成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
霧: |
『あのジュース‥‥自分のために 用意したわけじゃないんです。』(証言1) 『あの部屋に入ったとき、部屋が 荒らされていてビックリしました。』(証言2) 『そして、あの人‥‥藤見野が、 部屋のすみでぐったりしていて。』(証言3) 『それを見て、まさか死んでるなんて 思わなかったんです。』(証言4) 『てっきり、気絶してると思ったの。 それで‥‥彼のためにジュースを。』(証言5) 『彼が死んでることがわかって‥‥ 花ビンを割ってしまったんです。』(証言6) |
裁: |
‥‥ふむう‥‥あのグラスは、 被害者のために用意した‥‥と。 なぜ、さっきは そう証言しなかったのですか? |
霧: |
‥‥こんな細かいこと、必要ないと 思ったので‥‥。 |
千: |
なるほどくん。これは‥‥ 最後のチャンスよ。 この証言に問題がなければ、 今度こそ‥‥ |
成: |
わかりました。 (御剣のヤツ‥‥いったい、 何を考えているんだ‥‥?) |
裁: |
では、弁護人。 ‥‥尋問をおねがいします。 |
成: |
”死んでいるとは 思わなかった”‥‥? |
霧: | ええ。だって‥‥ |
成: |
この光景を目撃したのに、 ですか‥‥? |
霧: | ‥‥あっ‥‥ |
裁: | ど‥‥どういうことですか! |
成: |
見てのとおりです。 イサオさんのムネには、 ナイフが突き立っていたんですよ! だれがどう見たって‥‥ リッパな死体です! |
霧: | あ‥‥あ、それは‥‥その‥‥ |
成: |
これを見て”気絶している”と カンちがいして、 ノンキに飲み物を作る人間など、 いるわけがありません! |
裁: | つ‥‥つまり‥‥? |
成: |
霧緒さん! ‥‥今の証言、 まったくのデタラメです! |
霧: | ‥‥ううッ‥‥! |
成: |
そして、今の決定的な ウソこそが‥‥ あなたが犯人であるという、 何よりの証拠なのです! |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ いやあああああああああアアアアア アアアアァァァァァァァァァァッ! |
裁: |
どうやら‥‥今度こそ、 すべてがハッキリしたようですな。 やはり‥‥王都楼 真悟さんは、 無実だった‥‥ |
霧: |
そんな‥‥そんなハズはない! まちがってる‥‥ |
裁: | しょ‥‥証人! |
霧: |
‥‥私じゃない‥‥ 私はやっていないわ! 王都楼よ! ‥‥アイツが‥‥ アイツが殺したのよ! |
成: |
しかし、あなたは先ほどから、 証言を拒否している! ”自分を罪におとしいれる” という理由で! |
霧: | そ、それは‥‥ |
裁: |
証人に、最後にもう一度だけ チャンスを与えます。 霧緒さん。あなたの”罪”とは いったい、なんですか‥‥? |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ しょ‥‥証言を‥‥ ‥‥証言を、拒否‥‥します。 |
裁: |
‥‥これ以上、 審理の必要は認めません。 王都楼 真悟の無実は、 ハッキリ証明されました! |
成: |
(終わった‥‥のか‥‥? これで‥‥これで、ぼくたちは 真相にたどりついたのか‥‥?) |
千: | ‥‥どうしたの? なるほどくん。 |
成: |
いつもなら‥‥ いつもなら、真犯人はみんな、 自分の罪を認めています。 考えてみれば、今回が初めてです ‥‥罪を認めなかった犯人は‥‥ |
裁: |
それでは‥‥王都楼 真悟に、 判決を言いわたしたいと思います。 |
御: |
‥‥裁判長。 この時点で 判決を下すことはできない‥‥ |
裁: | な‥‥なんですって‥‥ |
御: |
理由はカンタンだ。 この証人は、まだ本当のことを 証言していない。 |
裁: |
い‥‥いったい、それは どういう‥‥ |
御: |
証人‥‥ まだ、わからないのか。 |
霧: | ‥‥え‥‥ |
御: |
だれがキサマに 入れ知恵したのかは知らん。 しかし。 キサマが沈黙を守れば‥‥ 王都楼 真悟は、無罪だ。 そして、そのかわりに‥‥ キサマが真犯人として、 その罪を着ることになるのだぞ! |
