成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
須々木 マコ…橙 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
亜内検事…茶 | |
諸平野 貴雅…紫 |
成: |
モロヘイヤさん! なくした携帯電話は、 今どこに‥‥? |
諸: |
ヤレヤレ‥‥。 何をあわてているんだか。 ちゃんと見つけたよ。 ホラ、これだ。 |
成: | あ‥‥、そうなんですか。 |
真: |
なんだ、ちゃんと持ってるよ。 ‥‥あたしてっきり、それ、 あの人のモノだと思ったのに。 |
成: | うーん‥‥。 |
裁: |
わかりました。 事件が起こったとき、証人は 携帯電話を落としていた。 だから公衆電話を探していて、 通報がおくれた、と。 |
諸: |
まあ、おおむねそのとおりと 考えても、特に問題はないですね。 |
裁: |
どうですか? 弁護人。 これで問題ありませんね? |
成: |
裁判長! まったく、お話になりません。 モロヘイヤさんが、公衆電話を 探していたはずがない! |
諸: | な‥‥なんだって! |
亜: |
そこまでキメつけるからには 当然、証拠があるんでしょうな! |
成: |
え! ‥‥も、もちろんです。 (だいじょうぶだよな、証拠‥‥) |
裁: |
ふむう‥‥。 では、示してもらいましょう。 証人が、公衆電話を探していた はずがないという証拠を! |
成: |
考えるまでもありません。 ‥‥これを見てください。 |
裁: | 事件の現場写真、ですか? |
亜: | それがどうかしたかね? |
成: |
”どうかしたかね” じゃありませんよ。 これを見てもわからないなんて、 それこそどうかしている! |
諸: | うおおおッ! |
裁: | で‥‥電話ボックス‥‥! |
成: |
そのとおり! 証人は、3歩あるくだけで 電話ボックスにたどりつけた! 証人! ‥‥なぜ、 そうしなかったのですか! |
諸: | ぐはああぁッ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
亜: |
つ、通報がおくれたから なんだと言うのですか! |
成: |
証人は、その15分間の ことを説明できないでいる! これはかなり、アヤシイ! |
裁: |
ふむう‥‥たしかに。 どうなんですか、証人! |
諸: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
ね。ね。やっぱり、その携帯電話、 アイツのなんじゃないかな。 それを取りもどすために 殺したんだよ! 町尾巡査。 |
成: |
でも、マコちゃんは、アイツに それを返すはずだったんだぞ。 殺す必要なんて、ないよ。 それに、マコちゃんが拾った電話、 そもそもまだ、ここにあるし。 |
真: |
うーん‥‥。 でも、携帯電話じゃないとしたら、 何を探してたのかな? モロヘイヤさん。 |
成: | (何かを探していた、か‥‥) |
裁: | 弁護人。 |
成: | ‥‥はい。 |
裁: |
あなたには、何か考えが あるのではないですか? 空白の15分のあいだ、 この証人が何をしていたか‥‥? |
成: | ‥‥1つだけ、考えがあります。 |
裁: |
わかりました。 弁護人の考えを聞きましょう。 ‥‥ただし。その考えに説得力が なかった場合‥‥ ペナルティを与えます。 ‥‥よく考えてください。 |
成: |
は、はい! (しまった‥‥。”1つだけ” なんて言わなきゃよかった‥‥) |
裁: |
以下の疑問の答えを示す 証拠品を提示してください。 ”証人はなぜ、警察にすぐ 通報しなかったか‥‥?” |
成: | モロヘイヤさん! |
諸: |
な、なんだ! オドかさないでくれたまえ‥‥。 |
成: | これは、あなたのメガネですね? |
諸: |
あっ! ど、どこでそれを‥‥ ハッ‥‥‥! |
成: |
‥‥聞きましたかみなさん。 彼は今、認めましたね。 このメガネが、 自分のものであることを! |
成: |
モロヘイヤさん、 教えてあげましょう。 こいつは、被害者の死体の下から 発見されたんですよ。 |
諸: |
ななな、なんだってェェェ! 死体の下ァァァ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
諸: |
まま、ま、ま、待ってくれ! ボ、ボクは、 何も認めたワケじゃないぞ! |
成: |
裁判長! 答えはハッキリしています! 町尾巡査は、つき落とされたとき、 犯人のメガネをつかみとった! メガネをなくした犯人は、 必死でそれを探した! しかし、死体の下には 気がつかなかった! ‥‥だから、通報が15分、 おくれたのです! |
裁: |
べ‥‥弁護人! つ、つまりあなたは‥‥ 告発するつもりですか! この証人を‥‥真犯人だと! |
成: | ‥‥もちろん、そのつもりです! |
