成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
オ: | アンタ、キノドクだったねェ。 |
成: | は‥‥? |
オ: |
オバチャン、あの夜、 見ちまったんだ。 アイツが、イサオちゃんの 控え室から出てくるトコ。 |
成: | なんですって! |
春: | そんな! |
オ: |
死体が発見される、 10分ぐらい前かネ。 ちょっとトイレに行ったとき、 グーゼン、ネ。 |
成: | そ、その話‥‥警察には? |
オ: |
モチロン、タレこんでやったョ。 図書券でも、もらえるかと思って。 |
春: | としょけん‥‥ |
オ: |
またスカウトされちゃったワケ。 ‥‥明日の法廷。 今度こそ有罪にしてやるからねェ! アンタの依頼人。 |
春: |
オートロさんに、 何かウラミでも‥‥ |
オ: |
ウラミもナニも、アイツが‥‥ オートロがやったんだよ! あの、ヒキョウなオトコが! |
春: | ひきょう‥‥? |
オ: |
オバチャン、知ってるんだョ! オートロがナニをやったか! |
成: |
(オートロさんが、いったい ‥‥ナニをしたって言うんだ?) |
成: |
いったい、オートロさんが 何をしたと‥‥? |
オ: |
そんなコトも知らないのかい? ヤツはね! デッチ上げようと したんだよ! イサオちゃんの スキャンダルをね! |
春: | なるほどくん! |
成: | な、なに? |
春: |
なんですか? ‥‥”すきゃんだる”って。 |
成: |
あ、ああ。 ‥‥帰ってから教えてあげるから。 |
オ: |
かわいそうに、イサオちゃんは オンナの色香に迷わされて‥‥ |
春: |
なるほどくん。 ”おんなのいろか”というのは‥‥ |
成: |
‥‥ぐッ! ま、まあ‥‥とにかく今は、 オバチャンのハナシを聞こう! オバチャン、その ”オンナ”って、いったい‥‥? |
オ: |
‥‥華宮 霧緒だよ! オートロのヤツ、イサオちゃんに コイツをさし向けたんだ! |
成: |
自分のマネージャーを、ですか? なんのために‥‥ |
オ: |
決まってるだろ! スキャンダルで イサオちゃんを失脚させるためョ! ‥‥イサオちゃん、そのオンナに ホネヌキにされちまったんだ! |
成: |
(‥‥なんか、テキトーな スキャンダルだなあ‥‥) どうしてそんなハナシ、 オバチャンが知ってるんですか? |
オ: |
オバチャン、イサオちゃんの 大ファンなんだョ! 情報を集めるためなら、 なんだってしちゃうっての! |
成: |
オートロさんがそんなことをした っていう証拠は‥‥? |
オ: |
来週発売される雑誌を 見るんだネ! |
成: |
(やれやれ‥‥ やっぱり、ゴシップ記事か‥‥) |
春: |
来週‥‥ということは、まだ 世間には知られてないのですね。 |
成: |
(そんな情報を、 なぜオバチャンが‥‥?) |
オ: | ヒッヒッヒッ‥‥ |
成: |
‥‥ナツミさん。 聞かせてもらいましょうか。 事件の夜、なぜ被害者の控え室を 見張っていたのか。 |
ナ: |
だから、言うたやろ? スクープ、狙っとったんや! |
成: |
ぼくが聞きたいのは、 そのスクープの内容です。 |
ナ: |
そ‥‥それはチョット、 言われへんなァ。 ホレ、ウチ、そいつで おまんま食べてるワケやし‥‥。 |
成: |
いやらしい芸能カメラマンが 狙う、スクープ‥‥ それって、もしかして‥‥ スキャンダルですか? |
ナ: | うッ‥‥! |
成: |
もしかして‥‥ナツミさんが スクープしようとしていたのは‥‥ 被害者のイサオさんと、この人物の スキャンダルだったのでは? |
ナ: | こ、コイツは‥‥ |
成: |
‥‥華宮 霧緒さん。 王都楼 真悟のマネージャーです。 |
ナ: | うぐぐ‥‥ッ! |
成: |
”トノサマンのマネージャー、 ライバルの忍者ナンジャと密会” ‥‥スクープのネタとしては、 最高ですよね。 |
ナ: |
た、たいしたヤマカンやなァ ‥‥ニイちゃん。 だけどな。カンだけで スクープはモノにでけへんのや。 コンキョがないとなァ。 |
