成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
堀田(自称)…黄 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン…灰 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
王都楼 真悟…紫 | |
華宮 霧緒…藤 | |
虎狼死家 左々右エ門…桃 |
荷: |
『ボーイは、そのままオートロくんの 控え室のドアをノックしたんです。』(証言1) 『そして、部屋の中のヒトに、 何やら手わたしたんですよ。』(証言2) 『おジイさん、そのまま部屋には 入らず、帰っていきました。』(証言3) 『それで、ボクもトイレへ 行ってから、席へもどりました。』(証言4) |
裁: |
殺害現場から出てきたボーイが、 今度は被告人の控え室に‥‥? |
荷: |
そうです。たまたま ‥‥見ちゃったんですよ。 |
成: |
(それにしても、ちょっと 目撃されすぎだろう! それも、あやしいトコ ばっかり‥‥) |
裁: |
ふむう‥‥。 いよいよ、ただのボーイとは 考えられなくなりましたな。 では、弁護人。尋問を。 |
成: | はい‥‥。 |
成: | ちょっと待ってください! |
荷: | な‥‥なんですか? |
成: |
こっちが”なんですか?”ですよ! ”中のヒトに何かわたした”‥‥ もっと、ハッキリしてください! |
荷: | そ、そうですねえ‥‥ |
成: |
(荷星さんのアタマは、同時に 2つのコトは処理できない! |
成: | ”何やら”手わたした‥‥? |
荷: | ハイ。 |
成: | なんだったんですか? |
荷: |
ハッハッハッ。 それをおぼえていたら、 ”何やら”なんて言いませんよ。 |
裁: |
しかし、それは殺人現場から 持ち出してきたモノと考えられる! ‥‥思い出せませんか? |
荷: |
うう‥‥何か、小さなモノ だったような‥‥ |
御: |
‥‥これは、非常に 重要なポイントと考えられる。 ぜひ、思い出して いただきたい。 |
荷: | うう‥‥がんばってみます。 |
御: |
では、他のことを聞こう。 ‥‥そのボーイの行動について。 |
荷: |
ハイ。部屋の中のヒトに 何やらわたしたあとは‥‥、 |
成: |
ボーイから”何やら受けとった” のは、だれだったんですか? |
荷: |
はあ‥‥それが。 ハッキリしないんですよ。 |
成: | ‥‥どういうことですか? |
荷: |
その。ザンネンながら、 ウデしか見えなかったんです。 |
裁: | ウデだけ、ですか‥‥ |
成: |
じゃあ‥‥カオは 見ていないんですね? |
荷: | ええ。 |
御: |
‥‥一度、今の証言を 整理させていただこう。 ボーイは、殺害現場から出てきて、 被告人の控え室へ向かった。 そこで、部屋の中の人物に 何か小さいモノを手わたした。 受けとった人物については、 ウデしか見えなかった‥‥。 |
荷: | ええ、ええ! そんな感じです。 |
裁: |
御剣検事。‥‥それが、 重要なことなのですか? |
御: |
モチロン‥‥、かなり 重要と考えられる。 なにしろ、殺害現場から持ち出した ものを、依頼主にわたした瞬間だ! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ 証人。ボーイがわたしたもの ‥‥よく思い出してください。 |
荷: |
そうですねえ‥‥ たしか、あれは‥‥ |
裁: |
思い出したら、証言に つけくわえてください。 |
荷: |
はあ‥‥きょ、恐縮です。 『もう一度見ればハッキリしますけど ‥‥木製の置物みたいでしたね。』(証言・補足) |
成: | ‥‥‥‥ |
荷: | ‥‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
御: |
なんなのだッ! この気まずい”間”は! |
裁: |
今、異議をとなえたヒト! だれですか? |
成: | はあ。ぼくですけど‥‥。 |
千: | どうしたの? なるほどくん。 |
成: |
‥‥なんだか、イヤなことが 起こるような気がして‥‥。 |
裁: |
弁護人! 反証するなら、 さっさとおねがいします! |
成: |
‥‥わかりました。 (カクゴを決めるか‥‥) ‥‥荷星さん。 あなたが見た”何やら”は‥‥ もしかして、コイツですか? |
荷: |
あっ! それだ! それですよ! ‥‥いやあ、さすが成歩堂さん。 よくわかりましたねえ。 |
御: |
‥‥こいつはたしか、 王都楼 真悟の屋敷で見つけた‥‥ |
裁: | ひ‥‥被告人の家ですって! |
裁: |
い、いったいこれは、 どういうことですかッ! |
御: |
カンタンなことだ‥‥。 ‥‥虎狼死家は、控え室で 藤見野 イサオを殺害した。 その際、現場から この木製のクマを盗み出したのだ。 |
裁: |
