成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
ナ: |
『あの部屋に入って、まず目に 入ったのは、真宵はんやったわ。』(証言1) 『死体のほうは‥‥コワくてな。 ちゃんと見てないねん。』(証言2) 『血ィとか、オバケとか、 ニガテやねんな、ウチ。』(証言3) 『で、カメラを真宵はんに向けて、 シャッターを押したワケや。』(証言4) |
裁: |
‥‥先ほどの証言と、あまり 変わってないようですが‥‥。 |
成: |
(この証言の中に、 ハッキリしない部分がある。 そこを、ゆさぶるんだ!) |
冥: |
あがけばあがくほど、 敗北の味はニガくなる。 さっさとやってもらおうかしら。 ムダな尋問を‥‥。 |
成: | 2回‥‥ですね? |
ナ: | な‥‥ナニがや? |
成: |
シャッターですよ。 あなたは2回、 シャッターを押した。 |
裁: |
しかし‥‥提出されているのは、 この1枚きりですぞ! |
成: |
ナツミさん! あなたは、 写真を1枚、かくしている! |
ナ: |
い、いやいやいや。 ウチやないで! わわ、悪気があったワケやない! そこまでヒドい女ちゃうよウチは! |
成: |
(多少はヒドい女であると わかってるみたいだな‥‥) |
裁: |
では、なぜ 提出しなかったんですか? |
ナ: |
決まってるやん! そこの検事さんに止められたんや。 |
成: |
なんだって! か‥‥‥‥狩魔検事ィィッ! |
裁: |
かかか、狩魔検事! あ、あなたは‥‥重要な証拠を! |
冥: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(ゆ‥‥ユルせない、狩魔め! 証拠をインメツしようと したんだ‥‥!) |
成: |
裁判長! 弁護側は、狩魔 冥を訴えます! |
裁: |
ふむう‥‥そうですね‥‥ めうっ! |
冥: |
私を訴える‥‥? そのコンキョを 聞かせてくれるかしら。 |
成: |
だって! 証拠をかくしたんだぞ! それは、その‥‥! イケないんだぞ! |
千: |
なな、なるほどくん! もうちょっと、弁護士っぽく! |
成: |
(しまった! コーフンのあまり ダダっ子になっちまった‥‥) |
裁: |
‥‥狩魔検事。 セツメイをおねがいしましょうか。 |
冥: |
こんな写真、提出する必要なし。 ‥‥そう思っただけよ。 |
成: | なんだと‥‥! |
冥: |
2枚の写真は、ほぼ同じ内容が 写っていたの。 ‥‥ただ、こちらを提出すると、 メンドウになりそうだったから。 |
成: |
め、メンドウだって‥‥! そんな‥‥ |
冥: |
そんなに見たけりゃ、 提出してあげるわ。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
‥‥‥‥‥‥ なんですか、この写真は‥‥。 |
冥: |
証人が現場で撮影した、 2枚目の写真に決まってるわ。 ビビってカメラがブレたみたいね。 ‥‥なさけないカメラマン。 |
裁: |
そんなコトより‥‥ ここに写っているのは、 あきらかに、 綾里 真宵ではない! |
裁: |
いったいこれは、 どういうことですか! |
成: |
(‥‥こいつは、 チャンスかもしれない‥‥ この写真の人物が”真宵ちゃん じゃない”と主張するか?) |
成: |
‥‥‥‥‥。 (ムダだ。やめておこう) |
裁: |
ど‥‥どうしました? なぜ異議を申し立てないのです! この写真の人物は、アキラカに 被告人ではない‥‥ |
冥: |
ふっふっふっ‥‥。 この弁護人に、異議なんか 申し立てられるハズないわ。 |
裁: | ‥‥どうしてですかッ! |
冥: |
‥‥裁判長。 この写真をごらんなさい。 これはきのう、留置所の 面会室で撮影したものよ。 成歩堂 龍一と、綾里 真宵の 面会中に‥‥。 |
裁: |
綾里 真宵? しかしこれは‥‥ ゼンゼン別人ではないですか! |
冥: |
アタリマエよ。なにしろ‥‥ 彼女は霊媒中だったのだから! |
裁: |
し‥‥信じられません‥‥ こ、このような‥‥ |
冥: |
しかし、ジジツよ。 綾里 真宵は、霊媒で 別人にすがたを変えてしまう! |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
千: |
ちょっと‥‥ いいかしら? 検事さん。 |
成: | (ち、千尋さん!) |
千: |
面会中の写真を撮影するのは 違法のはず。 その写真は、証拠には なりませんよ。 |
冥: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥あたりまえでしょ。 こんなの違法よ。 証拠として提出する気なんて、 あるワケないじゃない。 |
成: | (な、なんだって‥‥) |
冥: |
