ライバル

〜その3〜「エピローグ」

著:おタクろ〜


気がついたのはベットの上…

「大丈夫ですか?」

ピンクの制服に身を包んだソフィア…

 

「何考えてるの?…このスケベぇ…」

???

ちがう、ソフィアじゃない。たしか…テディーとか言う名前の看護婦さん?

「肋骨と左腕の骨にヒビが入ってる見たいなんです…安静にしていてくださいネ」

…ひび?

「骨折はしていないハズですけど…精密検査の結果が出るまではハッキリしませんから」

 

コンコン

 

「はい…あ、お見舞いの方ですね。どうぞ…」

本物のソフィアだ。

「すいません…もっと早く来るべきだったんですけど…」

 

俺が病院にかつぎ込まれたことで、そばにいることが出来なかったこと…

昨日はアルバイトがあって、お見舞いにこれなかったこと…

彼女は色々と話してくれた。

 

女の子と二人きりになることは滅多にない…

「嬉しそうに話すじゃな〜い♪ソフィアもこれでイチコロだね」

…オマケにピコの冷やかしが入ってくるため、恥ずかしくてしょうがない。

─結局、何を話したのかほとんど覚えていない…

 

「丸一日眠っていたのか…」

俺の剣がジョアンに直撃した瞬間…アイツは切れたらしい…

あいつは気絶した俺をボロボロになるまで殴りつけた。

 

「よく生きていたよね〜…ほーんと…心配…したんだから…」涙声?

「う゛…」相手はピコだぞ…動揺してどうする…

 

ソフィアの笑顔を見せつけられたせいだ…混乱してるんだな、きっと。

「よかったね。ソフィアがあんな顔するんだもん…決まりだよ♪これは」

「…ちがうよ…」

「え?…だってあの後ソフィアが必死に止めてくれたから、だからこの程度のケガですんだんだよ?」

 

心配してくれたのは事実だろう…でもあの笑顔は…

「『ジョアンに自分の意志を伝えることが出来た』それが嬉しかったんだよ」

 

―「決闘はもうやめてほしい…」ジョアンはシブシブながら認めてくれたらしい―

俺とのデートまで…

 

「あいつも以外と男らしいトコロがあったんだな」

「ソフィアに嫌われたくなかっただけでしょ?」

今度のことでわかったのは…ジョアンは“タダのお坊ちゃん”じゃない…そして自分の弱さ…

 

強くなろう!…この国には聖騎士になるために来たんだし、まだ死にたくない。

「せめて…ジョアンと良い勝負をしないと騎士は無理か?」

「…誰も金貨をもらえなかったんだよ?でもキミはソフィアを勝ち取ったんだから!」

「『勝ち取った』なんて大げさな…」

「自信もって良いよ!わたしが保証してあげる…」

「そーだな」

 

ソフィアにはお礼をしないとな…

あの時も…

 

「今だよっ!」

「ソフィア?なんでこんなヤツの名前を…!!」

「おぉぉぉおっ!」…ドカァ!

 

セリナ運河でケリを入れた時もそうだ…

 

「イヤッ!」

「まだ……まだ、たおれないでっ!」

 

俺はソフィアの声に助けられた…

ジョアンの動揺が無ければ、俺の攻撃が当たることは無かっただろう。

 

「ジョアンもそれなりに真剣なんだな…」

俺は…真剣に人を好きになったことがあるんだろうか?

 

今は…強くなること…生き残ることだけを考えよう…死んじゃったら恋愛もできないんだし…

だれかを守れるほど強くなれたら…その時は…

 

「なにやってんの〜今日はデートの日でしょ?」

「プレゼントを買ってたんだよ」

「おっノリノリだね」

 

「…今の俺にはピコで精一杯かな?」

「?…なんの話?」

「今日は邪魔するなって言ったの!」

「あ〜…あついあついぃ…」

 

ドルファンに来て初めてのデート…いや、俺の人生で最初のデートが始まろうとしていた…

 

―THE END―

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