「本船は、ただ今ドルファン港に到着いたしました。下船の際には……」
「やっとドルファンに着いたね」
「なんだピコか…」
「『なぁんだピコか…』って…もうちょっとアクティブなリアクションが欲しかったなぁ」
「ははっ、そうか」
「あの…恐れいります。出入国管理局の者ですが…」
彼女にはピコの姿が見えていない(もっとも、俺だけにしか見ることが出来ないのだが…)。
「こちらの書類に必要事項の記入をお願いいたします」
(えーっと…久保田 展行、誕生日は1月23日、血液型はO型、と)
「これでいいですか?」
俺は彼女に書類を手渡した。
「えー貴方は傭兵志願ですね?では書類の写しを軍事務局に回しておきます。
ようこそドルファンへ、貴方にご武運がありますようお祈り申し上げますわ」
「ありがとう」
船から降りて波止場へと足を運んだ。
(思えば今までいろんな国へ行ってきたな。…この国ではどうなることやら…)
「さっきの人から地図を貰ってたでしょ? ちょっと見せて」
「ああ、ほら」
(こいつと付き合ってもう十何年になるのか。昔はよく口喧嘩ばっかりしたもんだ。もっともこいつと話しているせいでよく[独り言が多い奴だ]と周りから誤解されたものだが…。多分さっきの出入国管理局の女性もそう思っただろうな)
「ん…と、シーエア地区って所に、あたし達が入る宿舎があるみたいね」
「いやっ! は、放して下さい!!」
「あれっ?」
(何だ? ああ、ガラの悪い連中が女の子を取り囲んでるな…。どこの国に行ってもあんな連中がいるもんだな。仕方ない、助けてやるか)
「女の子がチンピラにからまれてるみたいね…」
「分かってるよ」
「てめぇ、なぁに見てんだよ 文句あるのかぁ、その面はよぉ!」
髪を逆立てたチンピラの一人が俺にそう怒鳴りちらしてきた。
「やめてやれよ。その娘が嫌がってるだろ」
(と言って止める奴はいないか…)
「東洋人の兄ちゃんよぉ…カッコつけすぎると痛い目に遭うぜぇ…こんな風になぁ!」
「俺は暴力は好きじゃないんだが」
「オラァ!」
(駄目だ。ぜんぜん人の話を聞いていないな)
バシッ!
辺りに鈍い音が響いた。
「てっ…てめぇ、いつか殺してやる…次会う時は覚悟しとけよ!」
チンピラは足早に逃げ去った。
「あ、ありがとうございました…」
さっきの女の子が礼を言ってきた。綺麗な茶髪に青い瞳を持った女の子だ。
「あの…改めてお礼に伺いたいので、せめてお名前だけでも教えて頂けますか?
あ、すいません、私、ソフィア・ロベリンゲと申します」
(一応名前は言っておくべきかな)
「俺は久保田 展行、いやノブユキ=クボタと言うべきかな?」
「クボタさん…素敵なお名前ですね」
「そうかな。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「言葉がお上手なんですね」
「ありがとう」
(昔、他の国で傭兵をやっていたときはそれこそ言葉が良く分からなくて困ったものだ)
「クボタさん。いずれ改めてお礼に伺います。助けて頂いて本当にありがとうございました。
では、急いでいますのでこれで…」
ソフィアは、恥ずかしそうに頬を赤らめ、立ち去ってしまった。
(素敵な名前か………)
「………」
「カッコいいね〜女の子なんか助けちゃってさ。よっ、色男」
「うるさいな。困ってる人を助けるのは常し…」
「何言ってんだか」
「人が話してる時に割り込んでくるなよ。この羽根虫」
「なっ!、何ですって!!誰が羽根虫よ!!誰が!!」
「おまえに決まっているだろう」
「もう!あったまきた!」
「もしかして怒ってるのか?」
「フンだ」
「悪かったよ。たのむから機嫌を直してくれないか」
「まっ、そこまで言うなら。
ま、それはさておいて……っと 早く宿舎に行こう!もうすぐ日が暮れちゃうよ」
「そうだな」
俺達は宿舎へ向かった。
「まあまあの部屋じゃない?結構長い間お世話になる部屋だから、これ位じゃないと」
「そうだな」
「さあて…っと明日から養成所通いだよ。なまった体を鍛え直さなきゃ」
「それに、この国じゃ傭兵だって聖騎士になれるぐらい出世の道が開かれてるんだから。頑張って手柄を立てなくっちゃね!
それじゃあ、一週間のスケジュールを決めようよ。 明日からどうするの?」
「そうだな…やっぱり剣術だな」
(おそらく腕がなまってるだろうからな)
「そう。 じゃあ頑張ってね。今日はもう寝なよ。おやすみ」
「ああ。おやすみ」
後書き
この作品が初投稿です。
台詞のほうはできるだけゲームの中の物を使っていきたいと思っています。
まだ学生という身分上、なかなか新しい作品はできないと思いますが、出来るだけ頑張っていきたいので宜しくお願いします。