成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
小中 大…紫 | |
松竹 梅世…桃 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
板東ホテルのボーイ…灰 |
留置所 面会室 | |
梅: |
あらあ! こーんなムサっ苦しいところまで、 わざわざ会いに来てくれたのねぇ! 梅世、カンゲキしちゃうなぁ。 ‥‥って、フザけんじゃ ないわよ! なんなの? 梅世を ワラいに来たってワケ? |
成: |
い、いや。ちょっと聞きたい ことがあって‥‥。 |
梅: |
あいにくこっちには、 聞かせたいことなんて、ないの。 とっとと帰んな! こぉの、ギザギザアタマぁ! |
成: |
(‥‥やれやれ‥‥) ‥‥あそこの看守さんが ビビってるよ。 |
梅: |
‥‥‥‥ それでぇ? 弁護士さん。 梅世に聞きたいことって、なぁに? |
成: |
(とりあえず、そのネジれた 性格のことを聞きたいよ‥‥) |
成: |
いっしょにホテルに泊まっていた ”男”のことなんだけど‥‥ |
梅: | ‥‥‥‥。 |
成: |
とりあえず、そいつの話を 聞いてみたいんだ。 どこにいるんだ? ‥‥教えてくれよ。 |
梅: | ‥‥やよ。 |
成: |
(‥‥何か聞き出すには、 材料が必要だな‥‥) |
成: |
きみたちは、なぜ 千尋さんの盗聴を‥‥? |
梅: |
あん、やめてよ”盗聴”なんて。 人聞きが悪いでしょ。 |
成: |
人のこと盗み聞きしておいて、 ”人聞きが悪い”もないだろ。 |
梅: |
うわあ。それで、うまいコト 言ったつもりなのぉ? サムぅい。 |
成: | (ダメだ。‥‥話にならない!) |
成: |
あのさ。 なんでそんなに、ネジくれた 性格をしてるんだ? 見た目はけっこう、その、 悪くないのに‥‥。 |
梅: |
うるっさいわね! この、スットコドッコイ! |
成: |
ス、スットコ‥‥ (彼女のボキャブラリーには ある種、シビれるものがあるな) |
星影法律事務所 | |
成: |
(なんだ‥‥大センセイ、 今日もいないのか。 もしかして、 ぼくを、さけているのかな‥‥) |
成: |
これは‥‥古い写真、か。 2枚かさねて、おいてあるぞ。 写真のウラに、エンピツ書きで メモが書いてある。 <<DL6号事件・資料1>> <<DL6号事件・資料2>>か。 どっちの写真を見よう‥‥? |
成: |
なぜ、大先生はこんな男の 写真を‥‥? 何かの手がかりに なるかもしれない‥‥借りよう。 ‥‥借りるだけだよ。 あとで返しておくさ。 |
法廷記録にそっと挟んだ。 | |
板東ホテル 303号室 | |
ボ: |
‥‥あ、お客サマ。 今日はミゴトでございましたね。 |
成: |
あ、ああ。ありがとう。 きみにはちょっと、 悪いことをしたかな。 |
ボ: |
いえいえ。 ぜーんぜん、かまいません。 おかげさまで、当ホテルは これから、ビッグになりますので。 |
成: | え、ビッグ? |
ボ: |
”殺人犯が盗聴に使った部屋” ということで、 この部屋にプレミアをつけて、 アザヤカにデビューさせるのです! |
成: |
い、いや。梅世さんは”殺人犯”と 決まったワケじゃあ‥‥ |
ボ: |
そして、このワタクシめも。 ”殺人犯に茶を運んだボーイ” として、カレイにデビューを‥‥! |
成: |
(悪いユメでも見てるみたいだ。 ‥‥ぼくも、コイツも) |
ボ: |
ささ。今日はエンリョなさらず、 なんでも、お申しつけください。 |
成: | 梅世さんのことだけど‥‥。 |
ボ: |
ええもう。ワタクシには、 最初からわかっておりました。 このヒトは、やる! と。 |
成: |
(‥‥今回、一番のキケン人物は コイツなんじゃないのか?) |
成: |
梅世さんといっしょにいた 男のことを聞きたいんだけど。 |
ボ: |
‥‥そうですね‥‥。 なんと申しますか、 ”マダムキラー”? ‥‥そんな感じでしたね。 ワタクシと同じ、キケンな ニオイのする人物でした。 |
成: |
(たしかに、こいつは キケンなニオイがするよな) |
ボ: |
その男の写真がありましたら、 間違いなくわかるのですが。 |
成: | (写真、ねえ‥‥) |
成: |
このホテルのこと なんだけど‥‥。 |
ボ: |
