第2話『逆転姉妹』第1回裁判(前編)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
小中 大…紫
松竹 梅世…桃
星影 宇宙ノ介…黄
板東ホテルのボーイ…灰
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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9月7日 午前10時
地方裁判所 第1法廷

裁: これより、綾里 真宵の
法廷を開廷します。
御: 検察側、
準備完了しております。
成: 弁護側、
準備完了しております。
(御剣 怜侍‥‥か。
今日は、どんな小さなスキも
見せられないな‥‥)
裁: 御剣検事。
冒頭弁論をおねがいします。
御: 被告人・綾里 真宵は、
事件当時、殺人現場にいた。
検察側は、彼女が犯行を
行ったことを示す証拠と、
犯行を目撃したという証人を
用意している。
被告人の有罪は、1点の
うたがう余地もないだろう。
裁: ‥‥なるほど。
では、さっそく
始めてもらいましょう。
御: 最初の証人を入廷させて
いただこう。
捜査の指揮をとった、
イトノコギリ刑事!

御: 証人。名前と職業は?
糸: はッ!
自分の名前は、糸鋸 圭介
(いとのこぎりけいすけ)ッス!
所轄署の、殺人事件捜査担当の
刑事ッス!
御: イトノコギリ刑事。
まず、事件の説明を
おねがいする。
糸: はッ!
では、上面図で説明するッス。
死体は、窓際のこの位置に
倒れていたッス。
御: 被害者の死因は?
糸: 鈍器で殴られた際の失血ッス。
凶器は<<考える人>>の置物で、
死体のそばに転がっていたッス!
女の子でも、じゅうぶん犯行が
可能な重さッス!
裁: では、その凶器の置物を
受理しましょう。
成: (あいかわらず、”置物”
あつかいか‥‥)

証拠品<<上面図>>を
法廷記録にファイルした。
御: さて‥‥刑事。
糸: は、はい‥‥ッス。
御: キミは、現場にいた
綾里 真宵を、すぐ逮捕した。
それは、なぜか?
糸: はッ! 動かぬ証拠が
あったからッス!
裁: ふむう‥‥
では、イトノコギリ刑事。
その”動かぬ証拠”とやらを、
<<証言>>してください。

(綾里 真宵を逮捕した理由)
糸: 『自分は、電話の通報で事件を知り、
現場へかけつけたッス!』(証言1)
『現場には、
2人の人物がいたッス。』(証言2)
『被告人の綾里 真宵と、
弁護人、成歩堂 龍一。』(証言3)
『自分は迷わず、
綾里 真宵を逮捕したッス!』(証言4)
『その理由は! 通報者の
目撃証言があったからッス!』(証言5)
『その通報者は、綾里 真宵の
犯行の瞬間を見ていたッス!』(証言6)
裁: ふむう、
犯行の瞬間を見ていた‥‥。
なるほど‥‥。では成歩堂くん、
<<尋問>>をしてもらいましょう。
成: は、はい。
(そんなこと言われても‥‥
今の証言に、ムジュンするような
部分なんて、あったか‥‥?)

‥‥ヒュッ!‥‥
‥‥コツン!
成: (‥‥! 被告席の真宵ちゃんが、
何か投げてきたぞ。
なになに。
”お姉ちゃんは、証言に
ムジュンが見つからないとき
とりあえずハッタリをかけて、
証人をゆさぶっていました。
ゆさぶられた証人は‥‥
動揺して
口をすべらせることが‥‥”
‥‥ははあ、さすが
オニ弁護士の妹、だな‥‥
よし。
やってみるか、ぼくも)
裁: ‥‥どうかしましたか?
成: い、いえ。
では、<<尋問>>させてもらいます。

(「証言5」をゆさぶる)
成: ちょっと待ってください!
糸: な、なんス?
成: さっきあなたは、たしか
こう言った。
”動かぬ証拠があったから”
被告人を逮捕した、と!
糸: え。
そんなこと、言ったッスか?
‥‥自分が?
成: 言いましたよ!
裁: 言いましたね。
御: 言った。
成: 怪しげなピンクの女性の証言の、
どこが<<動かぬ証拠>>なんですか!
糸: な、な、なんスと!
梅世さんは、怪しげでも
ピンクでもないッス!
い、いや‥‥ピンクは
ピンクッスけど‥‥。
裁: もうけっこうです。
‥‥イトノコギリ刑事。
もっとハッキリした
証拠は、なかったんですか?
糸: ‥‥うーむ‥‥。
成: (なるほど。”ゆさぶる”
って、こういうことか‥‥)
糸: ‥‥‥‥。
あったッス。
成: (‥‥え!)
糸: そッス。証言の順番を
間違えたッス!
こっちを先に言えばよかったッス!
裁: では、刑事。もう一度
<<証言>>してもらいましょう。