霧: |
‥‥う‥‥ウソ‥‥ウソよ。 私‥‥私、そんなの信じないわ! |
御: | なんだと‥‥? |
霧: |
だ、だって‥‥言われたから。 私がしゃべったら‥‥ ゼンブ、おしまいだ、って‥‥ 王都楼を有罪にできない、って‥‥ |
成: | (な‥‥何を言いだすんだ!) |
霧: |
‥‥私‥‥しゃべれない‥‥ こ‥‥怖いから‥‥ |
千: | ‥‥狩魔検事ね。 |
成: | え‥‥? |
千: |
おぼえているでしょう? なるほどくん。 あの証人は、つねにだれかの 言うことを盲信して生きている。 自分自身というものを、 持つことができないから。 |
成: | じゃ‥‥じゃあ、彼女は、今‥‥ |
千: |
きのう、あの証人は狩魔検事から 絶対的な命令を受けたの。 ”何があっても証言するな。 そうすれば王都楼は有罪になる” 彼女は今‥‥それを信じている。 ココロの底から。それだけを‥‥ |
成: |
(ど‥‥どうすればいい‥‥! ‥‥こんな状況‥‥ はじめてだぞ! 彼女‥‥華宮 霧緒が‥‥ 真犯人のはずだろ! あとは、判決を‥‥無罪判決を 待つだけ‥‥それだけのはず!) |
霧: |
‥‥私じゃない! 私は 殺していないわ! ‥‥助けて‥‥おねがい‥‥ だれか‥‥! |
裁: | 弁護人。 |
成: | ‥‥は‥‥はい! |
裁: |
このままでは、収拾がつきません。 あなたの考えを聞きましょう。 |
成: |
(ぼくの考え‥‥! ど‥‥どうすればいいんだ!) |
御: |
成歩堂! もう一度、 よく考えるんだ! この証人が何をしたか! そして、何をしなかったのか‥‥! この事件の真犯人は、だれなのか! |
成: |
(真犯人は‥‥決まってる! そこで泣いてる女しかいない! ‥‥そうだろう‥‥?) |
御: |
さあ! キサマの結論は‥‥ どうなんだ! 成歩堂 龍一! |
成: |
(今日中に無罪判決を勝ちとる。 ぼくには、それしかない‥‥! しかし‥‥ ナットクできない! 霧緒さんの、あの表情‥‥) ‥‥証人! いったい‥‥あなたは、 何をかくしているんですかッ! |
裁: |
べ‥‥弁護人! あなたは‥‥何を! |
成: |
オートロさんは無罪判決を受ける! なぜなら、あなたが真犯人だから! それで‥‥この法廷は 終わろうとしているんですよ! |
霧: |
‥‥ウソ‥‥よ! そんな‥‥ 私をだますつもりね! |
裁: |
もう、よろしい! 御剣検事。 あなたは、よくやったと思います。 しかし‥‥、弁護人が言うとおり 真実はアキラカです。 |
霧: | ‥‥ち‥‥ちがうわ‥‥ |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ やむをえないな。 |
霧: | ‥‥! |
御: |
これだけは やりたくなかったのだが‥‥ |
裁: | な、なんですか‥‥御剣検事。 |
御: |
証人。キサマがどうしても 証言しないと言うのならば‥‥ その理由を、この法廷中に 暴露するしかないな。 |
霧: | ‥‥や、やめて‥‥ |
裁: |
ど、どういうことですか! 御剣検事! |
御: |
‥‥そこの証人は‥‥ ある種、病気と言っていい。 |
霧: | な‥‥ッ! |
御: |
彼女は、その病気ゆえに、 自殺をくわだてたこともある。 |
霧: | や‥‥やめてください‥‥! |
御: |
かくそうとしても、ムダだ。 ここに、その証拠がある。 |
霧: | あっ! そ、それは‥‥! |
成: |
(あれは‥‥ 2通の自殺報告書‥‥!) |
御: |
さあ‥‥どうする、証人。 これから、華宮 霧緒という なさけない人間の本性を‥‥ 私はすべて、ブチまける! |
成: |
(”依存”というヒミツ‥‥ 彼女は、それを知られるのを 何より怖れているんだ‥‥) |
霧: |
‥‥おねがい、やめてッ! そんなことをしたら‥‥ そんなことをされたら、 私‥‥私は‥‥ |
御: |
証人が”死”を選ぼうと、 私の知ったことではない‥‥。 |
霧: | ‥‥! |
成: | (御剣‥‥なんてことを‥‥!) |
御: |
