたちの中にディオールも混ざっているぞ。
「さあ、やっておしまい!」
ビーナスの命令にディオールだけは従わなかった。
「そうかい それじゃ これでどうだ」
「ディオール!なにをするんだ!」
「ドクターが こういうときのために
じばくそうちを うめこんでたんです
つかいたくは なかったが………」
「やめろー!」
「ドクターには気をつけて…」
それが彼の最後のセリフだった。
ディオールは じばくした
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