成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
宿舎3階 アクロの部屋 | |
?: | ‥‥あなたが、成歩堂さんですね。 |
成: | は、はい。 |
ア: |
はじめまして。オレ、木下 大作 (きのしただいさく)といいます。 ‥‥ここでは、 ”アクロ”と呼ばれていますが。 |
真: | アクロ‥‥さん。 |
成: | あの。なんでぼくの名前を‥‥? |
ア: |
刑事さんが教えてくれました。 きっと現れるだろう、って。 |
真: |
アクロさんも‥‥ このサーカスの? |
ア: |
‥‥そうですね。ツナわたりや、 空中ブランコをやっていました。 今はこんな ‥‥車イス生活ですけどね。 |
成: |
アクロさんは、 どうしてサーカスに? |
ア: |
小さいころ、両親が事業に 失敗しましてね。 夜逃げしてしまったんですよ。 ‥‥子供をおいて。 |
真: | ‥‥! |
ア: |
たった1人の親せきが、 団長の立見さんでした。 団長には、本当に世話に なりました。‥‥本当に。 |
真: |
いいヒトだったんですね。 ‥‥団長さん。 |
ア: |
ええ。 ‥‥オレ、決めてたんです。 オレは一生をかけて、 あの人にむくいるんだ、って。 まさか‥‥ こんなことになるなんて! |
成: | そうだったんですか‥‥。 |
ア: |
‥‥あの人は、 やさしすぎたんです。 オレたち団員にも‥‥ 自分のムスメにも。 |
成: |
(ムスメ‥‥って、 ミリカちゃんだよな‥‥) |
真: |
ミリカちゃん、カワイイですよね! 純粋で‥‥天使みたい。 |
ア: |
ジュンスイ‥‥ですか。 ‥‥それが、イイことだとでも? |
真: | え‥‥。 |
成: |
(なぜだ? ミリカちゃんに対して 悪意のようなものを感じる‥‥) |
真: |
あの‥‥。 どうして車イスに? |
ア: |
足の神経をやられたんです。 ‥‥ズタズタに。 |
成: | 歩くことも‥‥? |
ア: |
立ち上がることもできません。 ここは3階ですから、1人で 宿舎を出ることもできません。 |
真: | そうなんですか‥‥。 |
成: | やっぱり、アクロバットが原因で? |
ア: | ‥‥‥‥ええ。 |
成: |
(サイコ・ロック‥‥! ケガの原因‥‥アクロバットじゃ ないみたいだな‥‥) |
ア: | どうかしましたか? 成歩堂さん。 |
成: |
い、いえ‥‥。 そのケガは、いつごろ? |
ア: |
もう、半年ほど前になりますか。 練習中に、ちょっとね。 |
成: |
(半年前‥‥何かあったんだ! このサーカスで‥‥) |
成: |
そういえばアクロさん、 きのうは部屋にいませんでしたね? |
ア: |
きのうは1日、 病院へ行っていました。 |
成: |
ああ‥‥リハビリですか。 じゃあ、事件のことは? |
ア: |
もちろん、知ってましたよ。 警察に、ひととおりの話をして、 病院へ行かせてもらったんです。 ‥‥検事さんから話を聞くまで、 オレ、ユメだと思ってたんですよ。 |
真: | え‥‥? |
ア: |
自分でも信じられなかったから。 アレを見たとき‥‥。 |
成: |
”アレ”を見た‥‥。 (ヒジョーにイヤな予感がする) |
成: |
アクロさん‥‥いったい、 何を見たんですか? |
ア: |
あの夜‥‥ ベッドで寝ていたら、窓の下で 大きな音がしたんです。 |
真: |
そうか。‥‥現場って、 この窓の下だもんね。 |
ア: |
それで、窓のほうを見たんです。 そうしたら‥‥ |
真: | そ、そうしたら? |
ア: |
彼が通りすぎていきました ‥‥下から、上へ。 |
成: | か‥‥彼? |
ア: | マックス・ギャラクティカです。 |
真: | うえええええっ! |