でもね。見せちゃえば、 こっちの勝ち。 もう、裁判長のアタマから、 この映像を消すことはできない。 |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | (カンゼンに放心してるぞ‥‥) |
千: | ‥‥どうやら‥‥やられたわね。 |
裁: |
どうしても信じられませんが、 やはり‥‥ この人物は‥‥被告人、 綾里 真宵ということですか! |
成: |
(それを認めてしまえば、 審理は終了してしまう! しかし‥‥ここでイイカゲンな 発言はイノチ取りだ‥‥ これが真宵ちゃんじゃない 可能性を立証できるか‥‥?) |
成: | 裁判長! |
裁: |
‥‥お。目にカガヤキが もどりましたね‥‥。 |
成: |
この写真‥‥。 これまでの証言と、 大きくムジュンしています! |
裁: | ”ムジュン”‥‥ですって! |
冥: |
‥‥見苦しい時間かせぎ。 写真にモンクをつける気? いったい、この写真のどこが オカシイと言うの? |
成: | ここを見てください。 |
裁: |
被告のたもと‥‥ですか? ‥‥ベツに、おかしな ところはありませんが‥‥。 |
成: |
それがおかしいんですよ。 当然あるべきものが、 ここにはない。 |
冥: |
”あるべきもの”‥‥? あああっ! |
成: |
被告の装束のたもとには、 弾痕がありました! それならば、当然! 写真にも写っているはずです! |
裁: |
狩魔検事! あなたは‥‥ こんな大事な証拠品を かくそうとしたのですかッ! |
冥: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
あなたには‥‥しかるべき ペナルティを与えます! |
成: |
(よし‥‥これでヤツに 大きなダメージを‥‥) |
千: | ‥‥アマいわ。 |
成: | まま、またですか? |
千: | 狩魔検事のカオをごらんなさい。 |
成: | (お、おいおい‥‥笑ってるよ) |
冥: |
‥‥そう‥‥。 オロカな警察にかわって、 私のほうからおわびするわ。 |
裁: |
ど、どういうことですか。 ‥‥ケイサツ? |
冥: |
そもそも、この装束の弾痕を 見落としたのは、彼らよ。 私は当然、弾痕のことなど 報告されていない。 ‥‥だから、この写真が 重要なものと知りようがなかった。 |
裁: |
ふむう‥‥ そうだったのですか‥‥。 |
成: |
(‥‥そんなハズはない! あの女は気づいていたんだ! 装束の弾痕も‥‥写真も!) |
千: |
‥‥でも、 それは立証できない。 狩魔の”カンペキ主義”‥‥。 なかなかおもしろいわね。 |
冥: |
裁判長。 ‥‥シンパイはいらない。 ペナルティなら、あの刑事に イヤというほど与えておくから。 次回の給料査定で、ものすごい ドラマが起きるハズよ。 |
成: | (カワイソウなイトノコ刑事‥‥) |
裁: |
とにかく、これは 大きなムジュンです! 逮捕されたとき、被告人の 装束には弾痕がありました。 しかし‥‥発砲直後には、 それがない! |
冥: | ‥‥‥‥‥‥ |
千: |
今‥‥裁判長のココロが ゆらいでいるわ。 チャンスよ、なるほどくん。 ‥‥一気に攻撃しましょう! |
成: |
はい! (‥‥真宵ちゃん、見ててくれ!) 裁判長! この写真が意味するのは ただ1つ! |
成: |
被告のたもとには、 このとおり弾痕があります。 しかし、この人物のたもとには、 それがない。 ‥‥その理由は1つ。 ピストルを撃った人物は、 被告ではなかったのです! |
冥: | なんですってえェェ! |
裁: |
‥‥静粛に! 静粛に! 静粛に! 静まらなければ、 審理を中断しますぞ! ひひいッ! |
成: | あちっ! |
ナ: | ウチもかいっ! |
冥: |
‥‥弁護人の主張は、 もうメチャクチャよッ! |
成: |
どのへんがメチャクチャ なのか、教えてください! |
冥: | コラッ、証人! |
ナ: |
ぎゃあっ! そこでウチに来るんか‥‥。 な、なんやッ! |
冥: |
あなた言ったわよね! 現場に踏みこんだとき、 被告と被害者しかいなかったって! |
ナ: | ま、まあなぁ‥‥。 |
冥: | ウソだったら、ひっぱたく! |
ナ: |
ね‥‥ネエちゃん、 アンタちょっとコワいで‥‥。 ひゃあっ! まま‥‥マチガイないでェッ! 部屋の中には、 他にダレもいなかったハズやッ! |
冥: |
ほら見なさい! 答えなさいよ成歩堂 龍一! 被告はどこへ消えたの! それに、この写真の女は どこから入ってきたのッ! |
成: |
‥‥うう。 (最近、ナミダもろくなったな) |
裁: |
‥‥たしかに、この人物が 被告でないとなると‥‥、 2つのギモンが生まれますね。 被告はどこへ消えたのか? この人物はどこから来たのか? |
冥: |
さあさあさあ! 答えなさいよ成歩堂 龍一ッ! |
千: |
あとには引けないわ! がんばるの! 成歩堂 龍一ッ! |
