成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
小中 大…紫 | |
松竹 梅世…桃 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
板東ホテルのボーイ…灰 |
御: | ‥‥クックックッ。 |
成: | ? |
御: |
なかなか楽しませてくれるねぇ‥‥ 弁護士クン。 |
成: |
(こいつ‥‥時計がカラッポ だったこと、知ってたな‥‥!) |
御: |
どうやらキミは、 1つ忘れているようだ。 たしかに、時計はカラッポだな。 ‥‥鳴るはずがない。 しかし。その時計の機械がいつ、 抜きとられたのか? 証人が音を聞いた後に抜きとられた なら、なんのムジュンもない‥‥。 |
裁: |
! ‥‥た、たしかに、その可能性は ありますね。 梅世さんが時計の音を聞いた後、 機械は抜きとられたのかも‥‥。 |
御: | そのとおりだ、裁判長! |
裁: |
いかがかな、弁護人。 あの機械がいつ抜きとられたのか、 証明できますか? |
御: |
ハッ! ‥‥そんなこと、できるわけが‥‥ |
成: | できますよ。 |
御: | な、何ッ! |
成: |
御剣検事‥‥覚えてるよ。 法廷では、証拠がすべて、 だったっけ? ‥‥見せてやるよ。 あんたの大好きな”証拠”を。 時計の機械が抜きとられたのが いつだったかを示す、証拠品は‥‥ |
成: | これを見てください! |
裁: |
ほう。何やらカワイイ 携帯電話ですな。 |
梅: |
うっわぁ。 弁護士さん、女の子みたぁい。 |
成: |
い、いや。これはその、 ぼくのじゃないんですよ! いいですか! これは、被告人の携帯電話です! ‥‥そして、こいつには、 事件当日の、被害者との会話が 録音されているんです! |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
御: |
ひ、被告の携帯電話だと‥‥! 聞いてないぞ私は‥‥ |
成: |
イトノコ刑事が見落としたんじゃ ないかな? |
御: |
ぶつぶつ‥‥(来月の給与査定、 覚えておくがいい‥‥) |
成: |
(おやおや、カワイソウに‥‥) とにかく。 ‥‥聞いてみてください。 |
‥‥‥‥ | |
真: |
<<とにかく、その”考える人”? あずかればいいんだ>> |
千: |
<<そうよ。 ああ、でも、今はこの時計、 しゃべらないけど>> |
真: |
<<えー、なんで? ‥‥つまんない>> |
千: |
<<さっき、 時計の機械を抜いちゃったから>> |
電: | <<9月5日・午前9時27分>> ピー |
成: |
つまり。 事件のあった日の午前中、 まだ証人がホテルに来る前から、 時計の機械は、すでに なかったわけです! |
梅: | く‥‥んくくぅっ! |
成: |
さあ! 梅世さん! 聞かせてもらいましょうか! なぜ、凶器が”置時計” と知っていたかを、ね! |
梅: |
‥‥‥‥‥‥ た、たしか‥‥。 たしか、‥‥そ、そうですぅ! あの時計、前に見たことが あるんですぅ! んーと、どこのお店 だったかなぁ? 梅世、すっかり 忘れてましたぁ! |
裁: |
前に見たことがあった‥‥。 それなら筋はとおりますね。 ‥‥弁護人。 これで問題ありませんか? |
成: |
”前に見たことがある”という 証人の発言は、 ある証拠品と、 思いっきりムジュンしています! |
裁: |
ほ、ほお‥‥。 では、提示してもらいましょうか。 ”証人が、時計を見たことは なかった”ことを示す証拠品を。 |
成: |
カンタンなことです。 あの時計は、店に 並んだことなどないんですよ! |
梅: | え、ええっ! |
成: |
あれは、ぼくの友だちが作った ものでね。 この世に 2個しかないんですよ。 しかもそのうちの1個は、 警察が保管しています。 |
