成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
真: |
ええええっ! かるまけんじ‥‥って、 あの‥‥? |
成: |
いや、それが‥‥ どうも、その2代目らしいよ。 |
真: |
にだいめ‥‥。 ‥‥‥‥‥‥ ヒドいヤツだったよね。 狩魔検事。 自分が勝つためなら、 どんなヒキョウな手だって‥‥ |
成: |
(”カンペキ”という コトバに異常にこだわる男‥‥ 記録上は、40年間 ‥‥完全に無敗。 有罪判決のウラで、いったい どんな汚い手が使われたことか。 ‥‥2代目、か。いったい、 どんなヤツなんだろう) |
真: | もうダメだあ‥‥。 |
?: | ‥‥真宵さまっ! |
真: |
はみちゃん! よく来てくれたねー。 ありがとう。 |
春: |
だってわたくし、 もうシンパイで‥‥。 |
真: |
あれ? おばさまは‥‥ いっしょじゃないの? |
春: |
おかあさまは、 修験者たちを見ています。 2日つづけて修行を お休みすることはできない、って。 |
真: |
え! じゃ、じゃあ‥‥ ひとりで? |
春: |
はい! お屋敷を抜け出して、 地図を見ながら。 |
成: | もしかして、歩いてきたの? |
春: |
まさか。 ‥‥もちろん、走ってきました! |
成: |
そ、それはそれは‥‥。 (電車で2時間かかるんだぞ‥‥) |
真: |
はみちゃん。 あの‥‥電車は? |
春: |
はい? ”でんしゃ”‥‥ですか? |
成: | (‥‥ダメだこりゃ) |
春: | ‥‥そろそろ、お時間ですね。 |
真: |
うう‥‥コワいなぁ、カルマ検事。 何するかわかんないもん。 あたしやっぱり、 御剣検事がよかったよ。 |
春: |
みつるぎけんじさん‥‥って、 どなたですか? |
真: |
んーとね。なるほどくんの ライバル。‥‥でも、親友なの。 いやー、今でもハッキリ おぼえてるよ! 最後のサイゴまで、それは それはタイヘンな裁判ばっかり。 ‥‥とまあ、こんなカンジでさ。 宿命のライバルだよねー‥‥ |
成: |
真宵ちゃん! ‥‥その名前は口にしないで。 |
真: |
‥‥ど‥‥ どうしたの? なるほどくん‥‥ |
成: |
ご‥‥ごめん。‥‥真宵ちゃんは 知らなかったかもしれないね。 アイツは‥‥もう、 いないんだよ。どこにも。 |
真: |
えええええッ! ちょちょ、ちょっと待ってよ! そ、それってどういう‥‥ |
係: |
開廷時間です! 法廷へ入ってください! |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 行こう。今は そんな話をしてるときじゃない。 |
真: | な‥‥、なるほどくん‥‥? |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
これより、綾里 真宵の 法廷を開廷します。 検察側・弁護側とも、 準備のほうはよろしいですかな? |
?: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥‥‥‥‥ (なんだ、この女の子は‥‥) |
裁: |
‥‥‥‥‥‥ コラッ! 準備は できてるのですか! 成歩堂くん! |
成: |
え! ‥‥あ、す、スミマセン‥‥。 (なんでぼくばっかり怒るんだよ) |
?: | 成歩堂 龍一‥‥。 |
成: | ‥‥‥‥! |
?: |
私が女なので、おどろいている。 ‥‥そんなところね。 |
成: |
(‥‥ってことは、やっぱり この子が、狩魔検事の‥‥) |
冥: |
私の名は狩魔 冥(かるまめい)。 ‥‥天才検事よ。 |
成: | はあ‥‥。 |
冥: |
私がアメリカの検事局を捨てて この国へ来た理由は、ただ1つ。 ‥‥復讐よ。 |
成: |
‥‥復讐‥‥? (父親、狩魔 豪のことか‥‥) |
裁: |
あの‥‥個人的なことならば、 のちほどゆっくりと‥‥ あうッ! |
冥: |
‥‥発言中よ。 ジャマすると、 このムチがモノを言うわ。 |
成: |
