成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン(大場 カオル)…灰 | |
スタッフの子…黄 | |
大滝 九太…黄緑 | |
カントク(宇在 拓也)…橙 | |
姫神 サクラ…紫 |
成: |
ち‥‥千尋さん! じゃあ、やっぱり‥‥? |
千: |
そう。 あなたが考えていること、 ‥‥それはたぶん、正しいわ‥‥。 教えてあげなさい。 裁判長に‥‥真相を、ね。 |
裁: |
弁護人! どういうことですか? アルバムには、なぜ事件当日の 写真がないんですか? なぜ、少年は写真のデータを 消してしまったんですか? |
成: |
その理由は、1つしか 考えられません! ”トノサマンは勝たなかった” ‥‥だから、九太くんは 写真のデータを消したんです。 |
裁: | トノサマンが‥‥”負けた”? |
成: |
そうなんだろ? 九太くん。 トノサマン、ほんとうは、悪人に やられちゃったんじゃないか? |
九: |
ナ、ナ、ナ、ナニ言ってんだ! ト‥‥トノサマンは負けないんだ! ‥‥ゼ、ゼッタイ! 誰にも、負けたりなんか、 するもんかァッ! |
成: |
裁判長‥‥。 今の九太くんのコトバが、 すべてを物語っています。 ”写真を撮らなかった”と ウソをついた理由‥‥、 そして、せっかく撮った写真の データを消した理由‥‥。 九太くんにとって、トノサマンは ゼッタイ負けてはならなかった。 しかし九太くんは、とんでもない シーンを目撃してしまったのです! そう! トノサマンが 戦いに敗れるシーンを! 九太くんは、それを認める ワケにはいかなかった! だから、”トノサマンが勝った ところを見た”と、 ウソをついたんです! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! ど‥‥どうなんですか! 証人‥‥九太くん! あ、あなたはいったい‥‥ 何を見たんですか! |
九: |
う‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ うわああああああああああああああ ああああああああああああああん! |
成: |
‥‥九太くん。 あの日、きみが見たのは、 トノサマンが負けるところだった。 ‥‥そうなんだろう? |
九: |
うわああああああああああああん! そうだよ! そうなんだよ! トノサマンが ‥‥た、たおれちゃって! う‥‥うごかなく なっちゃったんだ‥‥ うわああああああああああああん! |
裁: | 静粛に! 静粛に! 静粛に! |
御: |
成歩堂! い、いったいこれは、 なんのさわぎだッ! トノサマンは、 ”殺人者”なんだぞ! |
成: |
しかし証言によれば、トノサマンは たおれて動かなくなっている! |
裁: |
弁護人! ‥‥どういうことなんですか! |
成: |
ぼくたちは、大きなカン違いを していたことになります‥‥。 |
御: |
カン違いだと‥‥? それはいったい、 どういうことかッ! |
成: |
わかってみれば カンタンなことです。 戦った結果、トノサマンが たおれて、動かなくなった。 つまり、トノサマンは”殺人者” ではなく、”被害者”だった‥‥。 ということは! トノサマンは、 衣袋 武志だったのです! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! では、この写真に写っている トノサマンも‥‥、 被害者の衣袋 武志が 中に入っていたと言うのですか! |
成: |
そういうことになります。 衣袋 武志は、午前中、アクション シーンの打ち合わせをしていた。 だから当然、荷星さんが足をケガ したことを、知っています。 |
裁: |
し‥‥しかし! イブクロさんは、第1スタジオに 行ったはずでは‥‥? |
成: |
みんなそう思っていました。 しかし、警備員のオバチャンは、 こう証言していた! |
オ: |
『オバチャン、午後1時に 詰所に入ったわけョ。 イブクロちゃん? ああ、見てないよ。 オバチャンが詰所にもどる前に、 もうスタジオへ行ったみたいだネ。』 |