梅: | そ‥‥そんな‥‥! |
成: |
さ。‥‥今度は、どんな 言いわけをしましょうか‥‥? |
梅: | ぐ‥‥ |
成: |
‥‥いや。もう、言いワケ しようがないかな‥‥? |
梅: |
う、ううううううううん‥‥ うおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおッ! 何だっつーのよ! このギザギザアタマがぁ! あんな時計のことなんか、 どうだっていいんだよ! あのムスメがやったんだ! とっとと死刑にしちまいな! |
裁: |
ま、ま、ま、待ちなさい! こ、ここは法廷です。 証人、冷静になるように。 |
梅: |
ハア‥‥ハア‥‥ え、あ‥‥。 や、やだぁ、う、梅世ったら‥‥。 ハア‥‥ハア‥‥。 ちょっぴり、マジ切れ? しちゃったみ・た・い‥‥★ |
成: | (こ‥‥こわいよお‥‥) |
裁: |
証人。私からお聞きしよう。 あなたは、どうして、凶器が 時計だと知っていたんですか? |
梅: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥ふう。やれやれ。 弁護人。あなたの意見は どうですか? |
成: |
(ここが、勝負どころだな!) ‥‥はい。 では、ぼくの考えを言います。 松竹 梅世は、なぜ凶器が時計だと 知っていたのか? それは、 |
成: |
証人は、あの時計を手に 取ったことはない! しかし彼女は、それが時計である という情報を聞いていたんです! |
裁: | ”聞いていた”‥‥? |
成: |
そうです。 それ以外に、彼女が<<考える人>>を 時計だと知る方法はない! そして、ぼくはその証拠品を 提示することができます! |
裁: |
ほう‥‥ それはおもしろい。 では、見せてもらいましょう。 凶器が時計であることを、証人が ”聞いていた”という証拠を! |
成: | これを見てください。 |
梅: |
あ、ああっ! そ、それはぁっ! |
成: |
‥‥ぼくが、梅世さんの部屋から 見つけたものです。 |
裁: |
弁護人! そ、それはいったい‥‥? |
成: |
松竹 梅世さん。 あなたは、被害者・綾里 千尋さん の電話を盗聴していましたね? |
梅: | う、うぐっ‥‥! |
御: |
裁判長! これはもう、お話にならない! |
裁: |
しかし‥‥、 証人が盗聴器を 持っていたのは気になります。 |
御: |
弁護人は、証人が電話を 盗聴していたと主張するつもりか! |
成: | そりゃそうでしょう! |
御: |
それならば、まず証明しなければ ならないことがある! すなわち、 ”被害者が電話の会話中に、凶器を <<時計>>と言ったことがあるか?” ‥‥そんなことが、キミに 証明できるのか! |
成: |
‥‥できますよ! ごくカンタンに、ね! |
御: | な、なんだと! |
成: |
‥‥証拠があるんですよ‥‥。 被害者が、電話で凶器のことを ”時計”と表現したという証拠は、 |
成: | 被告人の携帯電話です。 |
裁: | さっき見ましたな。 |
成: |
もう一度、被告と被害者の 会話を聞いてください。 |
‥‥‥‥ | |
真: |
<<‥‥あ、お姉ちゃん! どうしたの? めずらしいね>> |
千: |
<<うん。‥‥実は、 あずかってほしいものがあって>> |
真: | <<またー? 今度は何?>> |
千: |
<<置き時計よ。 考える人の形をしてて、 なんと、しゃべるの!>> |
成: |
‥‥松竹 梅世さん。 あなたは盗聴器を使い、 会話を聞いていた。 だから、<<考える人>>が 時計だと知っていた。 違いますか! |
梅: | う、うぐっ‥‥! |
御: |
裁判長! これはもう、お話にならない! |
成: |
お話にならないかどうか、 証人の顔を見ていただきたい! 弁護側は、答えを要求します! |
梅: | ‥‥ぐぐ‥‥ぐ‥‥ぐぅ‥‥。 |
