一週間後。情報を受け取る日だ。
いつも通り牧場仕事を終え、墓に手を合わせてから街に向かった。
相変わらず街は喧騒に包まれていた。
時刻は6時を過ぎた頃。この時間ならレズミーはいつもの酒場にいるはずだ。
キィ…
「いらっしゃいませ〜!」
バイトの娘だろう。両手に料理を持ち忙しそうに店内を縦横無尽に歩いていたが、
新しい客が来たのに気付き、愛想良く応対をする。
シリュウは片手を上げそれに答え、いつものカウンターに近づく。
周りにレズミーがいない事に気付き、マスターにいつものブランデーを頼み、
「レズミーは来ていないのか?」と聞く。
「そう言えば今日は見てないな。そのうち来るとは思うが?」
「そうか」
ブランデーを受け取りながら言う。
そしてちょうどブランデーを飲み干したその時…
キィ…
「あら、シリュウ」
レズミーの声だ。
「レズミー」
いつもの酔っ払いの雰囲気はなかった。
肉厚の短剣─グラディウス─を腰にさげ、防刃繊維の戦闘服を着ていたのだ。
「珍しいな。戦闘服を着るなんて」
「まあね」と答え、隣の席に腰を下ろし、分厚い紙の束を渡してきた。
「はい。ドルファンの内情よ」
「すまない。いつもより多めの額を用意した」
彼女に金貨が多く入った袋を渡し、その場を後にした。
3日後の夕方。扉を叩く者がいた。
「こんばんは」
ハンスだ。
「説得しに来ました」
にこやかにハンスが言った。
「そうか。俺も話があった」
シリュウの言葉に、彼は少しながら驚いたようだった。
「そうですか。それは話が早い」
「街へ行こう。夕食はまだだろう?」
「はい」
街の中心にある食堂に入り、注文を済ませ本題に入る。
「さて、話というのは、だ。反ドルファンの代表者は誰だ?」
羊肉のステーキを切り分けながら聞く。
「それは我々と共に戦ってくれると受け取ってよろしいのですか?」
「ああ。そうでなかったらこんな話はしないし、家に来た時点で追い返しているさ」
「そうですね」
と苦笑する。そしてハンスは少々間を空けて言う。
「代表者は…直接会ってください。貴方も面識がある方です」
「そうか…。では明日の朝出発しよう」
「わかりました」
その後もいくつかの質問をして家に帰った。
倉庫の中にしまっていた純白の鎧を出し、その前に座りながら思いを巡らせた。
(キャロル…。俺は、俺たちが出会った国を元に戻す為にドルファンと戦うよ。見守っていてくれ…)
そして夜はふけていった…。
続く
作者の独り言
……何で前後編になったんだろうか?
神「計画性のカケラも無いな」
そう言うな。なんか背景を書き過ぎた気がしてならん。
神「そうかもな。少しは勉強しろ」
……はい。