しかし! キサマが死ぬ前に‥‥ 私はかならず、キサマの口から 真実を引きずり出す! ‥‥どんな手段を使っても。 |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
御: |
さあ、どうするのだッ! ‥‥私は、どっちでもかまわない。 |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥は‥‥ 話します。だから‥‥ 助けてください‥‥ ‥‥もう‥‥何もわからない‥‥。 |
霧: |
『彼を見たとき‥‥キゼツしていると 思った。‥‥ホントです。』(証言1) 『彼が死んでいるとわかって‥‥ ふと、計画を思いついたんです。』(証言2) 『ろうかに人影がないのをたしかめて いったん楽屋にもどったわ。』(証言3) 『そして‥‥ナイフを死体に刺して、 ボタンをむしり取ったの。』(証言4) 『すべてが終わって、帰ろうとしたら ‥‥困ったことになった。』(証言5) 『それで‥‥トノサマンの着ぐるみを 使わせてもらったの。』(証言6) |
裁: |
し‥‥死体に、ナイフを! いったい、なぜ! |
霧: |
決まってるでしょう? ‥‥罪を着せるためです。 ‥‥そこの、ヒキョウな男に‥‥! |
裁: |
な‥‥ なんということでしょう‥‥ |
御: |
少し、手間どってしまったが‥‥ これこそが‥‥真実だ。 |
霧: |
真犯人は、王都楼よ! キタナイ男‥‥ユルせない! 今度こそ‥‥ 罪をつぐなわせてやるの! |
成: | (”今度こそ”‥‥?) |
御: |
‥‥彼女は、藤見野 イサオの ムネに、ナイフを刺した。 しかしそれは‥‥殺害する ためではなかった。 王都楼 真悟の罪を暴くため‥‥ それこそが! 彼女の”罪”だったのだ! |
成: |
(ま‥‥まさか! そんなはずはない‥‥ 華宮 霧緒こそが‥‥ 犯人のハズじゃなかったのか!) |
裁: |
‥‥では、弁護人。 尋問をおねがいします。 |
成: |
でも、部屋は荒らされて、 アキラカに格闘のあとだった! 亡くなっているのがわからなかった ‥‥ホントですか‥‥? |
霧: |
彼‥‥マフラーでクビを しめられたんですよね‥‥。 マフラーは忍者ナンジャの 衣装でした。だから‥‥ おかしいと思わなかったんです。 それに‥‥、 カオも‥‥うつむいていて、 よく見えなかった‥‥。 だから私‥‥起こそうと 思って、ジュースを‥‥ |
成: | ”計画”というのは‥‥? |
霧: |
‥‥‥‥‥‥ ハンニンは王都楼だと、 すぐにわかりました。 藤見野は‥‥彼の決定的な 弱みを発表しようとしていたから。 だから、先手を打って、 口をふさいだんだ‥‥って。 ”王都楼の罪を立証するような 証拠を作り出そう” ‥‥そう思ったんです。 |
御: |
それが‥‥あのボタンや、 ナイフだったワケか‥‥ |
霧: |
まず、アタマに浮かんだのが ナイフでした。 |
成: |
それは‥‥ナイフを 取りに行くために? |
霧: |
食事で使ったナイフには、 王都楼の指紋がついていました。 あれを使えば‥‥警察はかならず、 彼に目をつけるはずだ、って。 ‥‥王都楼は、着ぐるみのまま 寝ていました。 私は、そっとナイフを取って‥‥ 現場にもどったんです。 |
成: |
あのナイフは‥‥あなたが 刺したんですか。 |
霧: |
今、考えると‥‥ぞっとします。 なんて、ヒドいことを、って。 でも‥‥あのときは。 からだが、勝手に動いたんです。 ナイフを刺したときに ‥‥ふと、気がつきました。 ボタンを使えば、王都楼に もっと疑いをかけることができる。 |
御: |
ボタンをむしり取って‥‥被告人の ハカマに挟んだ、というわけか。 |
霧: |
ええ。そうするつもりでした。 ‥‥でも、そうカンタンには いかなかったんです。 |
成: | ”困ったこと”‥‥? |
霧: |
ろうかには、カメラをかまえた 女性がウロウロしていたんです。 |
成: | (ナツミさんだな‥‥) |
霧: |
光線銃をかまえた 女性もウロウロしていて‥‥ |
成: | (オバチャンか‥‥) |
霧: |
私、週刊誌にスクープ されていましたから‥‥ そのまま出ていくことは できなかったんです。 |
成: |
その着ぐるみは、 あなたが用意したんですね? |
霧: |
