病院に入院してもうすぐ1週間。
俺はドルファンを出国する準備を終えた。
「これで良し!」
替えの服や戦に必要な道具を全てバッグにしまい、叙勲式を待つばかりとなった。
(ドルファンの国ともお別れか……)
『シリュウ〜!時間だよ〜!』
ピコが叫んだ。
「ああ。行ってくる」
正装姿のシリュウは宿舎を出て城へ向かった。乗合の馬車に乗り10分ほどで城に着く。
すでに式は始まっているようだ。
「シリュウ」
名前を呼ばれた。メッセニ中佐だ。
「残るはお前だけだ」
「はっ!このような大事な式に遅れてしまい申し訳ありません!」
メッセニ中佐に敬礼し、落ち着いて国王の前にひざまずいた。
「シリュウ・イシガミ。汝は傭兵ながらこの国の為によく尽くしてくれた。
よって汝に騎士の最高位である聖騎士の称号を与える」
周りから大きな拍手が起こった。
国王はその後、小さな声で娘に会って欲しいと言ったが、丁重に断った。
宿舎に戻り、私服に着替え、荷物を持ち港に向かった。
船の部屋に荷物を置き、出港まで外にいる事にした。するとピコが、
『手紙…出したんだよね?』と聞いてきた。
「ああ…」
『彼女なら来てくれるよ』
「ああ…」
と答えたその時だった。
逆行の中向かってくる、見慣れた髪型の女性。キャロルだ。
「手紙…読んだよ」
その言葉から始まり、彼女の素顔が彼女の口から語られた。
俺は静かにその言葉を聞いた。そして、
「……私の事、どう思ってるか聞かせて」
彼女は頬を赤らめ聞いてきた。
答えは……
「そんな事聞かなくてもいいだろう?」
鼻の頭を掻き、キャロルを抱き寄せた。
キャロルはいきなりの事で驚いたようだったが、すぐにこちらに身体を預けてきた。
「君の事を愛しているよ。世界中の誰よりも……」
夕日の中で抱き合う二人に向かい、船の乗組員が言ってきた。
「もう出港だよ!早く乗りな!!」
顔を合わせ、二人で微笑んだ。
「荷物は?」
聞くと、彼女は急いで荷物を持ってきた。それを受け取り急いで船に乗る。
甲板で夕日に染まるドルファンを見ていた。
「ねぇ。名前、思い切って変えない?」
彼女の提案に多少驚いた。
「イシガミって言うより、ミョウジンの方が格好良くない?」
「お前の好きにして良いよ」
と言うと、彼女は嬉しそうに腕を組んできた。
ミョウジン夫妻の5年におよぶ蜜月がここから始まった。
<後書き>
どうも、大尉です。
やっと「死闘の果てに」が終わりました。
今度はその後のお話ですね。
そちらも執筆するので、そちらもヨロシクお願いします!
さて、ちょっと人物紹介(主人公のみ)なんてしようかと思います(遅!)
名前:シリュウ・イシガミ(ミョウジン) 石上(明神)子龍
年齢:21歳(D.26現在)
性格:良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐ
特技:片手でマッチがすれる
趣味:ハーブとかを育てる
特徴:なるべく冷静を装うとしているが、根が明るい方なのでどうしてもそういう風に出来ない。
こんな感じです。
それではこのへんで。また次の語りでお会いしましょう。