成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
ひょうたん湖広場 | |
成: | な‥‥なんだ、ありゃあ‥‥。 |
真: | ト‥‥トノサマン、だよね。 |
矢: | よっ! 真宵ちゃん。 |
成: |
おい、矢張。 ‥‥なんだよアレ! |
矢: |
いやー、カズミだよ、カズミ。 オレのカノジョ。 ”これ置くとォ、インパクト? あるしィ、売り上げが‥‥”って、 ノボリといっしょに プレゼントしてくれたんだよ! |
真: |
すごーい! カズミさんて、なんでも できるんですねー! |
矢: |
カノジョ、カオが 広いからさ。 あの番組、終わったらしくて。 タダでもらってきたんだとさ。 |
成: | はあ‥‥。 |
矢: |
おい、成歩堂! 御剣はどうなったんだよ! |
成: |
今日の法廷は、なんとか 逃げ切ったけど‥‥、 まだ、なんとも言えないな‥‥。 |
矢: | ‥‥ふうん。 |
真: |
ねえ、ねえ、知ってました? 御剣検事って、地震が ニガテなんですよ! コドモみたいですよねー。 |
矢: |
? おかしいな‥‥。 ムカシは、そんなこと なかったけどなあ。 |
真: | あれ‥‥そうなんですか? |
矢: |
まあ‥‥アイツとのつきあい、 1年ぐらいだからな。 すぐに、転校して いっちまったから‥‥。 |
真: | 転校‥‥。 |
成: |
(”DL6号事件”が 起こったからだ‥‥ 矢張も、あの事件のことは 知らないみたいだな‥‥) |
成: |
おい、矢張。 あの目ざわりなシロモノは、 いつから‥‥? |
矢: |
ああ、あのデカいヤツか? そうだな。もう1ヶ月ぐらいに なるかな‥‥。 子供たちには、けっこう ウケがいいんだぜ。 |
成: |
じゃあ、なんで昨日は なかったんだ? |
矢: |
え! ええ? いや、その。 コ‥‥コンプレッサーが こわれちまってサ。 |
真: | こんぷれっさー? |
矢: |
ホレ、屋台の横にあるだろ? 小さなキカイが。 あれを使って空気を 入れるんだけどサ。 ちょっと前にコワれちまって。 修理に出してたんだよ。 |
真: |
なんだ。 ヤッパリさんが ふくらませたんじゃないんだ。 |
貸しボート小屋前 | |
真: |
‥‥‥‥ ここって、いつも しずかだねえ。 ボート屋さん、 やってないのかな。 |
成: |
湖で殺人があった わけだから、 しばらく休むんじゃないかな。 |
真: | なるほど‥‥。 |
真: |
な! なるほどくん! 反応してるよ! き、金属探知機がッ! |
成: |
‥‥き、近所メイワクな 探知機だな‥‥。 (どうやら、奥のシゲミに 反応しているみたいだ‥‥) 真宵ちゃん。ちょっと見てきて。 |
真: |
‥‥なんであたしが‥‥。 こんなものが。 |
成: |
‥‥それって‥‥ ボンベ、だよな。 栓の部分がこわれてるみたいだ。 |
真: | ヒョッシーじゃなかったね。 |
成: |
いいかい真宵ちゃん。 まず、ヒョッシーは シゲミにはいないんだ。 そして、ヒョッシーは、 金属探知機には反応しないよ。 |
真: | ううう‥‥。 |
成: |
? (‥‥このボンベ‥‥ 何かからみついてるな‥‥ ‥‥万国旗?‥‥) |
真: |
いちおう、ひろっておこうか。 せっかくだし。 |
成: | (‥‥重いな) |
<<ボンベ>>をひろった。 | |
矢: |
なんだよ。 ‥‥ボンベ、か‥‥? それがどうかしたか? |
成: |
矢張。 このボンベだけど‥‥、 |
成: |
このボンベ‥‥ お前のじゃないか? |
矢: | ‥‥な、なんでだよ! |
成: |
ホラ、ボンベの栓のところに、 万国旗がからまっているだろ。 うしろのトノサマンの万国旗と 似ているからさ。 |
矢: |