成: |
(‥‥やっぱり‥‥ そうなっちゃうのか‥‥) ‥‥まちがいなく マックスさんでしたか? |
ア: |
‥‥ええ。 まちがいありませんね。 |
真: | な、なるほどくうん‥‥ |
タチミ・サーカス テント内 | |
グルルルルル‥‥ | |
成: | (う‥‥イヤな予感‥‥) |
グルルルルル‥‥ ガオオオオォォォォッッッ! | |
真: | きゃああっ! なるほどくうん! |
成: | (こここ、今度こそ食われる!) |
ミ: |
ステイ! ラトー! ステイ! なんだー、真宵ちゃんたちかあ。 ‥‥ごめんね。 まちがえちゃったみたい。 |
成: | まま、まちがえた? |
ミ: |
うん。ちょっと。 こらしめちゃおうかな、 って思ったんだけど‥‥ ヒトちがい! っていうか‥‥ サルちがい、かな? |
真: | さる‥‥? |
真: |
団長さんのこと ‥‥おキノドクだね。 |
ミ: | パパ? |
真: |
みんなから愛されてた、 ステキなヒトだったもんね。 |
ミ: |
そうだよ! ミリカ、 パパのコト、だーい好き! |
成: |
(そのワリには、なんか あまり悲しそうに見えない‥‥) |
ミ: |
‥‥だからね。ちょっぴり さみしいんだよ。 しばらく会えないから‥‥パパ。 |
真: | ”しばらく”‥‥? |
ミ: |
‥‥うん。 レオンが死んじゃったとき、 パパから聞いたの。 ”死んだら、みんな、お星さまに なるんだよ”‥‥って。 |
真: | おほ‥‥おほしさま‥‥ |
ミ: |
それで‥‥ミリカたちのコト、 お空から見ててくれるんだって。 だからね。ミリカ、夜が好き。 ‥‥みんなに会えるから。 |
成: |
(”死んだらお星さま” なんて‥‥ さすがの真宵ちゃんでも 信じてないぞ‥‥) |
真: | ナニよ”さすがの”って! |
ミ: |
ミリカも‥‥いつか、 お星さまになるんだよね? |
真: | え! |
ミ: | ‥‥そうなんだよね? |
成: | う、うん。たぶん。 |
ミ: |
パパたちね。きっと 元気にしてると思うんだ! |
成: | (い、いいのかなあ‥‥) |
真: |
さっきの話だけど‥‥ ルーサーをこらしめる、って? |
ミ: |
ひどいんだよ、ルーサー。 ミリカのね。ダイジなものを ‥‥持ってっちゃったの。 |
真: |
ダイジなもの‥‥? やっぱり、ピカピカなのかな。 |
ミ: |
うん。あのね。舞台衣装。 スパンコールが入ってて、 すっごいキレイなんだよー。 |
真: | ”すぱんこーる”‥‥って? |
ミ: |
スポットライトを当てると、 キラキラ光るの。 ねえ! 弁護士さん。 |
成: | ん? |
ミ: |
弁護士さん、ルーサーを見たら 取りもどしてくれるよね? ミリカのダイジなもの。‥‥ね? |
真: | まかせといて! あたしたちに。 |
成: |
(‥‥ホント、 ことわれないんだよな‥‥) |
ミ: | やったあ! きっとよ? |
成: |
ねえ、ミリカちゃん。 これ、見たことある? |
ミ: |
あ‥‥。 うん、知ってるよ。 |
真: | ホ、ホント! |
ミ: |
なんかね。ミリカのポッケにね、 いつの間にか入ってたの。 |
成: |
な‥‥なんだって! このメモが‥‥ポケットに? |
ミ: |
あれかな。気がついたのは、 朝ゴハン持って行ったとき。 |
成: | 朝ゴハン‥‥? |
ミ: |
うん。アクロのゴハン、 いつもミリカが持って行くんだよ。 ついでにね。お部屋の ゴミも捨ててあげるの。ミリカが。 それで、食堂に帰ってきて、 ミリカもゴハン食べようって‥‥。 |
真: | そのとき、メモに気がついたの? |
ミ: |
うん。でも‥‥ミリカは ”さつじんしゃ”じゃないから、 きっと、だれかのポッケと まちがえたんだと思うの。 |
