奇稲田アスタ作品集

第4回


シーエアー駅前。約束の時間を20分程過ぎてからようやく到着した。

息も切れ切れになりつつアンの姿を探す。

いた!そわそわと道行く通行人の顔を見ている。俺の事を探してくれている様だ。

俺は、急いで彼女の元に駆け寄る。

「ゴメン!遅くなっちまった…。本当にゴメン!」

開口一番、即座に謝罪した。すると彼女は、困惑したような表情を浮かべながら、

「いっ、いえ。気にしないで下さい。今…今、来たばかりですから。」

と、必死になって俺の過失をフォローしてくれた。

そんな彼女の「優しい嘘」に自分の情けなさを痛感した…。悪いのは俺の方なのに…

「あの…アスタさん…。私、本当に気にしてませんから。」

「……アン……」

優しい彼女の言葉に対して、俺が言えたのは彼女の名前を呼ぶ事だけだった。

「そっ、それより、早く行きましょう」そう言って優しく微笑む。

そうだな…。いつまでも暗くなってたら彼女に失礼だ。俺も軽い笑みを浮かべると彼女に向き直った。

「よし!それじゃあ行こうか?」

「はい!」

今日初めて見た満面の笑みが浮かんだ。季節はずれの海。

周りには誰も居ない。静かに響く潮騒だけが2人を包んでいた…。

「静かだな…」

寄せては返す波打ち際を見て思わず独り言が口をでる。

「そうですね…」俺の独り言が耳に届いたらしくアンも同調する。

すると彼女は、俺の側から離れ、波打ち際へと歩いて行った。

「キャッ!冷たい」

小さい悲鳴を上げながらも楽しそうに波と戯れる。楽しげな彼女につられて俺も波打ち際に向かった。

「うわっ!本当に冷たいな。」

「でも、楽しいですし、気持ちいいですよ。」

そう言って海水を両手ですくう。合わせた両手の隙間から海水がこぼれ落ち始めた。

「私…海が好きなんです。此処に来ると、心が落ち着くんです…」

こぼれ落ちる海水を見ながらアンがポツリと言った。少し寂しげに見えたのは気のせいだろうか?

しかし、俺の思惑とは裏腹に彼女は俯き加減に言葉を続けた。

「此処に2人っきりで来れるなんて、何だか、夢みたいです…」

頬を染めながら恥ずかしそうに言う。

彼女の言葉を聞いた俺は、戸惑いつつも彼女の肩に軽く手を置いて、

「大丈夫。夢じゃないよ…」と答えた。

途端に彼女の瞳は潤みだした。そして、俺の方に向き直ると涙声になりながらもこう言った。

「は、はい…。グスッ、夢じゃ無いですよね。夢じゃ無いんですよね…?」

「ああ…」こうして、俺達は砂浜を後にした…

続く…

次回予告

シャ○しゃま、大変でし!

アスタしゃまのリプレイが次回で最終話でし!ようやく終わるでし!

あと、ないと50しゃま。こんなので良:れば版権譲ります(笑)との事でし。

次回、ハモって!以後合点!「困った時の、精霊頼み」でし。

アスタしゃまぁ。オチ考えてるんでしか?


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