成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
地方裁判所 被告人第2控え室 | |
成: | ‥‥カルマ? |
御: |
そう。 狩魔 豪(かるまごう)検事。 ‥‥この40年間、まだ一度も 負けたことがない。 まさに、奇跡を生きる男だ。 |
真: | い‥‥一度も‥‥? |
御: |
彼は、有罪判決のためならば それこそ、なんでもする。 |
成: | なんか、お前みたいだな、御剣。 |
御: |
‥‥フッ。 わかっていない。 彼はまさに”なんでも”する。 ‥‥恐ろしい人なんだ。 |
成: |
(証拠をデッチ上げるような男が ナニを言ってるんだよ‥‥) |
御: |
私は、彼の下で”検事”というもの をテッテー的に、たたきこまれた。 |
成: | な、なんだって! |
御: |
私の10倍タチの悪い男、 と考えてもらいたい。 |
真: |
うえー‥‥。 じゃあ、じゃあ、御剣さんの お師匠さんなんですか? その人。 |
御: | うム、‥‥まあ、そんなものだな。 |
真: |
ヒドい人だね。カワイイ弟子を 有罪にしようなんて‥‥ あ、それとも。 ワザと手を抜いて、御剣さんを ムザイに‥‥ |
御: |
‥‥言ったはずだ。 彼は、この40年間、 負けたことがない。 そして、 私の20倍、タチが悪いんだ。 |
真: | ‥‥サイアクだぁ。 |
御: | 私にとっては、神のような存在だ。 |
成: |
(ぼくにとっての千尋さん みたいなもんか‥‥ 千尋さんといえば‥‥) あのさ。 |
真: | なあに? |
成: |
こんなときこそ、千尋さんの チカラを借りたいと思うんだけど。 |
真: | ‥‥う。 |
成: | ? |
真: |
ダメなの。 ‥‥がんばってみたんだけど、 お姉ちゃんに、とどかないの。 |
成: | ”とどかない”? |
真: |
最近、修行の方も お休みしてるから‥‥ 霊力が、また弱く なっちゃったみたい‥‥。 |
成: |
‥‥こまったな‥‥ このカンジンなときに。 |
真: |
‥‥ゴメンね。 なんとか、がんばってみるから。 |
成: | たのむよ。 |
御: | ‥‥何をコソコソやっている? |
成: |
い、いや‥‥なんでもない。 そろそろ時間だな。 ‥‥行こうか。 |
地方裁判所 第3法廷 | |
裁: |
これより、御剣 怜侍の 法廷を開廷します。 |
成: |
弁護側、 準備完了しています。 |
狩: | ‥‥‥‥‥‥。 |
裁: |
あの‥‥狩魔検事。 準備の方は‥‥? |
狩: |
‥‥‥‥ 愚か者め‥‥。 準備もなく、このワガハイが ここに立つわけがなかろう。 |
裁: |
は、はい。 ‥‥スミマセン。 |
成: | (弱ェ!) |
裁: |
あ、では、 冒頭弁論をおねがいします。 |
狩: |
‥‥‥‥ 決定的な証拠。 決定的な証人。 ‥‥他に何か、必要なものは? |
裁: |
あ‥‥いえ。それで じゅうぶんだと思います。 では、さっそく証人を 呼んでいただきましょう。 |
真: |
な、なんか”カク”が 違うよ、あのヒト‥‥。 |
成: |
ヤダな、あんなのと やり合うのかよ‥‥。 |
狩: |
捜査にあたった イトノコギリ刑事を。 |
成: | (‥‥イトノコさんか‥‥) |
狩: | まず、事件の説明をしたまえ。 |
糸: | は‥‥はッ! |
成: |
(イトノコさん‥‥ キンチョーしてるみたいだな) |
糸: |
では、その、上面図を 見ていただくッス。 事件は、クリスマスイブの 深夜、零時ごろ起こったッス。 湖の中央に、ボートが1つ。 ボートの上には、男が2人。 午前零時10分ごろ、 ここでキャンプをしていた女性が、 2発の銃声を聞いているッス。 ボートは、貸しボート小屋の方へ 逃げて行ったッス。 |
狩: | ウム。 |