成: |
(‥‥千尋さんまで フルネームで‥‥ でも‥‥そんなコト‥‥ 証明できるわけがない!) |
冥: |
いかがかしら? 成歩堂 龍一。 最後の最後、 逆転される気分は! |
成: |
(‥‥”逆転”! そうだ。千尋さんはピンチのとき いつも、発想を逆転させていた!) |
千: | なるほどくん‥‥? |
成: |
(犯人はどこから現場に来たのか? 真宵ちゃんはどこへ消えたか? ‥‥それが証明できないなら、 逆転させて考えるんだ! つまり‥‥ ぼくたちが現場に踏みこむまでに 第3者があの部屋に入った‥‥ もしくは、真宵ちゃんが あの部屋から出た‥‥ そのどちらかが起こったはずだ。 ‥‥それを証明できればいい!) |
裁: |
弁護人。‥‥あなたの 考えを聞かせてください。 |
成: |
‥‥ぼくたちが現場に踏みこむ までに、<<対面の間>>では‥‥ |
成: |
真宵ちゃんは<<対面の間>>から、 そとに出たのです! 弁護側は、 それを証明することができる! |
冥: |
‥‥バカがバカなカオして バカなユメを見てるようね。 綾里 真宵は、おばのキミ子に 介抱されていたのよ。 現場から出られるはずがない! |
裁: |
とにかく、証拠を 見せてもらいましょう。 事件発生から逮捕までのあいだ、 被告が部屋のそとに出た証拠を! |
成: |
ナツミさん。‥‥このカギ、 おぼえてますか? |
ナ: |
たしかそれ‥‥、 <<対面の間>>のカギやろ? 霊媒が始まる前に、真宵はんが 部屋の中からカギをかけた‥‥。 |
冥: | 被告が、カギを‥‥? |
ナ: |
そうや。だからウチら、 扉をコワしたんや。 ‥‥なんせ、あの扉のカギは、 1つしかなかったからナ。 |
裁: |
ほほお‥‥ 1つしかなかった‥‥。 |
冥: |
‥‥‥‥‥‥‥‥! ちょっと待って ‥‥成歩堂 龍一。 |
成: |
なんですか? (ウスウスわかってきたらしいな) |
冥: |
聞くのがコワいけど‥‥。 どうしてそのカギを、 今、あなたが持ってるの? |
裁: | え。‥‥どういうことですか? |
成: |
綾里 真宵がカギをかけたのなら、 カギは彼女が持っているはずです。 |
裁: | そのとおりです。 |
成: |
しかし逮捕されたとき、彼女は カギなど持っていなかった! |
ナ: |
ああっ! そ‥‥そうや! なんでそれ、 アンタが持ってるんやッ! |
成: |
このカギは、ある女の子から プレゼントされました。 その子は、現場に 近づいてすらいません! |
冥: |
そそ‥‥そ、そんな‥‥ あり得ない‥‥! |
成: |
つまり! 綾里 真宵は、 あの部屋から出ていたことになる! そうでなければ、ぼくが カギを持っているはずがない! |
冥: | バ、バカなああぁぁァッ! |
裁: |
‥‥どうやらワレワレは、 大きな問題にぶつかったようです。 犯人は、ハッキリしています。 このとおり、写真に写っている。 ‥‥しかし。この人物は、 はたして被告人だったのか? 弁護側は、被告人ではなかったと 主張しています。 そして、その証拠として、 このカギを提出しました。 狩魔検事。 |
冥: | ‥‥バカな‥‥ |
裁: |
今の時点で、被告に判決を 下すことはできません。 |
冥: |
私のカンペキな立証に ケチをつけるなんて‥‥ これで勝ったと思わないことね。 ‥‥成歩堂 龍一! 私はアメリカで無敗を ほこった天才なのよ。 ‥‥それに。この法廷だけは、 負けるわけにはいかない! どんな手を使っても‥‥ 有罪判決をいただくわ! |
裁: |
そこまで! つづきは、 控え室でおねがいします。 次回の審理は、明日10時。 ‥‥よろしいですね。 ‥‥それでは、 本日は、これにて閉廷! |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
真: |
えーっ! あれ、はみちゃんだったの! |
春: |
はい。ああするしかない、 って思って‥‥。 |
真: |
さっすが、はみちゃんだよねー。 なるほどくん、気づいた? |
成: |
(‥‥他にダレがいるって 言うんだよ‥‥) |
真: |
でもさ。なるほどくん。 せっかく助けてくれたのに アレなんだけど‥‥。 あたし‥‥あの部屋から 出たおぼえ、ないんだよねー。 |
春: |
それに、第3者があの部屋に 入ったというのも、 かなりムリがあると思います。 |
成: |
た‥‥たしかになあ。 とにかく、明日までには 見つけてみせるよ。 あの部屋で何があったか? ‥‥その答えを、ね。 |
真: | うん。たのんだ! |
春: |
はあ‥‥。 うらやましいです‥‥。 |
真: |
あ。そうだ。 なるほどくん。はみちゃんを 送ってあげてね。 |
成: |
あ。うん。 ‥‥じゃ、 キップ、買いに行こうか。 |
春: |
はい? ”きっぷ”‥‥ですか? |
成: | (やっぱり、ダメだこりゃ) |