成: |
衣袋 武志は、昼食後、 スタッフエリアを去った。 しかし、彼が第1スタジオに 行ったのは、誰も見ていない。 写真も残っていない。 彼は、荷星さんが楽屋で ヒルネするのを待った。 そして楽屋に忍び込み、 着ぐるみを盗んだのです。 |
裁: | ‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥ |
裁: |
しかし、いったい、なぜ 被害者は、そんなことを‥‥? |
成: | それは‥‥わかりませんけど。 |
九: |
‥‥‥‥ ‥‥そうか‥‥。 |
成: | ? |
九: |
オレ、トノサマンの動きが、 いつもと違うと思ったんだけど、 中に入ってる人、違ったのか‥‥。 おじさん! |
成: | な、なんだい? |
九: |
実はオレ、1枚だけ 消していないデータがあるんだ。 |
成: | ”でーた”? |
九: | 写真だよ。デジカメの! |
成: |
! な、なんだって! |
御: | み、見せるんだッ! |
九: |
そ、そんなコワいカオ、 すんなよな‥‥。 |
裁: | 早くする! |
九: |
ううう‥‥。 ‥‥コレ、なんだけど。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥ これだけ見たのでは、トノサマンの 中に誰が入っていたのかは、 ちょっと判断ができませんね。 どうですか? 弁護人。 |
成: |
‥‥そうですね。 これだけでは、なんとも。 |
裁: |
証人。ザンネンだけど、これは 証拠にはなりそうもありません。 お返ししておきましょう。 |
千: |
待って! なるほどくん! |
成: | な、なんですか! |
千: |
写真を、 もう一度よく見て! その写真は‥‥、 この事件のすべてを物語る、 最強の証拠品よ! |
成: |
え‥‥ええっ! さ、裁判長! その写真を、もう一度 見せてください! |
裁: |
は、はあ。 ‥‥かまいませんが。 |
千: |
なるほどくん! 裁判長に教えてあげなさい! この写真がはらんでいる、 決定的なムジュン点を! |
成: |
(この写真で、ムジュンしている ポイントを示そう!) |
成: |
裁判長! ここを見てください! |
裁: | ‥‥門柱、ですか‥‥。 |
成: |
重要なのは、門柱に書かれている 数字です。 |
裁: |
数字? これは‥‥”2”ですか? ハッキリしませんが‥‥。 |
成: |
ハッキリしているのは、 ”1”ではない、ということです! |
御: | ああああっ! |
成: |
どうやらわかったようだな、 御剣検事。 |
御: |
そ、そんな‥‥ そんな、バカなッ! |
裁: |
え? え? ‥‥なんですか? 私にも、わかるように セツメイしてください! |
成: |
上面図で説明しましょう。 死体は、ここ。第1スタジオで 発見されました。 しかし、事件のとき撮られた 写真の門柱には、 ”1”とは書かれていない。 裁判長! 事件は、ほんとうは ここで起こったのです! (裁判長に、ほんとうの 殺人現場を示そう!) |
成: | ここです。第2スタジオ。 |
裁: |
な‥‥、なるほど。 門柱に”2”とありますからな。 |
成: |
この第2スタジオには、 重要なポイントがあります。 |
成: |
コテージに通じる道は、 ふさがっていました! |
裁: | それは聞いています。 |
成: |
道がふさがったのは、 2時15分です。 つまり被害者は、それ以前に 第2スタジオに行ったんです! |
裁: | そ‥‥そうなりますね。 |
成: |
宇在カントクの証言を 思い出していただきたい! 彼はこう言った。 第1スタジオへは行けなかったから コテージの人間は犯人でない、と。 しかし、事実は逆だったのです! 犯人は、コテージにいた人間しか あり得ない! なぜなら、犯行は第2スタジオで 行われたわけですから! 第2スタジオには、 コテージがあります。 コテージでは、事件当日、 カイギが行われていた。 そして、被害者が死んだ時間に 休憩時間に入った。 宇在カントクとプロデューサーの 姫神は、ステーキを食べた。 そこはまさに、 殺人現場だったのです! |