そのクマが、王都楼氏の屋敷から 発見されたということは‥‥ |
御: |
考えるまでもない! 当然、王都楼氏が 依頼主であることになる! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ‥‥静まりなさいッ! 弁護人。‥‥あなたにとって、 かなり不利な証拠でしたね。 |
成: |
はあ‥‥。 ‥‥すみません、千尋さん。 |
千: |
あなたの判断は まちがっていないわ。 真実は、いつか カオを出すものよ。 ‥‥そのクマさん。 あなたが提出しなくても、 きっと、あの検事さんが‥‥ |
成: |
(‥‥そうだな。あの場には アイツもいたんだから) |
裁: |
‥‥ふむう。 どうやら、これ以上の審理は 必要ないようですね‥‥。 |
成: |
(こ‥‥このままじゃダメだ! なんとかしないと‥‥ ‥‥何か、もっともらしい ギモンを提示するんだ‥‥!) 裁判長! お待ちください! |
裁: | な‥‥なんですか? |
成: |
今までの審理で、まだ 不審な点が残されています! |
御: | なんだと‥‥! |
裁: |
ほ、ほお‥‥それは 聞き捨てなりませんな。 アヤシイ点‥‥それは いったい、どこですか? |
成: |
荷星さんの証言で、 ハッキリしなかった点‥‥ それは、このアクセサリーを 受けとった人物です! |
荷: |
『そして、部屋の中のヒトに、 何やら手わたしたんですよ。 その。ザンネンながら、 ウデしか見えなかったんです。』 |
成: |
受けとった人物が、ハッキリ しない以上は‥‥、 その証言そのものが、その |
荷: | あああああああッ! |
成: | ‥‥‥? |
御: | ‥‥‥‥‥? |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥? |
荷: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥? |
裁: |
な、なんですか証人! 奇声を上げた以上は、 セキニンを持ちなさい! |
荷: |
はあ‥‥きょ、恐縮です。 ジツは‥‥その。 思い出したんですよ。 あの、クマのアクセサリーを 受けとったヒトのコト‥‥ |
成: | な‥‥! |
裁: | なんですとォ! |
荷: |
たしかにボク、ウデしか 見えなかったんですけど‥‥ で、でも、あれは‥‥ トノサマンでした! あのウデ‥‥ ‥‥トノサマン・丙! |
成: | なんですって! |
御: | まちがいないかッ! |
荷: |
ハイ! あれはたしかに トノサマンでした! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥弁護人。 また墓穴をほりましたな。 |
成: | (今日、何個めだ? これで‥‥) |
御: |
コイツを受けとったのは、 トノサマンだった‥‥ トノサマン‥‥やはり、 王都楼 真悟ではないか! |
裁: |
‥‥弁護人のおかげで、 さらにハッキリしましたな。 |
成: |
どどど、どうしましょう! 千尋さん! |
千: |
迷っているヒマはないわ。 ベツの方面から疑問点を 探しましょう! 急いで! |
裁: |
それでは、 この証人の尋問を‥‥ |
成: | 裁判長! お待ちください! |
裁: |
ま‥‥まだ何かあるんですか? 今度こそ、ギモンの余地は 消え失せたではないですか。 |
御: |
キサマもいっしょに 消え失せるんだな、成歩堂。 |
成: |
(もう1つ‥‥探すんだ! ギモン点を‥‥) ま、まだ‥‥ アヤシイ点は残されている! |
御: | なんだと‥‥! |
裁: |
ほ、ほお‥‥それは 聞き捨てなりませんな。 アヤシイ点‥‥それは いったい、どこですか? |
成: |
アヤシイ点‥‥言うまでもなく、 このアクセサリーです! |
御: | ‥‥‥‥ |
裁: | そのクマが‥‥何か? |
成: |
コイツは、王都楼さんの屋敷から 発見されました。 しかし! あの晩、王都楼さんは ホテルで逮捕されています! つまり‥‥事件が発生してから、 彼は一度も家に帰っていない! |
裁: | あ‥‥ |
成: |
結論はもう、おわかりでしょう。 クマを屋敷に持ちこんだのは、 王都楼さんではあり得ないのです! |
裁: |
た‥‥たしかに、その点は 見落としていました! 被告人には、クマを持ち帰る 時間的よゆうはなかった‥‥ |
成: |
(ふう‥‥これでなんとか、 ピンチは切り抜けたよう) |
御: | ‥‥まだまだアマいな、成歩堂。 |
成: | な‥‥なんだと‥‥! |
御: |
私は、ハッキリおぼえている。 ‥‥王都楼の屋敷で キサマがつぶやいたコトバを‥‥。 |
御: |
『このエリアは、完全に包囲した。 逃げることは不可能だ。』 |
成: |
『まさか‥‥あの執事が 虎狼死家だったなんて‥‥』 |
御: |
虎狼死家と王都楼は、 いわば共犯関係にあった。 彼は、王都楼の屋敷に ひそんでいたのだ‥‥執事として。 |
