第5話


病院に入院してもうすぐ1週間。

俺はドルファンを出国する準備を終えた。

「これで良し!」

替えの服や戦に必要な道具を全てバッグにしまい、叙勲式を待つばかりとなった。

(ドルファンの国ともお別れか……)

『シリュウ~!時間だよ~!』

ピコが叫んだ。

「ああ。行ってくる」

正装姿のシリュウは宿舎を出て城へ向かった。乗合の馬車に乗り10分ほどで城に着く。

すでに式は始まっているようだ。

「シリュウ」

名前を呼ばれた。メッセニ中佐だ。

「残るはお前だけだ」

「はっ!このような大事な式に遅れてしまい申し訳ありません!」

メッセニ中佐に敬礼し、落ち着いて国王の前にひざまずいた。

「シリュウ・イシガミ。汝は傭兵ながらこの国の為によく尽くしてくれた。

 よって汝に騎士の最高位である聖騎士の称号を与える」

周りから大きな拍手が起こった。

国王はその後、小さな声で娘に会って欲しいと言ったが、丁重に断った。

宿舎に戻り、私服に着替え、荷物を持ち港に向かった。

船の部屋に荷物を置き、出港まで外にいる事にした。するとピコが、

『手紙…出したんだよね?』と聞いてきた。

「ああ…」

『彼女なら来てくれるよ』

「ああ…」

と答えたその時だった。

逆行の中向かってくる、見慣れた髪型の女性。キャロルだ。

「手紙…読んだよ」

その言葉から始まり、彼女の素顔が彼女の口から語られた。

俺は静かにその言葉を聞いた。そして、

「……私の事、どう思ってるか聞かせて」

彼女は頬を赤らめ聞いてきた。

答えは……

「そんな事聞かなくてもいいだろう?」

鼻の頭を掻き、キャロルを抱き寄せた。

キャロルはいきなりの事で驚いたようだったが、すぐにこちらに身体を預けてきた。

「君の事を愛しているよ。世界中の誰よりも……」

夕日の中で抱き合う二人に向かい、船の乗組員が言ってきた。

「もう出港だよ!早く乗りな!!」

顔を合わせ、二人で微笑んだ。

「荷物は?」

聞くと、彼女は急いで荷物を持ってきた。それを受け取り急いで船に乗る。

甲板で夕日に染まるドルファンを見ていた。

「ねぇ。名前、思い切って変えない?」

彼女の提案に多少驚いた。

「イシガミって言うより、ミョウジンの方が格好良くない?」

「お前の好きにして良いよ」

と言うと、彼女は嬉しそうに腕を組んできた。

 

ミョウジン夫妻の5年におよぶ蜜月がここから始まった。


<後書き>

 

どうも、大尉です。

やっと「死闘の果てに」が終わりました。

今度はその後のお話ですね。

そちらも執筆するので、そちらもヨロシクお願いします!

 

さて、ちょっと人物紹介(主人公のみ)なんてしようかと思います(遅!)

名前:シリュウ・イシガミ(ミョウジン) 石上(明神)子龍

年齢:21歳(D.26現在)

性格:良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐ

特技:片手でマッチがすれる

趣味:ハーブとかを育てる

特徴:なるべく冷静を装うとしているが、根が明るい方なのでどうしてもそういう風に出来ない。

こんな感じです。

 

それではこのへんで。また次の語りでお会いしましょう。


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