ドルファン歴26年、4月1日、ドルファンの傭兵徴募により、各国から傭兵が集まってきた。
その中に、一人の東洋人がいた。
「本船は、ただいまドルファンに到着いたします」
「やっとドルファンに着いたね、カタギリ」
「…何だ…ピコか…」
「…もうちょっとリアクションに動きがほしかったな…」
「しょうがないだろ、そういうの、苦手なんだから…」
「……あの…恐れ入ります…出入国管理局の者ですが…」
カタギリは少々慌てながらも、渡された書類に自分のデータを書き込んだ。
カタギリ ヤイバ(片桐 刃) 傭兵志望
「…あなたは、傭兵志願ですね…では、この書類を事務局に回しておきます。…ようこそ、ドルファンへ。あなたにご武運がありますよう、お祈り申し上げますわ」
礼をしてくれた管理局の人に、カタギリは礼を返した。
5分後、ドルファンに上陸することとなる。
期待(騎士に昇進)と希望(金)を隠せないくらい持ちながら…。
「さっきの人から地図をもらってたでしょう?見せて」
カタギリはピコに地図を手渡した。はっきり言って、片桐にとっては字が小さすぎた。トルキア語を勉強したことはしたが、ピコは微妙な文法とかでもすぐに訳せるほどうまかった。
「シーエアー地区に宿舎があるみたいね。あの二人は結構前にここに着いたみたいだし…早くいこう」
歩き始めてすぐ、悲鳴に近い声が聞こえてきた。
声の方に目を向けると、女の子がチンピラにからまれていた。
(デブに、ハゲに、ニワトリか…)
カタギリの思考である。
そう、カタギリはろくでもないやつに対してはこういう数え方をする。微妙に差別だが、特徴をとらえていて、覚えやすいので、カタギリはこの方法を変えるつもりなど全くない。
「てめえ、なあに見てんだよ、ああ!?」
(ニワトリが…!)
顔はいつもの通り無表情だが、心ではこんなことを考えている。
「東洋人めが!ウザイんだよ!」
ニワトリ(ビリー)が殴りかかってきたが、カタギリの足払いが当たって、ビリーは海に落ちた。
「てめえ…よくもやったな!」
再び殴りかかってきたが、カウンターの形でカタギリのパンチが入った。
おきまりのセリフを残して去っていったビリーを見ながら、ピコは
(入国早々、この国の人とトラブルか…)
と、ため息をついていた。当の本人はそんなピコの気持ちを知る由もなく、助けた女の子に名を名乗っていた。
カタギリのドルファンでの最初のイベントであった。
あとがき
初めての小説投稿でーす!
おもしろいと思ってくれた方は、次回「三人の問題児」をよろしく。
予定では
3話「ネクセラリア、驚愕」
4話「三人の過去」
5話「コーキルネィファ、宣誓」
6話「八騎将、新たな一人」
7話「二つの決着」
…となります。
2003年までには終わらせたいなあ…