法廷記録にファイルした。 | |
狩: |
では、逮捕したときの 状況を<<証言>>したまえ。 |
裁: |
あ、ちょ、ちょっと! 狩魔検事。 |
狩: | 何かね。 |
裁: |
いちおう、この法廷は 私が進行役ですので‥‥。 |
狩: |
キサマのすべきことは、1つ。 その木づちをたたいて ”有罪”と言えばよい。 |
裁: |
は、はあ。 ‥‥了解しました。 |
成: | (了解するなよ!) |
糸: |
『あれは零時30分すぎだったッス。 署に、男から通報が入ったッス。』(証言1) 『ワレワレはパトカーで 現場に急行したッス。』(証言2) 『そこでワレワレは、 御剣検事と会ったッス。』(証言3) 『まさか、御剣検事が アヤシイとは思わなかったッス。』(証言4) 『しかし‥‥翌朝、湖から 男の死体が見つかって‥‥、』(証言5) 『‥‥ケッキョク、御剣検事を 逮捕することになったッス‥‥。』(証言6) |
裁: | ふむう‥‥。では、 |
狩: |
<<尋問>>をしてくれたまえ。 ‥‥弁護士。 |
裁: | ‥‥‥‥‥‥。 |
成: |
死体には、何か 手がかりがありましたか? |
糸: |
死体から、弾丸が1発 見つかったッス。 心臓を撃ち抜いていたッス。 ‥‥それが致命傷ッス。 |
狩: |
裁判長。 その”弾丸”を提出しよう。 うまくホネをはずれていたので、 しっかり原型をとどめている。 |
裁: | わかりました。‥‥受理します。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
成: | ど、どうしてですか? |
糸: |
ボートから、凶器が 発見されたッス。 |
成: | 凶器‥‥? |
糸: | ピストル‥‥ッス。 |
裁: |
証人。 それは重要なことです。 証言しなおしてください。 |
糸: |
わ‥‥わかったッス。 『ボートから見つかった凶器が 決定的な証拠になったッス。』(証言・補足) |
成: |
なぜ、それが”決定的” なんですか? |
狩: | クックックッ‥‥。 |
成: |
(‥‥うわあ‥‥御剣ソックリな、 イヤな笑い‥‥) |
糸: |
ボートから見つかったピストルには 指紋があったッス‥‥。 御剣検事の右手の指紋が、 ハッキリと‥‥。 |
成: | な‥‥なんですって! |
裁: |
せ、静粛に! 静粛に! 凶器に、御剣検事の指紋が ついていたんですか! |
糸: | は‥‥はッ。 |
狩: |
裁判長。 ‥‥これが問題の凶器だ。 |
裁: | じゅ‥‥受理します。 |
法廷記録にファイルした。 | |
狩: |
よろしいか。 ‥‥これで、凶器の<<ピストル>>と <<弾丸>>がそろったわけだ。 刑事。 |
糸: | はは、は、はッ! |
狩: |
死体から発見された弾丸は、 そのピストルから撃たれたものか? |
糸: |
はッ。弾丸の線条痕が、その ピストルと一致したッス。 |
裁: | ‥‥ふむう‥‥。 |
真: |
ね、ね。なるほどくん。 なあに? ”せんじょうこん”って。 |
狩: |
おどろいたな‥‥ この場に、線条痕も知らない ドシロウトがいようとは‥‥。 |
真: |
うわぁ‥‥。こっち、ニラんでるよ なるほどくん‥‥。 |
成: | (やれやれ‥‥) |
狩: |
ふぅ‥‥いたしかたない。 説明してやろう。 ‥‥裁判長。おねがいする。 |
裁: |
えッ! わ、私が‥‥? ‥‥‥‥ あー、オホン。 線条痕というのは、ピストルの ”指紋”みたいなものです。 ピストルで撃たれた弾丸には 必ず、銃身によるキズがつきます。 そのキズを調べれば、弾丸が どのピストルから撃たれたかが、 ハッキリ特定できるのです。 |
狩: |
そう。 そして、この被害者の心臓から 見つかった弾丸は、 間違いなく、このピストルから 発射されているのだ。 この、被告人の指紋がベッタリ ついているピストルから、な。 |