裁: | ‥‥証人。答えなさい! |
梅: | ‥‥‥‥。 |
裁: | ‥‥証人! |
梅: |
うるせえんだよ! 気やすく 話しかけるんじゃないよ! このタコがぁ! |
梅: |
み、み、みんなで、みんなして、 う、う、うめよを‥‥ うめよを、いぢめるのねっ! そうなのねっ! う、うええ、うえええええええん! |
成: |
(今、法廷中の人間が、コイツの 素顔を見た! トドメを刺すなら、今だ!) |
成: | なぜ、盗聴を‥‥? |
梅: | ‥‥‥‥‥‥。 |
成: | 答えてください! |
梅: |
どうして答えなくちゃ いけないのぉ? 殺人事件とは ムカンケイでしょお? |
成: |
(くそ‥‥御剣から指示された とおりに答えているな‥‥!) いいですか。 あなたは殺人事件の被害者を 盗聴していたんですよ? ものすごくアヤシイじゃ ないですか! |
裁: |
弁護人の言い方は気になりますが、 気持ちはわかります。 どうなんですか? 証人。 あなたが殺人とは無関係だと、 証明はできませんか‥‥? |
成: | (フン、できるわけないさ!) |
梅: |
弁護士さん、なぁにそのカオ? ”フン、できるわけないさ!” とか思ってるんでしょ? |
成: | (むむ! やるな‥‥) |
梅: |
ザンネンでしたぁ! ‥‥できるに決まってんでしょ! |
成: | そ、そんなバカな! |
梅: |
ハン! サムいオトコね。 いまどき”そんなバカな!”って! ‥‥えへん! いい? 事件があったの、 夜の9時ごろでしょ? 梅世、そのときボーイさんから ルームサービスを受け取ったの。 |
成: | る、るうむさーびす? |
梅: |
梅世、アイスコーヒーを たのんだの。 知ってる? アイスコーヒー。 早く飲まないと、氷が溶けて ただのコーヒーになっちゃうの。 |
成: | あ、あいすこぉひぃ? |
梅: |
ウソだと思うんなら、 ボーイさんに聞いてみたらぁ? |
御: |
つまり彼女は、現場に 行っていないということだよ。 |
成: | ! |
裁: | すると、どういうことに‥‥? |
御: |
まことにイカンながら‥‥ 証人はどうやら、被害者の 電話を盗聴していたらしい。 しかし! それはこの殺人事件とは まったく関係ない、別の犯罪だ。 被告・綾里 真宵の殺人を 目撃したことは事実なのです! |
成: |
(くそ‥‥このままじゃ 逃げられる‥‥! 梅世と殺人事件を結びつけられ ないかぎり、勝ち目はない‥‥) |
裁: | 弁護人。‥‥どうしますか? |
成: |
え、ええと‥‥。 (すると、残された手は‥‥?) |
成: |
ルームサービスを運んだ、 ボーイを尋問させてください! そこに何か、 トリックがあるはずです! |
梅: |
うわ。やっぱりサムいヒトぉ。 いまどき”トリック”って‥‥。 |
御: | 私は、その尋問に反対する! |
成: |
な、なぜですか! その理由は! |
御: |
”盗聴は、殺人とは関係ない” というのが、私の考えだからだ。 |
成: | ‥‥! |
御: |
ただし。 キミが1つ、条件を飲むなら、 ボーイの尋問に同意してもよい。 |
成: | 条件‥‥? |
御: |
ボーイを尋問した結果、松竹 梅世 のアリバイがくずせなかった場合、 当然、松竹 梅世は 犯人ではないということになる。 その場合は、きみは綾里 真宵の <<有罪>>を認める。 ‥‥それが条件だ。 |
成: |
(なんだそりゃあ! ボーイの証言から何か 引き出せなければ、 真宵ちゃんは、その場で<<有罪>> というわけか‥‥ ‥‥どうする?) |
成: |
(えーい、とりあえず やってみるか!) わかりました。 条件を飲みましょう! |
御: |
‥‥ふっ。 バカが‥‥。 ワナにかかったか‥‥。 |
成: |
(‥‥なんだって!) あ、あの、やっぱり‥‥ |
裁: |
よろしい! では、ホテルのボーイを 入廷させてください! |