成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
ナ: |
『あれは、クリスマス・イブの 夜の、零時をすぎたころやったわ。』(証言1) 『ウチ、クルマの中におったんや。』(証言2) 『湖の方で、”パアン”て 音がしてなあ。』(証言3) 『窓から見ると、ボートの上に 男が2人、おったんや。』(証言4) 『そのとき、もう1回、音が したんや。』(証言5) 『湖の上には、間違いなく そのボートしか、なかったワ。』(証言6) |
狩: | それで、けっこう。 |
ナ: | ‥‥うう。 |
狩: |
裁判長。 彼女はたまたま、このときの ようすを撮影していた。 そのときの写真だ。 ‥‥受理していただきたい。 |
裁: |
こ‥‥これは! まさに、発砲のシュンカンでは ありませんか! |
裁: |
し‥‥静かにしなさい! 退廷を命じますぞ! |
狩: |
証言にあったとおり、 発砲があったとき、 湖の上には、このボートしか 存在しなかった。 つまり、撃ったのは、 いっしょに乗っていた男‥‥ すなわち、御剣 怜侍しか いない! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ‥‥静まりなさい! |
狩: |
‥‥‥‥ いかがか? 裁判長。 |
裁: |
これで、決定的ですね。 ‥‥私の迷いも、完全に なくなりました。 では、この場で御剣 怜侍に 対する判決を‥‥ |
成: |
ちょっと待ってください! ぼくの<<尋問>>がまだです! |
狩: |
‥‥<<尋問>>? 尋問も何も、証拠写真がある。 この写真は、 すべてを物語っている! ‥‥ムダだ。 それともキサマは‥‥ 今の証言に、何かムジュンした 部分を見つけたのかね? |
成: | ‥‥! |
狩: |
それならば、<<尋問>>を やってもらおうじゃないか。 しかし、もし当てずっぽうに 探りを入れたあげく、 何も出なかったら! そのときは、法廷侮辱罪を 適用してもらうぞ。 |
真: |
あの‥‥なるほどくん? ”ほうてい”‥‥何? |
成: |
”ブジョク罪”。 ‥‥意味はわかるだろ? |
真: |
うん。‥‥なんとなく。 それで、どう? さっきの証言、ムジュンした 部分はあった? |
成: |
‥‥い、1カ所”これかな” という部分が‥‥。 |
真: |
すごいね、なるほどくん! ‥‥あたし、気づかなかったよ。 じゃあ、アイツの挑戦、 受けてやろうよ! |
成: |
う‥‥うん。 (自信、ないんだけどなあ‥‥) わかりました。 ‥‥尋問をします! |
狩: |
クックックッ‥‥ ‥‥よかろう。 |
裁: |
時間のムダにならないことを 祈ってますよ。 |
成: |
あの場所でキャンプをしていた のは、なぜですか? |
ナ: |
ウチ、大学の研究員やねん。 研究に使う写真を 撮ろうと思ってなァ。 |
成: |
(‥‥さっきから、どうも ハッキリしないんだよな‥‥) |
成: |
ナツミさん。 研究というのは、 具体的にはどういう‥‥? |
狩: |
”証人がなぜ、あの場で キャンプをしていたのか?” そんなことは、事件には なんのカンケイもない! 質問は却下する。 |
裁: |
い、いやいやいや。 ‥‥決めるのは私です! |
狩: |
じゃあ、サッサと却下 したまえ! |
裁: | 質問を却下します。 |
成: | (ダメだ、コイツは‥‥) |
成: |
ハッキリ見たんですか? 2人の男を‥‥。 |
ナ: |
写真、見てみィ。 ちゃんと写っとるやん? |
成: | (‥‥どうしよう‥‥?) |
成: |
ちょっと待ってください! ぼくは、写真のことを 聞いたんじゃない! ”あなたが”見たのかどうかを 聞いているんです! |
ナ: | そ‥‥そりゃあ、モチロン‥‥ |
狩: |
証人は見たと証言している! それに、写真もある! いいかげん、指摘したまえ! ‥‥おトクイの”ムジュン”を! |
成: |
(何か、かくしてることが ありそうなんだけど‥‥) |
成: |
そのときは、見たんですか? 撃ったシュンカンを‥‥。 |
ナ: | ええ、まあ、そりゃあ‥‥。 |
狩: |
弁護人は、どうでもいいこと ばかり聞いておる! ”ムジュン”を指摘したまえ! ‥‥さあ! |
成: |
(狩魔のやつ‥‥ ぼくに、証人と話をさせない つもりらしいな‥‥ いったい、なぜ‥‥?) |
成: | それは、たしかですか? |
ナ: | ああ、間違いないで! |
成: |
(どうやら、ずいぶん、 自信があるみたいだな‥‥) |
成: |
どうしてそんなに 自信があるんですか? |
ナ: |
そりゃあアンタ、湖を スミズミまで見たからなァ。 |
成: |
(”湖をスミズミまで見た”? まるで、ボートよりも、湖の方に 興味があったみたいだな‥‥) ナツミさん。‥‥あなたは、 |
狩: |
‥‥弁護士。 証人はすでに答えておる。 ‥‥じゅうぶんな答えを、な。 |
成: | ‥‥くっ! |
狩: |
これ以上の質問に、 意味はない。却下! |
裁: |
あ、あの‥‥それは 私が‥‥。 |
狩: | 却下でいいな! |
裁: | ‥‥はい。 |
成: | (‥‥まいったな‥‥) |
裁: |
そこまで! もうけっこうです、 成歩堂くん。 どうやらあなたは、”ムジュン”を 指摘することはできないようだ。 |
