成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
貸しボート小屋前 | |
真: |
ねえねえ、なるほどくん。 ナツミさんが言ってたの、 あそこのボート屋さんだよね。 |
成: |
‥‥そうだね。 でも、人のケハイなんか しないぞ‥‥。 |
真: |
ま。ま。 とにかく、行ってみようよ。 |
管理人の小屋 | |
オ: | ‥‥メグミ! |
真: | きゃっ! |
オ: |
それに、ユキヒロじゃないか! お前たち、今までどこに‥‥! シンパイかけおって‥‥。 |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ な、なるほどくん。 ‥‥ささ、どうぞ。 |
成: |
いやいや。 ここは真宵ちゃんが‥‥。 |
オ: | メグミや。 |
真: | は、はい! |
オ: | やっと決心してくれたか。 |
真: | は‥‥はい? |
オ: | このソバ屋、ついでくれるか! |
真: | そ‥‥そばや? |
オ: |
そーかそーか。 ‥‥とーさん、安心したぞ。 おマエたち兄妹そろって 出ていっちまったときは、 どうやってノレンを 守っていこうかと‥‥ サユリさん。 ‥‥2人がもどってきたよ。 |
サ: | ”オハヨー、オハヨー” |
真: |
な、なるほどくん! ‥‥い、今の‥‥! |
成: |
オウムだよ。 ‥‥止まり木にいるヤツ。 |
オ: | ユキヒロや。 |
成: | は、はい! |
オ: |
”長寿庵”のノレンは オマエにマカせたぞ。 |
真: |
なるほどくん。 ”長寿庵”ってなに? |
成: |
今までの情報からスイリするなら、 たぶんソバ屋の名前だろう。 |
オ: |
サユリさん。 ‥‥もう安心だなあ。 |
サ: | ”オハヨー、オハヨー” |
オ: |
そーかそーか。 ‥‥‥‥‥‥ ぐう。 |
真: | 寝ちゃった。 |
成: | 安心したみたいだ。 |
オ: | ‥‥ぐう‥‥ |
成: | あの‥‥おソバ屋さん、って? |
オ: |
ジイさんの代から受けついだ ”長寿庵”のノレンも、 やっとお前たちに わたすことができるのお。 メグミや。 |
真: | は、はい! |
オ: |
明日からみっちり、三返りのゴクイ をタタキ込んでやるからなあ。 |
真: | み、みかえり‥‥? |
オ: | ユキヒロも。 |
成: | は、はい。 |
オ: |
オマエも、 リッパな板前になるんだぞ。 |
真: |
板前‥‥って、 おスシ屋さんじゃなかったっけ? |
オ: | メグミ! |
真: | は、はい! |
オ: |
板前といえば、ソバを打つ職人の ことに決まってるだろお? |
成: |
そ、そうですよね。 決まってますよね。 |
真: | なるほどくん。 |
成: | ん? |
真: |
いつまでつづけるの? ‥‥この不毛な親子ごっこ。 |
成: |
(‥‥このオジさんは、事件のことを 何か知っているハズだ。 それを聞き出すまでは、まだ 帰れないぞ‥‥) |
オ: | ‥‥ぐう‥‥ |
成: |
あの‥‥。ここ、貸しボート屋 ですよね‥‥? |
オ: |
何を言っとる! ここはソバのしにせ、 ”長寿庵”だよ。 なんか知らんが、最近の客は ソバも注文しないで、 ”ボートに乗りたいんですけどぉ” なんて言いやがるからなあ。 しかたなく、ボートも 置いてあるんだよ。 マッタク、ワケわからんなあ。 |
成: | ホント、ワケわかりませんね。 |
真: |
なるほどくん。 ‥‥ダメだよこりゃあ。 |
成: |
‥‥でもこのオジさん、 明日の法廷の証人、なんだろ? 事件について、何か情報を 引き出しておかないと‥‥。 |
真: |
わあ‥‥。 リッパなオウムだなあ。 オハヨー。 |
サ: | ”‥‥‥‥” |
真: | コンニチハ。 |
サ: | ”‥‥‥‥” |
真: | ‥‥ムシされた。 |
オ: |
‥‥ぐう‥‥ わすれたのか、メグミ。 まず、名前を呼ばないと。 |
真: | なまえ? |
オ: |
サユリさん。 どうだい、最近? |
サ: | ”オハヨー、オハヨー” |
オ: | な。 |
真: |
‥‥へえ! そのオウム、 ”サユリさん”ていうんだ。 |
法廷記録にファイルした。 | |
真: |
でも、”オハヨー”だけじゃ つまんないね。 |
オ: |