裁: | せ‥‥静粛に! 静粛に! |
成: |
弁護側は、 次のように主張します! 殺人現場は、第2スタジオだった! そして、オバチャンが見たのは、 被害者の衣袋 武志だった! イブクロさんは、なんらかの理由で トノサマンの着ぐるみを盗み、 第2スタジオへ行ったのです! |
御: |
バカげている! 衣袋 武志は、被害者なんだぞ! トノサマンの着ぐるみを盗んだのは なんのためだ! わざわざ殺害されるために、 そんなことをしたと言うのか? |
成: | ‥‥そ、それは‥‥。 |
裁: | ふむう‥‥。 |
御: |
それとも、何か証拠でもあるのか! 被害者の衣袋氏が、着ぐるみを 盗んだ証拠だ! |
成: | ‥‥あります! |
御: | な、なんだと! |
裁: | あるんですか‥‥証拠が? |
成: |
(そ、そんなにおどろかれると 自信がなくなるなあ‥‥。 たぶん、間違いないとは 思うんだけど‥‥) |
裁: |
イブクロさんが、トノサマンの 着ぐるみを盗んだ証拠は! |
成: | 証拠は、これです。 |
裁: | 薬の‥‥ビンですか。 |
成: |
これは、荷星さんやイブクロさん が、昼食をたべた、 スタッフエリアのテーブルから 見つけました。 ラベルには”睡眠薬”と 書いてあります。 |
裁: | ”スイミンヤク”‥‥? |
成: |
あの日、被告の荷星さんは、 午後はずっとヒルネをしてました。 眠らされていたんです。 ‥‥イブクロさんによって。 |
裁: |
待ってください。 たしかに、そのビンは アヤシイですが、 イブクロさんがそれを 使ったか、その証拠はありません。 |
成: |
裁判長。 ‥‥提案があります。 |
裁: |
‥‥提案、ですか? なんでしょう。 |
成: |
もちろん、このビンの 指紋を調べるんですよ。 ぼくの考えでは、イブクロさんの 指紋が見つかるはずです。 |
御: | うむむ‥‥。 |
裁: |
なるほど‥‥。 わかりました。 ビンをあずかりましょう。 |
裁判長に渡した。 | |
裁: |
本日の審理は、 ここまでとします。 九太少年の証言によって、 事件はまったく違った可能性を 見せ始めました。 警備員が見たトノサマンは、 被害者の衣袋 武志だった。 殺人現場は、第1スタジオでは なく、第2スタジオだった。 そして、コテージにいた人間には、 犯行を行う時間的よゆうがあった。 成歩堂くん。 |
成: | はい。 |
裁: |
あなたに与える宿題は、 次の問題の答えを見つけること。 衣袋さんは、なぜ着ぐるみを 盗まなければならなかったのか? そして、誰が彼を殺害したか? ‥‥その動機は? 明日までに、その答えを 見つけてください。 |
成: | (多いよ‥‥宿題) |
裁: | 御剣検事。 |
御: | うむ。 |
裁: |
あなたの方は、荷星さんに 対する容疑を、 もう一度、はじめから あらいなおすように。 |
御: | こころえた。 |
裁: |
この審理は、最終日の 明日まで持ち越すことにします! |
裁: |
‥‥では、 本日はこれにて閉廷! |
地方裁判所 被告人第1控え室 | |
成: |
いやー‥‥。 ホント、アブなかったなあ! |
千: |
まさに危機イッパツ、といった ところだったわね。 とちゅうで、もう帰っちゃおうかな って、3回ぐらい思いました。 |
成: | あ、ぼくもです! |
荷: |
‥‥そ、そうだったんですか! お2人とも、自信タップリに 見えましたけど。 |
成: |
トンでもない! フリですよ、フリ。 もう、”荷星さん、ご臨終!”って 3回ぐらい思っちゃいました。 |
千: | あ、私も! |
荷: | ‥‥ひ、ヒドイ‥‥。 |
千: |
‥‥ふふふ。さすがにそれは 冗談ですから。 |
荷: | そうなんですか? |
成: |
(ぼくはべつに、冗談を 言ったつもりはないぞ‥‥) じゃあ、荷星さん。 ぼくたちはこれから、 最後の調査に行きますから。 明日の法廷では、かならず 真犯人をつきとめて見せますよ。 |
荷: | は、はい! 恐縮です‥‥。 |