諸: |
う‥‥‥‥ うおおおおおおおおおおおおッ!! |
成: |
真犯人は、アイツだ!) |
真: |
なるほどくん! ゼンブ、わかっちゃったの? |
成: |
‥‥なんとなく、ね。 やっぱり、事件のカギは この携帯電話だったんだよ。 ‥‥とにかく、 アイツを沈めるチャンスだ! イッキに追いつめるぞ! |
真: |
う‥‥うん! なんだかあたし、コーフンして きちゃったよ‥‥! |
成: |
(‥‥どうやらぼくは 自分をとりもどしつつあった。 ノルかソルかの勝負。 その、身を切るような一瞬! それはたしかに、ぼくがいつも 求めていたものだった‥‥) |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
亜: |
裁判長! べ‥‥弁護人に法廷ブジョク罪を! なんのコンキョもなく 証人を犯人呼ばわりして‥‥ |
諸: |
そそ、そ、そうだ! ボ、ボクが犯人なワケ、 ないじゃないかッ! この‥‥この、三流の ヘボ弁護士が‥‥ |
成: |
‥‥モロヘイヤさん。 じゃあ、逆に聞きましょう。 どうしてあなたが 犯人じゃないと言えるんですか! |
諸: |
な‥‥! そんな、 カンタンなコトだろ! たとえば、アレがある! ‥‥被害者が書き残した名前! |
成: |
ああ。‥‥あの<<鈴木>>という 文字のことですか? |
諸: |
い、いくらキミでも、 それぐらいは読めるだろう? |
成: |
しかしこれは、被害者が 書いたものではない! 被告人の名前は<<須々木>>だし、 被害者は左ききでした。 |
裁: |
つまりこれは、被告人に 罪を着せるために、 真犯人が被害者の右手を使って 書き残した、ということですね? |
諸: |
で、でも! でもでも! 真犯人は、被告の 知り合いってコトだろう? 彼女の名前が”スズキ”だって 知っていたわけだからな! |
裁: |
たしかに、そのとおりです。 この証人は、須々木 マコさんを 知らないはずですね。 |
成: |
(どうなんだ‥‥! アイツに、被告人の名前を 知るチャンスはなかったのか?) |
成: |
(ようするに、証人にチャンスが あったことを証明すればいい。 彼女の名前が”スズキ”だと 知るチャンスが‥‥) |
裁: |
では、弁護人。 提示していただきましょうか。 この証人が、どうやって 被告の名前を知ることができたか? |
成: |
‥‥モロヘイヤさん。 事件があったとき、携帯電話を 落としていたそうですね? |
諸: | そ、それがどうかしたかい! |
成: |
それに気づいたあなたは、 どうしましたか? |
諸: | ‥‥ど、どうした、って‥‥? |
成: |
落とした携帯電話の番号に、 かけてみませんでしたか? |
諸: | ‥‥! ど、どうしてそれを‥‥ |
亜: |
裁判長! 今の質問は、事件に なんら関係が‥‥ |
裁: |
却下。 成歩堂くん。どういうことですか? この証人の携帯電話が、 事件に関係あるのですか? |
成: |
‥‥あります。 須々木 マコは事件当日、公園で 携帯電話を拾っています。 ‥‥そして! 落とし主からの電話を一度、 受けているのです! |
電: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥ピッ‥‥』 |
マ: |
『あ、あの、もしもし。 スズキと申しますが‥‥』 |
?: |
『あ。すみません。その携帯電話を 落とした者なんですけど‥‥』 |
マ: |
『よかった! じゃァさっそく お会いして、お返ししますッ!』 |
?: |
『すぐ、そちらにうかがいます。 もう一度、お名前を‥‥』 |
マ: | 『はッ! スズキ マコッス!』 |
成: |
あなたは、その時に知ったのです。 彼女の名前が”スズキ”だと! |
諸: | う‥‥ぐぐ‥‥ |
成: |
しかし、あなたは1つ カンちがいをした。 |
裁: | カンちがい‥‥? |
成: |
被告の名前は<<須々木>>です。 書き残された名前は<<鈴木>>‥‥ このまちがいは、耳で聞いたとき にしか、起こらない! |
諸: | ひいイィッ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
亜: |
お、おま‥‥お待ちください! この証人には、動機がありません! |
裁: | ほほお。‥‥と、言いますと? |
亜: |
カンタンなことです。 人を殺すには、何か理由がある。 モロヘイヤくんには、 その理由がありません! |
諸: |
そ‥‥そうともっ! ドーキがないよボクには! |
裁: | ‥‥ふむう‥‥。弁護人。 |
成: | はい。 |
裁: |
証明できますかな? この証人の”動機”を‥‥。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ カンタンなコトです。 |
諸: | ‥‥‥‥! |