ホッホッホッ! サユリさんは、いろんなコトを しゃべるぞお。 それには、”合い言葉” が必要なんだなあ。 |
真: | ”合い言葉”‥‥? |
オ: |
‥‥ぐう‥‥ いやな。‥‥すっかり わすれっぽくなっちまったから、 ダイジなことはゼンブ、 サユリさんに教えてあるんだよ。 |
真: |
ダイジなコト? ‥‥じゃあ、たとえば‥‥。 サユリさん。金庫の番号は? |
サ: | ”‥‥‥‥1228” |
真: | やったあ! |
オ: |
コ、コラ! サユリさん! ‥‥不用心な。 |
真: |
フッフッ、なるほどくん。 ‥‥アタマを使わないとね。 |
成: | (ワルいヤツ‥‥) |
真: |
ほら、ほら、なるほどくん。 メモメモ。 |
成: | い、いいのか? |
オ: |
‥‥ぐう‥‥ ‥‥! 弁護士バッジ‥‥? |
成: |
は、はい。 (バッジだけ見て 弁護士だってわかるなんて‥‥ このオジさんが初めてだぞ‥‥) |
オ: |
‥‥‥‥‥‥ ‥‥ワカったぞ‥‥。 |
成: | ? |
オ: |
さてはオマエ‥‥ ユキヒロじゃないなあッ! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
真: |
な、なるほどくん! とりあえず、 ゴカイを解くチャンスだよ! |
成: |
‥‥オジさん。 ぼくはユキヒロ じゃありません。 |
真: |
ちなみに、あたしも メグミちゃんじゃありませんから! |
オ: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
ぼくたち、湖で起こった 殺人事件を調べているんです。 |
真: | 協力してください! |
オ: |
‥‥‥‥‥‥ そうだったのか。 ‥‥弁護士‥‥。 |
真: | オジさん、おねがい。 |
オ: |
‥‥わかった。協力するよ。 ただし、1つだけ条件がある。 |
真: | な‥‥、なんですか? |
オ: |
その事件が解決したら、 長寿庵のノレンを つぐと約束してくれ! |
成: | わかった。約束します。 |
真: | な、なるほどくん! |
成: |
‥‥いいよ。 この事件さえ解決するんなら。 それに。 ”ソバ処 成歩堂”の方が ぼくの名前にもマッチしてるし。 |
真: | ‥‥それもそうだね。 |
オ: |
よく言ったッ! それでこそユキヒロだ! |
成: |
い、いやいやいや、 だから、オジさん‥‥ |
オ: | メグミもッ! |
真: | は、はいッ! |
オ: |
そーかそーか。 ‥‥とーさん、うれしいぞ‥‥。 じゃあ、話を聞こうか。 ‥‥なあ、サユリさん。 |
サ: | ”オハヨー、オハヨー” |
真: | ううう‥‥。 |
成: |
(なんとかして事件に関する情報を 聞き出すんだ‥‥!) |
オ: | ‥‥ああ。コレなァ。 |
成: |
オ、オジさん! なんか知ってるんですか! |
オ: | ユキヒロ。 |
成: | は、はい! |
オ: | ‥‥おとーさんと呼べ。 |
成: |
‥‥‥‥ お、おとーさん! なんか知ってるんですか! |
オ: |
これ、あれだろ? おとといの夜、そこの湖で‥‥。 |
真: | そうです! |
オ: |
そりゃ知ってるよ。 見てたもん。 |
真: |
ええええっ! き、聞かせてください! その話! |
オ: |
やれやれ。 ソバのことにも、それだけ マジメになってくれりゃなあ‥‥。 |
オ: |
時間は忘れたが、ソトは暗かったし たぶん、夜だったと思う。 |
成: | (夜中の12時すぎだよ‥‥) |
オ: |
パアン! て音が聞こえてな。 ソトを見たんじゃ。 するともう1発、パアンと。 しばらくすると、 ボートが帰ってきてなあ。 若い男が、窓の外を 通りすぎて行ったよ。 ヒトコト、つぶやいてな。 |
真: | ‥‥な、なんて‥‥? |
オ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ あれは、そう‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ わすれた。 明日の法廷までには 思い出しておくよ。 |
真: | それじゃ、おそいよ‥‥。 |
オ: |
あ。そういえば。 さっき、タミオくんが来てなあ。 |
成: | ”タミオくん”‥‥? |
オ: |