ハイ! 実はワタクシ、 1つアイデアがありまして。 このホテル、<<板東ホテル>> というんですけど、 それに、サブタイトルを つけたらどうかと思うんですよ! |
成: | サ、サブタイトル? |
ボ: |
”〜殺りくのヤカタ〜” いかがです? |
成: |
い、いいんじゃないかな? (‥‥どうでも) |
成: | この写真、見てくれるかな。 |
ボ: |
‥‥‥‥‥‥。 このヒトです、刑事さん。 |
成: | ‥‥いや。ぼく、弁護士さん。 |
ボ: |
イヤですね。わかってますよ! やってみたかったんですよ、 こういうの。 |
成: | (やれやれ‥‥) |
ボ: |
間違いなく、梅世サマといっしょに チェックインした男です。 なんでしたら、宣誓書を書いても いいですよ! |
成: |
センセイショ? (どうしよう‥‥) |
成: |
ああ‥‥じゃ、せっかくだから 書いてもらおうかな。 |
ボ: |
うわあ。 一度、書いてみたかったんですよ 宣誓書。 これで”宣誓書を書いたボーイ” としてデビューを‥‥ |
成: | いいから。早く、書く。 |
法廷記録に挟んだ) | |
成: |
(これで梅世も、トボける わけにはいかないだろう‥‥) |
梅: |
うわあ、また来たぁ! しつっこいヒト、きらわれるよぉ? |
成: |
よけいなお世話だよ! きみが話してくれないからだろ! |
梅: |
あ、ひっどぉい! ギザギザアタマのヒトって、 心までギザギザなんだぁ! |
成: |
(この事件が解決したら、 ボーズ頭にしようかな‥‥?) |
成: |
きみがいっしょに泊まっていた ”男”のことなんだけど。 話を聞きたい。 ‥‥どこにいるんだ? |
梅: | 教えなぁい。 |
成: |
殺人事件だぞ。 かばっている場合じゃないだろう? |
梅: |
じゃ、あなた、死んじゃった 所長さんのコト、ヒトに売るのぉ? |
成: | ‥‥売らない。 |
梅: | でしょお? |
成: |
(くそっ‥‥! 何か聞き出すには、 材料が必要だな‥‥) |
成: | こいつを見てくれないか。 |
梅: | ‥‥な、何よそれ? |
成: |
ホテルのボーイの 宣誓書だよ。 きみといっしょに チェックインした男は こいつだったってことを ボーイは証言してくれるそうだ。 |
梅: | ‥‥! |
成: | (よし。あとひと押しだ!) |
成: |
(よし。ここはイチかバチか、 ハッタリをかますぞ!) トボけたってムダだよ! きみがしゃべらないなら、 こいつをマスコミに公表してやる! |
梅: | な、なんですってェ! |
成: |
殺人事件を目撃したはずなのに、 その男は、隠れている。 マスコミは”あやしい人物”とか あれこれ書きたてるだろうね! |
梅: |
‥‥! く‥‥! わ、わかったわ! ‥‥梅世の‥‥負け‥‥ね。 |
成: |
(やったぁ! ‥‥スカッとしたぞ! 生きててよかったあ!) |
梅: |
何よ? ‥‥そのイヤミなガッツポーズ。 |
成: |
コホン。 ‥‥じゃ。教えてもらおうか。 この男のことを。 |
梅: |
その人‥‥梅世の上司。 情報処理会社<<コナカルチャー>> 社長、小中 大(こなかまさる)。 |
成: |
(コナカ‥‥マサル‥‥ね) 情報処理会社、って? |
梅: |
そうね‥‥。大きな探偵会社、 とでも考えればいいわ。 |
成: |
‥‥ふうん。 事件のあった夜、きみの部屋に いっしょにいたのは、この男だね? |
梅: |
‥‥‥‥ しゃべるの、コワい‥‥。 ‥‥梅世、あの女弁護士みたいに なりたくないよぉ‥‥。 |
成: |
(‥‥‥‥!) ‥‥わかった。くわしいことは 本人から聞くよ。 コナカルチャーの場所を 教えてくれ。 |
梅: | ‥‥‥‥。 |
成: |
(小中 大、か! ついに男の手がかりを つかんだぞ! 梅世に犯行がムリだった以上、 こいつこそ、犯人のはず‥‥! さっそく、行動だ!) |
ゴミ箱に捨てた。 | |
コナカルチャー 社長室 | |
成: |
‥‥‥‥ (なんだこの‥‥シュールな インテリアは‥‥?) |
?: | ワッチュア・ネイン‥‥ッマッ! |
成: | (な、な、な、なんだなんだ?) |
小: |
‥‥名前だよ、ナ・マ・エ。 キミのユア・ネイムを聞いたのさ。 ‥‥ワッチュア・ネインッマ! |
成: |
あ、な、成歩堂、ですけど。 (”ネインッマ!”ってなあ‥‥) |
小: |