(動かぬ証拠)
糸: 『容疑者をカクホした自分は、
次に、この目で現場を調べたッス。』(証言1)
『そして死体のそばで、
メモを見つけたッス!』(証言2)
『あきらかに血で”マヨイ”と
書いてあったッス!』(証言3)
『化学分析の結果、この血は
被害者のものに間違いないッス!』(証言4)
『そして、被害者の指には血が
ついていたッス!』(証言5)
『被害者は死ぬ前に、
犯人の名前を書き残したッス!』(証言6)

(ざわめきが起こる)
糸: どうッス?
これが<<動かぬ証拠>>ッス。
裁: ふむう‥‥。
<<尋問>>に入る前に、
刑事にヒトコト、言っておきます。
糸: は、‥‥はッ?
裁: ‥‥なんで先に、
これを証言しなかったんですか!
糸: ‥‥いや。おはずかしい‥‥ッス。
裁: 気をつけなさい!
‥‥では、弁護人。
<<尋問>>を。

(「証言6」に「綾里 千尋の解剖記録」をつきつける)
成: イトノコ刑事。
1つ、たしかめておきたい
ことがあります。
あなたは、被害者の千尋さんが
この文字を書いて、
被告・綾里 真宵を
告発した‥‥と、
ホンキで、そう主張する
つもりですか?
糸: な、なんスか?
そのいかがわしい言い方は!
アタリ前ッス!
他に、書けた人間はいないッス!
成: ‥‥逆ですよ、刑事。
糸: 逆‥‥ッスと?
成: このメモ、被害者にだけは
ゼッタイに書けたハズがない!
これは、あなた方、警察の資料だ。
”鈍器による一撃で即死”
‥‥死んでるじゃないですか!
糸: あれッ!
成: ”あれ”じゃないでしょう!

(ざわめきが起こる)
裁: せ、静粛に!
たしかに弁護人の
言うとおりです!
即死した人間に、
メッセージを残すことなど‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: 弁護人。
シツレイだが、その解剖記録は、
いつ手に入れたものかな?
成: い、いつ‥‥って‥‥。

(「事件の翌日」を選択)
成: あれは、事件のあった
次の日のことでしたけど‥‥。
裁: それがどうかしましたか?
御: その資料は、古いよ
弁護人。
成: な、なんですって!
御: 昨日、私の命令で再調査があった。
”被害者は、鈍器で1回殴られて、
ほぼ即死の状態だった。
ただし、殴られてから数分間、
生きていた可能性を認める”
‥‥こういう結果が今朝、
私のところに届いているんだよ。
成: そ、そんな!
御: つまり!
被害者は、”マヨイ”と書くだけの
時間があったわけだ!
以上‥‥だ。
裁: な、なるほど!
成: (‥‥御剣‥‥!
カ、カッコイイこと
しやがって‥‥!)
御: なんだ弁護人
‥‥その目は‥‥?
何か、言いたいことでも?

(「自分はインチキだ」を選択)
成: イトノコ刑事‥‥。
あなたを信じたぼくが
バカだった、ということですか。
糸: い、いや、あの自分は、
その‥‥。
御: イトノコギリ刑事。
糸: ‥‥ひッ!
御: ‥‥ダメじゃないか。
間違った記録をわたすなんて。
糸: あ‥‥す‥‥
すまねッス‥‥。
御: キミのミスだ、刑事。
‥‥来月の給与査定、
楽しみにしておきたまえ。
糸: ま、またッスか‥‥とほほ。
御: 裁判長。
‥‥この記録の、受理を。
裁: わ、わかりました。
受理します。

証拠品<<解剖記録>>のデータを
書きなおした。
御: 裁判長‥‥いかがだろうか。
被害者が犯人を告発した、という
可能性は、きわめて高い。
裁: ‥‥そう考えるのが
自然でしょうな。
成: (くそう‥‥マズいな‥‥)
御: では、次の証人に
入廷していただこう。
まさに殺人の瞬間を目撃した、
悲劇の少女をここへ!

