源氏物語絵巻に挑む -東京藝術大学 現状模写-

2011年9月

上野公園にて

 東京藝術大学で開催中の「源氏物語絵巻に挑む -東京藝術大学 現状模写-」は、現存が確認されている全ての源氏物語絵巻の絵と詞の現状模写と、徳川美術館所蔵のオリジナルの国宝源氏物語絵巻から「柏木一」の絵と詞第一紙、二紙、三紙、「宿木三」の絵と詞が特別出展されるということで、かねてから源氏物語絵巻を見る機会があったら見たいと思っていたので、念願叶って嬉々として観に行きました。

 上野駅から上野公園を通って東京藝術大学美術館へ行く途中の人の流れは、圧倒的に東京国立博物館で開催中の空海展でした。

 東京藝術大学美術館前には、9時55分に到着。9時58分に入口が開き、チケット売り場でチケットを購入。地階の会場に向かいます。
 前に並んでいたのは、おば様方が6、7人くらい。おそらく先着10名様以内で会場に入れたのではないかなぁ。

 皆さま、展示順に見学されていらっしゃるので、まず先にオリジナルの国宝の源氏物語絵巻を見てしまうことにしました。

 千年前に描かれた物語世界が目の前に…。紫式部のおばさんも千年後の日本で、その作品がこうして読まれているのだから、本望ではないかなぁ。

 千年を経た絵はどんなに大切にされていてもそれなりに痛んでいたり、退色していたり。緑色が綺麗なのは、オリジナルの色なのか、それとも退色して緑色になったのか…。

東京藝術大学美術館前にて


東京藝術大学美術館前にて

 詞書きを読もうとトライしましたが、読めません。日本語のはず…日本語なのに、しかも、おそらくほとんどはひらがなのはずなのに…。ところどころ判別できる文字はあるけれど、ほとんどはその達筆な筆さばきに、最近は印字された活字ばかり読んで、手書き文字をほとんど読まない私は白旗を掲げざるを得ませんでした。

 こうして手書きで書き写していくうちに、○○本とか△△本とか、少しずつ内容の違う本ができたのかなぁとか、考えてしまいました。
 現状模写は、東京藝術大学の大学院生さんたちが、7年の歳月をかけて作成したもので、絵と詞をそれぞれ2部ずつ作成し、1部は東京藝術大学が所蔵し、もう1部は原本を所蔵している徳川美術館さんと五島美術館さんが所蔵しているそうです。 
 2部ずつ作成している同じ絵や詞書きは隣りあわせに展示していないのは、どういう意図なのでしょうか。照明の違いなのか、何なのか、同じ絵の現状模写なのに、受ける印象、イメージが大分違っているように思えました。

 現状模写なので、保存状態の芳しくない絵は、色とか何が描かれているのか判らないものも、そのまま描かれていて、「これは、何?」とか考えてしまう絵もあったりしました。

東京藝術大学美術館前にて

 原本と現状模写の展示室が1室。出入口が向かい合わせの展示室に、現状模写の模写方法を判りやすく図解していたり、使用した道具や絵の具を展示したりしていたのが面白かったな。
 「こうやって模写したのか〜」と納得。
 下書きというか、下絵に鉛筆書きのコメントが「濃く、薄く、きたない」とか、お花が描いたりしてあって、超リアルで見入ってしまいました。(笑)

 こちらの展示室には、院生のおにいさんがいて、おばさま方に取り巻かれて質問攻めにあっていました。おばさま方、おにいさんで遊んでいません?(爆)
 もれ聞こえた話によると、この院生のおにいさんは、源氏物語絵巻の現状模写にはタッチしてなくて、現在、伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)の絵の現状模写に携わっているそうで、詞の模写方法は「やってないので判りません」と答えていました。


パン、サラダ、野菜スープ


牛肉のステーキ


アイスコーヒー、小豆のアイス

 藝術大学美術館のレストランはホテルオークラさん。どうしようかなぁとちょっと覗いて、その強気な価格設定と、レストラン内にお客さんがいなかったことで、いつもの国立西洋美術館のレストランに行くことにしました。

地獄の門

 国立西洋美術館のレストランでランチセット(1,600円)。

 前に来たのは3月末のレンブラント展。半年、経ったのですね…。

カレーの市民


考える人

 レストランの窓の外の景色の移ろいに見入ってしまいました。

 次にここに来るのは、ゴヤ展のときかなぁ。
 赤坂離宮迎賓館の“前庭”が3日間だけ一般開放している日を狙っていたので、上野から赤坂へ行って赤坂迎賓館の前庭と前庭から見える迎賓館の建物を見学しました。

 前庭に入るときにセキュリティチェックを受け、庭では写真撮影可。ただし、個人で楽しむのみで、ネットや印刷物への公開は不可なので、庭に入ってから写した写真はアップできません。
 →は、駅から迎賓館へ向かう途中の道から撮ったもの。

赤坂離宮迎賓館


赤坂離宮迎賓館

 ←の向かって左側から入り、右側から出ます。

 迎賓館前には、「説明員」の幟が4本くらいだったかな、立っていて、そこにボランティアで迎賓館について説明してくださる方が1人ずついて、希望すれば、無料でお話しを聞けました。
 かなり親切・丁寧に説明してくださって、質問にもきっちり答えていただけたので、説明を聞けて理解度かなりアップ。説明を聞くのと聞かないのとでは、迎賓館の見方や見物がどれかなどが、かなり違ってくるような気がします。
 赤坂離宮は江戸時代に紀州家の藩邸だったところに造られたそうで、江戸時代当時の正門は現在は東門になっていると説明員さんが教えてくださったので、迎賓館のお庭を見終えた後、東門を見に行きました。紀州家の藩邸だったら、紀州藩主だったこともある暴れん坊将軍さま(徳川吉宗)もここを通ったことがあるのかなぁ、なんて勝手に想像して楽しんでしまいました。
赤坂離宮迎賓館 東門

 上野と赤坂で芸術の秋を楽しんだ1日でした。