成: | いや、しかし‥‥! |
狩: | ‥‥約束は守ってもらう。 |
裁: |
弁護人。 これ以上の発言には、 法廷侮辱罪を適用します。 |
狩: |
‥‥そうなったら、即座に 退廷しなければならない。 いいのかな‥‥? |
成: | ‥‥う‥‥ううん‥‥。 |
真: |
なるほどくん‥‥。 やっぱり、ナツミさんの証言は 少しおかしいよ‥‥。 |
成: |
た‥‥たしかに なんかスッキリしないよなあ。 でも‥‥。 発言を封じられたら、 もう、どうすることも‥‥。 |
裁: |
この時点で、審理は じゅうぶんだと考えます。 |
狩: |
では、被告に判決を 言い渡していただこう。 |
裁: |
わかりました。 では、御剣 怜侍、 証言台についてください。 |
裁: |
い‥‥いまのは、 ‥‥どなたが‥‥? |
真: | あ、あた‥‥あたしです。 |
成: | (真宵ちゃん!) |
裁: |
ど‥‥どうしましたか? トイレなら‥‥ |
真: |
そうじゃありません! ナツミさん! あなたの証言はオカシイです! 湖を見ていたのかどうかは アイマイだし、 御剣さんを見たかどうかも ハッキリしないし‥‥。 ホントのコト、話してください! 人のいのちが、 ‥‥かかってるんですよ! |
ナ: | ‥‥! |
真: |
ナツミさん! あなたは、ホントに御剣検事を ハッキリ見たんですか! 御剣検事が、ピストルを 撃つところを‥‥! |
裁: |
やめなさい! ‥‥弁護側の発言は 認めません! |
真: | 答えて! ナツミさん! |
ナ: |
なんや! ヒトを ワルモノあつかいしよって! 見たでウチは! ‥‥御剣を、ハッキリと‥‥ |
狩: |
そこまでだ! ‥‥裁判長。 ‥‥法廷侮辱罪で、 弁護士を退廷させたまえ。 |
裁: |
‥‥わ‥‥わかりました。 約束ですから、 しかたありませんね。 係官! 成歩堂 龍一の 身柄を拘束しなさい! 法廷侮辱罪により、 退廷していただきます‥‥ |
成: |
(こ‥‥ ここまでか‥‥!) |
真: | あた、あたしです! なるほどくんは、 カンケイありません! |
狩: |
ハッ! たいした違いはあるまい。 どっちにしろ、残っているのは もう、有罪宣告のみだ。 ‥‥そうだな? 弁護士・成歩堂 龍一! |
成: | それは違います! |
狩: | ‥‥なんだと? |
成: |
たった今、大沢木 ナツミさんは こう言いました! ”御剣検事を、ハッキリ見た”と! これは、 今までにない<<証言>>です! 弁護側は、この証言に対して、 <<尋問>>をする権利があります! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 静粛に! 静粛に! 静粛に! |
狩: |
そんな勝手な言いぶんが とおるか! 裁判長! ‥‥そんな意見は、却下だ! |
裁: |
‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ そうはいきません、狩魔検事。 |
狩: | なにっ! |
裁: |
大沢木 ナツミさんは、 新しい<<証言>>をしました。 当然、弁護人は<<尋問>>を する権利があります! |
狩: |
しかし! 弁護人は 法廷侮辱罪で‥‥! |
真: |
ブジョクしたのは、あたしです! 逮捕するなら、あたしだけに してください! |
裁: |
‥‥ふむう。 わかりました。 綾里 真宵! あなたには、 退廷してもらいましょう。 |
真: |
なるほどくん! ‥‥あたし、こんなことしか できないから。 あとは、たのんだよ。 ‥‥おねがい! |
成: | 真宵ちゃん‥‥! |
狩: |
フン! くだらん‥‥。 わかっているだろうな、 弁護士! ワガハイの証人に、ゆさぶりなど 許さんぞ! |
成: |
(なんとしても‥‥ ムジュンをつきつけなくては ならないワケか‥‥) |
裁: |
では! <<尋問>>を していただきましょう。 |
ナ: |
『ウチ、ハッキリ見たんや。ボートの 男は、たしかに御剣やった。』(証言1) |
成: |
‥‥やっと。 やっとつかまえましたよ。 ‥‥ナツミさん。 |
ナ: | な‥‥なんや。 |
成: | この写真を見てください。 |
ナ: | ウチが撮った写真‥‥? |
成: |
そうです。 いいですか。写真は ハッキリ写しています。 湖に立ちこめる、キリをね。 |
ナ: | ど‥‥どういうことや‥‥? |
成: |
あなたのごジマンの 高価なフィルムでも、 ボートに乗っている男のカオは、 まったく写っていません。 なのに、なぜ! あなたには御剣が見えたんですか! |
ナ: | あッ! |
裁: | ‥‥たしかに、そのとおりです! |
狩: |
だからワガハイは、そのことは 証言させなかったのだ! |
成: |
しかし、証人は今、こうして 証言をしてしまった! なぜ御剣を見ることができたのか! その説明をしていただきたい! |
裁: | 証人。 |
ナ: | な‥‥なんや! |
裁: |
あなたには、被告が 見えたんですか? |
ナ: | ト‥‥トーゼンや! |
裁: |
では、そのことを<<証言>> していただきましょう。 |
成: |
(‥‥やったぞ! ついにスキを見つけた! ‥‥今度こそ‥‥!) |