‥‥‥‥! ‥‥グ‥‥グーゼンだろ。 万国旗なんて、どこにでも あるからな‥‥ ホレ‥‥小学校とか、中学校とか。 だいいち、ボンベなんて、 オレが何に使うって言うんだよ! |
成: |
お前、これを使って ふくらませたんじゃないのか? |
矢: | な‥‥何をだよ! |
成: |
決まってるだろ? うしろでイバってる、 あのトノサマンだよ。 |
矢: |
‥‥‥‥!! ‥‥ そ、そんなことを聞いて、 どうしようってんだよ。 |
成: | (どうやら、図星らしいな‥‥) |
矢: |
‥‥‥‥ ま‥‥まあ、な。 実はさァ。 いつも使ってるコンプレッサーが コワれちまってよ。 1回、ためしに使って みたんだけど‥‥ ダメ。うまくいかなかったよ。 |
成: | (やっぱりそうだったか‥‥) |
成: | ”うまくいかなかった”‥‥? |
矢: | ま、まあな。 |
成: |
その話、もっとくわしく 聞かせてくれないか? |
矢: |
な、なんでよ? じつはこの話、あんまり したくないんだよなァ‥‥。 |
真: | えー。聞きたい聞きたい! |
矢: |
‥‥‥‥ ‥‥わかったよ。 いやナ。さっきも言ったけど、 コンプレッサーがコワれたからさ、 ボンベの空気でふくらまそうと してみたワケよ。 ところが! |
矢: |
すげェ音がして 栓がハジけ飛んじまってさァ! ボンベのヤツ、ロケットみたいに ”しゅぽーん!”って‥‥ しわしわのトノサマンくっつけて、 飛んでいっちまったんだよ! |
真: | ええーっ! |
矢: |
そりゃあすげェ音がして、 オレもビビっちまったよ! |
真: |
‥‥あのぉ。 トノサマンをくっつけたボンベが 飛んだのはわかったんですけど、 ‥‥それから、 どうなったんですか? |
矢: |
アレが起こったのが、 20日ゴロでさ。 |
成: |
(20日‥‥。 今から、約1週間前か‥‥) |
矢: |
どうもボンベのヤツ、湖の方へ 飛んでいったみたいだから、 それから毎晩、ボートで 必死に探したんだよ。 なんたって、カズミがくれた 愛のトノサマンだからさァ。 |
真: | で、いつ見つけたんですか? |
矢: |
ああ。やっと、おとといの夜さ。 スゲェとおくまで飛んでたよ。 探すのに4日もかかっちまった。 |
成: |
(おとといの夜‥‥って 事件があった夜じゃないか!) |
矢: |
‥‥ゴメンな、成歩堂。 事件の夜、じつはオレ、ここに いたんだよ。 でもな。オレ、12時より前に 帰っちまったから‥‥。 |
真: |
湖で事件があったことは 知らないんですか‥‥。 |
矢: | まあね。 |
真: | うーん‥‥ザンネン。 |
成: |
でもさ。 どうやら、ヤッカイなナゾが1つ、 カイケツしたみたいだな‥‥。 |
真: | ヤッカイなナゾ‥‥? |
成: | (報告しに行くか‥‥彼女に) |
ひょうたん森 | |
ナ: |
おっ! アンタら。 どうや。‥‥ヒョッシーのコト、 何かわかったんか? |
真: |
‥‥ええと、 まだ見つからないんですよ。 |
ナ: |
気合い入れなアカンで。 この辺、夜は冷え込むからなぁ。 |
真: |
そういえば‥‥サムいですね。 あ‥‥クシャミが‥‥。 |
ナ: |
ア、アカン! クシャミはアカンでぇぇぇ! |
真: | ハックショ! |
カシャ カシャ カシャ カシャ! カシャ カシャ カシャ カシャ! カシャ カシャ カシャ カシャ! カシャ カシャ カシャ カシャ! カシャ カシャ カシャ カシャ! カシャ カシャ カシャ カシャ! | |
真: | ‥‥‥‥‥‥ |
ナ: |
コラァ! クシャミはアカン 言うたろぉが! 自動シャッターの”破裂音”の 設定を、少しユルめたんや。 今、カメラはカルマ検事の 指パッチンにも反応するんや! |
真: | ううう‥‥スミマセン。 |
ナ: |