ミスタ・ナルホドーね。 ‥‥ナルホドー‥‥。 アハン。 もしかして、キミ‥‥、 イングリッシュは ノーサンキュー、なのかな? |
成: |
(な、なんなんだ このオッサンは‥‥) |
小: |
ぼかぁ小中 大(こなかまさる)。 ここの社長、いやプレジデントだ。 ちょっと、アメリカぐらしが 長いもんでねえ。 ニガテなんだよねぇ、ニポンゴ。 |
成: | (ウソつけ!) |
小: |
バイザウェイ、ところで。 どうやら、キミは新人弁護士 らしいね‥‥。 でなきゃあ、このぼくに会おう なんて、考えるハズがない。 |
成: | (ど、どういうことだ‥‥?) |
小: |
まあいい。 で? 弁護士ふぜいが このぼくに、なんの用かな? |
成: |
(なんだ‥‥この自信に みちたタイド‥‥) |
成: |
梅世さんは、この会社の人間 なんですよね? |
小: |
イエス。 秘書をやらせていたよ。 しかし、まさかあんなコトを しでかしてくれるとはねえ‥‥。 |
成: |
”あんなコト”って、 盗聴ですか‥‥? |
小: |
イエス・アイドゥー! ‥‥もちろんそうだよ。 たしかに、この会社は 情報を集めるのがシゴトさ。 でも、トーチョーなんて、 そんなヒレツなことは、 ネヴァー! けっして、しないのさ。 |
成: |
(どうやら、梅世さんを見捨てる つもりらしいな‥‥) |
成: |
事件があった夜は、 ホテルの梅世さんの部屋に‥‥? |
小: |
さあ‥‥。つまらないことは 忘れることにしてるんだ。 好きなコトバは ”ドンマイドンマイ!”でね。 |
成: |
いや、でも小中さん。 ホテルのボーイが、あなたを ハッキリ覚えているんですよ? |
小: |
‥‥‥‥ エニウェイ。とにかく、 キミに話すつもりはない。 聞きたきゃ、ぼくを 証人台に立てることだ。 ま。キミふぜいでは、ちょっと ムリな話だけどねえ。 |
成: |
(そういえば‥‥ なぜ検察側は、この男を 証人として呼ばなかったんだ? 松竹 梅世と同じものを ”見た”はずなのに‥‥?) |
小: |
ふっふっふっ‥‥。 警察‥‥裁判所‥‥ そんなものはさあ、 オモチャなんだよ。ぼくの‥‥ね。 |
成: |
コナカルチャーって どんな会社なんですか? |
小: |
よくぞ聞いてくれたね! いろんな情報を 売ったり買ったりする‥‥、 そんな、未来を先取りした 会社なんだよ! |
成: | (情報を‥‥”売る”?) |
小: |
この10年で、ここまで大きな ビッグ・オフィスに育てたんだ! あ、ちなみにコナカルチャー ってのは、 ”小中”と”カルチャー”を ひっかけてるんだよ。 気がついたかい? ‥‥ちょっと、おシャレだろ。 ぼくのマイ・アイデアさ! |
成: |
‥‥あの。 ちょっと気になることが。 |
小: | アハン。なんだい? |
成: |
そこの壁にかかっている 大きな絵ですけど‥‥ |
成: |
実はぼく、その絵を 見たことがあるんですよ。 |
小: | ‥‥ほう。 |
成: | しかも、昨日見たばっかりです。 |
小: | ‥‥何が言いたいんだい? |
成: |
カンタンなことです。 なんで、あなたが その絵を持ってるんですか? |
小: |
‥‥‥‥ ミスタ・ナルホドーだっけ? |
成: | はい。 |
小: |
キミは、自分の立場を わきまえていないねえ。 キミはいったい、何者だ? |
成: | え‥‥べ‥‥弁護士ですけど。 |
小: |
”しがない”弁護士だ! くだらない存在なんだよキミは! あのホシカゲ弁護士のように、ね! |
成: |
(な、なんだと!) ‥‥うわっ!ぐっ‥‥! う‥‥ううっ! (な、殴られた‥‥!) |
小: |
どうだい? 暴行罪で、 ぼくを訴えてみるかい? ‥‥でもね。有罪になるのは、 なぜかキミの方なんだよ! |
成: | な、なんだと‥‥? |
小: |
いいか! ポリスや検事局は、 ぼくの言いなりなんだ。 |
成: |
(こいつ、さっきからそんなことを 言っているが、 いったい、なぜ‥‥?) |
小: |
キミごときには、理解できない 世界だよ。 ‥‥‥‥ キミは、ホシカゲのところから 来たんだね? |
成: | ‥‥そ、そうですけど‥‥。 |
小: |
聞いてみたまえ。彼に。 なぜ、この絵がここにあるか! あのジイさんに 教えてもらうといい。 人間が、どれだけ自分勝手に 生きることができるか、をね。 ‥‥‥‥ ゴー・ホーム、帰んな。 ‥‥もう、話すことはない。 |