(ムチじゃなくて クチでモノを言ってくれぇ‥‥) いてッ! |
冥: |
‥‥私はかならず、あなたを倒す! カクゴすることね‥‥ 成歩堂 龍一ッ! |
裁: |
では、狩魔検事。 ‥‥冒頭弁論をおねがいします。 |
冥: |
‥‥狩魔の血を引く者は、 1つの宿命を負っている。 それはすなわち、 ”カンペキな立証”‥‥ 被告人・綾里 真宵に 罪を逃れる道はないと宣言するわ! |
裁: |
わわ、わかりました。 ‥‥ところで、弁護人。 |
成: | はい。 |
裁: |
弁護側の主張ですが、<<完全無罪>> ということでいいのですか? |
成: | ‥‥ええ。 |
冥: |
‥‥バカほどバカゆえに バカなユメを見るもの‥‥。 今から10分以内。弁護人は、 意見を変えざるをえなくなる。 そう。<<正当防衛>>という 逃げ道にね。 |
成: |
(<<正当防衛>>‥‥ 命が危険にさらされたとき、 自衛のため相手を死なせること。 たしかに、そのほうが 証明しやすいけど‥‥) 弁護側は、あくまでも <<完全無罪>>を主張します! (<<正当防衛>>は、”殺した”と 認めてしまうわけだからな) |
冥: |
‥‥おろかな。 じゃあ、最初の証人を呼ぶわ。 ‥‥成歩堂 龍一! |
成: |
(‥‥オヤジとちがって イキがいいなあ‥‥) |
冥: | 証人。名前と職業は? |
糸: |
はッ! 名前は糸鋸 圭介。 所轄署の刑事ッス。 うはっ! |
冥: |
‥‥そんなコトは どうでもよろしい。 さっさと事件の説明をなさい。 |
糸: |
りょ、リョーカイッス! では、 現場の上面図を見てもらうッス。 <<対面の間>>には窓がなく、 扉にはカギがかかっていたッス。 事件が起こったとき、部屋の中には 被害者と被告しかいなかったッス。 |
裁: |
2人はそこで、 何をしていたんですか? |
糸: |
はッ。‥‥その。 ちょっと、霊媒をッスね‥‥。 |
裁: | れれ‥‥れいばい‥‥? |
成: |
(裁判長、ウサンくさそうな カオしてるな‥‥) |
糸: |
‥‥えへん。 とにかく、霊媒が始まって数分後、 部屋の中から銃声がしたッス。 ドアをぶっコワして、 数名の証人が部屋に踏みこむと‥‥ |
裁: |
被害者はすでに 亡くなっていた、と。 ‥‥これ以上ないぐらい 明白な事件ですな。 |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
それで‥‥被害者は どうやって殺害されたのですか? |
糸: |
それが‥‥ 少々こみいってるッス。 |
冥: | さっさとそれを証言なさい。 |
糸: |
『直接の死因は、コメカミに 撃ちこまれたピストルの弾丸ッス。』(証言1) 『弾丸は、かなり至近距離から 撃たれているッス。』(証言2) 『ただ、被害者は撃たれる前に、 ムネを刺されているッス。』(証言3) 『傷は、かなりヒドかったッスが、 即死にはいたらなかったッス。』(証言4) 『犯人は、トドメを刺すために ピストルを使ったッス。』(証言5) |
裁: |
ふむう‥‥。 ピストルで撃たれる前に、 刺されているんですか‥‥。 |
糸: | これが被害者の解剖記録ッス。 |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
受理します。 ‥‥では、弁護人。尋問を。 |
成: |
凶器のピストルは、 だれのものだったんですか? |
糸: |
被害者、霧崎医師の ものだったッス。 |
成: |
被害者‥‥? なぜ、そんなものを‥‥ |
冥: |
”なぜピストルを持っていたか” ‥‥そんなコトどうでもよろしい。 それより、そのピストルに 付着していた指紋。 そちらに注目してくれるかしら。 というか、注目しなさい。 |
裁: |
指紋‥‥ですか。 もしかして‥‥? |
糸: |
ピストルのグリップには 被害者の指紋といっしょに、 綾里 真宵の指紋が 残されていたッス。 |
裁: |
ふむう‥‥。 凶器のピストルに、 被告の指紋ですか‥‥。 |
成: |
(‥‥しまった‥‥ ワナだったか!) |
