日が暮れかけてきたせいか、辺りは夕闇に包まれ始める。
砂浜を後にした俺達は他愛ない会話に華を咲かせながら、肩を並べて歩いていた。
夕日が俺達を照らし出す…。そんな温かい光に包まれながら、一路シーエアー駅へと向かっていた。
別れの時間が近付いている。永遠の別れでもないのに、何故か2度と会えない様な不安に襲われる。
感傷に浸りすぎているのだろうか…?
「どうしたんですか…?」
急に口を閉ざした俺にアンが問いかける。
「あっ、いや…何でもないんだ。それより今日は楽しかった?」
「はい。とても楽しかったです。」
今日の出来事を再確認する様に返事をする。その表情には笑みが浮かんでいた。
(やっぱり思い過ごしか…)
さっきの考えを否定する様に頭を振る。第一、永遠の別れなんてある訳がない。永遠の…
「あら…?」
「あっ…」
その時、俺の頭の中に「永遠の別れ」という言葉がフィ−ドバックした…
「ソ、ソフィア…」
「ソフィアさん?」
一気に汗が流れ始め体温が低下した。身体中硬直して、一歩も動けない…
「やっ…、やあソフィア…。奇遇だね…」
わざとらしい台詞に声が震える。ソフィアは押し黙ったまま微動だにしない。
いや、微かに肩が震えている…。
アンは戸惑いながら、俺とソフィアを交互に見ていた…。
「アンさんとお散歩…、だったんですね…」
押し黙っていたソフィアが口を開く。心なしか語尾に怒りが込められている。
「いやっ、それはその…。ごっ、誤解だよ…」
決定的な証拠を見せつけておいて、今尚弁解しようとする。
「そんな…、酷いです…」
黙っていたアンが哀しげに口を開く。
「いやっ…、それも違くて…」
今度はアンの方に弁解する。オロオロする姿は無様以外の何者でもない。
「だから…その…、ソフィアに告白される為にはアンの存在が必要であって…」
とんでも無い事を口走ってしまった。でも、あながち嘘でもないし…。
「!…そうだったんですか…。私は単なる礎だったんですね…」アンが哀しげに呟く。
「何でそんな言葉を?じゃなくって、違うんだよっ!」
「すいません!失礼しますっ!」涙を流しながら走り去るアン。
「アン!待ってくれ!」
しかし、俺の呼び掛けも虚しく、彼女の姿は夕日の中に消えていった…
「アスタさん!」
背後から声をかけられた。声の主はもう分かっている。恐る恐る振り向くと…
パアンっ!
乾いた音が辺りに響く。
「最低です…。私に嘘ついただけでなく、アンさんを利用してただなんて…」
肩が小刻みに震えているせいか、ソフィアの声も震えていた。
いや、怒りと哀しみが錯綜してしていた為かもしれない。
「幻滅しました…。二度と私の前に現れないで下さい。失礼します!」
そう言い残すと、アンが走り去った方向とは逆方向に歩み去った…
独り取り残された俺は、張られた頬を抑えながら、呆然と立ち尽くしていた。
「燃え尽きたぜ、とっつぁんよぅ…。真っ白な灰に…」
通行人達が俺を指さして笑っている。その皮肉に満ちた笑い声だけが、ドルファンの空に響き渡った…
END
「いやぁようやく完結したな…。脚色バリバリだけど…」
あら?何が完結したんですか?
「ソっ、ソフィア!?良かった!会いに来てくれたんだね!」
えっ?何の事ですか?
「いや、こっちの話。アハ…、アハハハ…」
あっ、これですね?完結したって言ってたのは。チョット読ませて下さいね。
「あっ、それは読まない方が…」
(でも真剣に読んでくれてるなぁ。結構嬉しいかも…?)
数十分後…
アスタさん!何ですかこれは!何で私がアスタさんに好意を抱いてる設定なんですか?
「そんなにハッキリと聞かれると・・・。」
それにキャラクターが曖昧になってるじゃないですか!
「ゴメン…。俺の文章力のなさが原因です。」
もういいです!失礼します!
「ソっ、ソフィアァァァァァァァァ。」