第3話「本陣へ(前編)」


一週間後。情報を受け取る日だ。

いつも通り牧場仕事を終え、墓に手を合わせてから街に向かった。

相変わらず街は喧騒に包まれていた。

時刻は6時を過ぎた頃。この時間ならレズミーはいつもの酒場にいるはずだ。

キィ…

「いらっしゃいませ〜!」

バイトの娘だろう。両手に料理を持ち忙しそうに店内を縦横無尽に歩いていたが、

新しい客が来たのに気付き、愛想良く応対をする。

シリュウは片手を上げそれに答え、いつものカウンターに近づく。

周りにレズミーがいない事に気付き、マスターにいつものブランデーを頼み、

「レズミーは来ていないのか?」と聞く。

「そう言えば今日は見てないな。そのうち来るとは思うが?」

「そうか」

ブランデーを受け取りながら言う。

そしてちょうどブランデーを飲み干したその時…

キィ…

「あら、シリュウ」

レズミーの声だ。

「レズミー」

いつもの酔っ払いの雰囲気はなかった。

肉厚の短剣─グラディウス─を腰にさげ、防刃繊維の戦闘服を着ていたのだ。

「珍しいな。戦闘服を着るなんて」

「まあね」と答え、隣の席に腰を下ろし、分厚い紙の束を渡してきた。

「はい。ドルファンの内情よ」

「すまない。いつもより多めの額を用意した」

彼女に金貨が多く入った袋を渡し、その場を後にした。

 

3日後の夕方。扉を叩く者がいた。

「こんばんは」

ハンスだ。

「説得しに来ました」

にこやかにハンスが言った。

「そうか。俺も話があった」

シリュウの言葉に、彼は少しながら驚いたようだった。

「そうですか。それは話が早い」

「街へ行こう。夕食はまだだろう?」

「はい」

 

街の中心にある食堂に入り、注文を済ませ本題に入る。

「さて、話というのは、だ。反ドルファンの代表者は誰だ?」

羊肉のステーキを切り分けながら聞く。

「それは我々と共に戦ってくれると受け取ってよろしいのですか?」

「ああ。そうでなかったらこんな話はしないし、家に来た時点で追い返しているさ」

「そうですね」

と苦笑する。そしてハンスは少々間を空けて言う。

「代表者は…直接会ってください。貴方も面識がある方です」

「そうか…。では明日の朝出発しよう」

「わかりました」

その後もいくつかの質問をして家に帰った。

 

倉庫の中にしまっていた純白の鎧を出し、その前に座りながら思いを巡らせた。

(キャロル…。俺は、俺たちが出会った国を元に戻す為にドルファンと戦うよ。見守っていてくれ…)

そして夜はふけていった…。

 

続く


作者の独り言

 

……何で前後編になったんだろうか?

神「計画性のカケラも無いな」

そう言うな。なんか背景を書き過ぎた気がしてならん。

神「そうかもな。少しは勉強しろ」

……はい。


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