(ざわめきが起こる)
裁: では、松竹 梅世さんを
入廷させてください!
成: (‥‥あの女のどこが
”悲劇”の”少女”だよ‥‥)

御: 証人の名前を。
梅: 松竹 梅世でぇす。
よろしくお願いしまぁす★

(ざわめきが起こる)
裁: 証人が出ただけで、
そんなに盛り上がらない!
証人も、ムヤミに
ウインクしないように!
梅: はぁい。
成: (ヤッカイだな‥‥
今ので、法廷中の男のハートを
ガッチリ、ワシづかみだぞ‥‥)
御: 事件のあった9月5日の夜、
あなたはどこにいたか?
梅: えっとぉ、梅世はぁ、出張先の
ビジネスホテル? にいましたぁ。
ホテルにはぁ、その日の午後に
チェックインしましたぁ。
御: 事件があった綾里法律事務所の、
すぐ向かい側にあるホテルか?
梅: そうでぇす!
裁: ‥‥そこであなたが見たことを
<<証言>>してください。

(事件の当夜、目撃したこと)
梅: 『あれは、夜の9時ごろでしたぁ。
梅世、窓を見たんです。』(証言1)
『そうしたら! 長い髪の女の人が
お、おそわれてるじゃないですか!』(証言2)
『おそっているのは、もちろん
被告席のちっちゃい子よぉ!』(証言3)
『女の人は、攻撃をかわして
逃げたんですぅ。』(証言4)
『あの子は、それを追いかけて
トドメを‥‥!』(証言5)
女の人は‥‥ああ、
女の人はそれで
‥‥ぐったりと‥‥なっちゃって。
‥‥以上。梅世が見たのは、
そ・れ・だ・け。
裁: ふむう‥‥。
御: いかがかな、裁判長。
裁: なるほど。ギモンの余地は
ありませんな‥‥。
これ以上、時間をかけることも
ありますまい‥‥。
成: ちょ、ちょっと待ってください!
裁: なんですか? 弁護人。
成: ぼくの<<尋問>>がまだです!
裁: しかし、今の証言は、ほぼ
カンペキだったと思いますが?
御: ‥‥たしかキミは、
綾里 千尋の弟子だっけな‥‥。
彼女のやり方は、
よく知っているよ。
人の証言のアラを探す、
ヒキョウなやり方‥‥。
成: な、なんだと‥‥!
裁: どうしますか? 弁護人。
‥‥<<尋問>>をしますか?

(「もちろんする」を選択)
成: もちろん、させてもらいますよ。
(御剣は、梅世に尋問されるのを
恐れている!
あの証人‥‥。
どこかに、弱点があるはずだ!)
裁: わかりました。
‥‥では、<<尋問>>を!

(「証言3」をゆさぶる)
成: どうしてそれが
被告人だとわかったんですか?
梅: え? そ、それは‥‥
た、体型が女の子だったしぃ、
それに、
ちっちゃかったんだもぉん!
御: 現場には、少女の体型をして、
身長の低い人物は1人だった。
ギモンの余地は、ない。
成: (そうだなあ‥‥)

(「今の証言は、おかしい」を選択)
成: ちょっと待ってください!
今の証言は、おかしい!
梅: な、何がよぉ!
成: 梅世さん‥‥あなたは、

(「目撃などしてない」を選択)
成: そもそも、本当に被告人を
目撃したんですか!
梅:

(ざわめきが起こる)
裁: 弁護人!
ど、どういうことですか!
梅: そうよ! どういうことよぅ!
梅世、信じらんなぁい!
成: いいですか。
もし本当に綾里 真宵を
目撃していたのなら、
”体型”よりも先に、
”服装”が目につくはずなのです!
梅: ‥‥‥‥!
成: 彼女は、見てのとおり、
妙な和服を着ている!
ついでに、頭の上を、これまた
妙な形に結っている!
しかし、証人の証言では、
そのことは完全にムシされている。
そんなことは
あり得ないのです!
梅: そ、それは‥‥。
裁: し、しかし‥‥事件当夜も、その
カッコウをしていたかどうか‥‥
成: そのカッコウだったのです!
ぼくは見ました。そして、
さきほどの、イトノコ刑事も
見ているはずです!
どうですか! 梅世さん!
梅: ‥‥くっ!
な、なぁにそれ?
う、梅世、ちゃんと見てたわよぅ。
ただ、細かいこと話しても、
しかたないかな、って‥‥。
裁: 証人。
見たことは、ちゃんと
ぜんぶ話すようにしてください。
梅: すみませぇん。
梅世、反省★
裁: ‥‥では、もう一度
<<証言>>を。
成: (くそ‥‥そうカンタンには
まいらないか‥‥)

