ボルゲーゼ美術館展 |
上野公園にて
東京都美術館で開催中のボルゲーゼ美術館展へ行ってきました。
2009年のイタリア旅行で1日のフリータイムがあれば行きたいと思っていたボルゲーゼ美術館。いつも行きたい行きたいと思っていて、2009年もまたしても行けませんでした。ボルゲーゼ美術館は完全予約制なので、ちょっと1時間、2時間、フリータイムができたから行こうか!と気楽に行けないところが、いつも私を阻む障害です。
そのボルゲーゼ美術館の所蔵品が、向こうから上野にやってきてくださるのですから、これはもう行かなくてはでしょう。
序章 ボルゲーゼ・コレクションの誕生は、ボルゲーゼ美術館の建物の版画、ボルゲーゼ家出身の教皇さまや枢機卿さまの肖像画や胸像など。
現在ボルゲーゼ美術館となっている建物は、もともとはコレクションを飾るための別荘で、版画を見るとボルゲーゼ家が華やかなりしころは、もっといろいろ彫刻などで館の外側も飾られていたようです。
「パウルス5世(カミッロ・ボルゲーゼ)の肖像」は、細かいモザイクで生き生きとした表情を描き出しています。
「シオピーネ・ボルゲーゼ枢機卿の胸像」(ベルニーニ作)は、おおらかな感じと共に、服の襟の薄さとその細かいところまで神経の行き届いた作りに見入ってしまいました。
「オルフェウス姿のシオピーネ・ボルゲーゼ」はたくさんの生き物が描かれている中でもかたつむりが可愛い♪
上野公園にて
上野公園にて
第1章 15世紀・ルネサンスの輝き
「聖セバスティアヌス」は顔だけ拝見すると女性に見えるのですけど…。
ラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」は、小部屋に1作品だけの展示。絵の正面の壁には、修復される前の1900年ごろに写された写真が展示されていて、修復前は貴婦人がマントを羽織り、手の組み方も違い、手には車輪を持っているのが分かります。
この状態から、よくぞ今の状態に、加筆訂正の絵の具を取り去ったものだと感心します。修復前の写真を展示して、その経緯の解説を読めるのも企画展ならではで、ありがたいです。実物の絵と修復前の写真&解説の間を2、3往復してじっくり鑑賞できました☆
マルコ・ドッジョーノの「祝福のキリスト」は19世紀にいたるまでレオナルド・ダ・ヴィンチの作品と考えられていたそうで、そういう解説を読むと顔の表情がそれっぽく感じられます。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「レダ」を模写した作品も展示されていました。ダ・ヴィンチのオリジナルが失われていて、オリジナルに多くの点で一致していると考えられているそうです。こちらもレダの表情がダ・ヴィンチの特徴を表しているように思えます。
東京都美術館
東京都美術館ロビーにて
特別出展の「ボルゲーゼと日本:支倉常長と慶長遣欧使節」の支倉常長の肖像の着衣は、いかにも伊達政宗が選んだのでは?と思われる豪勢な派手ハデ衣装でした。
第2章 16世紀・ルネサンスの実り−百花繚乱の時代
ヴェロネーゼの「魚に説教する聖アントニオ」、印刷や画像などでは分かりにくいけれど実物の絵では、たくさんの魚が群がっているのがよく分かります。
ギルランダイオの「レダ」と「ルクレツィア」は対の作品。よく両方とも貸してくれたなぁという思いと、対なのだから両方見なくてはの思いが交錯しました。
第3章 17世紀・新たな表現に向けて−カラヴァッジョの時代
「洗礼者ヨハネ」はカラヴァッジョの最晩年の作品の1つで、その表情は生気に乏しくメランコリック。
東京都美術館ロビーにて
東京都美術館ロビーにて
2010年が没後400年にあたり、ローマで大回顧展の開催が予定されているカラヴァッジョの「洗礼者ヨハネ」が出展されています。よくボルゲーゼ美術館が貸してくれましたね。ボルゲーゼ美術館、太っ腹〜。
見学した当日は、予想していた10分の1くらいの人出で、ゆっくりと大きな絵も相当数ありましたので、近くから遠くからと様々な距離・角度で作品を鑑賞できて大満足でした。
ラファエロとカラヴァッジョの2点豪華主義になることもなく、展覧会全体をとおして、充実した見学ができました。
東京都美術館は、ボルゲーゼ美術館展が終了すると、修復工事でしばらく休館するそうです。動線の重ならない、見学し易い美術館にしてください。あと〜、レストランをもう少し小粋で洒落た感じにしていただけると、利用する気になるのですけれど…。
と、いうことで、東京都美術館でボルゲーゼ美術館展を見学した後は、国立西洋美術館のレストランでまったりランチです。
牛肉の焼き加減は“ウェルダン”でお願いしました。デザートはいつもはシャーベットなのが、今回はブルーベリーアイスクリーム。この微妙な違いは何?