真: |
だだ、だいじょうぶなの? なるほどくん‥‥。 |
成: |
だって、”できません”て言ったら 終わっちゃうだろ? 裁判。 |
真: | そ、そりゃそうだけど‥‥。 |
裁: |
では、提示してもらいましょう。 この証人の”動機”を示す証拠を! |
成: | モロヘイヤの動機はコイツです! |
裁: | 携帯電話‥‥。 |
成: |
須々木 マコが拾った電話には、 ある電話番号が登録されていた! |
諸: |
し‥‥調べたのか? そ、その番号を‥‥。 |
成: |
‥‥もちろん。 これは、その電話に登録されていた 番号のリストです。 電話番号とその名前はすべて、ある 詐欺グループのメンバーのものだ! |
亜: |
ななな、なんですってぇ! さ‥‥詐欺ぐるーぷ‥‥? |
成: |
どうして、そんな番号が 登録されているのですか! |
諸: |
こ、こ、これは犯罪だ! ヒトの電話の番号を調べるなんて、 殺人以上にヒレツな‥‥ あ、あなたがたはアレだ。 ユトリロのアトリエに踏みこんだ 警官たちといっしょだ! 天才のシゴトを踏みにじり、 美の女神との語らいを |
成: |
そんなことはどうでもいい! このリストについて 説明していただきたい! |
諸: |
キサマらに、一流のニンゲンの 気持ちなんてわかるかァッ! |
亜: |
裁判長! これは‥‥、 不当な言いがかりです! |
裁: |
異議は却下。 ど、どういうことですか 成歩堂くん! なぜこの証人が、詐欺グループの 電話番号を‥‥! |
成: |
決まってるじゃないですか! モロヘイヤは‥‥ |
成: |
この詐欺グループの メンバーだったのです! |
諸: | ‥‥うほぉッ! |
成: |
あなたは、仲間の電話番号を コイツに登録していた! それを調べられてしまったら、 すべてがおしまいです! だからあなたは、殺人を犯したッ! |
諸: | も‥‥もうたくさんだあぁぁっ!! |
裁: |
‥‥たしかに、 スジはとおりますね‥‥。 どうなんですか! モロヘイヤさん! |
諸: | ‥‥‥‥ボ‥‥ボクは‥‥ |
成: | (よし‥‥キマったか!) |
諸: |
ボクは‥‥あの‥‥ あの警官を‥‥ |
亜: | お待ちください! |
裁: | なんですか? |
亜: |
裁判長! これは‥‥これは、 その‥‥不当な言いがかりです! |
裁: |
‥‥あなた、さっきも 言いましたね、それ。 |
亜: |
よよよよ、よろしいですか! 例の電話の通話内容を 思い出していただきたい! |
電: | 『‥‥ピッ‥‥』 |
マ: |
『あ、あの、もしもし。 スズキと申しますが‥‥』 |
?: |
『あ。すみません。その携帯電話を 落とした者なんですけど‥‥』 |
マ: |
『よかった! じゃァさっそく お会いして、お返ししますッ!』 |
亜: |
証人は、携帯電話を 返してもらうヤクソクをしていた! あとは、ただ取りに行って、 彼女から電話を受けとればよい。 なぜ、わざわざ殺人を犯す 必要があるのですかッ! |
裁: |
ふむう‥‥。 たしかに、それもそうですね。 いかがですか、弁護人。 この点については? |
成: |
(た、たしかに‥‥ フツウに考えれば、 そうなんだよな‥‥) |
真: |
じゃあきっと、 フツウじゃなかったんだね! |
成: |
(そのとおり。だから、 殺人事件が起こった‥‥ モロヘイヤのヤツ、 現場で何があったんだろう?) |
裁: | いかがですか? 弁護人。 |
成: |
‥‥そ、そうですね。 おそらく彼は、スナオに電話を 受け取りに行けなかったのです。 |
亜: |
でも、取りに行くヤクソクは したのですぞ! |
成: |
‥‥きっと現場で、何か マズいものでも見たんでしょう。 |
裁: |
では、うかがいましょう‥‥。 現場で見た、マズいもの。 ‥‥なんですか? それは。 |
成: |
モロヘイヤさんが見たのは ‥‥もちろん、被害者です。 |
亜: |
ひ‥‥被害者? 町尾 守巡査のことですか! |
成: |
町尾巡査は、勤務を終えたカッコウ のまま、デートに来ていました。 すなわち、警察官の制服で! |
裁: | あっ! |
”電話を拾った女性が、 警察官といっしょにいる‥‥!” | |
成: |
‥‥まさか2人が恋人同士とは 思わない被告(「証人」の間違い) は、気が動転した! 電話を返してもらうときに、 何か聞かれるかもしれない。 |
”もし怪しまれてしまって、 電話を調べられたら‥‥?” | |
成: |
‥‥いや。もしかしたら、もう 調べられている可能性だってある! |
裁: |
‥‥パニックにおちいって しまったわけですか‥‥。 |
成: |
そうです。 町尾 守は、警官の制服を 着ていたから殺害されたのです! |
裁: |
亜内検事。 ‥‥何か、言うことは? |
亜: | か‥‥考え中です‥‥。 |
裁: |
ふむう‥‥。 どうやら、答えが出たようですね。 この証人、諸平野 貴雅は‥‥ |