裁: | せ‥‥静粛に! 静粛に! |
成: |
(まずいな‥‥ これじゃあ、御剣が撃ったとしか 考えられないぞ‥‥!) |
狩: | いかがか? 裁判長。 |
裁: |
ほぼ、決定的といって いいでしょう。 正直なところ、この時点で、 判決を下すことも可能です。 しかし。 |
狩: |
目撃証人の証言も気になる、と。 ‥‥了解した。 では。 ワガハイ、少しつかれたので、 ここで休憩をとろう。 証人を呼ぶのは、それからで よかろう。 休憩は10分でいいかな。 ‥‥裁判長! |
裁: | は、はい? |
狩: |
何をしている。 10分間、休憩だ。 |
裁: | い、いや、それは‥‥。 |
狩: |
早く、そのウスぎたない 木づちを鳴らさんかッ! |
裁: |
はいィッ! では、ここで10分間の休憩を とります。 |
成: | (‥‥イイのか? コレで!) |
地方裁判所 被告人第2控え室 | |
成: |
御剣! どういうことだよ! 凶器のピストルには、 お前の指紋がついてたんだぞ! |
御: | う‥‥ううむ‥‥。 |
成: |
しかも、この写真を見れば わかるとおり、 被害者を撃つことができたのは この写真の男しかいない! |
御: | ‥‥たしかに‥‥。 |
成: |
このボートに乗っているのは、 お前なのか? |
御: |
‥‥‥‥ そうだ。‥‥それは、私だ。 |
成: | なんてこった‥‥。 |
御: |
しかし‥‥信じてくれ。 私は撃っていない。 |
成: | じゃあ、いったい誰が! |
御: | それが‥‥よくわからない。 |
成: |
‥‥わからない? 目の前で見ていたんだろう! |
御: |
‥‥‥‥ いきなり、至近距離で 銃声が聞こえたんだ。 そして、あの男はボートから 落ちた。 ‥‥なぜかは知らんが‥‥、 あの男は、自分で自分を 撃ったのではないだろうか‥‥。 |
成: | じ‥‥自殺だ、っていうのか? |
御: |
‥‥‥‥ それしか考えられない。 |
成: |
‥‥ううん。 (そんなことが、あるのか?) ‥‥ところで、真宵ちゃん? |
真: | え‥‥な、なに? |
成: | 千尋さんは? |
真: |
ううう‥‥。 ごめんなさい。 ‥‥ダメ、みたい‥‥。 |
成: | ‥‥ううん。 |
真: |
なるほどくん。 ‥‥やっぱり、あたしじゃ なんにもできないのかな? お姉ちゃんのいない あたしなんて、意味ないのかな? |
成: |
そ、そんなことはないよ。 一生けんめい助けようと してくれているのはわかるから、 そのキモチだけでも‥‥ |
真: |
ムリしなくていいよ、 なるほどくん。 あたし、弁護のことなんて なんにも知らないもんね。 霊媒師なのに、霊も呼び出せ ないんだもん‥‥。 |
成: |
‥‥誰だって、調子がワルい ときはあるよ。 ぼくだって、今はたまたま うまいコトやってるけど、 こんなの、いつまでつづくか わからないんだからさ! |
真: | ‥‥ホント? |
御: |
ななな、成歩堂! フキツなコトを言うな! ‥‥心臓にワルい。 |
成: |
ははは。 (マイったな‥‥) |
裁: |
では、審理を再開しましょう。 狩魔検事。 ‥‥証人をおねがいします。 |
狩: |
ウム。 では、大沢木 ナツミを 入廷させてほしい。 |
狩: |
大沢木 ナツミ。 大学の研究生をしている? |
ナ: | はい。 |
狩: |
さっそくだが、事件の夜、 目撃したことを話してもらおう。 よけいなことは、いっさい ハブいてもらいたい。 いいな。 |
ナ: |
‥‥‥‥ なんやアンタ、そのタイドは‥‥ |
狩: | ‥‥いいな。 |
ナ: | ‥‥え、ええわ。わかったワ。 |
裁: |
えー、では。 ‥‥<<証言>>をおねがいします。 |