ホレ、オマエが小さかったコロ よく泣かされた、となりの子だよ。 うすぎたないコートを着た、 ヒゲヅラの‥‥。 |
成: | (‥‥イトノコ刑事のことか‥‥) |
オ: |
アイツが来てな、 明日、裁判所に来いとさ。 |
真: | ううん‥‥。 |
成: |
(とりあえず、このオジさんから 聞けるのは、こんなとこかな) 真宵ちゃん。 ‥‥そろそろ帰ろうか。 |
真: |
そうだね。 あ。ちょっと待ってね。 ‥‥最後にもう1つ。 |
成: | ? |
真: |
サユリさんサユリさん。 何かわすれたこと、ないかな? |
サ: |
”‥‥‥‥‥‥ DL6号事件を忘れるな” |
真: |
‥‥え‥‥。 今‥‥なんて言った? なるほどくん。 |
成: | サユリさん、もう一度! |
サ: | ”DL6号事件を忘れるな” |
成: |
(ど‥‥、どういうことだ‥‥!) オジさん! ‥‥いや、 おとーさん‥‥! |
オ: | ぐう。 |
成: |
(‥‥このオジさん‥‥ いったい、ナニモノなんだ?) |
真: |
‥‥なんでサユリさん、 DL6号事件のことを‥‥。 |
成: |
あのオジさんの正体を 考えなきゃいけないな。 |
真: | あ。 |
成: | どうした? |
真: |
オジさん、カギかけちゃった。 ドアの向こうから。 |
成: |
(‥‥‥‥‥‥ ‥‥あのオジさん、 ナニモノなんだろう‥‥? もっと知る必要があるな‥‥ DL6号事件のこと。 聞いてみるか‥‥ イトノコ刑事にでも‥‥) |
警察署内 刑事課 | |
糸: |
おっ! ひさしぶりッス! ‥‥‥‥‥‥ まァた、サエないカオ してるッスな‥‥。 今度はどうしたッス? |
成: |
‥‥ちょっと、聞きたいことが あって来たんですよ。 |
糸: | 聞きたいこと‥‥? |
成: |
ひょうたん湖公園に、 貸しボート屋がありますよね? |
糸: | ああ‥‥。 |
成: |
明日は、そこのオジさんが 証人で出てくるんですよね? |
糸: |
‥‥まいったッスね。 ゴクヒだったッスけど‥‥。 |
真: |
刑事さん。‥‥あのヒト、 いったいダレなんですか? |
糸: |
‥‥‥‥ それが‥‥わからねッス。 ちょっと変わった人物で、 話が通じないッス。 証人としての説得力が 足りないと判断したから、 カメラマンの大沢木 ナツミを 証人席に呼んだッス。 彼がいったい、ナニモノか‥‥? 素性・その他、いっさい ナゾッス。 |
真: |
ナゾ‥‥。 アヤシイなあ‥‥。 |
糸: | ううん‥‥‥‥。 |
成: |
イトノコ刑事。 おねがいがあります。 |
糸: | な‥‥なんスか? |
成: |
”DL6号事件”の詳細を 教えてください。 |
糸: | ‥‥‥‥! |
成: |
御剣の父親が亡くなった事件。 どうも、それが今回の事件にも カンケイがあるみたいなんです。 |
糸: |
‥‥‥‥。 実は、自分もくわしいことは 知らないッス。 御剣検事から、資料を読むことも 禁じられているッス。 だから、アンタたちにも、 資料を見せるわけにはいかねッス。 |
真: | ええーっ。 |
糸: |
ただし。 DL6号事件が、今回の事件に カンケイがあると、 自分をナットクさせてくれたら、 考えなおしてもいいッス。 |
糸: | なんスか。‥‥オウム? |
成: |
ボート屋のオジさんのオウムです。 このオウム、あの事件のことを 知っていたんですよ。 |
糸: | あの事件? |
成: |
”DL6号事件”ですよ、 モチロン。 |
糸: | な、なんスとォ! |
真: |
『サユリさんサユリさん。 何かわすれたこと、ないかな?』 |
サ: |
『”‥‥‥‥‥‥ DL6号事件を忘れるな”』 |
真: | 『‥‥え‥‥。』 |
成: |
たぶん、あのオジさんが教え込んだ コトバなんでしょう。 |
糸: |
しかし、なぜあのオジさんが、 DL6号事件を‥‥? |
成: |
もしかしたら‥‥。 あのオジさん、DL6号事件の 関係者なのでは‥‥? |
真: | そ‥‥そんな‥‥! |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ わかったッス。 どうやら、アンタにはDL6号事件 の資料が必要みたいッス。 この先に、署の資料室があるッス。 トクベツに入室を許可するッス。 調べてみるといいッス。 |
真: |
