成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
小中 大…紫 | |
松竹 梅世…桃 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
板東ホテルのボーイ…灰 |
御: |
では、質問を始めさせていただく。 ‥‥いかにも、ボーイのイメージに 忠実な男だ‥‥。 |
ボ: |
ハイ。 仕事中にご招待をいただいて、 参上したしだいでございます。 |
裁: |
では、ティーセットも 重いでしょうから、 さっそく<<証言>>を おねがいします。 |
ボ: | かしこまりました。 |
ボ: |
『ワタクシ、板東ホテルの ボーイ長をしております。』(証言1) 『あれは、夜の8時すぎでしたか。 梅世サマからお電話がありました。』(証言2) 『きっかり9時に、アイスコーヒーを 持ってきてほしい、と。』(証言3) 『それでワタクシ、きっかり9時に 持っていったしだいでございます。』(証言4) 『アイスコーヒーは、間違いなく そのご婦人にお渡しいたしました。』(証言5) |
裁: | では、弁護人。<<尋問>>を‥‥。 |
成: |
は、はい。 わかりました! (このボーイの尋問で、 梅世が殺人に関係している 可能性を証明できないと、 真宵ちゃんは‥‥ オシマイだ!) |
成: | ”きっかり9時”‥‥ですか? |
ボ: |
ハイ。何度も念を押されました。 テレビを見ていたそうで、 番組が終わったら飲みたいと‥‥。 |
成: | (‥‥9時。犯行の時間か) |
成: |
松竹 梅世本人に 間違いありませんか? |
ボ: | モチのロンでございます。 |
成: | ”モチのロン”‥‥? |
ボ: |
”おふこおす””もちろん”を、 ワタクシ風にコジャレてみました。 |
成: |
‥‥その、妙な自信は、 いったいどこから‥‥! |
ボ: |
あの、ルームサービスを お持ちした際にですね‥‥。 せせ、せ、せっぷんを、その、 い、いただいたものですから。 |
成: | せ、せっぷん? |
ボ: |
ええ。キッスのことです。 ホッペのここに、チュッと。 |
成: |
な、な、な、 なんでそんなことを‥‥? |
ボ: |
きっとワタクシに、その、 ホの字だったのではないかと。 ワタクシ、もう忘れられなくて。 |
成: |
(ゼッタイ、不自然だ‥‥ 梅世め、自分を印象づけようと 工作していたな‥‥) ‥‥‥‥ ‥‥ダメだ! (何も見つからない! もう、おしまいか‥‥?) |
御: |
クックックッ。 やっとわかってもらえたかね。 このボーイには、ウソをつく理由が ないのだよ‥‥。 ‥‥さて。 そろそろ、タイクツな尋問は 終わりにしてもらえるかな‥‥? |
裁: |
そうですね。 ‥‥では、証人。 ごくろうさまでした。 |
成: | (いいのか、このままで!) |
成: | ちょ、ちょっと待ってください! |
裁: | な、なんですか弁護人。 |
成: |
さ、最後に1つだけ、 質問をさせてください! |
御: |
今さら何を言う! そんな、ムダなことを‥‥ |
裁: |
まあまあ、御剣くん。 ‥‥成歩堂くん。 1つだけ質問を許します。 |
成: |
(これが‥‥ ほんとうに、これが 最後のチャンスだ! 何を聞けばいい‥‥!) |
成: |
も、もう一度、ルームサービスの ことを聞かせてください。 |
ボ: |
ま、またでございますか。 きっかり9時に、303号室の 梅世サマにお届けしました。 届けたのはアイスコーヒー。 1800円でございます。 |
成: |
‥‥そうですか‥‥。 ‥‥? せ、1800円? ずいぶん高いですねえ。 |
ボ: |
え、ええ、まあ‥‥。 2人ぶんでございましたから‥‥。 |
成: |
(‥‥‥‥! な、なんだって!) い、今、なんて言いました! |
ボ: |
え! ‥‥いや、ワタクシは その‥‥! |
成: |
ボーイさん! 梅世さんの部屋には、 2人、泊まっていたんですか! |
御: |
と、とりあえず異議を 申し立てる! |
裁: |
‥‥‥‥ とりあえず、異議は却下します。 ‥‥答えなさい、証人! |
ボ: |
は、はあ。‥‥まあ、 そうでございました。 |