裁: | な‥‥なんとダイタンな‥‥ |
御: |
クマのアクセサリーは、 虎狼死家が屋敷に持ち帰った。 逮捕されそうになったとき、 王都楼が彼にたのんだのだろう。 ‥‥身体検査で発見されては マズいからな。 |
裁: | ‥‥ふむう‥‥。 |
御: |
どうかな? 弁護士クン。 さっきから、おとなしいが‥‥。 |
成: |
(ダメだ! つけいるスキが まるでない‥‥) |
裁: |
‥‥もう、けっこうです。 クマのアクセサリーが 被告人の屋敷にあった理由も、 控え室で、殺し屋からそれを 受けとった人物も‥‥ すべてがハッキリしました。 殺害の依頼をしたのは、 王都楼 真悟だった! ‥‥‥‥‥‥‥‥ これ以上の審理は必要ありません。 ‥‥判決を下します! |
御: |
ご理解をカンシャする‥‥ 成歩堂。 ‥‥やはり‥‥ 真実には勝てなかったか。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥ (‥‥こうなることは わかりきっていた‥‥ だって‥‥御剣の立証は まさに、真実なのだから‥‥) |
裁: | よろしいですね? 弁護人。 |
成: |
(‥‥どうなんだ? ”よろしい”のか‥‥?) |
裁: | ‥‥それでは、判決を |
成: |
(審理を引きのばすための方法は、 もう1つしかない‥‥ ‥‥この、罪深い方法しか‥‥) 裁判長。 王都楼 真悟が、暗殺の依頼人だと いう証拠は、以下の2点です。 その1。殺し屋から、クマの アクセサリーを受けとった。 その2。アクセサリーが、 王都楼の屋敷から発見された。 ‥‥しかし! これらの証拠は、ある人物に よって仕組まれた可能性がある! |
裁: | ど、どういうことですか‥‥? |
成: |
殺人を虎狼死家に依頼した真犯人は ‥‥他にいるかもしれない! |
裁: | 今になって”真犯人”ですか‥‥ |
成: | ‥‥はい。 |
御: | それがキサマの答えか。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥それでは、聞かせてください。 あなたの言う”真犯人”‥‥ いったい、だれなのですか? |
裁: | 華宮 霧緒‥‥! |
成: |
彼女は、王都楼に 罪を着せたことを認めています。 ‥‥2体目のトノサマンを使って! |
荷: |
あっ! じゃ、じゃあ‥‥ボクが見た、 あの”トノサマンのウデ”は‥‥ |
成: | 霧緒さんだった可能性があります! |
裁: |
し、しかし‥‥そのとき、 王都楼さん自身は‥‥? |
成: |
証言を思い出してください。 被告人は休憩時間中、 ヒルネをしていた! |
裁: |
そ‥‥そういえば‥‥ じゃあ‥‥これが王都楼さんの 屋敷から見つかったのも‥‥? |
成: |
‥‥華宮 霧緒が しかけた、ワナだったのです。 |
裁: | ‥‥‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
荷: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
み‥‥御剣検事。 何か、ご意見は‥‥? |
御: |
‥‥‥‥‥‥ ‥‥弁護人の主張には あまりにムリが多すぎる。 そして、証拠のかけらもない。 ただ‥‥可能性を完全に否定する ことはできない。 |
裁: | ‥‥ふ‥‥ふむむむう‥‥ |
‥‥なんだよ、この裁判‥‥ | |
‥‥ダレが聞いたって、 真犯人は王都楼じゃないか‥‥ | |
‥‥ヒトに罪をなすりつけてまで、 依頼人を無罪にしたいのかしら‥‥ | |
‥‥なすりつける、って 殺人罪だぞ! 信じられねえよ‥‥ | |
成: |
(‥‥真宵ちゃんを 助けるためだ‥‥ たとえ世界中を敵に回しても、 戦いをやめるわけにはいかない) |
千: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 従えない者には退廷を命じます! |
御: |
‥‥裁判長。 ‥‥‥‥‥‥ ”あるいは”と思ってはいた。 この弁護士が相手なら‥‥ |
裁: | ど、どういうことですか? |
御: |
私には、弁護側の挑戦を 受ける用意がある‥‥ |
成: | ‥‥! |
御: |
成歩堂‥‥。 きみは、フシギに思わなかったか? 真犯人はなぜ、こんなモノを ほしがったのか‥‥ |
成: |
(たしかに‥‥ 虎狼死家はわざわざ、あのクマを 王都楼にとどけている‥‥) 何か‥‥イミがあるのか? |
御: |
当然だ。 そのイミを知れば‥‥ おのずとアキラカになるだろう。 ‥‥”だれが真犯人か”‥‥ 裁判長! 華宮 霧緒の容疑を晴らす 証人を入廷させたい! |
裁: | いったい‥‥だれですか? |
御: |
言うまでもなく、彼女自身だ。 ‥‥華宮 霧緒。 |
裁: |
‥‥わかりました。 いったん、ここで 10分間の休憩をとりましょう。 検察側は、証人の準備を おねがいします。 |
御: | ‥‥了解した。 |