成: | ‥‥それで? |
ミ: |
落としたヒト、困ってるだろうな、 って思ったから‥‥。 |
真: |
もしかして‥‥ 食堂の伝言板に? |
ミ: |
そう! 張っておいたの。 ‥‥よく知ってるね? |
成: |
は、ははは‥‥。 (ミリカちゃんが張ったのか!) それって‥‥いつのことかな? |
ミ: |
あのね。 事件があった日の朝、かな。 |
成: | (‥‥やっぱり‥‥) |
ミ: |
だれが書いたんだろうね。 こんなの‥‥。 |
法廷記録に書きなおした。 | |
宿舎1階 トミーの部屋 | |
真: | トミーさん、いないね。 |
成: |
‥‥でも、 なんか物音がするぞ。 |
真: |
えっ。 や、やめてよなるほどくん‥‥ |
ル: | キキーッ! |
真: |
るる、 ルーサーだよなるほどくん! |
成: |
‥‥サルめ、 なんか、持ってるぞ‥‥。 |
真: |
あ、アレだよ! ミリカちゃんの ”ダイジなモノ”‥‥! |
成: |
(‥‥よし! 弁護士として サルと勝負だ‥‥!) |
成: | ウキャーッ! |
ル: | キキキキーッ? |
成: | ウキッキー! |
ル: | キキキキーッ! |
真: | きゃあっ! |
成: |
うわっ! ‥‥”サル”対”サル”として、 アツく語りかけてみたのに‥‥。 |
真: |
あっ、なるほどくん! ‥‥それは? |
成: |
ああ。すれちがいざまに 取り返してやったよ。 |
真: |
へええ! なかなかヤルね、 なるほどくん! ね。ね。ちょっと見せてよ! |
成: | ‥‥ん? どうするんだ? |
真: |
ちょっとね、着てみたいの。 ミリカちゃんの衣装‥‥。 |
成: | (‥‥やれやれ‥‥) |
真: | あ‥‥あれ? |
成: | どうした? |
真: |
ぜ‥‥ゼンゼン、 サイズが合わないよ‥‥。 |
成: |
たしかに‥‥と言うより、 そもそも、人間の着るモノとは 思えないな‥‥。 |
ルーサーから取りもどした。 | |
真: | ミリカちゃん! はい、これ。 |
ミ: |
わあ、ありがとう! ホントに取りもどしてくれたんだ。 |
成: | いやいや。 |
ミ: | 弁護士さん、だいすき! |
成: |
い‥‥いやその。 (こういうストレートさに、 オトコはヨワいのかな‥‥?) |
真: |
ね。ね。ミリカちゃん。 その衣装、ミリカちゃんの? あたし、着られなかったよ。 |
ミ: |
‥‥これ? ふふ。ちがうよ。 レオンの衣装。 |
成: | レオン‥‥? |
真: | ああ‥‥ホラ。ライオンの。 |
成: |
(‥‥あれ? たしか、 だれかに殺された、とか‥‥) |
成: |
レオン‥‥て、たしか 殺されちゃった‥‥んだよね? |
ミ: | そうなの。パパにね。 |
真: | ねえ! どうして! |
ミ: |
あのね。芸の練習で‥‥ シッパイしちゃったの。 |
成: | ”芸”‥‥? |
ミ: |
レオンが”おすわり”してね、 お口を開けるの。ガーッて。 |
真: | うんうん。 |
ミ: |
でね。ミリカが、その中に あたまを入れるの。 |
真: |
うんうん。‥‥えええええッ! ララ、ライオンの口の中に? |
ミ: |
そうだよ。 そうすると、お客さんが 悲鳴を上げてよろこんでくれるの。 |
成: |
(よろこんでるのか? それって‥‥) ‥‥‥‥! まさか‥‥”シッパイ”って! |
ミ: |
そうなの。 レオン‥‥かみついちゃったの。 |
真: |
みみ、ミリカちゃん、 よくブジだったね‥‥。 |
ミ: |
ブジじゃなかったけど‥‥。 パパ、すごく怒ったの。 |
成: | ‥‥それで、レオンは‥‥ |
ミ: |
うん。 ‥‥お星さまになっちゃった。 |
成: | なんてこった‥‥ |
法廷記録にファイルした。 | |