ええ。英都撮影所から 持ち出して‥‥。 授賞式の前日、彼のギターケースに しまったんです。 |
御: | ”記者会見”のために‥‥? |
霧: |
藤見野は、その着ぐるみを使って 記者会見をするつもりでした。 そして‥‥王都楼のヒミツを ”暴露”するつもりだったんです。 |
裁: | ”ヒミツ”というのは‥‥? |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥私は知りません。 とにかく、私が”トノサマン”の すがたで控え室を出れば‥‥ ”ハンニンは王都楼”と印象づける ことができる‥‥そう思った。 ギターケースを開けるとき、 指紋には注意しました。 着ぐるみのことは、ゼッタイ 気づかれたくなかったから‥‥ |
裁: |
もう、けっこうです! あなたは控え室に帰り、死体から むしり取ってきたボタンを‥‥ |
霧: |
王都楼のハカマに挟みました。 そのあと、着ぐるみをたたんで バッグにしまって‥‥ ホテルを抜け出して ‥‥始末したんです。 |
裁: |
な‥‥ なんということでしょう‥‥。 |
霧: |
‥‥ミツルギ‥‥と 言いましたね、検事さん。 |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
霧: |
ハンニンは‥‥あの男‥‥ 王都楼です! きのう、私‥‥ 女の検事さんに言われたんです。 |
成: | (‥‥狩魔 冥か‥‥) |
霧: |
私がしたコト‥‥ゼッタイに しゃべっちゃダメだ、って。 そうしたら、かならず‥‥ 王都楼を有罪にしてやる、って‥‥ 私‥‥それを信じるしか なかったんです‥‥ |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥この証人がしたことは、 あきらかに法律に反しています。 ‥‥しかし‥‥ その証言をくずすことが できない以上‥‥、 この証人が犯人であるとは 断定できません! |
成: |
ま、待ってください! 弁護側は、まだ‥‥ |
御: | ‥‥成歩堂。 |
成: | ! |
御: |
‥‥ムリだ。 華宮 霧緒を告発するのは、 現時点では不可能だ。 |
裁: |
そのとおりです。 殺人を立証する証拠‥‥。 1つもない、と言わざるを得ない。 審理は終了します。 証人の犯行は立証できなかった。 ‥‥あきらめなさい、弁護人! |
成: | し、しかし‥‥ッ! |
裁: |
御剣検事。華宮 霧緒の身柄を 拘束しておくように。 |
御: |
‥‥心得た。 さっそく、留置の手配を‥‥。 |
裁: |
それでは、 本日は、これにて閉廷! |
成: |
(‥‥審理が‥‥終了した‥‥! 無罪判決を‥‥ 勝ちとることができないまま!) |
御: |
証人‥‥。 ちょっとよろしいだろうか。 |
成: |
‥‥! (御剣‥‥?) |
霧: | なんでしょうか‥‥? |
御: |
退廷する前に、1つだけ うかがいたい。 さっきから気になっていたのだが ‥‥その手に持っている、カード。 それはいったい‥‥? |
霧: |
ああ。これですか‥‥? 弁護士さんにも聞かれましたね。 私にもおぼえが なかったんですけど‥‥ ‥‥ついさっき、思い出しました。 あの日、控え室でひろったんです。 |
成: | あの日‥‥? |
御: | 控え室‥‥? |
霧: |
ええ。 藤見野の死体を発見したときに。 ‥‥死体のすぐそばに 置いてあったんです。 |
成: | 死体のそばに‥‥そのカードが? |
霧: |
つい、ムイシキのうちに‥‥ ポケットにしまったみたいです。 ‥‥でも、関係ないでしょう? こんなカード。 |
成: |
(まあ、そうだな。 ‥‥ヘンなカードだけど‥‥ 事件の手がかりには‥‥) |
御: |
証人ッ! そのカード‥‥ こちらにわたすのだッ! 早く! |
成: | み‥‥御剣‥‥? |
御: |
キサマは‥‥なんという、 バカなことをしてくれたのだ! コイツを‥‥今まで 私の目からかくしておくなんて! |
霧: | そ、そんなつもりは‥‥私‥‥。 |
千: | ど‥‥どうしたのかしら‥‥? |
成: |
(あんなに感情的な御剣、 見たことがないぞ‥‥ あのカード‥‥ いったい、なんなんだ‥‥?) |