どぉぉしてくれるんや! フィルム! |
真: | なるほどくん。‥‥払っといて。 |
成: | (‥‥とほほ) |
ナ: |
ウチな、今日の裁判で、 つくづく思い知ったんや。 ええかげんなキモチで 証言したらあかんねんな、って。 だから、もうあの事件のことは しゃべらんことに決めたんや。 |
真: | へええ。 |
成: |
いやいや。この事件について、何か 情報があるって言ってましたよね。 それを教えてくださいよ! |
ナ: |
だぁかぁらぁ。 ‥‥それは、ヒョッシーの情報と 引きかえや。 |
ナ: |
どうやニイちゃん。 ウチは待ってんねんで。 アンタの情報をナ。 どうや? ヒョッシー、 見つかりそうなん? |
成: |
ナツミさん。 ‥‥いないんですよ。 ヒョッシーなんて、ね。 |
ナ: | な、なんやて! |
真: |
ホ‥‥ホントなの! なるほどくん! |
ナ: |
ど‥‥どうしてや! 証拠でも、あるんか! |
成: |
ヒョッシーがいないという 証拠は‥‥ |
成: |
もちろんあります。 弁護士は、証拠なしには ケツロンは出しませんから。 ヒョッシーがいないという 証拠は‥‥ |
真: | 矢張さんのボンベ‥‥? |
ナ: | ‥‥なんや、そのボンベは。 |
成: | これが、ヒョッシーです。 |
ナ: | ‥‥はぁ? |
真: |
ど‥‥どういうこと、 なるほどくん? |
成: |
この近くに、マンジュウの 屋台があるんですよ。 そこには、空気でふくらませた 大きな人形があるんです。 1週間前、ちょっとドジなヤツが ボンベでそれに空気を‥‥。 ボンベの栓は破裂して、 湖の方へ飛んでいきました。 ”パァァン!”という 破裂音とともにね。 |
ナ: | ‥‥”破裂音”‥‥。 |
成: |
ボンベは、しわしわの人形を つけたまま、湖に着水しました。 この瞬間! 偶然、湖のほとりで写真を 撮ったカップルがいたんです。 それが、この写真です。 |
真: |
じゃあ‥‥ じゃあ、ヒョッシーの正体は‥‥ しぼんだトノサマンだったの!? ‥‥‥‥ |
ナ: |
‥‥‥‥‥‥ ウチのユメもしぼんだわ。 |
成: | すみません‥‥ナツミさん。 |
ナ: |
わかったわ‥‥。 アンタの勝ちや。 ヤクソクどおり、情報を 聞かせてやるで‥‥。 |
真: |
ナツミさん、ちょっと カワイソウ‥‥。 |
成: |
じゃあ、ナツミさんの知っている ”情報”を教えてください。 |
ナ: |
‥‥しゃあないな。約束やし。 警察で聞いた話やけど、 明日の検察の証人なァ、 この先にある貸しボート屋の 管理人らしいで。 |
真: |
貸しボート屋‥‥? あそこ、ヒトがいたんですか? |
ナ: |
オッサンが1人で 住んでるんや。 調べてみたらええんちゃう? |
真: |
ありがとう! ナツミさん! ホラ、行こうよなるほどくん! |
ナ: | ちょっと待ちィ。 |
成: | まだ、何かあるんですか? |
ナ: |
事件のあった晩やけどな。 ウチのカメラ、 2回作動してたんや。 |
真: |
‥‥! じゃあ、この写真以外に、 もう1回、撮影を‥‥? |
ナ: |
まあな。 ただ‥‥湖には なーんも写っとらん。 なんの証拠にもならん思ォて、 今まで出さなかったんやけど、 何がどういう証拠になるか わからんからな。 コレ、持って行きィ。 |
法廷記録に挟んだ。 | |
ナ: |
ほな。 ウチ、荷物かたづけて 帰るさかい‥‥。 |
真: |
‥‥‥‥ ナツミさん、カワイソウ‥‥。 |
成: |
矢張のせいだ。 アイツの伝説は、 いまだ健在だったな。 |
真: | ”でんせつ”‥‥? |
成: |
矢張の関係者はみんな、 この言葉を思い知る運命なんだよ。 ”事件のカゲに、ヤッパリ矢張” ‥‥ってね。 |
真: |
‥‥‥‥。 ちょっぴりメイワク、かも。 |