成: | コンキョ‥‥ |
ナ: |
せやせや。‥‥なんつったっけ。 ‥‥”じゅーす・しょうゆ”‥‥? |
成: |
‥‥もしかして、 ニュース・ソースのことですか? |
ナ: |
それやッ! イサオと華宮 霧緒がアヤしい っていうコンキョ、見せてみィ! |
成: |
これは、週刊誌の記事です。 ”忍者ナンジャ、深夜の密会! お相手は‥‥ マネージャーのK.Kか?” |
ナ: | ‥‥うほっ! |
成: |
イサオさんに、マネージャーは ついていないそうです。 しかし! そのライバル、 オートロさんのマネージャーは‥‥ 華宮 霧緒‥‥ イニシャルはK.Kです! あなたはこの記事を見て、 証拠写真を撮ろうと考えた。 だからイサオさんの控え室を 見張っていたんです! |
ナ: | うがわわああッ! |
成: |
イサオさんと霧緒さんの スキャンダルを? |
ナ: |
せや! 2人の密会を スクープするつもりやったんや! |
成: |
でも、もうすでに週刊誌の 記事になってるんですよ。 今さら、スクープもないでしょう。 |
ナ: |
ナニ言うとるんやッ! 大衆が求めてるのは”K.K” なんてアイマイなモンと、ちゃう! ケッテー的な証拠! そのもの ズバリ、写真が見たいんやッ! ‥‥少なくとも、ウチはそうや。 |
春: | はあ‥‥。 |
ナ: |
ワザとちょっとピンボケにして、 読者のキョーミをそそる。 それに、ウチがテケトーにハナシを でっち上げて、特ダネの完成や! |
成: | (ヒドいジャーナリスト‥‥) |
ナ: |
ウチ、もうデッチ上げる ハナシも作っとったんや。 でも‥‥ |
成: | ? |
ナ: |
そのメモも、 どっか行ってしもたんや。 |
春: | めも、ですか‥‥ |
ナ: |
16万円のカメラのケースに 入れといたからなァ。 いっしょに なくなってしもたワ。 ウチはスクープを撮りに来たんや! お宝を吐き出すため、ちゃうでェ! |
成: | そ、そうなんでしょうね‥‥ |
ナ: |
ハラ立つわー。ウチのモットーは ”むしり撮れ! シリの毛までも” ‥‥やのになあ。 |
成: |
ナツミさんのメモ、か‥‥。 (根も葉もミもフタもユメもキボー もないデッチ上げなんだろうな) |
を書きなおした。 | |
警察署内 刑事課 | |
成: |
イトノコ刑事‥‥捜査会議、 って言ってたけど‥‥。 |
春: |
そうですね。 ‥‥あ。帰ってきました! |
糸: | あ‥‥来ちゃった、ッスか。 |
成: |
いきなりなんですか、 ‥‥そのアイサツ。 |
糸: |
いや‥‥もう、 合わせるカオがないッス。 |
成: | どういうことですか? |
糸: |
こんなときにかぎって‥‥ カンペキッス。証拠も、証言も。 |
成: |
そんな‥‥ 負けるわけには‥‥いかないのに! |
成: |
あの‥‥ カンペキな証拠‥‥って? |
糸: |
あまり詳しくは話せないッスが‥‥ 2つ、あるッス。 |
春: | ふ、ふたつも‥‥! |
糸: |
両方とも、この現場写真に 写ってるッス。 ‥‥1つ目は、死体のムネから 消えたボタンッス。 |
成: |
たしか‥‥なくなったボタンは、 身体検査のとき‥‥ |
糸: |
そッス。トノサマンの衣装の ハカマから発見されたッス。 |
成: |
ううう‥‥ じゃあ、2つ目は‥‥? |
糸: |
ムネに刺さったナイフッス。 犯人の指紋が残っていたッス。 |
春: |
しもん‥‥ あの。どなたの? |
糸: |
聞くまでもないッス。 ‥‥王都楼 真悟ッス。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ (明日の裁判‥‥ やっぱり、絶体絶命、か‥‥) |
成: |
それで‥‥ カンペキな証言、というのは? |
糸: | あの警備員のオバチャン、ッス。 |
成: | やっぱり‥‥ |
糸: |
”やっぱり”って‥‥ 聞いたッスか? オバチャンから。 |
成: | ええ、まあ。 |
糸: |
ダレにも言わないよう、 口止めしといたのに‥‥。 |
