第4話


共同墓地に少し早い春の風が吹く。

「シリュウ…」

ライズの声が聞こえた。

「私は…」

ライズはあの嵐の戦い以降の話をしだした。俺は静かに話を聞く。

「………。私は最後の八騎将として、貴方を…殺すわ…」

悲しそうな顔をしたのもつかの間、彼女は戦士の顔になっていた。

俺は刀を抜き、右腕だけで構える。

キィィィン!

金属の擦れる音が共同墓地に数度響き、その音が止んだ。

ライズは細身の剣を手放し座り込んでいた。外傷はないが、軽い打撲が数ヶ所あるはずだ。

「殺して…。貴方を…父の仇の貴方を倒せず、肉親を失った私は生きていても仕方が無いわ!」

「………」

俺は刀を収め、

「君の父上が望んだように生きてくれないか?」

彼女は、ハッとこちらを見上げた。

「お父様の……?」

彼女は泣いた。人前で泣くのは初めてだっただろう。泣き止んでこちらに背を向け、

「…一人にしてもらえる?……大丈夫、自害なんて馬鹿な真似はしないわ」

俺は共同墓地を後にした。

 

病院に戻ると、俺が病院を抜け出していたのがバレていた。

どうやらキャロルが見舞いに来て、病室にいない俺を探す為に近くの看護婦に聞いたらしい。

 

……こうして1週間の入院を余儀なくされた。

  

続く


<筆者の独り言>

 

お久しぶりです。大尉です。

本当は前の回で終了のはずだったのですが…(汗)、なぜか伸びに伸びてしまいました。

次が正真正銘最後になります(多分)。

どうか読んでやってください。お願いします。


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