(事件の当夜、目撃したこと)
梅: 『梅世、ちゃんと細かいところまで
見てたんだからぁ!』(証言1)
『被害者の女の人、最初の攻撃を
かわして、右に向かって逃げたの。』(証言2)
『そしたら、和服の女の子が
追いかけていって‥‥』(証言3)
『持っていた凶器でなぐりつけたの!
凶器だって、ちゃんと見たわよ!』(証言4)
『時計よ時計。‥‥置時計ってやつ?
<<考える人>>の形してたわ!』(証言5)
‥‥どう? こんなに
ハッキリ、見てたんだから!
裁: なるほど‥‥。
最初からそこまで細かく
話してくれていればねえ‥‥。
‥‥では、<<尋問>>を
おねがいします。

(「証言5」に「考える人」をつきつける)
成: 梅世さん。
‥‥あなたは今、とんでもない
コトを口走りましたね‥‥?
梅: な‥‥なによぅ。
おどかすの、ナシにしてよね‥‥。
成: この<<考える人>>を、
あなたは”置時計”だと言った。
しかし、見ただけでは
それがわかるはずがないんですよ。
梅: ‥‥!
成: 最近、同じような状況で、
これを”時計”と言った人がいた。
その人物は‥‥
殺人犯でしたよ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に!
成: 梅世さん。あなたはなぜ、これが
”時計”だと知っていたんですか?
梅: うっ‥‥。

(御剣検事「異議あり!」)
御: 証人は、犯行を目撃していた。
‥‥大切なのは、その1点だけだ!
弁護人は、細かい点をつついて
目くらましをしようとしている!
裁: ‥‥そうですね‥‥。
その質問は、却下‥‥

(成歩堂「異議あり!」)
成: このやり方は、
ぼくの武器なんです!
このやり方で、ぼくは
真犯人を見つけたことがあります!
(‥‥1回だけど!)
裁: ‥‥‥
‥‥‥‥‥‥
成歩堂くんの異議を認めます。
証人は、質問に答えなさい。
成: (うー、あぶないあぶない。
この質問が却下されてたら、
勝負は決まっていたよ‥‥)
梅: え? え?
ケッキョク、どういうことぉ?
成: なんで凶器が”時計”と
知っていたか、答えるんです!
梅: ‥‥え、だ、だって‥‥
‥‥‥‥う、梅世、聞いたから。
そう! 梅世、あの時計が
鳴るのを聞いたの!
成: あなたは、綾里法律事務所に
行ったことがあるんですか!
梅: ババ、バカなコト言わないでよぅ。
行くワケ、ないでしょお!
ホ、ホテルの部屋から
聞いたんですぅ!
御: 現場の綾里法律事務所と
板東ホテルは、とても近い。
聞こえても、おかしくはない!
裁: どうですか? 弁護人。
これで納得しましたか?
成: いいえ! まだです!
(納得しちゃったら負ける!)
なぜなら‥‥、

(「鳴ったはずがない」を選択)
成: いいですか!
あの時計は、鳴るはずがない!
なぜなら、

(「機械が入っていない」を選択)
成: その時計には、今は
機械が入っていないんです!

(ざわめきが起こる)
裁: な、なんであなたに
そんなことが‥‥?
成: とにかく、調べてください!
今、すぐに!
裁: ‥‥‥‥
あっ!
成: どうですか、裁判長!
裁: べ、弁護人の言うとおり‥‥、
この時計には機械が入っていない!
カラッポです!

(ざわめきが起こる)
裁: 成歩堂くん!
これはどういうことですか!
成: 見たとおりですよ。
時計に機械は入っていなかった。
だから、鳴るはずはなかった。
したがって、この証人は‥‥、
大ウソつきだ!
梅: ‥‥ぐぅッ‥‥!
成: どうですか! 証人!


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