成: |
(オバチャンに、そいつは 不可能だろ‥‥) |
糸: |
オバチャンは見てたッス。 死亡推定時刻のころ、殺人現場から 出てきた、王都楼 真悟を。 |
春: | そ、そんな‥‥! |
糸: |
‥‥このゴシップは、 ワレワレもキョーミがあるッス。 |
成: |
イサオさんのスキャンダルに? どうしてですか‥‥。 |
糸: |
今から2年前‥‥ 1人の女性が‥‥ 自殺しているッス。 |
春: | じさつ‥‥ |
糸: |
彼女の名前は天野 由利恵。 ‥‥藤見野 イサオの マネージャーをしていたッス。 |
成: | 被害者の‥‥マネージャー‥‥ |
糸: |
それだけじゃないッス。 天野 由利恵は、華宮 霧緒の 先輩マネージャーとして‥‥、 彼女にシゴトをイチから たたきこんだ、いわば師匠ッス。 |
春: | おししょうさま‥‥ |
成: |
(イサオさんのマネージャーで、 霧緒さんのセンパイ‥‥ その女性の自殺が‥‥ 何か事件に関係あるのか?) |
糸: |
彼女のコト‥‥ もっと、聞きたいッスか? |
糸: |
被害者のマネージャーで、 しかも華宮 霧緒のセンパイ。 その女性が自殺して、2年。 今度はそのふたりが交際している。 あるいはグーゼンかも しれないッス。しかし‥‥? はがアァッ! |
冥: |
‥‥コリないバカに つきあうのは、もうコリゴリ。 |
糸: | かかか、狩魔検事ィッ! |
冥: |
‥‥どうやらキサマは 敵と味方の区別もつかないようね。 そんな刑事、 ここには必要ない。 |
糸: | まま、まさか‥‥それは‥‥ |
冥: |
‥‥そう。クビよ。 あなたはもう、必要ないわ。 30分以内に出ていきなさい。 |
春: | そ、そんな‥‥ |
糸: |
ちょちょ、ちょっと待って ほしいッス! 今月の給料がもらえないと自分 |
冥: |
うるさいッ! だいたい、キサマのような ウラギリ者さえいなければ‥‥ |
?: |
”私は負けなかった” ‥‥そう言いたいのか? |
冥: | ‥‥! だ、だれッ! |
成: |
|
御: | ‥‥ひさしぶりだな‥‥成歩堂。 |
春: |
こ、このかたが‥‥ みつるぎ検事‥‥ |
御: |
‥‥やれやれ‥‥。 なんでもヒトのせいにする、 その性格。 ‥‥変わらないな、メイ。 |
冥: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥よ‥‥よくも‥‥ よく恥ずかしくもなく、 私の前にカオを出せたものね! 狩魔の名前にさんざん ドロをぬったうえ‥‥、 シッポを巻いて逃げたくせに! |
御: |
”狩魔は、カンペキをもって よしとする‥‥”か。 それでは、キミはどうなんだ? ‥‥メイ。 どうやら、この国では かなり苦戦しているようだが。 |
冥: | く‥‥くッ! |
御: |
どうやら、キミには 荷が重いようだ。 ‥‥だからこうして、 帰ってきたのだよ。 |
冥: |
か、勝手なコトを言わないで! 私は‥‥私はまだ、 負けを認めたわけじゃない! この事件は私のもの。 ‥‥ゼッタイに、わたさない! 成歩堂 龍一ッ! ‥‥明日。 法廷で会いましょう‥‥。 どこかの負け犬さんに、”勝利”の イミを教えてあげないとね。 |
御: |
‥‥フッ。あいかわらずの ジャジャ馬だな。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥死んだはずじゃなかったのか? ”検事・御剣 怜侍”は‥‥ |
春: | な、なるほどくん‥‥! |
成: |
お前のカオなんて‥‥ 二度と見たくなかったよ。 |
御: |
‥‥ずいぶんなアイサツだな。 1年ぶりにしては‥‥。 |
成: |
明日の法廷‥‥ 出てくるつもりなのか? |
御: |
‥‥キミも聞いただろう? あのジャジャ馬はまだ、 負けを認めないつもりらしい。 私の出番はないだろう。 |
春: | ‥‥‥‥‥‥ |
御: |
‥‥キミが私をニクむのは勝手だ。 ただ‥‥、ひとつだけ 言えることがある。 |
成: | ‥‥‥‥ |
御: |
明日の法廷‥‥キミひとりの チカラでは、勝つことはできない。 |