さすが、イトノコ刑事さん! ささ。なるほどくん。 行ってみようよ! 資料室! |
成: |
(御剣の過去と向き合う ときが来たか‥‥) |
警察署内・資料室 | |
真: |
うわあぁ‥‥ すごい‥‥‥‥ホコリ。 |
成: |
ま、まあ、なん10年ぶんの 資料とホコリだからなあ。 |
真: |
とにかく、早く探そうよ。 ‥‥DL6号事件の資料。 |
成: |
(15年前‥‥といえば、 ぼくも御剣も9才だ。 やつが突然、転校していったのが 小学4年生の3学期‥‥ この事件のためだろうな‥‥) |
真: |
なるほどくん! わかったよ、資料の場所。 |
成: | あ‥‥ありがとう。 |
真: |
事件について知りたいことを、 あたしに話して! そのファイル、取ってくるから。 |
成: |
やっぱり、DL6号事件の概要を 知りたいな。 |
真: |
そうだね。 がいよう‥‥がいよう‥‥と。 あったあった。 はい。これ。 |
成: | 2001年 12月28日‥‥か。 |
真: |
ちょうど15年前の、 あさってだね。 |
成: |
(あと2日で時効、ってことか) 事件は、地方裁判所のエレベータ内 で、発生した。 |
真: |
えっ! 地方裁判所って、あたしたちが いつも裁判をしているところ? |
成: |
‥‥そうだね。 この日の午後2時ごろ、 大きな地震が発生した。 裁判所の建物は一部、倒壊して、 全館が停電した。 |
真: |
‥‥うわあ。スゴイ地震 だったんだねー‥‥。 |
成: |
その際、停止したエレベータの中に 3名の人間が閉じこめられた。 彼らがエレベータから救助 されるまで、 5時間かかったらしい。 |
真: | やだ。暗いの、こわいな‥‥。 |
成: |
エレベータ内は極度の酸欠状態で、 生存者は、意識がなかったらしい。 |
真: | ”生存者”‥‥? |
成: |
3名のうち1人が、心臓に銃弾を 撃ち込まれて死んでいた。 |
真: |
亡くなっていたのは、御剣検事の お父さん‥‥だよね。 |
成: |
(”目の前で父親を撃たれた”と 言っていたから‥‥ もう1人は、御剣 怜侍自身 だろうな‥‥) |
成: |
被害者‥‥御剣のお父さんの データはある? |
真: |
待ってね。 ‥‥被害者、被害者と。 あった! これこれ。 |
成: |
御剣 信。35才。弁護士。 ‥‥生きていれば、今年50才か。 午後の法廷で敗訴した帰り、 子息の怜侍とエレベータに‥‥。 |
真: | ”れいじ”‥‥って! |
成: | 御剣検事だよ、もちろん。 |
真: |
お父さんと、いっしょに エレベータに乗ったんだ‥‥。 |
成: |
弾丸の入射角度その他から、 自殺ではあり得ない‥‥。 凶器のピストルは、エレベータの 中から発見された、と。 ピストルは、2発撃たれていた。 (‥‥なんか‥‥ 今回の事件と、どことなく 似ているな‥‥) |
成: | 容疑者のデータ、あるかな。 |
真: |
ああ。あたしのお母さんが 霊媒で逮捕させたヒトだね‥‥。 ちょっと待ってね。 ‥‥これかな? |
成: |
容疑者として逮捕されたのは、 灰根 高太郎。 裁判所の係官だって。 |
真: |
エレベータに閉じこめられた、 3人目の男‥‥、か。 そりゃ、コイツしかいないよね。 ハンニン。 |
成: |
でも、コイツは無罪になっている。 ‥‥弁護をしたのは、生倉弁護士。 |
真: |
ナマクラ‥‥って、 今回の事件の被害者だよね。 |
成: |
そういうこと。 容疑者の灰根は、極度の酸欠状態で 脳にダメージを受けて‥‥、 記憶を失っていた‥‥。 無罪になった後、プッツリと すがたを消している‥‥。 |
真: |
ハイネさん‥‥どこへ 行っちゃったのかな‥‥。 |
成: |
(意外に近くに いたりしてな‥‥) この事件が御剣にどんな影響を 与えたのかはわからないけど、 だいたい、事件の内容は わかったかな‥‥。 |
真: |
なるほどくん。 このファイル、持ってくの? ムリだよ! こんなにあるのに。 |
成: |
そ、そうだね。 ‥‥とりあえず、 必要そうな情報だけ‥‥。 |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
よし。 とりあえず、集められる情報は こんなところだろう。 あとは、明日‥‥。 あの”おとーさん”が どう出るか、だな‥‥。 |