気がついたのはベットの上…
「大丈夫ですか?」
ピンクの制服に身を包んだソフィア…
「何考えてるの?…このスケベぇ…」
???
ちがう、ソフィアじゃない。たしか…テディーとか言う名前の看護婦さん?
「肋骨と左腕の骨にヒビが入ってる見たいなんです…安静にしていてくださいネ」
…ひび?
「骨折はしていないハズですけど…精密検査の結果が出るまではハッキリしませんから」
コンコン
「はい…あ、お見舞いの方ですね。どうぞ…」
本物のソフィアだ。
「すいません…もっと早く来るべきだったんですけど…」
俺が病院にかつぎ込まれたことで、そばにいることが出来なかったこと…
昨日はアルバイトがあって、お見舞いにこれなかったこと…
彼女は色々と話してくれた。
女の子と二人きりになることは滅多にない…
「嬉しそうに話すじゃな〜い♪ソフィアもこれでイチコロだね」
…オマケにピコの冷やかしが入ってくるため、恥ずかしくてしょうがない。
─結局、何を話したのかほとんど覚えていない…
「丸一日眠っていたのか…」
俺の剣がジョアンに直撃した瞬間…アイツは切れたらしい…
あいつは気絶した俺をボロボロになるまで殴りつけた。
「よく生きていたよね〜…ほーんと…心配…したんだから…」涙声?
「う゛…」相手はピコだぞ…動揺してどうする…
ソフィアの笑顔を見せつけられたせいだ…混乱してるんだな、きっと。
「よかったね。ソフィアがあんな顔するんだもん…決まりだよ♪これは」
「…ちがうよ…」
「え?…だってあの後ソフィアが必死に止めてくれたから、だからこの程度のケガですんだんだよ?」
心配してくれたのは事実だろう…でもあの笑顔は…
「『ジョアンに自分の意志を伝えることが出来た』それが嬉しかったんだよ」
―「決闘はもうやめてほしい…」ジョアンはシブシブながら認めてくれたらしい―
俺とのデートまで…
「あいつも以外と男らしいトコロがあったんだな」
「ソフィアに嫌われたくなかっただけでしょ?」
今度のことでわかったのは…ジョアンは“タダのお坊ちゃん”じゃない…そして自分の弱さ…
強くなろう!…この国には聖騎士になるために来たんだし、まだ死にたくない。
「せめて…ジョアンと良い勝負をしないと騎士は無理か?」
「…誰も金貨をもらえなかったんだよ?でもキミはソフィアを勝ち取ったんだから!」
「『勝ち取った』なんて大げさな…」
「自信もって良いよ!わたしが保証してあげる…」
「そーだな」
ソフィアにはお礼をしないとな…
あの時も…
「今だよっ!」
「ソフィア?なんでこんなヤツの名前を…!!」
「おぉぉぉおっ!」…ドカァ!
セリナ運河でケリを入れた時もそうだ…
「イヤッ!」
「まだ……まだ、たおれないでっ!」
俺はソフィアの声に助けられた…
ジョアンの動揺が無ければ、俺の攻撃が当たることは無かっただろう。
「ジョアンもそれなりに真剣なんだな…」
俺は…真剣に人を好きになったことがあるんだろうか?
今は…強くなること…生き残ることだけを考えよう…死んじゃったら恋愛もできないんだし…
だれかを守れるほど強くなれたら…その時は…
「なにやってんの〜今日はデートの日でしょ?」
「プレゼントを買ってたんだよ」
「おっノリノリだね」
「…今の俺にはピコで精一杯かな?」
「?…なんの話?」
「今日は邪魔するなって言ったの!」
「あ〜…あついあついぃ…」
ドルファンに来て初めてのデート…いや、俺の人生で最初のデートが始まろうとしていた…