成: | (‥‥どういうことだ‥‥?) |
御: |
私にはあって、キミには 決定的に欠けているものがある。 ‥‥それは、組織だ。 ジジツを探りだすチカラ。 |
成: | ”ジジツ”‥‥? |
御: |
この事件を理解するためには、 ある”ジジツ”を知る必要がある。 ‥‥まあ、その気になったら、 声をかけたまえ。 私はこの事件の担当検事ではない。 ‥‥情報をくれてやっても、いい。 |
成: |
(いったいコイツ‥‥ 何を考えているんだ‥‥?) |
御: |
‥‥いろいろあったが、 検事・狩魔 豪は私の師匠だった。 ”カンペキな勝利” ‥‥それが、狩魔の証なのだ。 |
成: |
‥‥1年前。 2つの事件で‥‥お前は 被告の有罪を立証できなかった。 突然、検事局を去ったのは そのせいなんだろう? お前の大事な”カンペキな勝利”が 無に帰したワケだからな。 |
御: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
そんな自分勝手な理由で 法廷に立つ検事なんて‥‥ 生き返ってこなければ よかったんだよ、御剣! |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ それならば‥‥ 聞いてみたいものだな。 キミはなぜ、法廷に立つ? ‥‥その理由は、なんだ。 |
成: |
狩魔 冥‥‥。ぼくを 見るとかならず、こう言う。 |
冥: | ”今度こそ、キサマを倒す!” |
成: |
‥‥しかし‥‥ ‥‥法廷は、弁護士と 検事が戦う場所じゃない。 ぼくは、依頼人のために 法廷に立っているつもりだ。 ‥‥彼らを、救うために。 |
御: | 被告人を‥‥”救う”‥‥だと? |
成: |
自分が勝訴することしか 考えていない‥‥ そんな検事、ぼくは認めない。 たとえそいつが”天才” と呼ばれていようと。 ‥‥お前のことだよ、御剣。 |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ どうやらキミは、 大きな誤解をしているようだ。 |
成: | ご、ゴカイ‥‥だって? |
御: |
‥‥フッ‥‥ ‥‥まあ、いい。 今にわかるときが来るだろう‥‥ |
御: |
‥‥そう。彼女こそ、 この事件のカギをにぎる人物だ。 |
成: | そ、そうなのか‥‥? |
御: |
もともと彼女は、華宮 霧緒の 先輩だったのだが‥‥、 突然プロダクションをうつり、 藤見野 イサオの担当になった。 そして、その数ヶ月後‥‥ 天野 由利恵は死んだ。 |
成: |
で、でも‥‥彼女の死は、 自殺‥‥なんだろう? |
御: |
そのとおり。 しかし、その自殺には、 ひとつ、大きなナゾがあるのだ。 |
成: | ‥‥ナゾ‥‥? |
御: |
‥‥遺書だ。 発見されなかったのだ。 ‥‥どこからも、な。 |
成: | (消えた遺書、か‥‥) |
御: |
彼女の死は、たしかに 自殺だった。それはまちがいない。 しかし‥‥その遺書は、 どこからも発見されていない。 ‥‥警察では、だれかが かくした、と考えている。 |
成: |
遺書を‥‥? でも、そもそも由利恵さんが そんなものを書いた証拠は‥‥? |
御: |
たしかに、証拠はない。 しかし‥‥、 彼女の右手の指先から、 インクの跡が検出されている。 ‥‥彼女が遺書を残した カクリツは、きわめて高いのだ。 |
成: |
だけど‥‥かくした、って いったい‥‥だれが? |
御: |
警察では、藤見野 イサオ氏だと 考えている。 |
成: | ひ、被害者の‥‥? |
御: |
彼女の死体の発見者は、 藤見野 イサオだったのだ。 遺書をかくすチャンスが あったのは‥‥彼しかいない。 |
成: |
(藤見野 イサオが、自分の マネージャーの遺書を‥‥?) |
御: |
‥‥遺書が発見されないかぎり、 これ以上の推理は無意味だが‥‥ とりあえず、こいつに 目を通しておくといい。 自殺の報告書 ‥‥その、1本目だ。 |
成: | (‥‥1本目‥‥?) |
法廷記録にファイルした。 |