成: |
至近距離‥‥って、 どのくらいですか? |
糸: | 30〜50cmぐらいッスね。 |
成: |
どうして、そんなことが わかるんですか? |
冥: |
ふう、やれやれ ‥‥成歩堂 龍一。 バカな国のバカのバカさかげん には、ウンザリするわね‥‥。 |
成: | な、なんだと‥‥! |
冥: | ‥‥コゲあと。 |
成: | コゲあと‥‥? |
冥: |
至近距離で弾丸を撃ちこまれると、 弾痕のまわりに、コゲあとがつく。 |
糸: |
弾丸は、火薬の爆発で アツくなるッスから。 被害者のコメカミは、 ハッキリコゲていたッス! |
成: |
(はあ‥‥。はじめて 聞いたな‥‥) |
成: |
刺された‥‥。 その凶器は、どんなものですか? |
糸: | この果物ナイフッス。 |
裁: |
ふむう‥‥。そのナイフは どなたの‥‥? |
糸: |
どうやら、綾里家のもの らしいッス。 モチロン、綾里 真宵の 指紋がべっとりッス。 |
裁: | ふむう‥‥べっとり。 |
成: | (うう‥‥不利だな‥‥) |
冥: |
‥‥ふっふっふっ‥‥ どうしたの? 成歩堂 龍一‥‥。 |
成: |
ピストルより、刺された方が先‥‥ まちがいありませんか? |
糸: |
まちがいないッス。 傷を調べれば、それぐらいは すぐにわかるッス。 |
冥: |
バカはバカのバカげた意見を ありがたく聞くものみたいね‥‥。 ‥‥そもそも、コメカミを 至近距離で撃たれれば即死。 ナイフとピストル。 どちらが先か、考えるまでもない。 というか、もう少し考えなさい。 ‥‥成歩堂 龍一! |
成: | (‥‥ムカつくなあ‥‥) |
裁: |
そこまで! 殺害された方法については、 これでハッキリしました。 |
糸: |
2つの凶器を、証拠として 提出するッス。 |
裁: |
‥‥わかりました。 受理しましょう。 |
法廷記録にファイルした。 | |
法廷記録にファイルした。 | |
冥: |
死亡推定時刻は、6月19日の 午後3時15分。 証人たちが2発の銃声を聞いた 時刻にまちがいないわ。 |
裁: |
そして、2つの凶器に 被告人の指紋、ですか。 ふむう‥‥。 まさに、カンペキですな。 |
冥: | ‥‥トーゼン。 |
成: |
(まずい‥‥ 事件がシンプルなだけに、 つけいるスキがまったくない!) |
冥: |
裁判長。エンリョなく そのハンマーをたたいていいわ。 ‥‥もう、 ギロンの余地はないものね。 |
裁: |
たしかにそうですね。 ‥‥弁護人。 |
成: | は、はい。 |
裁: |
これでもまだ、あなたは <<完全無罪>>を主張するのですか? 正直なところ、それでは 勝ち目がないと思いますがね。 |
冥: |
予言は当たったようね。 ‥‥成歩堂 龍一。 10分以内に、あなたは 意見を変えざるをえなくなる‥‥。 |
裁: |
どうしますか? 弁護人。 <<正当防衛>>に主張を変えるなら、 今ならば聞き入れましょう。 これが、最後のチャンスです。 |
成: |
(‥‥この決断は大きい‥‥ よく考えるんだ!) |
成: |
(‥‥<<正当防衛>>を 主張するということは‥‥ つまり”殺害”を事実として 認めてしまうことになる! 真宵ちゃんはこれからの一生を 殺人者として生きることに‥‥ そんなこと、 できるわけがない!) ‥‥裁判長! |
裁: | 決断しましたか、弁護人。 |
成: |
弁護側の主張は変わりません。 <<完全無罪>>以外に、あり得ない! |
冥: |
‥‥‥‥今。 この瞬間、勝負は決した。 ‥‥刑事。 |
糸: | は‥‥はッ! |
冥: |
最後の証言を。 ‥‥トドメを刺すの。 |
糸: | うう‥‥りょ、了解ッス‥‥。 |
裁: |
あ、ちょ、ちょっと。 進行役は、この私が‥‥ ひいっ! |
冥: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥やっぱり、いいです。 最後の証言をしてください。 |
冥: |
綾里 真宵の有罪を立証する、 もう1つの証拠について! |