共同墓地に少し早い春の風が吹く。
「シリュウ…」
ライズの声が聞こえた。
「私は…」
ライズはあの嵐の戦い以降の話をしだした。俺は静かに話を聞く。
「………。私は最後の八騎将として、貴方を…殺すわ…」
悲しそうな顔をしたのもつかの間、彼女は戦士の顔になっていた。
俺は刀を抜き、右腕だけで構える。
キィィィン!
金属の擦れる音が共同墓地に数度響き、その音が止んだ。
ライズは細身の剣を手放し座り込んでいた。外傷はないが、軽い打撲が数ヶ所あるはずだ。
「殺して…。貴方を…父の仇の貴方を倒せず、肉親を失った私は生きていても仕方が無いわ!」
「………」
俺は刀を収め、
「君の父上が望んだように生きてくれないか?」
彼女は、ハッとこちらを見上げた。
「お父様の……?」
彼女は泣いた。人前で泣くのは初めてだっただろう。泣き止んでこちらに背を向け、
「…一人にしてもらえる?……大丈夫、自害なんて馬鹿な真似はしないわ」
俺は共同墓地を後にした。
病院に戻ると、俺が病院を抜け出していたのがバレていた。
どうやらキャロルが見舞いに来て、病室にいない俺を探す為に近くの看護婦に聞いたらしい。
……こうして1週間の入院を余儀なくされた。
<筆者の独り言>
お久しぶりです。大尉です。
本当は前の回で終了のはずだったのですが…(汗)、なぜか伸びに伸びてしまいました。
次が正真正銘最後になります(多分)。
どうか読んでやってください。お願いします。