成: |
なぜそれを 証言しなかったんですか! |
ボ: |
ま、まあ‥‥そ、その。 き、聞かれませんでしたから‥‥。 |
成: |
(‥‥アヤシイ!) それにしても、フツー 言うもんじゃないですか! |
ボ: |
い、いえ、その ‥‥実は‥‥。 そこの、検事さんに‥‥ |
成: | ! |
ボ: |
聞かれないかぎり、 そのことは言うな、と‥‥。 |
御: |
く‥‥くぅっ! この、バカボーイがあああああッ! |
成: |
|
成: |
松竹 梅世は、ツインルームに 男性と2人でチェックインした。 間違いありませんね? |
ボ: | ハイ。 |
成: |
そして、あなたがルームサービスを 運んだとき、 あなたは、その男を見ていない。 |
ボ: | そのとおりでございます。 |
裁: | ふむう‥‥。 |
成: |
裁判長! この時点で、被告人・綾里 真宵に 判決を下すのは不可能です。 なぜなら、犯人のうたがいが 強い人物が、他にいるからです。 そうですね? 御剣検事。 |
御: | 誰だ! その人物とは! |
成: | ‥‥その人物とは、 |
成: |
梅世といっしょにチェックイン した男です! |
御: | ! |
成: |
いいですか! すでに証明されたとおり、 松竹 梅世は盗聴をしていた。 彼女自身は、犯行の時間に アリバイがある。 しかし! 梅世といっしょだった この男なら、犯行は可能でした! 事件があった時間、ボーイは この男を見ていません! |
御: |
今さら、そんなツゴウの いい言いぶんが‥‥ |
成: |
”今さら”‥‥? この男の存在を、今まで 隠していたのは、 御剣検事! あなた自身ですよ! |
御: |
‥‥! キサマごとき‥‥シロウトに‥‥ この御剣が‥‥ 信じられん‥‥。 |
裁: |
そこまで! ‥‥弁護人の主張を認めます。 検察側は、この男について、 キチンと調査をするように。 いいですか! |
御: | ‥‥了解した。 |
裁: |
本日の綾里 真宵の審理は、 ここまでとします。 ‥‥では、 本日はこれにて閉廷!
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地方裁判所 被告人第1控え室 | |
真: |
弁護士さん! スゴい! カッコよかったです! |
成: | そ、そう? |
真: |
もうあたし、 シビレっぱなしでした! |
成: |
いやぁ、あ、そう。 ははは。 |
真: |
あ、でも。あの検事さんも ステキだったかなあ。 |
成: | え。 |
真: |
白目をむいて、クチビルを ぶるぶるふるわせた、あの表情。 グッときちゃいますよね! |
成: | ‥‥そ、そうかなあ。 |
真: |
で、どうなんですか あたし! もう、帰れるんですか? |
成: |
い、いや。 ダメだと思うよまだ。 |
真: | うう。そうなんですか‥‥。 |
成: |
でも、今日の法廷で、 大きな手がかりを見つけたから。 |
真: | ”てがかり”? |
成: |
梅世といっしょだった男の ことだよ、もちろん! |
真: |
あ! なるほど‥‥。 ‥‥そういえば、梅世さん、 どうなったんですか? |
成: |
とっつかまったみたい。 いいキミだね。 留置所に行けば会えるハズだ。 あとで行ってみようかな。 とにかく。 事件はまだ、 解決したわけじゃないんだ。 |
真: | は、はい! |
成: | ぼくはあの男のことを調べてみる。 |
真: | そいつが、お姉ちゃんを‥‥? |
成: | ‥‥たぶん、そうだ。 |
真: | ‥‥‥‥。 |
成: |
だいじょうぶ。 明日までに、かならず見つける。 |
真: | ‥‥おねがいします! |
成: |
明日の法廷の武器にするため、 ぼくは松竹 梅世の証言を まとめた書類をもらった。 しかし‥‥。 松竹 梅世の証言は 結局、ウソばかりだったため、 証言書に書かれていたのは、 次の一文だけだった。 |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
‥‥こんなものが 武器になるのかねえ‥‥? とにかく、調査にでかけよう! いつまでも、真宵ちゃんを留置所に 置いとくワケには行かないからな! |